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第47話:アユムの両親

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(親父?!・・・ああ・・・これは・・・夢の中か・・・)

目の前に俺の親父がいたので、元の世界に戻ってきたと思ったが違ったので俺は落胆した・・・周りを見渡す限り・・・この夢は俺が、まだアメリカ合衆国東北部――ロードアイランド州の初等部に通っていた頃の夢のようだ・・・

(そうだ・・・この日おれは運悪く沿岸警備隊の准士官である親父の書庫から軍事関連の書物を勝手に自分の部屋に持っていく所を突然ボストンに勤めていたハズの親父と鉢合せになってマーシャルアーツ近接格闘術でブチ回されたんだ!)

夢だからだろう...俺の手元には、いつの間にか子どもの頃、特にお気に入りだった【理学理論の視点から見た化学兵器の製造に関する本】という物騒な題名の本が握られていた!びっくりである!

「あゆむーー!!貴様!また勝手にオレの執務室の書庫に入ったのかーー!!」と親父が怒鳴りながら追ってきた!!白人ではないとはいえ・・・日系3世でありながら元【海洋保安即応部隊】である親父が鬼の形相で俺に近づいて来たら、脱兎の如く逃げるほかない!

「うあああああーーー!!!」と、悲鳴を挙げながら死物狂いで必死に走る

あのDV親父の事だ・・・実のわが子でも容赦しない目に見えている!!本当に殺されかれない!!

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そうやってアメリカで生家だった家の中を走っていたら、いつの間にか周りは俺の母親の生まれ故郷である横須賀の繁華街をなっていた・・・

あのDV親父と母親が離婚して中学生時代を過ごした街だ・・・

なんとも感動もクソもない馴れそめだが母親は売春婦時代に、この街でアメリカから単身赴任した親父に出会い国際結婚したらしい・・・

――で、おれは母親が離婚して母の生まれ故郷に帰ってきたのだが高校中退の母では、まともな職などには着けなかったので貧乏だった。アメリカからの帰国・貧乏・母は売春婦・・・

ほら、イジメられない要素が見当たらないだろう・・・?

これが真井歩さないあゆむこと俺の半生だ・・・

それでも諦めずに中学生ながら努力して【ネット回線が混雑しにくくなる基幹技術】の特許を特許庁に提出し国際色豊かなベンチャー企業に30億円で売りつけて、やっと高校に入学してマトモな生活が遅れるようになったと思った矢先――

今度は、この異世界で命がけのサバイバルと一からの努力のしなおすハメになったのだ・・・本当に、いい加減にして欲しい・・・

おれは見慣れた横須賀の繁華街で安心して振り返ると、いつの間にか風景はアメリカの生家に戻っていた!!!


背後には親父がいて突然、胸ぐらを掴まれ、首を絞められる!!!

「あゆむ!!!お前さえ!!おまえさえ!!お前さえ居なければ!!!」と親父は首を閉めてくる!そして親父の背後には実の息子が実父に殺されかけているにも関わらず冷たい表情で眉一つ動かさない母親がいた!!


(――た、なんか生・ま・れ・て・来・な・け・れ・ば・良・か・っ・た・の・よ)


母親だけではない中学の頃イジメてきた奴らまでいる!!!!!!!!!!!!!!

「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」



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俺は異世界の自宅で跳ね起きた!!

「はぁー!はぁ!はぁ・・・」

寝間着は冷や汗でグッショリ濡れている...

「夢か・・・」

俺はベットから起き上がると水桶の水で喉を潤した・・・

いまごろ元の世界では親父と母親が俺の残した資産を醜く奪い合っているだろう..
俺には、そんな気がしてならなかった・・・
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