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転生者
第12話
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街の入り口で人の出入りを眺める事7日。未だにサラは来ない。
ダンジョン入り口で別れるとき、10日後には街を出るって言っていた。そして今日が別れてから15日だ。何かあったのだろうか。
この世界、街から街への移動は街道沿いに行けば一定距離に置いてある魔よけの陣のおかげで魔獣に襲われることは少ない。
それでも日本の鉄道のように時間ピッタリに移動できることは無い。そこは異世界だもの、天候や街道の状況、それに魔獣や野盗、それに野宿する場所なんかの関係で数日ずれることだってある。それでももう7日だ。
「ゲンスイ、彼女はまだかー?」
俺に声を掛けて来たのは街の出入り口で見張りをする兵士の一人、モローだ。
「ああ、まだみたいだ」
「夢見るお年頃なのは分かるがそろそろ現実を見ろよ」
振られたとでも思っているのか?馬鹿いうなよ。俺とサラの間には絶大な力、そう世界の力が働いているのだよ。
運命の糸という力がな!!
「きっと今日には来るはずさ。お前も変な事言ってないで仕事しろ」
モローは一つため息をつくと真面目な顔をした。
「俺はお前が憎くて言ってるんじゃないぞ?むしろお前の為を思って言ってるんだ。そりゃダンジョンで助けたエルフがお前に惚れたって話は眉唾だと思ったけどな。でもこう毎日ここでお前の姿を見ていたらそうなんじゃないかって思えてもきたさ」
「お前、眉唾とか思っていたのか。俺が嘘つくわけないだろ。理由が無い」
「見栄張りたいお年頃だしな。でもな、約束を7日も経過してるんだろ?そろそろ察しろよ」
「うるさい向こう行け!」
「つってもな、お前の方が俺の仕事場にいるんだぜ?」
まぁ、それについては認める。
今も見張り小屋の屋上の一番見晴らしのいい場所に座って遠くを見ている。普段は見張りの仕事をする兵士のポジションだ。
6日前も見張り当番だったモローと交渉してこの場所を手に入れたんだ。
「モロー、そのくらいにしといてやれ。友達なんだったら仕事終わりで飲みにでも連れて行ってやる方がいくらかそいつの為だろ」
もう一人の兵士、キューが見張り台の下からモローに声を掛けている。こいつも甚だ勘違いしている節があるが、何を考えているか俺には手に取るようにわかる。なぜならばこいつは彼女がいないからだ。男の嫉妬はみっともないぜ。
昼過ぎになって見張り台に上がってくる気配を感じた。
「ゲンスイ君、お腹すいてるんじゃない?差し入れだよ」
場違いな声に驚いて振り向くと、そこにいたのはシフォンちゃんだった。
「わざわざ持ってきてくれたのか……ありがとう」
どうやら俺がずっとここにいるのは結構噂になっていたらしい。そんな話を聞きつけたんだろう。でもだからと言って仕事を抜け出してまで俺に差し入れを持ってきてくれるなんて嬉しすぎる。
「最近全然店にも来ないしどうしてるのかと思ったらこんな所にいるんだもん。ちゃんと食べないと大きくなれないぞっ」
ウインクをしながら弁当箱を差し出してくれる姿は相変わらず可愛かった。
「うん、ありがとう!」
シフォンちゃんからもらった元気で俺はまたサラを待つことができる!!
「おい、嘘だろ?あのゲンスイがシフォンちゃんをナンパもしなければお尻も触ろうとしないなんて」
聞こえてるぞモロー。全く、俺をなんだと思っていやがるんだ失礼なヤツ。
「それで?彼女ってどういう人なの?」
いつの間にか俺の横に来て肩を並べて座り込んだシフォンちゃん。
座る仕草すら可愛いなんてすごいな。でもサラの事を知りたいのか、だったら教えてあげなきゃな。
「サラって名前のエルフなんだ。すっごい可愛いんだ!ダンジョンでストーンゴーレムの大群に囲まれていたところを颯爽と俺が助けたわけよ!すっごい可愛いんだ!そりゃシフォンちゃんも可愛いけど、ちょっと種類が違うっていうか。ダンジョンでいろいろあって俺が気絶した時なんて膝枕してくれてさー!天国ってのはこういう事なんだって実感したよ」
「そっかぁ、それで?」
シフォンちゃんは優しく続きを促してくれる。こういうさり気ない優しが心地いい。
「おい、デリカシーないぞ!」
「バカ、ゲンスイにそんな機能最初からついてないだろ」
俺達の後ろでキューとモロがなんか言ってるが俺の耳には入らない。
「シフォンちゃんを見た時の可愛さはビビッ!って感じだったけど、サラの時はさビビビッ!のあとにさらにドガーンッ!って衝撃だったんだ。それに匂いだってめっちゃいい匂いでシフォンちゃんも雄を求めてる匂いがあるけどサラは安心できる匂い?って感じでさ」
「うわぁ~。匂いとか言い出したぞ…。俺達が飯代を余分に払ってまでシフォンちゃんを呼んだのになんてこと言いやがる」
「キュー、最初から無理だったんだ。だから俺は言ったろ? 無駄だって」
キューとモロの声は俺の耳には入らない。
「そ……そっか。じゃあ無理しないようにね。あたしそろそろ仕事に戻らなきゃ」
「あれ?あそっか、仕事中だもんね。差し入れありがとう」
「どういたしまして。じゃあね」
見張り台を降りたシフォンちゃんとモロが何か話しているが俺の耳には入らなかったしシフォンちゃんが自分の身体に鼻を近づけてクンクンしている姿も俺の目には入らなかった。
ダンジョン入り口で別れるとき、10日後には街を出るって言っていた。そして今日が別れてから15日だ。何かあったのだろうか。
この世界、街から街への移動は街道沿いに行けば一定距離に置いてある魔よけの陣のおかげで魔獣に襲われることは少ない。
それでも日本の鉄道のように時間ピッタリに移動できることは無い。そこは異世界だもの、天候や街道の状況、それに魔獣や野盗、それに野宿する場所なんかの関係で数日ずれることだってある。それでももう7日だ。
「ゲンスイ、彼女はまだかー?」
俺に声を掛けて来たのは街の出入り口で見張りをする兵士の一人、モローだ。
「ああ、まだみたいだ」
「夢見るお年頃なのは分かるがそろそろ現実を見ろよ」
振られたとでも思っているのか?馬鹿いうなよ。俺とサラの間には絶大な力、そう世界の力が働いているのだよ。
運命の糸という力がな!!
「きっと今日には来るはずさ。お前も変な事言ってないで仕事しろ」
モローは一つため息をつくと真面目な顔をした。
「俺はお前が憎くて言ってるんじゃないぞ?むしろお前の為を思って言ってるんだ。そりゃダンジョンで助けたエルフがお前に惚れたって話は眉唾だと思ったけどな。でもこう毎日ここでお前の姿を見ていたらそうなんじゃないかって思えてもきたさ」
「お前、眉唾とか思っていたのか。俺が嘘つくわけないだろ。理由が無い」
「見栄張りたいお年頃だしな。でもな、約束を7日も経過してるんだろ?そろそろ察しろよ」
「うるさい向こう行け!」
「つってもな、お前の方が俺の仕事場にいるんだぜ?」
まぁ、それについては認める。
今も見張り小屋の屋上の一番見晴らしのいい場所に座って遠くを見ている。普段は見張りの仕事をする兵士のポジションだ。
6日前も見張り当番だったモローと交渉してこの場所を手に入れたんだ。
「モロー、そのくらいにしといてやれ。友達なんだったら仕事終わりで飲みにでも連れて行ってやる方がいくらかそいつの為だろ」
もう一人の兵士、キューが見張り台の下からモローに声を掛けている。こいつも甚だ勘違いしている節があるが、何を考えているか俺には手に取るようにわかる。なぜならばこいつは彼女がいないからだ。男の嫉妬はみっともないぜ。
昼過ぎになって見張り台に上がってくる気配を感じた。
「ゲンスイ君、お腹すいてるんじゃない?差し入れだよ」
場違いな声に驚いて振り向くと、そこにいたのはシフォンちゃんだった。
「わざわざ持ってきてくれたのか……ありがとう」
どうやら俺がずっとここにいるのは結構噂になっていたらしい。そんな話を聞きつけたんだろう。でもだからと言って仕事を抜け出してまで俺に差し入れを持ってきてくれるなんて嬉しすぎる。
「最近全然店にも来ないしどうしてるのかと思ったらこんな所にいるんだもん。ちゃんと食べないと大きくなれないぞっ」
ウインクをしながら弁当箱を差し出してくれる姿は相変わらず可愛かった。
「うん、ありがとう!」
シフォンちゃんからもらった元気で俺はまたサラを待つことができる!!
「おい、嘘だろ?あのゲンスイがシフォンちゃんをナンパもしなければお尻も触ろうとしないなんて」
聞こえてるぞモロー。全く、俺をなんだと思っていやがるんだ失礼なヤツ。
「それで?彼女ってどういう人なの?」
いつの間にか俺の横に来て肩を並べて座り込んだシフォンちゃん。
座る仕草すら可愛いなんてすごいな。でもサラの事を知りたいのか、だったら教えてあげなきゃな。
「サラって名前のエルフなんだ。すっごい可愛いんだ!ダンジョンでストーンゴーレムの大群に囲まれていたところを颯爽と俺が助けたわけよ!すっごい可愛いんだ!そりゃシフォンちゃんも可愛いけど、ちょっと種類が違うっていうか。ダンジョンでいろいろあって俺が気絶した時なんて膝枕してくれてさー!天国ってのはこういう事なんだって実感したよ」
「そっかぁ、それで?」
シフォンちゃんは優しく続きを促してくれる。こういうさり気ない優しが心地いい。
「おい、デリカシーないぞ!」
「バカ、ゲンスイにそんな機能最初からついてないだろ」
俺達の後ろでキューとモロがなんか言ってるが俺の耳には入らない。
「シフォンちゃんを見た時の可愛さはビビッ!って感じだったけど、サラの時はさビビビッ!のあとにさらにドガーンッ!って衝撃だったんだ。それに匂いだってめっちゃいい匂いでシフォンちゃんも雄を求めてる匂いがあるけどサラは安心できる匂い?って感じでさ」
「うわぁ~。匂いとか言い出したぞ…。俺達が飯代を余分に払ってまでシフォンちゃんを呼んだのになんてこと言いやがる」
「キュー、最初から無理だったんだ。だから俺は言ったろ? 無駄だって」
キューとモロの声は俺の耳には入らない。
「そ……そっか。じゃあ無理しないようにね。あたしそろそろ仕事に戻らなきゃ」
「あれ?あそっか、仕事中だもんね。差し入れありがとう」
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