頭脳派脳筋の異世界転生

気まぐれ八咫烏

文字の大きさ
15 / 72
転生者

第12話

しおりを挟む
 街の入り口で人の出入りを眺める事7日。未だにサラは来ない。

 ダンジョン入り口で別れるとき、10日後には街を出るって言っていた。そして今日が別れてから15日だ。何かあったのだろうか。

 この世界、街から街への移動は街道沿いに行けば一定距離に置いてある魔よけの陣のおかげで魔獣に襲われることは少ない。
 それでも日本の鉄道のように時間ピッタリに移動できることは無い。そこは異世界だもの、天候や街道の状況、それに魔獣や野盗、それに野宿する場所なんかの関係で数日ずれることだってある。それでももう7日だ。



「ゲンスイ、彼女はまだかー?」



 俺に声を掛けて来たのは街の出入り口で見張りをする兵士の一人、モローだ。



「ああ、まだみたいだ」



「夢見るお年頃なのは分かるがそろそろ現実を見ろよ」



 振られたとでも思っているのか?馬鹿いうなよ。俺とサラの間には絶大な力、そう世界の力が働いているのだよ。


 運命の糸という力がな!!



「きっと今日には来るはずさ。お前も変な事言ってないで仕事しろ」



 モローは一つため息をつくと真面目な顔をした。



「俺はお前が憎くて言ってるんじゃないぞ?むしろお前の為を思って言ってるんだ。そりゃダンジョンで助けたエルフがお前に惚れたって話は眉唾だと思ったけどな。でもこう毎日ここでお前の姿を見ていたらそうなんじゃないかって思えてもきたさ」



「お前、眉唾とか思っていたのか。俺が嘘つくわけないだろ。理由が無い」



「見栄張りたいお年頃だしな。でもな、約束を7日も経過してるんだろ?そろそろ察しろよ」



「うるさい向こう行け!」



「つってもな、お前の方が俺の仕事場にいるんだぜ?」



 まぁ、それについては認める。


 今も見張り小屋の屋上の一番見晴らしのいい場所に座って遠くを見ている。普段は見張りの仕事をする兵士のポジションだ。

 6日前も見張り当番だったモローと交渉してこの場所を手に入れたんだ。



「モロー、そのくらいにしといてやれ。友達なんだったら仕事終わりで飲みにでも連れて行ってやる方がいくらかそいつの為だろ」



 もう一人の兵士、キューが見張り台の下からモローに声を掛けている。こいつも甚だ勘違いしている節があるが、何を考えているか俺には手に取るようにわかる。なぜならばこいつは彼女がいないからだ。男の嫉妬はみっともないぜ。



 昼過ぎになって見張り台に上がってくる気配を感じた。

「ゲンスイ君、お腹すいてるんじゃない?差し入れだよ」



 場違いな声に驚いて振り向くと、そこにいたのはシフォンちゃんだった。



「わざわざ持ってきてくれたのか……ありがとう」



 どうやら俺がずっとここにいるのは結構噂になっていたらしい。そんな話を聞きつけたんだろう。でもだからと言って仕事を抜け出してまで俺に差し入れを持ってきてくれるなんて嬉しすぎる。



「最近全然店にも来ないしどうしてるのかと思ったらこんな所にいるんだもん。ちゃんと食べないと大きくなれないぞっ」



 ウインクをしながら弁当箱を差し出してくれる姿は相変わらず可愛かった。



「うん、ありがとう!」



 シフォンちゃんからもらった元気で俺はまたサラを待つことができる!!





「おい、嘘だろ?あのゲンスイがシフォンちゃんをナンパもしなければお尻も触ろうとしないなんて」

 聞こえてるぞモロー。全く、俺をなんだと思っていやがるんだ失礼なヤツ。



「それで?彼女ってどういう人なの?」

 いつの間にか俺の横に来て肩を並べて座り込んだシフォンちゃん。

 座る仕草すら可愛いなんてすごいな。でもサラの事を知りたいのか、だったら教えてあげなきゃな。



「サラって名前のエルフなんだ。すっごい可愛いんだ!ダンジョンでストーンゴーレムの大群に囲まれていたところを颯爽と俺が助けたわけよ!すっごい可愛いんだ!そりゃシフォンちゃんも可愛いけど、ちょっと種類が違うっていうか。ダンジョンでいろいろあって俺が気絶した時なんて膝枕してくれてさー!天国ってのはこういう事なんだって実感したよ」



「そっかぁ、それで?」

 シフォンちゃんは優しく続きを促してくれる。こういうさり気ない優しが心地いい。



「おい、デリカシーないぞ!」

「バカ、ゲンスイにそんな機能最初からついてないだろ」

 俺達の後ろでキューとモロがなんか言ってるが俺の耳には入らない。



「シフォンちゃんを見た時の可愛さはビビッ!って感じだったけど、サラの時はさビビビッ!のあとにさらにドガーンッ!って衝撃だったんだ。それに匂いだってめっちゃいい匂いでシフォンちゃんも雄を求めてる匂いがあるけどサラは安心できる匂い?って感じでさ」



「うわぁ~。匂いとか言い出したぞ…。俺達が飯代を余分に払ってまでシフォンちゃんを呼んだのになんてこと言いやがる」

「キュー、最初から無理だったんだ。だから俺は言ったろ? 無駄だって」

 キューとモロの声は俺の耳には入らない。



「そ……そっか。じゃあ無理しないようにね。あたしそろそろ仕事に戻らなきゃ」



「あれ?あそっか、仕事中だもんね。差し入れありがとう」



「どういたしまして。じゃあね」

 見張り台を降りたシフォンちゃんとモロが何か話しているが俺の耳には入らなかったしシフォンちゃんが自分の身体に鼻を近づけてクンクンしている姿も俺の目には入らなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...