空色の龍の世界で、最下層に生まれた青年は 〜すべてをもっているひと〜

朝子

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第一章 クイナ

03.浮かれて落ちる羽無し ※

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 時は遡り、カジュリエスと出会って、おばけーー!! と叫んでしまった次の日の話だ。


 レイルはパン焼きに精を出しながらガラス越しの店舗の方を眺める。
 意識していなかったが、店内に目をやると巡察隊の客は多い。それまではどんな客がきているかなんて、気にしたことはなかったのだけど。
 誰も彼もがだったはずなのに、昨夜カジュリエスに謝罪を受けてからはやけに巡察隊が目につく。


 幼い頃に憧れた巡察官の姿は刷り込みのように条件反射的にかっこ良く見えるものなのに、その中でもカジュリエスは群を抜いて見えた。
 と、思えるのは昨夜「迷惑をかけたな」と謝りにきたその姿が制服姿も相まってレイルの胸を完全に撃ち抜いたからだろうか。

 カジュリエスは、レイルが憧れて理想としていた巡察官を具現化したような人だった。

 昨夜は驚かせて申し訳なかった、と謝ってくれて、丁寧に事の経緯を説明してくれた。

 毒人が逃げ出した事実に怯えるレイルに、もう捕まえたから大丈夫だ、と言い、その上でこの辺りの巡察を強化すると約束してくれた。なんて頼り甲斐のある男だろう。
 おばけと叫んですみません、と謝るレイルに、全く気にしたそぶりも見せずにいいよと許してくれる。

 その後カジュリエスは約束通りレイルの家の近辺を見回ってくれていたし、時間があればレイルの家でお茶を飲んで行くこともあった。
 巡察隊の中でも巡察官は特に仕事量が多いと聞く。
 カジュリエスが酷く疲れていそうに見えたある日、泊まって行くかと声をかけたのはレイルだ。レイルの家が、巡察本部の建物と宿舎の中間辺りにあるため、宿舎に帰るより楽だろうと考えた為で。
 申し出にカジュリエスは喜んでいたように見えたし、それからはレイルが声をかけなくても時々泊まってソファで寝ていくようになった。


 多分、いや、間違いなくレイルは浮かれていた。


 憧れていた職業の人だ。しかもただの巡察隊員ではなく、巡察官だ。
 レイルが普通に暮らしていたら一生関わらないような類の人が、自分と仲良くしてくれる。
 自分に微笑み、自分の話しで笑い、自分と同じように目を見て語りかけてくれる。その上とびきりかっこいい。

 一生一人で生きて行くんだろうな、と漠然と思っていたのに、思いがけず、仲の良い友達……と、呼べばいいのか……が、できてしまったのだから浮かれないはずがない。
 ……いや待て、本当に、ただの、仲の良い友達か?


 西浮国は昔から女性の出生性比率が低い事もあり、市井では男性同士で番う事も少なくない。

 レイルの父は誰とも番う事なくレイルを育ててくれた。
 子供が欲しかったから孵卵施設から引き取ったのだと言っていたが、それが嘘である事は幼い頃から薄々気づいていた。
 確信はないが、十八年一緒に暮らしていたからわかる。父は自ら子供を引き取るような人ではない、はずだ。だが、父は多くを語らないので嘘の中にある真実は未だわからない。
 確実にわかる事は、レイルに物心がついた時にはすでに共に過ごしていたという事だ。相当幼いうち、……孵卵してすぐ引き取られていたのだろうから、何か事情があったのだとしか思えない。
 男であろうと女であろうと、番は必要ないと父は言い、レイルが成人して家を出た後、今でもたった一人で店を営んでいる。

 そんな父の生き方を否定するつもりはない。

 だけどレイルは、もしできるのなら誰かと一緒に年を取りたい。
 お互いを大事に思い、お互いしか目に入らず、どちらかが傷つけば自分が傷つくより取り乱す、そこまで大切に思える相手がレイルの人生に現れたら。
 もし、そんな事が現実に起こったとしたら、きっとどちらかが先に亡くなったとしても、充実した人生を送れるのだと、そう思っていた。

 思っていても実際の日々は、家と浮島亭の往復だ。そんな生活では、なかなか出会いようもない。

 出会い場と呼ばれるような店には何度か行った事はあったが、適当な経験値だけが上がっていき、身体の関係以上に親密になりたい相手はできそうにもない。
 このまま一生一人で暮らすのかな、なんて漠然と考えていた時にカジュリエスと出会ったのだ。

 浮かれないではいられないし、期待もしてしまう。

 その日も、カジュリエスは仕事帰りにレイルの家を訪ねて夕飯を食べ、湯を使い、すっかりソファで寛いでいた。
 カジュリエスには若干小さなソファだが、彼はいつも小さく縮まりそこで器用に寝ている。

 そんなカジュリエスに先に声をかけたのは、自分だ。


「明日も仕事なら、そこで寝るのは疲れるのでは? ベッド半分使います?」


 そう、あの頃はまだ言葉に丁寧さが残っていた。


「それは……大きなベッドで眠れという純粋な善意か? それとも、……もっと直接的に……寝ようと言うお誘いか?」


 ソファに寝転んだまま、カジュリエスは黒目がちな瞳でこちらを見上げて言う。


「……どちらの意味でも。どちらが良いですか?」


 精一杯の作り笑顔で答えたけど、本心は緊張で倒れそうだったことをカジュリエスには気づかれなかったのだろうか。
 目の前の男が立ち上がってレイルの腕を引き寝室へ向かい、ベッドへと押し倒してきても尚、レイルは本当にこの男が自分みたいな人間の誘いに乗るのか、と半信半疑で声をかけたのだが。


「お前の舌を舐めたいとずっと思っていた。……舐めても?」


 優しい瞳でこちらを見つめながら頰を撫でられる。
 動悸でうまく答えることができなくて、唇を薄く開いて舌を出した。

 カジュリエスは肉厚な舌でレイルのそれをべろりと舐める。同時に膝頭から太ももへと手を這わせながら、このオレンジ色良いよな、とレイルの舌を舐めながら脚の色を褒められ、それだけで気持ち良さに震えた。

 お返しとばかりに舌を柔らかく動かしたらカジュリエスが嬉しそうに微笑んで、大きな掌で太ももから腰、背中を撫で上げる。

 散々舐められたレイルの舌が痺れるような心地になってきた頃、レイルの手首に指を添えてカジュリエスの下腹部へと誘われた。硬くなった陰茎を掌に感じて、そこでようやく、誘いに乗ってくれたんだ、と実感して嬉しくなった。

 お互いに服を脱がせあい、初めてカジュリエスの裸を見て、この男にこれから抱かれるのかと期待が高まる一方で、自分の身体の貧相さにがっかりしたが。
 それなのに目の前の男は、この脚にも触りたかったんだ、と言いながら自分にのしかかりレイルの膝に舌を這わせてくる。酷く高ぶった。

 高ぶった気持ちのまま、逆にカジュリエスに乗りかかる。両頬をおさえ口付けを強請り、勃ちあがりかけた陰茎をカジュリエスのへと擦りながら、枕元に置いておいた香油を自身の後孔へと足す。誘いに乗ってくれた時のことを期待してすでに慣らしてある。……期待が叶って、良かった。

 唇を少しだけ離して「このおおきいの、はいるかな」と呟いた。

 その言葉が呼び水となったのか、カジュリエスは喉の奥から唸るような声を出すと身体を反転させ、更に自身の手に足した香油でレイルの後孔を弄ってくる。

 的確に気持ちの良い所を刺激されて、レイルは鳴いた。鳴いて、泣いた。

 もうやだ入れてよ、と強請るまで弄られた後孔はすっかり柔らかくなり、カジュリエスの大きな陰茎を、ゆっくりと苦もなく飲み込む。
 その後は何度も何度も穿たれイかされ、翌朝、身体の中も外もドロドロの状態で目覚めるまでは快楽の記憶しか残っておらず。


 おいおいマジかよ、が、レイルの翌朝の第一声だった。


 身体の状態への感想、ではなく、まるで気を失うように事への感想で、レイル自身、そんな事は初めてだった。
 満足していたし、全てが充足していた。それは、今までの身体だけの関係なんてこれに比べたら陳腐でアホらしいな、と、思えるほどに。
 それこそ、当のカジュリエスが部屋に居なくても気にもならず、呑気にもレイルは、仕事かな、ぐらいにしか思っていなかった。


 浮かれていた。だけではなく、あの時、確かに心に何かを感じたから。


 身体はぎしぎしと痛かったけれど、やる気に満ちていたレイルは元気に浮島亭へと向かう。
 カジュリエスは今日の夜にでもまた来るだろう。急な仕事が入って呼び出されてた、なんて言いながら。
 パン工房に入る前、ロッカー室で着替えているレイルに同じく早番の料理人が声をかけて来るまでは、確かにやる気に満ちていた。はずだ。

 背中合わせのロッカーで着替えをしている料理人が声をかけてきたのは、お互いにそろそろ着替えが終わる頃だった。
 料理人の男は「最近忙しくねぇ?」そう、声をかけてきた。世間話を振られたらしい。
 浮島亭は従業員の数も多く、シフトも細かく分かれているので同じ部門の人間以外そう関わることもない。その男も、顔見知り程度、料理人だ、とわかっただけでもまだ仲の良い方と言えるのかもしれない。


「そうか? おれはパンの担当だから……仕事量が増えたり減ったりはあまりないんだ」
「あぁ、パンか、道理で……調理部門は忙しくてさ。最近巡察隊の客が朝から晩まで毎日のようにきてて。巡察隊員だけじゃなく、巡察官も混ざってるんだぜ、お前らこんな大衆的な店に来んのか? って感じだろ」
「へぇ……巡察官も」


 それは初耳だ。


「前は今ほどは来なかったけどな、最近ほんとよくきてる、あいつら金払いが良いのが救いだけど……俺こんな朝早くから働いてるのに、巡察隊が夜にまたきたらホールにも駆り出されて、今日も帰れるの夜中になるだろうし働き詰めで疲れが取れないよ」
「そうか、大変だな」
「てかさ、何で急に巡察官の客が増えたんだと思う? 巡察隊員ならまだしも、巡察官が誰かとつがうとも思えねぇから、誰か個人を目当てにって事もねぇと思うんだよな。……身体目当てとかならまだしも」
「巡察官でも、番うだろ」
「番わねぇだろ。中には物好きもいるかもしんねぇけど……子孫残す心配のないお方たちだぜ、孵卵施設行って、俺たちではちょっとお目にかかれないレベルの女性相手にいくらでも自分の子が作れんのに」
「でも、子孫残す問題は別にして、共に暮らす相手が居た方が良くないか?」
「いやー……酒席での会話でその月何回孵卵施設に呼ばれたかを自慢し合うような方々だからな……俺たちからしたら意味がわからんが、産まれ育ちからして違うしな、巡察官。受ける教育も違うから、そもそも市井の人間とは相容れないだろ」
「そう、……か?」
「ホール担当の俺の友達がさ、気が向いた巡察官に誘われて一晩過ごしたんだって。そいつも、万が一巡察官との付き合いが続いたらラッキー的な打算が働いちゃった、とか言ってたけど、終わったら後始末はおろか、言葉も何もなくさっさと帰られたって。次に会った時挨拶したら、孵卵施設に呼ばれてない時で溜まってて暇があったらまたやってもいいって言われて、やっぱりそう言う扱いかよってへこんでた」


 ここまできて、レイルは、カジュリエスだけは違う! とは、言えなくなってしまった。

 そもそも、誘ったのは自分だ。何度も顔を合わせて、何度も彼は泊まっていたが……カジュリエスから、その手の――つがいに対する価値観やら、レイルをどう思っているのか――を、聞いたことは無かったな、と思い出した。
 その上、まさに昨夜遅く、後始末もされずに気付いたらいなかった、ということを身をもって経験したばかりだ。

 それでも、いや、彼は違う、よな……? と、その時はまだ、半信半疑でいたのだけれど。
 やっべ、話しすぎた! 早く行かねーと、お互い頑張ろうな! と顔見知りの料理人が居なくなってもしばらく、レイルはその場から動けずにいて。


 レイルの家に二日と開けずにきていたカジュリエスが、その後十日も経ってから漸く来た時、レイルはすっかり考えることに疲れていた。


 周囲に話しを聞いてみても、巡察隊員、その中でも特に巡察官に対しての評判は料理人の彼が話していたものと似たり寄ったりだ。
 頭が良い。身体能力が高い。正義感が強い。彼らのおかげで西浮国の治安は保たれている。その上、戦が起こった時にも彼らは駆り出されるのだ、文字通り命がけで任務についている姿は称賛に値する、それは間違いない。
 だけど、その一方で私生活は……彼等なりの理由はあるとしても、対人価値観が市井の人々とは全く違う。どちらが良い、悪い、という話ではない、とにかく違う。
 端的に言うと、非常に本能に忠実に生きている。番を作ることよりも、種を残す、子孫を残す事に注力する。市井のヒトとは違い、抗えないような強い発情期もあるらしい。なのに、同時に人としての本能も併せ持つ。だから、普通の人間のように普段から通常の性欲は抱えていて、それは手近な所で発散する事もあるけれど、それだけだ。発散以上の意味はない。

 そんな話しを散々聞いた後、久しぶりに姿を見せたカジュリエスにレイルはどうして良いのかわからなくなってしまった。

 カジュリエスはあの日の事を何も言わない。

 今までと同じようにやってきて、今までと同じように湯を使い、夕飯を食べて、ソファで仕事の書類らしきものを眺める。


「もうおれ寝るけど」


 丁寧な言葉を使う事も面倒で、普段の話し方で声をかけたらそうかと言いながら寝室へとついてきた。


「やる気?」
「当然だろ」
「なんで、か、聞いても?」
「やる理由なんてやりたい以外あるのか?」
「……いや」


 カジュリエスとは、それ以来、今のような付き合いが続いている。

 自分たちがどんな関係なのか、聞くことはやめてしまった。
 巡察官がどんな人種なのかを、よく知りもせず部屋の中に入れたのは自分だ。
 レイルも今現在恋人がいるわけではないし、カジュリエスが飽きるまではこのままでいい事にする。

 自身の恋心からは完全に目を逸らし、しばらくはこのまま、……要はレイルは、逃げたのだ。






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