どこまでも続く執着 〜私を愛してくれたのは誰?〜

あさひれい

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アルバートン公爵領へ

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アマリアはヘンドリックと共にアルバートン公爵領へ馬車で向かっていた。

王都での婚約者としてのお披露目は終わったため、婚約式を挙げるためにアルバートン公爵領に出向く必要があったからだ。

王都で盛大に婚約式を挙げることも考えられたが、ヘンドリックの父である先代のマクシミリアンは、公には伏せてあるが、病のため、王都と公爵領を頻繁に行き来できるほどの体力的な余裕がなかった。

そして、アマリアも華美な婚約式よりも、身内だけで簡素に済ませたいと思っていた。

ヘンドリックとしても、結婚式をいずれは盛大にするので婚約式の形式にはこだわらなかった。

公爵領は馬車で4~5日かかるので、、宿屋に泊まったり、付き合いのある貴族の屋敷に泊まったりしながら小旅行を楽しむような気持ちで二人の旅程は進んだ。



アルバートン公爵領は肥沃な大地と天候に恵まれ、農耕や畜産はもちろん、加工品の工場や嗜好品の生産まで幅広く可能にするとても豊かな場所である。温暖なところなので、冬場でも雪が降り積もることもなく、凍えるような寒さもなく、厚着をしていれば外に出ることも容易だった。病で体を動かしにくくなったマクシミリアンも冬でも体の節々が痛くなることなく過ごせることから、2年前に公爵の当主から身を引き、その一切をヘンドリックに引き継いでからは、公爵領に籠もっている状態が続いている。先代に使えていた執事もその際に引退して、公爵領に共に下がった。信頼のおける側近たちを連れて行ったので、ヘンドリックやクリスティたちも安心して、王都での仕事に集中することができている。



また代々、領民に無理な課税をすることなく、凶作の年には備蓄を空になるまで分け与え、領主の生活水準を落とすこともいとわなかった姿勢に、領民は忠誠を誓い、そしてその噂を聞きつけた民が流れてくることも多かった。おかげで人口は多く、農耕や畜産に従事する者たちも不足はなく、公爵領の根底を刺させ続けてくれていた。



公爵領のことは夫人教育のために様々な資料や使用人達からの話では聞いていたものの、実際に来るのは初めてだったため、アマリアは興奮気味に馬車の窓からその風景や街並みを見つめていた。





公爵領の領主であるアルバートン公爵邸宅は丘の一番高いところに造られている。広大な敷地は王都の何倍にも及び、本館、別館、迎賓館などの複数の建物とそれぞれの庭園や温室がある。

現在、本館には義父のマクシミリアンが使用しており、ヘンドリックとアマリア、そして後から来る予定であるクリスティと、初めて会う義弟が本館に滞在する予定である。

アマリアの両親であるスタンリール侯爵夫妻と、アマリアの祖父にあたる先代の侯爵たちは迎賓館に滞在することになっている。

婚約式には他に親戚にあたる貴族たちが10家族ほど来る予定で、別館と公爵領の貴族邸や高級な宿泊施設への滞在が決まっている。

そのほとんどの手続きをクリスティが担ってくれたが、今回の滞在中にそのような宿泊施設などを確認して、アマリアは今後の夫人としての役割のために様々なことを学ばなければならなかった。





興奮気味に馬車から外を見ていたものの、アマリアは自分の役割やこれからのこと考えて、無意識のうちに胸元をぎゅっと握りしめていた。

向かいの席に座り、アマリアの様子を微笑ましく見ていたヘンドリックは、さっとアマリアの隣に移り、その肩を引き寄せた。



「また、何か考え事をしているの?」



「ヘンドリック様…その…初めてのことがたくさんありますので…お義父様にもロビン様にも初めてお会いしますし、気に入っていただけるかどうか…」



「はははっ。なんだか、婚約者として連れて帰るときのことを思い出すね。大丈夫だよ、そんなに心配しくても。我が家でアマリアと私の結婚を反対する者なんて誰もいないことなんて、もうわかっているだろう?」



「でも…私が至らないばかりにヘンドリック様のことを悪く言われたりしたら…」



「アマリア、私達の結婚は私達で決めて、考えることであって、周りがとやかく言うことじゃないんだよ。言いたいやつには言わせておくといい。ひがむくらいしか、できないんだから」



まだ緊張しているアマリアを更にぐっと抱き寄せ、顎をすくってキスをした。



「それに、もう私はアマリアを手放すことなんてできないからね。この結婚に異を唱えても許してあげないよ」



「私…ヘンドリック様のおそばを離れたりしません」



アマリアが微笑んで応えると、ヘンドリックはアマリアに深く口づけ、お互いの舌を絡め合った。

くちゅ、ちゅと淫らな音が車内に響く。

唇を離すと二人を透明な糸が繋いでいた。ヘンドリックが胸元からハンカチを取り出し、そっとアマリアの口元を拭いてやると、軽くため息をついた。



「本当ならここでもアマリアを抱きたいところなんだけれど、私が外に出すと色々と大変なことになるから我慢するよ」



「ここで…?」



「それにアマリアを可愛がってあげたいけれど、たくさん蜜が溢れてしまうからね」



不敵に笑うヘンドリックにアマリアは恥ずかしくて何も言えなくなってしまう。頬を赤く染めるアマリアの額にキスをして、耳にそのまま唇を寄せる。



「結婚して、いつアマリアが妊娠してもいいようになったら、それこそどこでも抱くから覚悟しておくといいよ」



耳から低く色香の溢れる声で言われると、アマリアの体の奥深くまで入り込んでくるような感覚に襲われる。

アマリアの体がじんわりと熱を持ち、奥が濡れたような気がして、脚をぎゅっと閉じた。

その様子を目ざとく見つけたヘンドリックはアマリアの体をそのまま膝の上に載せ、後ろから抱きしめた。

アマリアの両脚を自身の脚をまたぐように開かせて座らせたので、アマリアは驚いて脚を閉じようとする。ドレスの裾は長いため外からはわからないが、淑女としてはとても恥ずかしい格好だった。



「こうやって脚を開いて私を受け入れることになるからね」



「ヘンドリック様、おやめになって…」



「前の座席に手をつかせて後ろから突いてあげることもできるし。アマリアは後ろから突かれると声も出せないほど感じてしまうもんね」



「‥‥っ」



「私と向かい合って座って深く突き上げてあげることもできるね。今から楽しみだ。…私と馬車に乗るときは軽装にするように伝えておかなければいけないかな」



アマリアはもう何も言えずにうつむいてしまった。あらわになったうなじに唇を這わせながらアマリアの可愛らしい反応を味わっていた。



「あと少しで着くから、このままこうしていよう。着いたらしばらく二人きりでゆっくり過ごす暇もないだろうから」



「はい、ヘンドリック様」



二人きりの時間がないことはアマリアにも寂しいことであったので、素直に頷き、そっとヘンドリックの胸によりかかり、そのぬくもりと心地よい香りに酔いしれていた。



やがて馬車はアルバートン公爵領地の邸宅へと到着した。
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