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第1章
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「アレーレ様……大丈夫でしょうか。お身体の調子でも悪いのでは…?」
心配そうしているマロンを見ながら頭を左右に振ると笑顔で、大丈夫よ、と答えた。
あまりこの子が心配する顔を見たくはない、出来れば可愛い笑顔が見たい。
「それにしてもあの貴族たちの娘の集まりって一体何て言うのかしら……」
私がそう呟くとマロンが口を開いてこう答えた。
「アレーレ様、あれは『サロン』と申します。貴族の貴婦人が集まってお話をする会の事でござます」
ああ、あれが……お茶会っていうサロンってやつなのかぁ……。
サロンって言えばヘアサロンとか、ビューティサロンの事を思い出しちゃう私って相当現代っ子だわね。
クスクスと思い出し笑いをしていた私をマロンが不思議そうに見つめていた。
ゴホン、私は咳ばらいを一つして襟を正して話をする。
「知ってたわ、それくらい。でもサロンって名前が気に入らないわね……。そうだわ、これからこのお茶会の事を『女子会』と名付けましょう。皆様にそうお伝えするのよ、良いマロン」
「はい、畏まりましたアレーレ様」
ふ~、何とか威厳を保てたわね。
それにしてもなんだか面倒くさい世界だ。
もっとこうなんというか……面白いことが起きないのもかしらね~。
暇を持て余している私がそんなことを考えているとマロンはいいところがあるといい連れて行って貰うことにした。
マロンが案内した場所は屋敷の表にある色鮮やかに花を咲かせている花壇だった。
どの花も手入れが施されていてとても綺麗な花びらを咲かせている。
花についての知識は前世でも全くないので目の前に艶やかに咲く花の名前を私は知らない。
「花は綺麗よねぇ~。見ているだけでなんだか心が落ち着くわ」
「アレーレ様、以前ですと『花なんて見てても詰まらないわ。誰か余興をしなさい』と無茶振りの毎日でしたが……変わられました。とても素敵な女性になられてマロンは嬉しゅうございます」
そうじゃないのよ、私実は違う世界から転生してきたのってこの純粋無垢なこの子に転生の事を伝えてよかったのか、彼女に言ったばかりに何かまずいことに巻き込んではいないだろうか。
そんなことを考えながら花を見つめていた。
「あ、あら、そうなの……とんだ鬼畜よね、私って」
「いえ。それが以前のアレーレ様ですから。私マロンは今のアレーレ様の方がとっても好きです」
「有難うマロン…貴女って人は」
ぎゅーっと傍に居るマロンを抱きしめた。
ふんわり石鹸水のような香りがマロンの身体から香るのが分かる。
なんだかずっとこうして居たい気分。
だけどこんなところ誰かに見られたらヤバいわ。
アレーレって人はかなりの悪役令嬢なのよね。
私もちょっとは悪役っぽくしなきゃ。
「マロン。このお花たちを見ていたら急に紅茶が飲みたくなってきたわ。直ぐに用意して」
「はい、アレーレ様」
マロンはそう言うといそいそと小走りでどこ変え消えてしまった。
直ぐに来るだろうと思い私は近くにあった白い椅子に腰かけた。
心地の良い風と真っ青な空を眺めながらぼーっとしていると大きな黒い影が私の頭上を通過した。
「何かしら、アレ」
私は大きく旋回する黒い物体を見つめながら呟くといきなり雲が消え強風が吹き荒れた。
体が地面から浮いてしまうくらいの強風に煽られたかと思うと突然パタッと風が止んだ。
「何かしら、一体……」
「アレーレ嬢。ご機嫌麗しゅう。美しいお顔を拝見出来、私はとても幸せ者でございます」
突然私の目の前に現れた貴族風の洋服を纏った一人の男性が深々と頭を下げているのが目に入った。
男性は顔を上げてニコリと私に微笑むとつかつかと私の近くまで来て突然片足を地面につけて跪いた。
髪色は銀髪で長髪、二重瞼に赤い眸、鼻筋はすっとしていて一目でイケメンだということが分かる顔立ち。
一体この人は何者なの?
そう思いながら跪く男性の頭上を見下ろしていると男性が顔を上げて更ににっこりと笑みを浮かべた。
何々、このイケメン男子って私の何なのっ!!
心配そうしているマロンを見ながら頭を左右に振ると笑顔で、大丈夫よ、と答えた。
あまりこの子が心配する顔を見たくはない、出来れば可愛い笑顔が見たい。
「それにしてもあの貴族たちの娘の集まりって一体何て言うのかしら……」
私がそう呟くとマロンが口を開いてこう答えた。
「アレーレ様、あれは『サロン』と申します。貴族の貴婦人が集まってお話をする会の事でござます」
ああ、あれが……お茶会っていうサロンってやつなのかぁ……。
サロンって言えばヘアサロンとか、ビューティサロンの事を思い出しちゃう私って相当現代っ子だわね。
クスクスと思い出し笑いをしていた私をマロンが不思議そうに見つめていた。
ゴホン、私は咳ばらいを一つして襟を正して話をする。
「知ってたわ、それくらい。でもサロンって名前が気に入らないわね……。そうだわ、これからこのお茶会の事を『女子会』と名付けましょう。皆様にそうお伝えするのよ、良いマロン」
「はい、畏まりましたアレーレ様」
ふ~、何とか威厳を保てたわね。
それにしてもなんだか面倒くさい世界だ。
もっとこうなんというか……面白いことが起きないのもかしらね~。
暇を持て余している私がそんなことを考えているとマロンはいいところがあるといい連れて行って貰うことにした。
マロンが案内した場所は屋敷の表にある色鮮やかに花を咲かせている花壇だった。
どの花も手入れが施されていてとても綺麗な花びらを咲かせている。
花についての知識は前世でも全くないので目の前に艶やかに咲く花の名前を私は知らない。
「花は綺麗よねぇ~。見ているだけでなんだか心が落ち着くわ」
「アレーレ様、以前ですと『花なんて見てても詰まらないわ。誰か余興をしなさい』と無茶振りの毎日でしたが……変わられました。とても素敵な女性になられてマロンは嬉しゅうございます」
そうじゃないのよ、私実は違う世界から転生してきたのってこの純粋無垢なこの子に転生の事を伝えてよかったのか、彼女に言ったばかりに何かまずいことに巻き込んではいないだろうか。
そんなことを考えながら花を見つめていた。
「あ、あら、そうなの……とんだ鬼畜よね、私って」
「いえ。それが以前のアレーレ様ですから。私マロンは今のアレーレ様の方がとっても好きです」
「有難うマロン…貴女って人は」
ぎゅーっと傍に居るマロンを抱きしめた。
ふんわり石鹸水のような香りがマロンの身体から香るのが分かる。
なんだかずっとこうして居たい気分。
だけどこんなところ誰かに見られたらヤバいわ。
アレーレって人はかなりの悪役令嬢なのよね。
私もちょっとは悪役っぽくしなきゃ。
「マロン。このお花たちを見ていたら急に紅茶が飲みたくなってきたわ。直ぐに用意して」
「はい、アレーレ様」
マロンはそう言うといそいそと小走りでどこ変え消えてしまった。
直ぐに来るだろうと思い私は近くにあった白い椅子に腰かけた。
心地の良い風と真っ青な空を眺めながらぼーっとしていると大きな黒い影が私の頭上を通過した。
「何かしら、アレ」
私は大きく旋回する黒い物体を見つめながら呟くといきなり雲が消え強風が吹き荒れた。
体が地面から浮いてしまうくらいの強風に煽られたかと思うと突然パタッと風が止んだ。
「何かしら、一体……」
「アレーレ嬢。ご機嫌麗しゅう。美しいお顔を拝見出来、私はとても幸せ者でございます」
突然私の目の前に現れた貴族風の洋服を纏った一人の男性が深々と頭を下げているのが目に入った。
男性は顔を上げてニコリと私に微笑むとつかつかと私の近くまで来て突然片足を地面につけて跪いた。
髪色は銀髪で長髪、二重瞼に赤い眸、鼻筋はすっとしていて一目でイケメンだということが分かる顔立ち。
一体この人は何者なの?
そう思いながら跪く男性の頭上を見下ろしていると男性が顔を上げて更ににっこりと笑みを浮かべた。
何々、このイケメン男子って私の何なのっ!!
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