祝福の居場所

もつる

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 雨が勢いを増す。
 マーシャとジェラ枯れた木々の間を走り続けていた。
 どこへ逃げようというのか、二人にもわからない。ただヴァンダルを振り切り、あわよくばアリテームたちと再会できれば。
 そう思っていた。
 マーシャは冷静さを保とうと努めていたが、半ば混乱しているのが自覚できる。おそらくジェラも同じだろう。
 ふと、脳裏に幼い頃の記憶が蘇ってきた。

 ――あの時も雨が降っていた。

 その時、目の前に川が現れ、足を止めることを強いられた。
 雨で水量と勢いが増している。渡るのは危険だ。橋も見えない。
 もはやアノットがヴァンダルを倒していることを祈るしかないのか。
 そう思った矢先だった。

「お兄ちゃん……マズい……!」

 ジェラも振り返る。
 枯れ木の森の中から、ヴァンダルが歩いてくる。
 ジェラが剣を抜き、マーシャを背に隠した。
 マーシャも剣の柄に手をかけている。
 ヴァンダルは歯を食いしばり、唸りながら額に手を当てた。
 息を荒くし、額の手を横に薙ぐ。
 そこに立っていた木が粉砕された。
 木片がこちらにも飛んできて、ジェラが盾でそれを防ぐ。

「足を狙うんだ!」
「わかった!」

 兄妹は左右に散った。
 ジェラがヴァンダルの右側から斬りかかる。
 ヴァンダルは斬撃を払い除けた。
 マーシャはその隙に左側から回り込み、膝裏に切っ先を突き出す。
 しかし、ヴァンダルはコートの裾を使って刺突を封じた。
 裾で剣身を絡め取り、マーシャごと投げ飛ばす。
 彼女は背を木の幹に強く打った。
 ジェラが叫ぶ。

「マーシャ!」

 彼女はうつ伏せに倒れて鈍痛に呻いた。

  ◇

 ジェラはヴァンダルへと剣を向ける。
 ヴァンダルがこちらに振り向き、腕を薙いだ。
 寸でのところで回避し、懐に飛び込む。
 好機だ。ジェラはヴァンダルの大腿に剣を突き立てた。
 思ったほど深くは刺せなかったが、ダメージは入ったはずだ。
 ヴァンダルは雄叫びを上げてジェラの首根っこを掴む。
 ジェラは相手の肘を突こうとしたが、その前に投げられた。
 なんとか空中で姿勢を整え、両手足をついて着地する。
 が、そこにヴァンダルの蹴りが入った。
 固い爪先が腹にめり込み、ジェラは短い悲鳴を吐き出す。
 ヴァンダルはさらに蹴る。
 何度も胸や腹を蹴られ、ジェラは意識が飛びそうになった。そこでヴァンダルは靴底で肩口を押す。
 ジェラは仰向けに転がり息を大きく吸った。

「もう……やめて!」マーシャが立ち上がる。「これ以上お兄ちゃんに手出ししないで!」

 マーシャは斬撃を繰り出すが、ヴァンダルは彼女の手首を掴んで地面に叩きつけた。
 そしてまたジェラに向けて大きく拳を振りかぶる。
 とっさにジェラは左腕の盾をかざした。
 だが、盾はあまりにもあっけなく砕かれた。破片が飛び散り、拳がジェラの腕の骨をへし折る。
 激痛と共に絶望が襲い、ジェラは自分を呪った。自分の弱さ、愚かさ、無力さを。

「お兄ちゃん!」

 マーシャの叫び声すら遠く感じる。
 ぬかるみに寝転がり、いびつに曲がった腕を押さえて、ジェラは悶えた。
 ヴァンダルはマーシャに向き直り、喉輪で吊り上げる。
 マーシャの苦しげな声がして、ジェラは恐怖した。最悪の想像がよぎる。
 剣を掴み立とうとすると、左前腕に酷い痛みが走り、思わず叫んだ。
 だがジェラは剣先をヴァンダルに向ける。

「まだだ……! オマエの相手はぼくだ……!」

 ヴァンダルは憤怒の視線をジェラに向けた。
 一方でマーシャは涙を流しながら、目で兄を制止する。
 ジェラも涙を流していた。殺されるのはわかっていた。死ぬのが恐かった。だが妹が殺されるよりずっとましだ。
 ヴァンダルはマーシャを放した。彼女は喉を押さえて咳き込む。

「そうだ……」ジェラはか細い声で言う。「腹いせにぼくを殺せ……」

 その言葉に、マーシャは叫び声を轟かせた。

「やめてェ!」

 だがその時、アノットが駆けつけた。
 ヴァンダルに飛び蹴りを喰らわせ、河原まで吹き飛ばす。
 相手が体勢を立て直すより先に、ヴァンダルの後頭部を掴み水中に沈めた。
 背中にのしかかり片方の腕を極める。
 必死にヴァンダルは抵抗するが、アノットも死にものぐるいで抑え込む。
 ほどなくしてヴァンダルの動きは鈍り、間もなく動かなくなった。
 アノットはヴァンダルの顔を水から引き上げ、気絶を確かめると地面に放り投げた。

  ◇

 マーシャはジェラに駆け寄った。

「お兄ちゃん!」
「ぼくはいい……」
「よくないよ! だって腕の骨が……!」

 するとアノットが振り返って、こちらに来た。

「お診せなさい」

 彼女はそっとジェラの袖をまくり上げ、軽く触る。
 それから、シースナイフを取り出してマーシャに言う。

「そこのベルトを取って。これを副木代わりにするから」

 マーシャは一瞬うろたえて、彼女の言うとおりにした。砕かれた盾のベルトストラップを回収し、アノットに手渡す。
 アノットはナイフとベルトを持つとジェラに言った。

「ちょっと歯を食いしばっていなさい」

 そして骨の位置を整え、副木となるナイフを当てた。
 応急処置を終えて、アノットは刀の鞘に巻きつけた紐を解く。刀をマーシャに預け、紐を持って河原に寝転がっているヴァンダルを見た。
 マーシャは嫌な予感がした。

「あの、まさか……」
「安心なさい。気絶しているだけよ」
「え、じゃあその紐は――」

 アノットはヴァンダルに近づくと、両脇に紐をくぐらせてから自分の腰に巻きつける。ヴァンダルを引きずる格好になった。
 その状態で戻ってきて、ジェラを抱きかかえる。

「近くに私の隠れ家がある。そこなら充分な治療を施せるわ」

 そう言ってアノットは歩き出す。
 マーシャはにわかに困惑しながらも、彼女について行った。

  ◇

 ロフトフの塔――。

 キャリー・プレイトとアリテームは心身共に消耗していた。
 アノットが兄妹を連れて逃げた後、標的を見失った怪物兵器は癇癪を起こして暴走し、味方であるはずの兵士たちに攻撃を加えて更に犠牲者を増やしたのだ。しかしこういう事態は想定内らしく、怪物兵器たちは体内の爆弾で自爆、一体残らず殺処分された。
 どうにか脅威を取り払った塔の者たちは、復旧作業にとりかかる。
 そこに、ヒュシャンが現れる。彼女は外傷こそ見当たらないものの、だいぶ堪えている様子だ。
 キャリー・プレイトは言った。

「ミス・ヒュシャン、無事でしたか」
「危ないところでしたがね」
「いったいあの女は何者なんです? あの怪物といい、いったい何が――」
「あなたが知る必要はありません」
「どうして!? 私はあなたがたの言われたとおりにした。納得のいく説明が欲しいのは当然でしょう?」
「これは私たちの問題です。もうお引き取りなさい」
「いいえ、結果として私はあの兄妹を危険に晒した。私にだって責任があるし、あの子たちにも知る権利がある」

 と言うと、ヒュシャンが睨みつけてきた。

「そんなものはありません」

 続けてひとつの箱を突き出す。ライフルの弾が入った箱だ。

「身の程をわきまえなさい。これを受け取って、しばらくは大人しくしているのです。いいですね?」

 キャリー・プレイトは彼女の態度に、これ以上の問答は無駄だと判断した。
 黙って弾薬を受け取り、振り返る。

「アリテーム、行くぞ……」
「あ……はい……」

 彼女は弟子と共に、ロフトフの塔を去る。
 塔の周囲には、今もなお煙の柱がいくつも伸び、数多の肉塊が壁や地面に飛び散っていた。

  ◇

「瘴気が出てきた……」

 マーシャは周囲を見回して言った。
 アノットが返す。

「けれど平気なのでしょう? あなたも、このコも。私やコイツのように……」
「……どうしてそれを?」
「あなたたちのお知り合いが話しているのが聞こえたの」

 と言われて、マーシャはキャリー・プレイトとアリテームを思い浮かべた。

 二人とも無事だといいけれど……。

 考えていると、アノットが言った。

「着いたわ」

 そこには、灰色の建物があった。継ぎ目のない真っ平らな石造りの壁に、素っ気ない金属製の扉と鉄格子の窓がいくつか。経年の具合や様式を見るに、これも古代文明の遺跡なのだろう。アノットは扉を開け、マーシャを中に入れた。
 中は外観からは想像もつかないほど清潔で、綺麗に整頓してあった。そしてロフトフの塔の診察室にも似た医療機器や道具が整然と並んでいる。
 アノットは診察台にジェラを寝かしてから帽子やコート、手袋を脱ぎ、手と顔を洗う。そして濡れた体を拭きながら一部の機械を動かした。
 彼女は明るい灰色の、金属でできた板のような物を持つ。大きさは手帳とほぼ同じだ。

「それは?」マーシャが訊く。
「ポータブルレントゲン……と古代文明では呼ばれていた機械よ。これでどんなふうに骨が折れてるか見透かせる」

 アノットはその機械をジェラの左腕にかざした。
 すると機械の表面にはめ込まれたガラス状の部位に、ジェラの骨が透けて見える。
 マーシャは思わず声を上げた。

「すごい……!」
「私たちの文明ではまだ寝台並のサイズだものね」

 彼女は続けた。

「骨はきれいに折れてる。破片無し。神経も無事そうね」
「……よかった……」

 胸をなでおろすマーシャに、アノットは言う。

「その奥にお風呂があるから、先にお入りなさい。体が冷えているでしょう」
「え、でも……」
「古代文明の様式だけど、使い方はたいして変わらないわ。上がるまでに服を用意しておくわね。母の遺品だけど、サイズは合うと思うから」
「いえそうじゃなくて……」
「彼の治療は私に任せて。それが終わって一息ついたらいろいろと質疑応答しましょう」
「はあ……」

 マーシャはアノットの言うとおりに、風呂場へ向かおうとする。
 が、その前に今一度振り返った。

「アノットさん……でしたよね?」
「ええ。ミス・マーシャ」
「……ありがとうございます」

 アノットは振り返り、微笑んだ。やさしい笑みだった。


 風呂場は古びているが掃除が行き届き、清潔さを保っていた。マーシャは血と泥で汚れた服を脱ぐ前に、グリモアを手に取る。手帳は雨に濡れてふやけてしまっていて、こうなっては乾くまでメッセージのやりとりすらできない。だが、期待しないでページを開いてみるとアリテームからメッセージが来ていた。時刻を見るに、ヴァンダルと争っている真っ最中に。全文は読むことができなかったが、とりあえず彼とキャリー・プレイトは無事のようだ。
 不安要素がひとつ消えた。マーシャはそう思って、はだかになった。
 温かい湯を浴びていると、いまさら全身が痛くなった。緊張が解けてきたからだろう。
 だが骨は一本も折れていない。兄に比べれば大した傷ではない。
 風呂を出て全身を拭き、用意されていた着替えに袖を通す。長い間大事にしまっていたにおいがして、言っていたとおりサイズはちょうどよかった。


 アノットとジェラのところへ戻ると、彼女は診察台にヴァンダルを乗せていた。

「お兄さんの処置は終わったわ」
「……なんてお礼を言ったらいいか……」
「結構よ。私が勝手にあなたたちを連れてきたんだから」

 マーシャは彼女の近くに行き、ヴァンダルの顔を覗き込む。
 もはや恐ろしい形相は影もない。穏やかな寝顔だった。

「この人も治せるんですか?」
「……もとの人間に、という意味では治せないけど、自我を取り戻すことはできるわ」

 アノットはそう言って、薬の小瓶を見せる。

「ヴァンダルが暴走したのは、脳内物質の分泌異常が原因……私はそう考えている。自然に怪物化したヒトとは違って脳自体に不可逆的な変異はほぼ無いから、薬で眠らせることによって外部からの刺激を遮断して、分泌を正常に戻すの。……月単位の時間はかかるけどね」

 それを聞いてマーシャはすこし安心した。
 すると、アノットは何かに気づいたようで、彼女の腕を持ち上げる。

「ちょっといいかしら? 血が滲んでるわ。背中のとこに」
「えっ?! あ、ほんとだ……」
「あなたも傷ついてたのね。服を上げて。治療するわ」
「お、おねがいします……」

 マーシャはアノットに背を向け、服をまくり上げた。
 アノットが一瞬眉をひそめるのが見えたが、彼女はすぐ治療にとりかかる。
 しばらく黙って身を委ねていたマーシャだったが、やがてこう言った。

「ごめんなさい、この服……お母さまの遺品だって……」
「気にしないで。私の母はこれくらいで気を悪くする人じゃなかったから」
「それでも……」
「……話題を変えるわよ?」
「あ、はい……」
「……この脇腹の傷……かなり古いものね。どうしたの?」
「……これはずっと昔……小さいころについた傷なんです。お兄ちゃんと近くの森に冒険に出かけて、そこであたし、足を滑らしちゃって……。すこしズレてたら死んでたって言われちゃいました」

 マーシャは苦笑いを浮かべる。

「……あの日も雨が降ってた……。天気雨だったな……」
「今日も生き延びたわね。……よし、終わったわ」
「ありがとうございます。何から何まで……」
「全員、一応の処置は終わったわね……。私もお風呂に入ってくるから、食料庫から適当になにか食べていてもかまわないわよ」

 そう言うとアノットは風呂場のほうに消えていった。
 マーシャは立ち上がり、ジェラを見る。彼はこちらに背を向け、肩を震わせていた。

「お兄ちゃん……?」マーシャは近づいた。

 顔を覗き込むと、ジェラは泣いていた。

「ごめん……マーシャ……ぼくのせいで……護らなきゃいけなかったのに……」
「……お兄ちゃんのせいじゃないよ」
「あの時だって……ぼくが無理に連れ出さなきゃ……」

 ジェラがマーシャの目を見る。

「ずっと……いつだってきみに迷惑ばっかりかけてきた……一生かけて償おうって誓ったのに……できなかった……」
「大げさに考えないで。お兄ちゃんがあたしを想ってくれてるのはわかってるから――」

 マーシャは兄の涙を拭う。

「兄妹なんだから、喧嘩したり、わがまま言い合うなんて当たり前だよ。お兄ちゃんだけが特別悪いわけじゃない」
「でも――」
「それにね、あの時……この傷がついた時、あたし見たんだ。……すごく綺麗な光景だった。雨が降ってるのに、青空が広がって……緑の大地と、青い海と……。天国みたいで、見とれてた……確信したんだ。お兄ちゃんはあたしにこれを見せたかったんだって。違う?」

 その問いに、ジェラは答えなかった。本当に違うというより、自責の念が強すぎて言えない様子だった。

「足を滑らせて死にかけたのはお兄ちゃんのせいじゃないし、あたしがドジだったっていうのもきっと否定するよね? だからあたし断言するよ? 悪いのは運だ、って」

 マーシャは兄の髪を撫でながら続ける。

「あたしはお兄ちゃんを恨んでなんかないよ。だからお兄ちゃんも自分を許したげて」
「マーシャ……。……ありがとう……」

 ジェラの顔に、やっと笑顔が浮かぶ。
 それを見て、マーシャは痛みが和らいだように感じた。
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