頭脳派脳筋の異世界転生

気まぐれ八咫烏

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転生者

第19話

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「その籠手、よかったら見せてくれないかしら~?」



 さすが発明家を自称するだけのことはある。まさか俺のライトウェポン一号に興味を示すとは見るべきところは見ているという事のようだ。



「どうしてこれを?」



 一応はただの防具にしか見えないはずだ。俺仕様にはなっているが、武具を自分仕様の見た目にするのは冒険者なら誰でもしている。なぜこれに興味をもてたのか?



「だってそれ、魔道具でしょ~?それに私の勘がそれに興味を示すのよ~」



 勘?



 まぁいいか。



 俺はライトウェポン1号の左手部分を外しシェリーさんに渡す。パイルバンカーを内蔵していない左腕を渡したのは念のためだ。

 彼女は興味深そうに観察したり触ったりしている姿は、完全に俺達と同類、研究者が知的好奇心を満たす研究対象を見つけた時の目になっていた。



そして一言。



「これ~、未完成品?」



「どうしてそう思うの?」



「だって~、これ何かを内蔵するのを前提に作られているのに内蔵されていないわ~。内蔵するが何かの理由で取り外した?いえ、違うわね~。内蔵する予定だけどまだ内蔵していないって感じかしら~。どうかしら、ちょっとお姉さんが完成させましょうか?」



「うん、それはありがたいけど残念ながら素材がないんだよね」

 パイルバンカーにする部分は特に硬い金属素材を使いたい。そのため右腕のパイルバンカーはこの前手に入れたのでミスリル合金を使ったが左用までは無かったのだ。ちなみにミスリルインゴットはサラと半分こしているので残りの半分はサラの装備で使っているだろう。



「内蔵するっていうところは予想通りだったわけね~。そしてこれがあなたの研究テーマかしら?じゃあその素材が手に入るまで空洞にしておくのは勿体ないわ~。ちょっとお姉さん閃いたからそれまでの間別のものを内蔵するわよ~」



 むむ、俺のライトウェポン1号の秘密をカマカケ?によって見抜いただと?

 しかももう改造を始めている!?収納庫インベントリから魔法陣の描かれた板を取り出してさっそく作業中とはなんて手際だ!

 勝手に変な能力を付けられても困る!それに百歩譲ってただ能力がプラスされるならまだいい。何も知らないものが勝手に弄って最悪、魔力筋による筋力増加機能というメイン機能が不能になるなんてオチだって考えられる。途中だが止めよう!



「やっぱりやめ…」

「できたわよ~」


「て…って、え?」

「はい、どうぞ~」

 といって俺に差し出してくるライトウェポン1号の左手部分は見た目何も変わっていない状態で俺の手元に返って来た。



 見た目は変わっていない。だがいつも装備している俺には分かる。明らかに重量に変化があった。重くなったのだ。と言っても右腕程じゃないのでそこまでの質量が追加されたわけじゃないらしい。



「予定通りの動かし方で射出してみて~」



 爆発オチじゃないよな?と恐る恐るではあるが人のいない方向に向け魔力を込めた。



 パシュッ!という音と共に射出されたそれは、俺の左手から繋がりをもった状態で数メートル離れた木に噛みついた。



「これは……」



「シザーアンカーの使い心地はどうかしら~?」



「カッコいいー!!」

 木に噛みついたシザーアンカーを引っ張るが、しっかりと食い込んでいる。かなり強引に引っ張ると、食い込んだ木の皮を噛み砕いて俺の手元に戻って来た。



「射出して衝撃があると先端部分のフックが閉まるよのよ~。射出する機能はもともとあったからそれを利用したの~。そして手元のここをこうすればフックの開閉、そしてここをこうすればワイヤーを収納できるわよ~」



 俺の左手に装備されたライトウェポン1号の使い方を、文字通り手取り教えてくれるのはありがたいのですが距離が近く俺の視線はその説明よりもあなたの首元から胸元をこの角度からだととてもありがとうございます!ごちそうさまです!



「すごいわね」

 純粋にその技術力に驚嘆するサラと、

「ああ、すごい」

 同じ感想を呟く俺。あ!違うよ?サラと同じ感想だよ!!



「射出する勢いは予想を遥かに上回っていたわね~。一度射出すると戻すのが手動なのがまだ課題ってところかしら~。それにワイヤーの長さも今はこれが精いっぱいだし、お姉さんとしては70点ね~」

 少し残念そうに言うが、はっきり言ってあなたすごいですよ。けしからんですよ!いろんな意味で!



「お礼をしようと思っていたのに、重ねてお礼を言う事になったわね」



「喜んでもらえて嬉しいわ~。どうかしら、このまま私も旅に同行させてもらってもいい~?」



「え?でもシェリーさんは発明の為人族の国をいろいろ回るんじゃ?」



「あなた達のほうが面白そうだからそんなのは後回しでいいのよ~。それとも、お姉さんが一緒だとダメかしら~?」

 サラはピクッとして何かを言おうとしていたようだが、俺としてはそんな上目遣いで見られながらこんなきれいなお姉さんに責められると、言う事は一つしかない。



「よろしくお願いしまーす!」





こうして俺達と同行する事となったシェリーさんを含め4人と2頭が海を目指しての旅が続くのであった。
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