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転生者
第39話
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「おりゃあああぁぁぁぁあああ!!」
強化腕にがっつり魔力を込めて右腕を鏡に叩きつける。
鏡は甲高い悲鳴を上げるかのような無機質な音と共に破片となって崩れ落ちた。
そしてそこに現れたのは先へと続く通路だ。
「作戦通り!」
「嘘ぉ……」
一歩下がって見ていた二人が驚いているようだが、驚く要素どこにあった?
ああ、俺の破壊力が予想を上回ったってことか。
なら納得しておく。
「何で破壊できるのよ……」
「ダンジョンマスターとかいたら~、今頃泣いるわね~」
「このまま直進する!周囲の警戒は任せるぞ」
鏡の中から突然飛び出してくる魚型の骨魔獣は二人に任せて、俺は先へと進む。
そのまま直進する事1時間程だろうか。
壁に突き当たるたびに破壊して進むのを繰り返していると、入り口と同じようなアーチ状の門が見えた。
「あれが出口ね」
「よし、行こう」
俺一人だけ重労働で体力消耗しているような気もするが、出口が見えたとなると疲れも吹き飛ぶってもんだ。
最後の意地と言わんばかりにそのタイミングで飛び出て来た魚型の骨魔獣をシェリーさんがツインアルテミスボウで撃ち落とす。
「さぁ~行きましょう~」
3人そろってアーチを通り抜けると、目の前には階下へと進むための階段があり安堵した。
ちなみに途中俺が頑張って鏡の壁を破壊しているのを見たサラが、自分もやりたいと言い出したので一度任せてみた。
サラの如意棒での攻撃は鏡の一点を貫いてひび割れしたものの俺達が通れるほどの範囲は破壊できなかった。威力が一点に集中しすぎていたわけだ。
その後で強化靴装備の蹴りでいくつか破壊していたがとても嬉しそうだった。
ストレスが溜まっていたのかな?
休憩もそこそこに、俺達は下層へと進む。
階段フロアを抜けるとかなり広い空間が広がっていた。目を凝らせば対岸に下層フロア行きの階段フロアが見えたりもするが問題はその途中だ。
「人族なら結構な試練になるのだろうけど~」
「だな。俺達にとってこれは平地と変わらんだろ。なぁ?」
足元には崖。対岸までは一本道があるのだが、その幅はおよそ20センチと言ったところか。
「ざわざわ……ざわざわ……」
「一本橋だからって~、その効果音を言いたくなるのはどうかと思うわよ~」
言いたくなるやん!
でもまぁ、これだけの幅があればまぁ人族であってもゆっくり進めば問題なく通過できるだろう。
「映画でこういうの見て、どうも苦手なのよ」
「落ちたら文句なく即死っ……!」
ちょっとざわざわする作品のナレーションぽく言ってみたが、 どうもサラの表情は険しい。
「獣人族の俺からすればこれだけ幅があれば十分走り抜けられるが、シェリーさんはどうだ?」
「私も~これだけあれば走り抜けられるわよ~」
「となると、人種特典は俺達だけか。エルフだとその辺の感覚は人族と変わらないのかな。でもまぁゆっくり行けば大丈夫だろ」
「もぅ……簡単に言うわね」
引けた腰がかなり苦手な事を物語っているが、それでもなんとか進もうという気持ちはあるようで一本道を睨んで集中している。
「下を見ないようにな」
「〇〇してはダメって思うと逆に意識しちゃうから~、こういう場合は前だけ見ていきましょう~って言うのよ~」
「よし! 行くわよ!」
集中して吹っ切れたのか、ようやくサラも進む気になったようなので出発した。
俺が先頭、間にサラ、後方にシェリーさんだ。
心配なサラを真ん中にして進む隊列は俺の英断が光る。
キラリ。
強化腕にがっつり魔力を込めて右腕を鏡に叩きつける。
鏡は甲高い悲鳴を上げるかのような無機質な音と共に破片となって崩れ落ちた。
そしてそこに現れたのは先へと続く通路だ。
「作戦通り!」
「嘘ぉ……」
一歩下がって見ていた二人が驚いているようだが、驚く要素どこにあった?
ああ、俺の破壊力が予想を上回ったってことか。
なら納得しておく。
「何で破壊できるのよ……」
「ダンジョンマスターとかいたら~、今頃泣いるわね~」
「このまま直進する!周囲の警戒は任せるぞ」
鏡の中から突然飛び出してくる魚型の骨魔獣は二人に任せて、俺は先へと進む。
そのまま直進する事1時間程だろうか。
壁に突き当たるたびに破壊して進むのを繰り返していると、入り口と同じようなアーチ状の門が見えた。
「あれが出口ね」
「よし、行こう」
俺一人だけ重労働で体力消耗しているような気もするが、出口が見えたとなると疲れも吹き飛ぶってもんだ。
最後の意地と言わんばかりにそのタイミングで飛び出て来た魚型の骨魔獣をシェリーさんがツインアルテミスボウで撃ち落とす。
「さぁ~行きましょう~」
3人そろってアーチを通り抜けると、目の前には階下へと進むための階段があり安堵した。
ちなみに途中俺が頑張って鏡の壁を破壊しているのを見たサラが、自分もやりたいと言い出したので一度任せてみた。
サラの如意棒での攻撃は鏡の一点を貫いてひび割れしたものの俺達が通れるほどの範囲は破壊できなかった。威力が一点に集中しすぎていたわけだ。
その後で強化靴装備の蹴りでいくつか破壊していたがとても嬉しそうだった。
ストレスが溜まっていたのかな?
休憩もそこそこに、俺達は下層へと進む。
階段フロアを抜けるとかなり広い空間が広がっていた。目を凝らせば対岸に下層フロア行きの階段フロアが見えたりもするが問題はその途中だ。
「人族なら結構な試練になるのだろうけど~」
「だな。俺達にとってこれは平地と変わらんだろ。なぁ?」
足元には崖。対岸までは一本道があるのだが、その幅はおよそ20センチと言ったところか。
「ざわざわ……ざわざわ……」
「一本橋だからって~、その効果音を言いたくなるのはどうかと思うわよ~」
言いたくなるやん!
でもまぁ、これだけの幅があればまぁ人族であってもゆっくり進めば問題なく通過できるだろう。
「映画でこういうの見て、どうも苦手なのよ」
「落ちたら文句なく即死っ……!」
ちょっとざわざわする作品のナレーションぽく言ってみたが、 どうもサラの表情は険しい。
「獣人族の俺からすればこれだけ幅があれば十分走り抜けられるが、シェリーさんはどうだ?」
「私も~これだけあれば走り抜けられるわよ~」
「となると、人種特典は俺達だけか。エルフだとその辺の感覚は人族と変わらないのかな。でもまぁゆっくり行けば大丈夫だろ」
「もぅ……簡単に言うわね」
引けた腰がかなり苦手な事を物語っているが、それでもなんとか進もうという気持ちはあるようで一本道を睨んで集中している。
「下を見ないようにな」
「〇〇してはダメって思うと逆に意識しちゃうから~、こういう場合は前だけ見ていきましょう~って言うのよ~」
「よし! 行くわよ!」
集中して吹っ切れたのか、ようやくサラも進む気になったようなので出発した。
俺が先頭、間にサラ、後方にシェリーさんだ。
心配なサラを真ん中にして進む隊列は俺の英断が光る。
キラリ。
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