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欲望を暴くとき ※
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ヘンドリックは仕事を終え、公爵家へ帰ってきた。もう夜半過ぎだった。
アマリアが公爵家へやってきて、もうすぐ半年、婚約式を間近に控え、半年後には結婚式が行なわれる予定だ。
家門のお披露目を終えてからは、夜会にいくつも二人で参加して、大々的に婚約者であることはしらしめてきた。アマリアは公爵夫人教育を一切の妥協なくこなしている。しかし、彼女をその年齢と可憐な外見からあからさまに見下し、また未来の公爵夫人となる嫉妬から、夜会では嫌味を言われたこともあるようだ。家門の夫人らは常に傍につくよう気を配ってくれてはいたし、実際にそつなく回避できていた。それでもバルコニーで休憩をする一瞬、化粧室へ移動するその隙をついては、彼女に攻撃を繰り返した。社交界は、利権と名誉と、人々の欲望が複雑に絡み合う魑魅魍魎の世界だ。本来ならば、アマリアは公爵邸に隠し留めたいくらいだったが、それを許さないのが現実だ。そして、アマリアは私の伴侶となりたいからと控えめに微笑み、苦難を必死に乗り越えてきた。
アマリアを手に入れるために動いていた頃も、彼女のことを愛しいと、間違いなく自覚していた。
しかし、いざ婚約者として手に入れると、その想いなど、所詮大樹の葉の一枚程度にすぎなかった。そばにいればいるほど、愛しい、欲しい、完全に私だけのものしたいという欲望に満ちたものがどんどん溢れては、私の根幹を成すほどになっていた。
体を重ねてからは、更にその欲望は強まり、アマリアが気を失っても、その体を余すところなく暴きたいという欲求を抑えることができない夜もあった。
アマリアが健気にそれに応えてくれることが、更に私を増長させていく…と自嘲気味に思った。
上着を侍女に手渡すと、その足でアマリアの部屋に向かう。扉をノックすると、「はい」と心地よい声が返ってくる。
「私だよ、アマリア。今戻った」
ヘンドリックが扉越しに声をかけると、中からぱたぱたと足音がして、扉が開かれる。
そこには愛してやまない、美しいアマリアがいた。
今夜はその青い瞳を映したような空色のガウンを着ていた。
「おかえりなさいませ、ヘンドリック様。お戻りに気づかずにごめんなさい」
「いや、気にすることはない。遅くなった日はアマリアに戻りを伝えないように言ってあるから」
アマリアが顔をほころばせて、ヘンドリックの胸に抱きついてくる。少しずつ、こうして甘えてくる仕草にも遠慮がなくなって、それは喜ばしい変化だった。
抱きしめ返すと、アマリアの髪から花のような香りがした。
「もう寝るところだった?」
「はい、でもまだ本を読んでいたので…」
ヘンドリックはアマリアの背に手をあてて、部屋の中へ入った。アマリアが座っていたのであろうソファの前のテーブルには、積まれた数冊の本と開かれた本があった。
ソファに腰かけ、隣に座るアマリアの腰をそっと引き寄せる。そして、片手で開かれた本を取った。
「薬草の調合?もうそんなところまで学んでいるのかい?」
「はい、とてもおもしろいんです。でも、まだ簡単な傷薬ぐらいしか調合もできないんですけれど…」
アマリアは嬉しそうに、ヘンドリックの半身に身を預けて、顔を見上げた。ヘンドリックはその細い肩を引き寄せて唇と重ねた。そっと離れると、アマリアが小さな甘い吐息をもらした。その仕草がいつもヘンドリックの心を掻き立ててくる。
「アマリアは私を煽るのが上手になったね」
「えっ?」
とろんとした瞳で見つめているアマリアを軽く横抱きにして、大股で部屋を横切りベッドに腰を下ろす。
ヘンドリックの膝の上に乗せられたアマリアのわずかにはだけた胸元には、毎晩のように残される赤い痕がのぞいていた。
すっとそこへ手を忍ばせると、アマリアはふ…と声を漏らした。
ヘンドリックは遠慮なしにそのまま深く手を差し込み、柔らかな膨らみを握り込んだ。
「はぅっ…」
強い刺激にアマリアが声をあげて、顔をのけぞらせる。その隙を逃さず、ヘンドリックは荒々しく口づけ、アマリアの口腔を蹂躙した。
アマリアの腰を支えていた手で腰紐を解き、現れた白い下着のリボンも解いて、あっという間に素肌を暴いた。するりと引き抜かれた細い腕はそのままヘンドリックの背中に回り、きゅっと力が込められた。
ヘンドリックはアマリアの甘い舌を吸い上げ、唇を離すと、その白い喉元に滑らせていった。
「あっ…」
アマリアはヘンドリックに快感を余すところなく引き出されて少しの触れ合いでも甘い声を漏らすようになってきた。
白い喉をそらしているため、自然と胸も突き出すようになる。その隙を逃さず胸の頂きを口に含んだ。舌を絡め、その柔らかいものが少しずつ硬く立ち上がるのを堪能した。
「あっ…ふっ…」
ヘンドリックの腕を握りしめていた美しい指に少しずつ力が込められていく。それが感じ入っている証拠で加虐心をくすぐってくる。
自分の膝の上からアマリアをそっとベッドにおろし、アマリアの両腕を後ろにつかせ、ベッドに脚を大きく開かせたうえで膝を立たせた。
「ヘンドリック様…?」
アマリアは自分の秘所を曝した恥ずかしい姿に不安げな声を出した。ヘンドリックは無言のままベッドから立ち上がり、ヘッドすぐ横に膝をつくと、アマリアの両脚をつかんで、ぐっと引き寄せた。
「きゃあっ」
「アマリア、倒れないようにして。そのまま、私がアマリアに何をするのか見ておいで」
「……?…えっ…ゃ…あっ」
不敵な笑みを浮かべたヘンドリックがその眼前にさらされていた花弁に舌を這わせた。思わず、声の漏れたアマリアは突然の刺激に胸を大きくそらして喘いだ。
既に濡れ始めていた花弁も花芽も音を立てて何度も吸われ、舌を差し込まれ、その刺激が変わるたびにアマリアは後ろについた腕がぷるぷると震えた。
体全体が上下に何度もびくびくと跳ねては、倒れるのを必死にこらえていた。
溢れる蜜液とヘンドリックの唾液で卑猥な音はだんだんと大きくなっていく。アマリアはぎゅっと目をつぶり続けたまま、その快感に身を委ねていた。
ヘンドリックは口淫をやめ、体を離した。不思議に思ったアマリアが目を開けて、膝をついたままのヘンドリックを見下ろす。その瞳はとろんとして、物足りないと言っているように思えた。
「ヘンドリック様…?」
「アマリア、見ておくようにと言ったのに」
「っ…ごめんなさい…でも…」
「次はちゃんと見ておくんだよ」
「ふぅっ」
ヘンドリックが躊躇なく長い指を2本差し込んだ。アマリアはひときわ大きな声で鳴き、それでも言いつけ通りに目をつぶらずに、その指が自分の中で動き始めるのを見ていた。
「ほら、アマリアのなかはとても熱くて蕩けているから、こんなにすんなりと入ったよ」
ぐちゅぐちゅと音を立てて指が前後する。その形や動きがわかるようにもどかしいほどにゆっくりと出しては挿れる。しかし、決して奥までは挿れずに浅いところでくすぐるようにしていた。
「あっ…あっ…いやっ…」
「なにが、いやなんだい、アマリア」
「…っ」
アマリアの腰が焦らす指を引き入れるように動く。それに気づかないふりをして、アマリアの様子を眺めて、時折中の指を曲げては、アマリアの敏感な部分をかするように動かす。
「ふっ…ううん…ああっ…」
「アマリア、私の指を誘うように自分で動いているのを見て?」
「…おっしゃら…ないで…」
恥ずかしさに潤ませた瞳を、約束のためにそれでも懸命に閉じずにヘンドリックを見つめる。いやらしく動く自分も当然見えているだろう。ヘンドリックを求める自分の姿を。
「何も知らなかったのにいやらしくなったね、アマリア」
「…お嫌ですか…?」
不安そうに小さな声で尋ねるアマリアにヘンドリックは口の端を上げて否定した。
「私がそうなるように教えたのに、嫌なわけがないだろう?だからね、アマリア、もっと乱れてごらん」
「ひゃあぁっ」
ヘンドリックがぐっと奥まで指を挿すると、背中をそらして喘いだ。そして、再び、入口近くの敏感な箇所をさすっては離れ、アマリアの腰が淫猥に動くように誘い込んだ。
「…ヘンドリック様…意地悪なさらないで…」
「どうしてほしいか言ってごらん」
「そこに触れてください…もっと強く…もう…もう…達したいの…」
散々に焦らされて、溢れる蜜でシーツには大きなシミができていた。やっとの思いで口にした言葉にヘンドリックは満足気に微笑む。
「そう。アマリアの願いとあらば」
「ああっ‥‥まって…あぁっ」
いきなり始まった快楽だけを引き出すような愛撫にアマリアはそれを制止しようとするが、ヘンドリックの指は敏感なところだけを狙っては刺激を与え続ける。アマリアは強い刺激に小さく腰が浮き、声も我慢することができない。痴態を曝していることさえ、もう考えられないほどに、体の奥からこみ上げる痺れに体を支える両脚も震え、その絶頂が近いことを告げていた。
「あっ…ああ…だめ、もうっ…もう…」
「達してしまいなさい、アマリア」
「やぁっ…ああああっ」
がくがくと震えていた脚にぐっと力が入り、体を大きくのけぞらせてアマリアはその絶頂を迎えた。ゆっくりとそこから下りてくるように体の力が抜けて、横に倒れそうになるのを体を起こしたヘンドリックが素早く受け止める。まだ息を整えているアマリアを抱きしめその頬にキスを落とした。アマリアはヘンドリックの胸に顔を寄せ、自分を支えてくれている両腕にそっと手を添えた。
「私の手で淫らに酔うアマリアを見ることができるのは何よりの幸福だよ」
汗ばむ体か冷えないようにとアマリアの空色のガウンを拾って、肩にかけようとするとアマリアが不思議そうにヘンドリックを見上げた。
「どうしたの、アマリア」
「あの…ヘンドリック様は…されないのですか…?」
「ありがとう。でも、さすがに帰ってきたばかりで身を清めていないからね」
「でも…」
ヘンドリックのトラウザーズを押し上げている存在を気にしているのか控えめに言葉を続けようとするアマリアに微笑みながらガウンを着せようとすると、その手をそっと押し留められた。
「アマリア?」
「最後まで…して…ほしいの…」
まっすぐにヘンドリックを見て告げる姿にヘンドリックはらしくもなく固まった。我を取り戻したときには、もうその瞳の奥に欲望の火は燃えあがっていた。
アマリアの肩にかけたガウンを取り払い、細い体を持ち上げると、乱暴な手つきで体を反転させ、ベッドに両手両足をつかせて、自分に尻を突き出すような姿勢にさせた。
「えっ。お待ちになって、ヘンドリック様」
アマリアがその姿勢に恥ずかしくなり、身をよじって逃げようとするのを、片手でおさえ、もう片方の手でトラウザーズと下着をおろして、すっかり勃ち上がったものを取り出すと、アマリアの濡れそぼった蕾に一気に突き立てた。
「あああっ」
いきなり奥まで突き上げられて、アマリアは背を反らす。そのままギリギリまで引き抜かれると勢いよく奥を突かれる。その連続にアマリアの腕はその体を支えることができずに上半身はシーツの上に倒れ込んでしまう。
「まって…まって…奥に…当たって…ああっ…っ」
この姿勢になると奥のより敏感なところに当てられ続けることが耐えられないのか腰を前に逃げようとするが、ヘンドリックの両手ですぐに引き戻されて叶わない。
ヘンドリックがアマリアの背中に自身の上半身をぴったりとくっつけて更に奥をえぐるように腰を打ち付ける。片手で柔らかな胸を揉み上げながら硬くなっている頂きをつまむ。
「ああっ…だめっ…だめっ…こんな…」
「だめだよ、アマリア。私をこんな風にしたのだから、最後までしっかり付き合ってくれないと」
「はぅっ…ひゃああ」
アマリアの上半身を持ち上げるとそのまま座る体勢になったヘンドリックの上に乗せる。自重でまた深く突き刺さることになり、アマリアの嬌声が高く上がる。
止まることなく下からアマリアを突き上げては揺さぶり、あらわになった花芽を蜜で濡れた指でぬるぬると刺激し始める。
「だめっ…やぁっ…」
「私の上で脚を開いて、奥まで私のものを咥えた姿はきっと淫らで美しいのだろうね。いつか姿見の前でアマリアを抱いてあげるよ」
「やぁっ…ぁっ…」
首を振って抵抗していると、また絶頂が近くなったのか、声も出なくなり、体に力が入り始める。ヘンドリックが奥を突き、花芽をぐりぐりと刺激し続けると、アマリアの息遣いが段々と激しくなり、甘い嬌声を上げて達した。くったりとヘンドリックの胸に背中をつけて脱力したアマリアをつながったまま、再びベッドに押し倒し、後ろから突き上げる。アマリアは腰を突き出して、上半身はシーツに力なく投げ出されている。
まるで意識のないアマリアを深く貫いているようで背徳感に襲われたが、ヘンドリックの動きは止まらなかった。部屋に肌と肌が当たるぱんぱんという音が響く。
やがて、ヘンドリックの絶頂も近づき、ずるりと引き出し、アマリアの白い双丘に吐き出した。最後の一滴まで絞り出し、息を荒くしながらアマリアの痴態を堪能した。
アマリアはそろそろとベッドに突っ伏して、力なく両手足を投げ出した。
ヘンドリックは自身の服の乱れを直すと、ベッドサイドの引き出しから手巾を取り出してアマリアを清めた。
「私の浴室が準備ができているだろうから、一緒に入ろう」
アマリアをガウンでくるみ、横抱きにした。まだ陶酔しているような表情のアマリアに軽くキスをして優しく微笑んだ。
「アマリアが私を求めてくれた初めての夜だからね。しっかり最後まで付き合ってくれるよね?」
「えっ…?」
「最後まで、っておねだりしてくれただろう?」
アマリアは呆気にとられた顔をしていたが、ヘンドリックはにこにことしながら、アマリアの部屋を出た。
ヘンドリック専用の浴室は確かに準備ができていた。いつもなら数人の侍女がいるものの、ヘンドリックとアマリアの着替えやタオルはしっかり準備されているのに誰一人いなかった。
一緒に湯舟につかりながら、アマリアの体を解しては感じさせては焦らし、アマリアがかわいいおねだりをもう一度するまでヘンドリックは決して離さなかった。
アマリアがようやく口にすると、容赦なく貫き、美しい体を思うまま揺さぶった。浴室はアマリアの喘ぎ声がしばらく響き渡り、ヘンドリックはそれを堪能した。
湯舟から上がり、長椅子に座ったままアマリアを拭き上げていると、アマリアはうとうとし始めた。
ヘンドリックはアマリアにガウンだけを羽織らせて、再び抱き上げて寝室に移動した。
それぞれのガウンを剥ぎ取り、ベッドに横になる頃には、アマリアはすうすうと心地よさそうな寝息を立てていた。
ヘンドリックはアマリアにキスをして、そっと引き寄せて眠りについた。
翌朝、アマリアよりも先に目を覚ましたヘンドリックはベッドサイドの引き出しから透明な液体の入った小瓶を取り出して、手に取るとアマリアの蕾の中へとくぷくぷと飲み込ませては馴染ませるように塗り込み始めた。その違和感に気づいたのか、目を覚ましたアマリアは自分に何が起きているのか理解するのにしばらくかかった。
「最後までという約束だったからね、今からまた抱くよ、いいね、アマリア」
アマリアがヘンドリックの言葉の意味を理解する前に、再び最奥まで貫かれていた。
ヘンドリックの欲望を暴き出してしまった夜は、朝になっても終わりは見えなかった。
アマリアが公爵家へやってきて、もうすぐ半年、婚約式を間近に控え、半年後には結婚式が行なわれる予定だ。
家門のお披露目を終えてからは、夜会にいくつも二人で参加して、大々的に婚約者であることはしらしめてきた。アマリアは公爵夫人教育を一切の妥協なくこなしている。しかし、彼女をその年齢と可憐な外見からあからさまに見下し、また未来の公爵夫人となる嫉妬から、夜会では嫌味を言われたこともあるようだ。家門の夫人らは常に傍につくよう気を配ってくれてはいたし、実際にそつなく回避できていた。それでもバルコニーで休憩をする一瞬、化粧室へ移動するその隙をついては、彼女に攻撃を繰り返した。社交界は、利権と名誉と、人々の欲望が複雑に絡み合う魑魅魍魎の世界だ。本来ならば、アマリアは公爵邸に隠し留めたいくらいだったが、それを許さないのが現実だ。そして、アマリアは私の伴侶となりたいからと控えめに微笑み、苦難を必死に乗り越えてきた。
アマリアを手に入れるために動いていた頃も、彼女のことを愛しいと、間違いなく自覚していた。
しかし、いざ婚約者として手に入れると、その想いなど、所詮大樹の葉の一枚程度にすぎなかった。そばにいればいるほど、愛しい、欲しい、完全に私だけのものしたいという欲望に満ちたものがどんどん溢れては、私の根幹を成すほどになっていた。
体を重ねてからは、更にその欲望は強まり、アマリアが気を失っても、その体を余すところなく暴きたいという欲求を抑えることができない夜もあった。
アマリアが健気にそれに応えてくれることが、更に私を増長させていく…と自嘲気味に思った。
上着を侍女に手渡すと、その足でアマリアの部屋に向かう。扉をノックすると、「はい」と心地よい声が返ってくる。
「私だよ、アマリア。今戻った」
ヘンドリックが扉越しに声をかけると、中からぱたぱたと足音がして、扉が開かれる。
そこには愛してやまない、美しいアマリアがいた。
今夜はその青い瞳を映したような空色のガウンを着ていた。
「おかえりなさいませ、ヘンドリック様。お戻りに気づかずにごめんなさい」
「いや、気にすることはない。遅くなった日はアマリアに戻りを伝えないように言ってあるから」
アマリアが顔をほころばせて、ヘンドリックの胸に抱きついてくる。少しずつ、こうして甘えてくる仕草にも遠慮がなくなって、それは喜ばしい変化だった。
抱きしめ返すと、アマリアの髪から花のような香りがした。
「もう寝るところだった?」
「はい、でもまだ本を読んでいたので…」
ヘンドリックはアマリアの背に手をあてて、部屋の中へ入った。アマリアが座っていたのであろうソファの前のテーブルには、積まれた数冊の本と開かれた本があった。
ソファに腰かけ、隣に座るアマリアの腰をそっと引き寄せる。そして、片手で開かれた本を取った。
「薬草の調合?もうそんなところまで学んでいるのかい?」
「はい、とてもおもしろいんです。でも、まだ簡単な傷薬ぐらいしか調合もできないんですけれど…」
アマリアは嬉しそうに、ヘンドリックの半身に身を預けて、顔を見上げた。ヘンドリックはその細い肩を引き寄せて唇と重ねた。そっと離れると、アマリアが小さな甘い吐息をもらした。その仕草がいつもヘンドリックの心を掻き立ててくる。
「アマリアは私を煽るのが上手になったね」
「えっ?」
とろんとした瞳で見つめているアマリアを軽く横抱きにして、大股で部屋を横切りベッドに腰を下ろす。
ヘンドリックの膝の上に乗せられたアマリアのわずかにはだけた胸元には、毎晩のように残される赤い痕がのぞいていた。
すっとそこへ手を忍ばせると、アマリアはふ…と声を漏らした。
ヘンドリックは遠慮なしにそのまま深く手を差し込み、柔らかな膨らみを握り込んだ。
「はぅっ…」
強い刺激にアマリアが声をあげて、顔をのけぞらせる。その隙を逃さず、ヘンドリックは荒々しく口づけ、アマリアの口腔を蹂躙した。
アマリアの腰を支えていた手で腰紐を解き、現れた白い下着のリボンも解いて、あっという間に素肌を暴いた。するりと引き抜かれた細い腕はそのままヘンドリックの背中に回り、きゅっと力が込められた。
ヘンドリックはアマリアの甘い舌を吸い上げ、唇を離すと、その白い喉元に滑らせていった。
「あっ…」
アマリアはヘンドリックに快感を余すところなく引き出されて少しの触れ合いでも甘い声を漏らすようになってきた。
白い喉をそらしているため、自然と胸も突き出すようになる。その隙を逃さず胸の頂きを口に含んだ。舌を絡め、その柔らかいものが少しずつ硬く立ち上がるのを堪能した。
「あっ…ふっ…」
ヘンドリックの腕を握りしめていた美しい指に少しずつ力が込められていく。それが感じ入っている証拠で加虐心をくすぐってくる。
自分の膝の上からアマリアをそっとベッドにおろし、アマリアの両腕を後ろにつかせ、ベッドに脚を大きく開かせたうえで膝を立たせた。
「ヘンドリック様…?」
アマリアは自分の秘所を曝した恥ずかしい姿に不安げな声を出した。ヘンドリックは無言のままベッドから立ち上がり、ヘッドすぐ横に膝をつくと、アマリアの両脚をつかんで、ぐっと引き寄せた。
「きゃあっ」
「アマリア、倒れないようにして。そのまま、私がアマリアに何をするのか見ておいで」
「……?…えっ…ゃ…あっ」
不敵な笑みを浮かべたヘンドリックがその眼前にさらされていた花弁に舌を這わせた。思わず、声の漏れたアマリアは突然の刺激に胸を大きくそらして喘いだ。
既に濡れ始めていた花弁も花芽も音を立てて何度も吸われ、舌を差し込まれ、その刺激が変わるたびにアマリアは後ろについた腕がぷるぷると震えた。
体全体が上下に何度もびくびくと跳ねては、倒れるのを必死にこらえていた。
溢れる蜜液とヘンドリックの唾液で卑猥な音はだんだんと大きくなっていく。アマリアはぎゅっと目をつぶり続けたまま、その快感に身を委ねていた。
ヘンドリックは口淫をやめ、体を離した。不思議に思ったアマリアが目を開けて、膝をついたままのヘンドリックを見下ろす。その瞳はとろんとして、物足りないと言っているように思えた。
「ヘンドリック様…?」
「アマリア、見ておくようにと言ったのに」
「っ…ごめんなさい…でも…」
「次はちゃんと見ておくんだよ」
「ふぅっ」
ヘンドリックが躊躇なく長い指を2本差し込んだ。アマリアはひときわ大きな声で鳴き、それでも言いつけ通りに目をつぶらずに、その指が自分の中で動き始めるのを見ていた。
「ほら、アマリアのなかはとても熱くて蕩けているから、こんなにすんなりと入ったよ」
ぐちゅぐちゅと音を立てて指が前後する。その形や動きがわかるようにもどかしいほどにゆっくりと出しては挿れる。しかし、決して奥までは挿れずに浅いところでくすぐるようにしていた。
「あっ…あっ…いやっ…」
「なにが、いやなんだい、アマリア」
「…っ」
アマリアの腰が焦らす指を引き入れるように動く。それに気づかないふりをして、アマリアの様子を眺めて、時折中の指を曲げては、アマリアの敏感な部分をかするように動かす。
「ふっ…ううん…ああっ…」
「アマリア、私の指を誘うように自分で動いているのを見て?」
「…おっしゃら…ないで…」
恥ずかしさに潤ませた瞳を、約束のためにそれでも懸命に閉じずにヘンドリックを見つめる。いやらしく動く自分も当然見えているだろう。ヘンドリックを求める自分の姿を。
「何も知らなかったのにいやらしくなったね、アマリア」
「…お嫌ですか…?」
不安そうに小さな声で尋ねるアマリアにヘンドリックは口の端を上げて否定した。
「私がそうなるように教えたのに、嫌なわけがないだろう?だからね、アマリア、もっと乱れてごらん」
「ひゃあぁっ」
ヘンドリックがぐっと奥まで指を挿すると、背中をそらして喘いだ。そして、再び、入口近くの敏感な箇所をさすっては離れ、アマリアの腰が淫猥に動くように誘い込んだ。
「…ヘンドリック様…意地悪なさらないで…」
「どうしてほしいか言ってごらん」
「そこに触れてください…もっと強く…もう…もう…達したいの…」
散々に焦らされて、溢れる蜜でシーツには大きなシミができていた。やっとの思いで口にした言葉にヘンドリックは満足気に微笑む。
「そう。アマリアの願いとあらば」
「ああっ‥‥まって…あぁっ」
いきなり始まった快楽だけを引き出すような愛撫にアマリアはそれを制止しようとするが、ヘンドリックの指は敏感なところだけを狙っては刺激を与え続ける。アマリアは強い刺激に小さく腰が浮き、声も我慢することができない。痴態を曝していることさえ、もう考えられないほどに、体の奥からこみ上げる痺れに体を支える両脚も震え、その絶頂が近いことを告げていた。
「あっ…ああ…だめ、もうっ…もう…」
「達してしまいなさい、アマリア」
「やぁっ…ああああっ」
がくがくと震えていた脚にぐっと力が入り、体を大きくのけぞらせてアマリアはその絶頂を迎えた。ゆっくりとそこから下りてくるように体の力が抜けて、横に倒れそうになるのを体を起こしたヘンドリックが素早く受け止める。まだ息を整えているアマリアを抱きしめその頬にキスを落とした。アマリアはヘンドリックの胸に顔を寄せ、自分を支えてくれている両腕にそっと手を添えた。
「私の手で淫らに酔うアマリアを見ることができるのは何よりの幸福だよ」
汗ばむ体か冷えないようにとアマリアの空色のガウンを拾って、肩にかけようとするとアマリアが不思議そうにヘンドリックを見上げた。
「どうしたの、アマリア」
「あの…ヘンドリック様は…されないのですか…?」
「ありがとう。でも、さすがに帰ってきたばかりで身を清めていないからね」
「でも…」
ヘンドリックのトラウザーズを押し上げている存在を気にしているのか控えめに言葉を続けようとするアマリアに微笑みながらガウンを着せようとすると、その手をそっと押し留められた。
「アマリア?」
「最後まで…して…ほしいの…」
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「あああっ」
いきなり奥まで突き上げられて、アマリアは背を反らす。そのままギリギリまで引き抜かれると勢いよく奥を突かれる。その連続にアマリアの腕はその体を支えることができずに上半身はシーツの上に倒れ込んでしまう。
「まって…まって…奥に…当たって…ああっ…っ」
この姿勢になると奥のより敏感なところに当てられ続けることが耐えられないのか腰を前に逃げようとするが、ヘンドリックの両手ですぐに引き戻されて叶わない。
ヘンドリックがアマリアの背中に自身の上半身をぴったりとくっつけて更に奥をえぐるように腰を打ち付ける。片手で柔らかな胸を揉み上げながら硬くなっている頂きをつまむ。
「ああっ…だめっ…だめっ…こんな…」
「だめだよ、アマリア。私をこんな風にしたのだから、最後までしっかり付き合ってくれないと」
「はぅっ…ひゃああ」
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「だめっ…やぁっ…」
「私の上で脚を開いて、奥まで私のものを咥えた姿はきっと淫らで美しいのだろうね。いつか姿見の前でアマリアを抱いてあげるよ」
「やぁっ…ぁっ…」
首を振って抵抗していると、また絶頂が近くなったのか、声も出なくなり、体に力が入り始める。ヘンドリックが奥を突き、花芽をぐりぐりと刺激し続けると、アマリアの息遣いが段々と激しくなり、甘い嬌声を上げて達した。くったりとヘンドリックの胸に背中をつけて脱力したアマリアをつながったまま、再びベッドに押し倒し、後ろから突き上げる。アマリアは腰を突き出して、上半身はシーツに力なく投げ出されている。
まるで意識のないアマリアを深く貫いているようで背徳感に襲われたが、ヘンドリックの動きは止まらなかった。部屋に肌と肌が当たるぱんぱんという音が響く。
やがて、ヘンドリックの絶頂も近づき、ずるりと引き出し、アマリアの白い双丘に吐き出した。最後の一滴まで絞り出し、息を荒くしながらアマリアの痴態を堪能した。
アマリアはそろそろとベッドに突っ伏して、力なく両手足を投げ出した。
ヘンドリックは自身の服の乱れを直すと、ベッドサイドの引き出しから手巾を取り出してアマリアを清めた。
「私の浴室が準備ができているだろうから、一緒に入ろう」
アマリアをガウンでくるみ、横抱きにした。まだ陶酔しているような表情のアマリアに軽くキスをして優しく微笑んだ。
「アマリアが私を求めてくれた初めての夜だからね。しっかり最後まで付き合ってくれるよね?」
「えっ…?」
「最後まで、っておねだりしてくれただろう?」
アマリアは呆気にとられた顔をしていたが、ヘンドリックはにこにことしながら、アマリアの部屋を出た。
ヘンドリック専用の浴室は確かに準備ができていた。いつもなら数人の侍女がいるものの、ヘンドリックとアマリアの着替えやタオルはしっかり準備されているのに誰一人いなかった。
一緒に湯舟につかりながら、アマリアの体を解しては感じさせては焦らし、アマリアがかわいいおねだりをもう一度するまでヘンドリックは決して離さなかった。
アマリアがようやく口にすると、容赦なく貫き、美しい体を思うまま揺さぶった。浴室はアマリアの喘ぎ声がしばらく響き渡り、ヘンドリックはそれを堪能した。
湯舟から上がり、長椅子に座ったままアマリアを拭き上げていると、アマリアはうとうとし始めた。
ヘンドリックはアマリアにガウンだけを羽織らせて、再び抱き上げて寝室に移動した。
それぞれのガウンを剥ぎ取り、ベッドに横になる頃には、アマリアはすうすうと心地よさそうな寝息を立てていた。
ヘンドリックはアマリアにキスをして、そっと引き寄せて眠りについた。
翌朝、アマリアよりも先に目を覚ましたヘンドリックはベッドサイドの引き出しから透明な液体の入った小瓶を取り出して、手に取るとアマリアの蕾の中へとくぷくぷと飲み込ませては馴染ませるように塗り込み始めた。その違和感に気づいたのか、目を覚ましたアマリアは自分に何が起きているのか理解するのにしばらくかかった。
「最後までという約束だったからね、今からまた抱くよ、いいね、アマリア」
アマリアがヘンドリックの言葉の意味を理解する前に、再び最奥まで貫かれていた。
ヘンドリックの欲望を暴き出してしまった夜は、朝になっても終わりは見えなかった。
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父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。


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