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迷うことの許されない道へ
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社交デビューの翌朝、アマリアは目を覚ましても、やはり夢ではなかったのだと実感した。
燦燦と降り注ぐシャンデリアの灯りも、幻想的な音楽も、緊張しながらも楽しく踊ったことも全てがきちんと記憶と体感として残っていた。
「お嬢様、お目覚めでしょうか」
「ケイシー?もう起きているわ。入ってちょうだい」
侍女のケイシーが扉の向こうから声をかけてきたので、ベッドから身を起こし、端に座る。
ケイシーは「失礼いたします」と扉を開け、ワゴンをカラカラと押して入ってきた。
洗面用のお湯を張ったボウルのほかにタオルや軽食、紅茶の準備まで整っていた。
「お嬢様、本日は公爵様がいらっしゃるとのことで、朝からその準備に入らせていただきます。軽くお顔を拭かれた後、軽食をお召し上がりください。その後は、湯あみとマッサージ、御髪を整え、ドレスやアクセサリーを合わせていただきます」
「こ、こんなに早くから準備をするの?」
「公爵様がもしお昼頃にお見えになった場合、準備が間に合わない状態でお目にかかるわけには参りませんので。本日はお嬢様のお仕度の他、旦那様、奥様、そしてお屋敷の準備も行っておりますので、大変慌ただしくなります。使用人一同、一心にお勤めさせていただきます」
「そ、そう…」
淡々と説明され、もうこれは身を任せるしかないとアマリアも決心した。
ケイシーがアマリアの前に跪き、両手を握りしめてきた。
「お嬢様、この度のご婚約、本当におめでとうございます。お嬢様にお仕えして6年になりますが、このように喜ばしい日をお迎えになれて本当にうれしく思います」
ケイシーは目を潤ませながら、アマリアに微笑んだ。ケイシーはスタンリールの領地で雇い、アマリア付きの侍女になり、それ以降はアマリアのお世話はもちろん、お忍びの外出にも全て同行するほどアマリアにはなくてはならない存在だった。アマリアよりも4つ年上の20歳で、一人っ子のアマリアにとっては姉のように慕っている存在でもあった。
アマリアはそっと手を握り返した。
「ありがとう、ケイシー。私もまだ信じられないのだけれど、こうしてみんなに喜んでもらえると嬉しいことなのだと実感できる気がするわ」
「はい、お嬢様。レディーとして、これ以上ない名誉なことです。本日は、腕によりをかけてお嬢様を磨き上げていただきます」
「昨日も忙しかったのに、連日でみんなに申し訳ないわね」
「そんな、とんでもございません。スタンリール家使用人一同、朝から全員は張り切っていますよ。厨房も朝から市場に走ったり、料理の選定に力を入れていますもの」
「ありがたいわね。公爵様はお気になさらないようおっしゃったけれど、やはりそういうわけにもいかないものね…」
「できる限りのことは尽力しようとみんなで申しておりました。さあ、お嬢様もお時間がございません。急ぎましょう」
アマリアは腰をあげて、使用人たちの期待に応えないといけないと自分を奮起させた。
昼前にアルバートン公爵家の先触れが来て、公爵の到着はティータイム辺りになるだろうと目途もたち、厨房はティータイムに合わせたお菓子や軽食の準備に一層慌ただしくなり、玄関ホールから応接間など、お目にかかるであろう場所を中心に使用人たちは塵ひとつないように隅々まで磨き上げていた。
アマリアは美しい金髪を結い上げ、すらりとした首からデコルテまでが露わになった桃色のドレスに身を包んでいた。所々に縫い込まれた小さな宝石がお気に入りのドレスだった。今年の社交シーズンに合わせてあしらえたもので、本来なら夜会で披露するものだったが、公爵の前に出るとあっては、その一着を身に着けるのがふさわしいだろうと両親も勧めてくれた。
首にはミリアリアからもらった真珠の首飾りし、耳にはその揃いのイヤリングをつけていた。
元々化粧を濃くすることが苦手だったこともあり、今回は白い肌が映えるよう薄く頬に色をつけ、うっすらと紅を足すだけにした。
それでも、瞳は星を宿したように輝いており、ぷっくりとした唇もみずみずしく、アマリアを丹精込めて磨き上げたケイシーも悦に浸っていた。
ミリアリアも紫色の落ち着いたドレスに身を包み、エドワードと共にアルバートン公爵の到着を待っていた。
「できる限りを尽くしたけれど、行き届かなかったところも多いはず…アマリアの結婚のためにも、私たちも失敗は許されないわ、エドワード」
「あぁ、わかっているよ、ミリー。必ず、アマリアと我が家を認めてもらおう」
手の色を失わんばかりに握りしめるミリアリアをそっと抱き寄せ、エドワードが落ち着くように声をかける。
その様子をどこか他人事のように見つめていたアマリアもその緊張が段々と自分にも移ってきて、どきどきと鼓動が速くなってきた。
その時、門番から別の使用人に急ぎの伝言が来た。ついに、公爵様の馬車が邸宅に到着したのだ。
アマリアと両親、そして邸宅の使用人一同がその出迎えに玄関前に集まる。
優雅な所作で馬車から軽やかに降りたアルバートン公爵に、アマリアは一瞬見惚れ、これではいけないと慌てて淑女の礼をとった。
「このように盛大に迎えていただけて光栄だね。ありがとう、スタンリール侯爵」
エドワードが声をかけてもらったことで姿勢を直し、改めて挨拶を交わす。
「ようこそお越しくださいました。スタンリール家一同、心より歓迎いたします」
「大変、ご無沙汰をしておりました、アルバートン公爵様。この度は本当にありがとうございます」
「侯爵夫人もお変わりないようで安心した。怪我の具合はいかがだろうか」
「ありがたいお心遣い痛み入ります。昨夜の嬉しい報告以来、痛みも忘れるほどですわ」
「それは、よかった。アマリア。もう顔を上げて?婚約者殿の顔をよく見せておくれ」
「は、はい、公爵様。ようこそお越しくださいました」
アルバートンは一歩アマリアへと近づくとその手を取り、甲にそっとキスをした。
ぱっと頬を紅く染め、視線を交わすことも恥ずかしく、おどおどとうつむいてしまう。
アルバートンの手はそのままアマリアの細い腰へと回り、そっとその歩みを促すように力を込められた。
「今日もまた美しいよ、アマリア。そのような色合いも君にはよく似合うね」
「あ、ありがとうございます」
昨夜は確かアマリア嬢と呼ばれていたのに、もう既に2回もアマリアと呼ばれている。しかも一度は『婚約者殿』とまで呼ばれた。これはやはり何かの間違いではなかったようだ。私が公爵様とのやり取りのどこかで何かを間違ってしまって、婚約を結ぶことになってしまったに違いない。でも、もう今更、婚約のことはもう少し考え直す時間をくださいとも言えない雰囲気だし…とアマリアは一人悶々と考えながら、両親が応接間へ案内する後ろとしずしずとついていった。
応接間はそれそれはピカピカに磨かれ、窓から降り注ぐ日差しさえまばゆいほどだった。
アルバートンは長椅子に腰かけるとき、さりげなくアマリアを引き寄せ、自身の隣にさも当然のように座らせた。
一呼吸ほど、エドワードとミリアリアと執事たちはあっけにとられたが、すぐに持ち直し、笑顔でその向かいに腰かけた。
侍女たちが紅茶の準備を始めている。
アマリアは座ってもなお、自分の腰に置かれたアルバートンの手の熱さに緊張してしまい、緊張が解けないでいた。
「私とアマリアの婚約の件で今日はお伺いした。侯爵家の大事な一人娘であることは重々承知しているが、私はどうしてもこの婚姻を結びたいと考えている。侯爵家の今後も考えると本来なら私が婿としてこちらに入ることも望まれるだろうが、私は2年前に公爵家の当主となってしまった以上、それは難しい」
「こ、公爵様、そのようなことまでお考えくださるなんて、なんというお心遣いでしょう…」
ミリアリアがそっと口元に手をやり、感動のあまり目は既に潤んでいる。
「婚姻を結ぶのだから、もう家族として配慮するのは当然だろうと思う。私には弟もいるので、こちらの養子に迎えてもらって、侯爵家を継がせても構わない。私とアマリアの間に二人以上の子供が生まれればそのどちらかをこちらの跡継ぎにするのがいいかもしれないが、それまでにはかなりの時間もかかるだろう。弟も領地経営をずっと手伝ってくれているし、留学をしてそちらのほうには長けていると思う。一度、顔合わせをさせてもらえると嬉しいが、どうだろうか」
アマリアは娘心にも、これはまたとない申し出だということはわかっていた。
正直に言って、エドワードの領地経営も、新しく何かを生み出すことも芳しいものではない。祖父である先代からもかなり強く叱責されることだって、いまだにあるほどだ。
公爵家のサポートどころか、養子に迎えることができるなんて喉から手が出るほどの申し出である。
「まぁ、でも、今日はアマリアのことが先だね。すまないね、置いてけぼりにしてしまって怒ったかい?」
両手を膝の上に重ね、固まり続けていたアマリアに、アルバートンが声をかけ、片手でアマリアの両手を包み、瞳をのぞきこんできた。
「そ、そんなとんでもございません。ありがたいお話に感動していたところですわ」
「なら、よかった。アマリアもそう固くならないで。難しい話はまたご両親とするからね。今日はアマリアを公爵家に迎える日のことを話にきたんだよ」
アマリアに話す時のアルバートンの声色はとても優しいと思う。うっとり聞き入ってしまいそうになる。しかも見たこともないほどの美貌なのだ。その美しさに見惚れているうちにきっと昨夜も何か聞き逃したり、うっかり何かに頷いてしまったりしたのかもしれないと、はっと我に返った。
「迎える日というのは…?」
アマリアの不安を、ミリアリアが代弁してくれた。
するとアルバートンが両親へと向き直り、にこやかに宣言した。
「三日後にこちらに迎えを出しますので、アマリアはそのまま公爵家に来てもらう予定です」
「三日後…?!」
あまりの急な出来事にアマリアはもちろん、両親も目を丸くしていた。
しかし、アルバートンだけは至極当然のことのように説明を続ける。
「アマリアは素晴らしい女性だ。私が婚約者に迎えたいと思ったのは、アマリアただ一人。それだけはまずお伝えしたい」
突然始まったアマリアの称賛に、両親はどこか誇らしげに微笑し、アマリアは益々顔を紅く染めて縮こまる。
「しかし、公爵家の夫人になるための教育はできるだけ早くから始めた方がよいと思う。ここから通うことも、こちらに家庭教師をやることも考えたが、どちらも不便で非効率的だ。アマリアには公爵家で教育を受けてもらい、これからのことを知っておいてほしい。アマリアは公爵夫人になったら、社交の中心にもなるだろう。その時に恥ずかしい思いをできるだけさせたくない。デビューしたばかりの君には荷が重いかもしれないが、私たちはそのサポートを全力でするから安心してほしい。もちろん、ご両親の元には好きなときに帰るといいよ」
にこりと微笑まれたが、アマリアは『公爵夫人』という言葉の重みに一瞬ぐっと体がこわばってしまった。
16歳のデビューしたばかりの自分にそんな大役が務まるのだろうか。でも、それをこなすためには公爵家で教育を受けることは最善のことのように思える。
「アマリア…、公爵家でやっていくということは、我が家とは全く違うものになるだろう。家格が違うところに入るというのは、想像以上に大変だよ。アマリアはとてもいい子だ。これまでもスタンリールを継ぐための勉強を怠ったことはない。でも、公爵夫人になるために学ばないといけないことはまた変わってくる。ここは、アルバートン公爵様の邸宅で婚約者として住まわせてもらうのがいいと思う」
父が言ったことは、自分の経験から来る嘘偽りのない本心だと率直に伝わってきた。
父は、没落寸前の男爵家から、侯爵家に婿入りし、数えきれない苦労をしてきたから、これからアマリアが経験するかもしれない苦労を想像して、そう言ってくれたにちがいない。
「そうね、アマリアと離れるのは寂しいけれど、それは親の欲よね。アマリアの幸せを考えるのが一番ね」
母もその言葉を後押しする。それでもアマリアの頭の中では『婚約』『公爵夫人』『教育』など次々と出される言葉に圧倒されて、曖昧に頷くしかなかった。
優しい両親が自分のことを思って了承してくれるなら、それが良いのかもしれないと漠然と考えていた。
アルバートンがアマリアの手に添えていた自分の手に力をぐっとこめたので、はっとアマリアはアルバートンを見た。
「優しいご両親だね、アマリア。私もお二人のようにアマリアを大切にするからね」
低く、耳にすっと入る甘い声にうっとりと聞きほれていた。
その時、アルバートンと共に来ていた青年が応接間に入ってきた。そのまま、アルバートンのそばまで近づき、耳元でそっと話すと、礼をして、アルバートンの後ろに控えた。
アルバートンが、にこやかに微笑むと、アマリアの手を握り、ソファから立ち上がった。
わけがわからないまま、アマリアも立ち上がる。
「ようやく準備ができたようだ。一度、ホールに向かってもいいかな?」
「え、あ、はい」
「侯爵と侯爵夫人もどうぞ」
三人が促され、玄関ホールに戻ると、そこには埋め尽くさんばかりのラッピングされた箱や花束があった。うず高くつまれた革の張られた箱からは反物が溢れている。
「あ、あの…これは…?」
「少ないけれど、私からのアマリアへの贈り物だよ」
「まあ、こんなにもたくさん…!」
感激のあまり声を震わせて母が目の前に広がる光景にうっとりと見入っている。
アマリアは「少ない…?」と自分の聞き間違いではないかと、隣にいるアルバートンを見上げると、アルバートンは微笑みながらアマリアを引き寄せた。
「急ぎだったから、これくらいしか用意できなかったけれど、アマリアを公爵家に迎えるときにはもっときちんと準備するから、とりあえずこれで許してほしい」
「そんな、もうこれ以上は私にはもったいないです」
「ふふっ。アマリアは欲がないね。それもまた魅力的だけれど」
アルバートンはアマリアの頬にキスをすると、控えていた侍女たちから黄色い声があがった。普段は静かに使えている彼女たちでも、乙女心をくすぐられたらしい。
アマリアは恥ずかしさのあまり、うつむいてしまう。
アルバートンがエドワードとミリアリアに向き直り、アマリアと二人で話したいと言うと、二人は喜んで中庭を案内するようにアマリアに言った。アマリアはアルバートンを先導して、邸宅の奥の中庭へを進んでいった。
中庭は庭師が丁寧に手入れしてくれており、四阿への道も季節の花々が美しく咲き誇っていた。四阿には白いガーデンベンチとテーブルがあり、アマリアはこの四阿でティータイムを過ごすのがお気に入りだった。
「アマリアはどんな花が好きなのかな?」
「そうですね、私は、フリージアが好きです。領地でも栽培に力を入れているんです」
「アマリアにぴったりの可憐な花だね。アマリアの香水もフリージアだろう?」
「そうなんです。お気づきくださって嬉しいです。領地のフリージアを収穫して香水にしようとしているんですが、まだ少量しかできていなくて…」
「そうか。我が家が手伝えることはきっとたくさんあるから、これからは気兼ねなく言ってほしい」
「ありがとうございます、公爵様」
「アマリア、公爵様はもう他人行儀過ぎるよ。ヘンドリックと呼んでくれるかい?」
アルバートンに顎をすくわれ、目線が合う。アマリアはおずおずとアルバートンの名を声にする。
「…ヘンドリック様」
「まぁ、いい。段々と慣れてくるだろうから」
顎に添えられていた手が、柔らかなアマリアの髪を撫でた。一房をそれをすくい上げるとそっとキスをした。
アマリアは一連の流れるような動作にうっとりと見惚れ、ふと思っていたことを口にした。
「ヘンドリック様、私、昨夜何かしてしまったのでしょうか?」
「どういうことだい?」
「私、ヘンドリック様を見ていると、あまりの美しさに何も考えられなくなってしまって。昨夜もその、婚約のお話をちゃんと聞いていなかったのではないかと思って」
「いや、何も粗相なんてしていないよ。でも嬉しいな。アマリアが私の顔をそんなに気に入ってくれていたなんて」
「あ、あの…」
あまりに直接的に言い過ぎたとアマリアは今更ながら沸き起こる羞恥心に両手で顔を覆った。
「アマリアに一目惚れしたのは私だから。でも、確かに言葉が足りなかったかもしれない。だから、ここでやり直させてもらえるだろうか」
すると、アルバートンはアマリアの前に跪き、その手を取ると甲にキスをした。
「アマリア、私の心は既にあなたのものだ。生涯、アマリアただ一人を愛するとここに誓おう。そして、アマリアもまた、私一人を愛すると誓ってほしい。アマリアの愛を得るためなら、私は地獄でも喜んで飛び込もう」
アルバートンはジャケット裏から小さな革の箱を取り出し、開けてみせた。そこには、ブルーダイヤモンドとオニキスがあしらわれた指輪があった。
「受け取ってもらえるだろうか」
「…私でよろしければ、喜んでお受けいたします」
アルバートンがアマリアの薬指に指輪をはめると、サイズもぴったりで、アマリアは指輪の美しさもさることながら、昨夜からの今日でここまで準備をしてくれたことに感動していた。
跪いていたアルバートンはすっと立ち上がると、アマリアを抱き寄せ、その小さな頭に顔をうずめた。
「アマリア、嬉しいよ。これほど嬉しいことが私の人生に本当に起きるなんて信じられないくらいだ」
「はい、私も嬉しいです、ヘンドリック様」
中庭で控えていた者たちも、その奥から二人の様子を見ていたアマリアの両親も、涙を浮かべて二人を祝福していた。
流れるようにここまで来てしまったと思っていたアマリアが、一つ自分で決断したと思えた出来事だった
燦燦と降り注ぐシャンデリアの灯りも、幻想的な音楽も、緊張しながらも楽しく踊ったことも全てがきちんと記憶と体感として残っていた。
「お嬢様、お目覚めでしょうか」
「ケイシー?もう起きているわ。入ってちょうだい」
侍女のケイシーが扉の向こうから声をかけてきたので、ベッドから身を起こし、端に座る。
ケイシーは「失礼いたします」と扉を開け、ワゴンをカラカラと押して入ってきた。
洗面用のお湯を張ったボウルのほかにタオルや軽食、紅茶の準備まで整っていた。
「お嬢様、本日は公爵様がいらっしゃるとのことで、朝からその準備に入らせていただきます。軽くお顔を拭かれた後、軽食をお召し上がりください。その後は、湯あみとマッサージ、御髪を整え、ドレスやアクセサリーを合わせていただきます」
「こ、こんなに早くから準備をするの?」
「公爵様がもしお昼頃にお見えになった場合、準備が間に合わない状態でお目にかかるわけには参りませんので。本日はお嬢様のお仕度の他、旦那様、奥様、そしてお屋敷の準備も行っておりますので、大変慌ただしくなります。使用人一同、一心にお勤めさせていただきます」
「そ、そう…」
淡々と説明され、もうこれは身を任せるしかないとアマリアも決心した。
ケイシーがアマリアの前に跪き、両手を握りしめてきた。
「お嬢様、この度のご婚約、本当におめでとうございます。お嬢様にお仕えして6年になりますが、このように喜ばしい日をお迎えになれて本当にうれしく思います」
ケイシーは目を潤ませながら、アマリアに微笑んだ。ケイシーはスタンリールの領地で雇い、アマリア付きの侍女になり、それ以降はアマリアのお世話はもちろん、お忍びの外出にも全て同行するほどアマリアにはなくてはならない存在だった。アマリアよりも4つ年上の20歳で、一人っ子のアマリアにとっては姉のように慕っている存在でもあった。
アマリアはそっと手を握り返した。
「ありがとう、ケイシー。私もまだ信じられないのだけれど、こうしてみんなに喜んでもらえると嬉しいことなのだと実感できる気がするわ」
「はい、お嬢様。レディーとして、これ以上ない名誉なことです。本日は、腕によりをかけてお嬢様を磨き上げていただきます」
「昨日も忙しかったのに、連日でみんなに申し訳ないわね」
「そんな、とんでもございません。スタンリール家使用人一同、朝から全員は張り切っていますよ。厨房も朝から市場に走ったり、料理の選定に力を入れていますもの」
「ありがたいわね。公爵様はお気になさらないようおっしゃったけれど、やはりそういうわけにもいかないものね…」
「できる限りのことは尽力しようとみんなで申しておりました。さあ、お嬢様もお時間がございません。急ぎましょう」
アマリアは腰をあげて、使用人たちの期待に応えないといけないと自分を奮起させた。
昼前にアルバートン公爵家の先触れが来て、公爵の到着はティータイム辺りになるだろうと目途もたち、厨房はティータイムに合わせたお菓子や軽食の準備に一層慌ただしくなり、玄関ホールから応接間など、お目にかかるであろう場所を中心に使用人たちは塵ひとつないように隅々まで磨き上げていた。
アマリアは美しい金髪を結い上げ、すらりとした首からデコルテまでが露わになった桃色のドレスに身を包んでいた。所々に縫い込まれた小さな宝石がお気に入りのドレスだった。今年の社交シーズンに合わせてあしらえたもので、本来なら夜会で披露するものだったが、公爵の前に出るとあっては、その一着を身に着けるのがふさわしいだろうと両親も勧めてくれた。
首にはミリアリアからもらった真珠の首飾りし、耳にはその揃いのイヤリングをつけていた。
元々化粧を濃くすることが苦手だったこともあり、今回は白い肌が映えるよう薄く頬に色をつけ、うっすらと紅を足すだけにした。
それでも、瞳は星を宿したように輝いており、ぷっくりとした唇もみずみずしく、アマリアを丹精込めて磨き上げたケイシーも悦に浸っていた。
ミリアリアも紫色の落ち着いたドレスに身を包み、エドワードと共にアルバートン公爵の到着を待っていた。
「できる限りを尽くしたけれど、行き届かなかったところも多いはず…アマリアの結婚のためにも、私たちも失敗は許されないわ、エドワード」
「あぁ、わかっているよ、ミリー。必ず、アマリアと我が家を認めてもらおう」
手の色を失わんばかりに握りしめるミリアリアをそっと抱き寄せ、エドワードが落ち着くように声をかける。
その様子をどこか他人事のように見つめていたアマリアもその緊張が段々と自分にも移ってきて、どきどきと鼓動が速くなってきた。
その時、門番から別の使用人に急ぎの伝言が来た。ついに、公爵様の馬車が邸宅に到着したのだ。
アマリアと両親、そして邸宅の使用人一同がその出迎えに玄関前に集まる。
優雅な所作で馬車から軽やかに降りたアルバートン公爵に、アマリアは一瞬見惚れ、これではいけないと慌てて淑女の礼をとった。
「このように盛大に迎えていただけて光栄だね。ありがとう、スタンリール侯爵」
エドワードが声をかけてもらったことで姿勢を直し、改めて挨拶を交わす。
「ようこそお越しくださいました。スタンリール家一同、心より歓迎いたします」
「大変、ご無沙汰をしておりました、アルバートン公爵様。この度は本当にありがとうございます」
「侯爵夫人もお変わりないようで安心した。怪我の具合はいかがだろうか」
「ありがたいお心遣い痛み入ります。昨夜の嬉しい報告以来、痛みも忘れるほどですわ」
「それは、よかった。アマリア。もう顔を上げて?婚約者殿の顔をよく見せておくれ」
「は、はい、公爵様。ようこそお越しくださいました」
アルバートンは一歩アマリアへと近づくとその手を取り、甲にそっとキスをした。
ぱっと頬を紅く染め、視線を交わすことも恥ずかしく、おどおどとうつむいてしまう。
アルバートンの手はそのままアマリアの細い腰へと回り、そっとその歩みを促すように力を込められた。
「今日もまた美しいよ、アマリア。そのような色合いも君にはよく似合うね」
「あ、ありがとうございます」
昨夜は確かアマリア嬢と呼ばれていたのに、もう既に2回もアマリアと呼ばれている。しかも一度は『婚約者殿』とまで呼ばれた。これはやはり何かの間違いではなかったようだ。私が公爵様とのやり取りのどこかで何かを間違ってしまって、婚約を結ぶことになってしまったに違いない。でも、もう今更、婚約のことはもう少し考え直す時間をくださいとも言えない雰囲気だし…とアマリアは一人悶々と考えながら、両親が応接間へ案内する後ろとしずしずとついていった。
応接間はそれそれはピカピカに磨かれ、窓から降り注ぐ日差しさえまばゆいほどだった。
アルバートンは長椅子に腰かけるとき、さりげなくアマリアを引き寄せ、自身の隣にさも当然のように座らせた。
一呼吸ほど、エドワードとミリアリアと執事たちはあっけにとられたが、すぐに持ち直し、笑顔でその向かいに腰かけた。
侍女たちが紅茶の準備を始めている。
アマリアは座ってもなお、自分の腰に置かれたアルバートンの手の熱さに緊張してしまい、緊張が解けないでいた。
「私とアマリアの婚約の件で今日はお伺いした。侯爵家の大事な一人娘であることは重々承知しているが、私はどうしてもこの婚姻を結びたいと考えている。侯爵家の今後も考えると本来なら私が婿としてこちらに入ることも望まれるだろうが、私は2年前に公爵家の当主となってしまった以上、それは難しい」
「こ、公爵様、そのようなことまでお考えくださるなんて、なんというお心遣いでしょう…」
ミリアリアがそっと口元に手をやり、感動のあまり目は既に潤んでいる。
「婚姻を結ぶのだから、もう家族として配慮するのは当然だろうと思う。私には弟もいるので、こちらの養子に迎えてもらって、侯爵家を継がせても構わない。私とアマリアの間に二人以上の子供が生まれればそのどちらかをこちらの跡継ぎにするのがいいかもしれないが、それまでにはかなりの時間もかかるだろう。弟も領地経営をずっと手伝ってくれているし、留学をしてそちらのほうには長けていると思う。一度、顔合わせをさせてもらえると嬉しいが、どうだろうか」
アマリアは娘心にも、これはまたとない申し出だということはわかっていた。
正直に言って、エドワードの領地経営も、新しく何かを生み出すことも芳しいものではない。祖父である先代からもかなり強く叱責されることだって、いまだにあるほどだ。
公爵家のサポートどころか、養子に迎えることができるなんて喉から手が出るほどの申し出である。
「まぁ、でも、今日はアマリアのことが先だね。すまないね、置いてけぼりにしてしまって怒ったかい?」
両手を膝の上に重ね、固まり続けていたアマリアに、アルバートンが声をかけ、片手でアマリアの両手を包み、瞳をのぞきこんできた。
「そ、そんなとんでもございません。ありがたいお話に感動していたところですわ」
「なら、よかった。アマリアもそう固くならないで。難しい話はまたご両親とするからね。今日はアマリアを公爵家に迎える日のことを話にきたんだよ」
アマリアに話す時のアルバートンの声色はとても優しいと思う。うっとり聞き入ってしまいそうになる。しかも見たこともないほどの美貌なのだ。その美しさに見惚れているうちにきっと昨夜も何か聞き逃したり、うっかり何かに頷いてしまったりしたのかもしれないと、はっと我に返った。
「迎える日というのは…?」
アマリアの不安を、ミリアリアが代弁してくれた。
するとアルバートンが両親へと向き直り、にこやかに宣言した。
「三日後にこちらに迎えを出しますので、アマリアはそのまま公爵家に来てもらう予定です」
「三日後…?!」
あまりの急な出来事にアマリアはもちろん、両親も目を丸くしていた。
しかし、アルバートンだけは至極当然のことのように説明を続ける。
「アマリアは素晴らしい女性だ。私が婚約者に迎えたいと思ったのは、アマリアただ一人。それだけはまずお伝えしたい」
突然始まったアマリアの称賛に、両親はどこか誇らしげに微笑し、アマリアは益々顔を紅く染めて縮こまる。
「しかし、公爵家の夫人になるための教育はできるだけ早くから始めた方がよいと思う。ここから通うことも、こちらに家庭教師をやることも考えたが、どちらも不便で非効率的だ。アマリアには公爵家で教育を受けてもらい、これからのことを知っておいてほしい。アマリアは公爵夫人になったら、社交の中心にもなるだろう。その時に恥ずかしい思いをできるだけさせたくない。デビューしたばかりの君には荷が重いかもしれないが、私たちはそのサポートを全力でするから安心してほしい。もちろん、ご両親の元には好きなときに帰るといいよ」
にこりと微笑まれたが、アマリアは『公爵夫人』という言葉の重みに一瞬ぐっと体がこわばってしまった。
16歳のデビューしたばかりの自分にそんな大役が務まるのだろうか。でも、それをこなすためには公爵家で教育を受けることは最善のことのように思える。
「アマリア…、公爵家でやっていくということは、我が家とは全く違うものになるだろう。家格が違うところに入るというのは、想像以上に大変だよ。アマリアはとてもいい子だ。これまでもスタンリールを継ぐための勉強を怠ったことはない。でも、公爵夫人になるために学ばないといけないことはまた変わってくる。ここは、アルバートン公爵様の邸宅で婚約者として住まわせてもらうのがいいと思う」
父が言ったことは、自分の経験から来る嘘偽りのない本心だと率直に伝わってきた。
父は、没落寸前の男爵家から、侯爵家に婿入りし、数えきれない苦労をしてきたから、これからアマリアが経験するかもしれない苦労を想像して、そう言ってくれたにちがいない。
「そうね、アマリアと離れるのは寂しいけれど、それは親の欲よね。アマリアの幸せを考えるのが一番ね」
母もその言葉を後押しする。それでもアマリアの頭の中では『婚約』『公爵夫人』『教育』など次々と出される言葉に圧倒されて、曖昧に頷くしかなかった。
優しい両親が自分のことを思って了承してくれるなら、それが良いのかもしれないと漠然と考えていた。
アルバートンがアマリアの手に添えていた自分の手に力をぐっとこめたので、はっとアマリアはアルバートンを見た。
「優しいご両親だね、アマリア。私もお二人のようにアマリアを大切にするからね」
低く、耳にすっと入る甘い声にうっとりと聞きほれていた。
その時、アルバートンと共に来ていた青年が応接間に入ってきた。そのまま、アルバートンのそばまで近づき、耳元でそっと話すと、礼をして、アルバートンの後ろに控えた。
アルバートンが、にこやかに微笑むと、アマリアの手を握り、ソファから立ち上がった。
わけがわからないまま、アマリアも立ち上がる。
「ようやく準備ができたようだ。一度、ホールに向かってもいいかな?」
「え、あ、はい」
「侯爵と侯爵夫人もどうぞ」
三人が促され、玄関ホールに戻ると、そこには埋め尽くさんばかりのラッピングされた箱や花束があった。うず高くつまれた革の張られた箱からは反物が溢れている。
「あ、あの…これは…?」
「少ないけれど、私からのアマリアへの贈り物だよ」
「まあ、こんなにもたくさん…!」
感激のあまり声を震わせて母が目の前に広がる光景にうっとりと見入っている。
アマリアは「少ない…?」と自分の聞き間違いではないかと、隣にいるアルバートンを見上げると、アルバートンは微笑みながらアマリアを引き寄せた。
「急ぎだったから、これくらいしか用意できなかったけれど、アマリアを公爵家に迎えるときにはもっときちんと準備するから、とりあえずこれで許してほしい」
「そんな、もうこれ以上は私にはもったいないです」
「ふふっ。アマリアは欲がないね。それもまた魅力的だけれど」
アルバートンはアマリアの頬にキスをすると、控えていた侍女たちから黄色い声があがった。普段は静かに使えている彼女たちでも、乙女心をくすぐられたらしい。
アマリアは恥ずかしさのあまり、うつむいてしまう。
アルバートンがエドワードとミリアリアに向き直り、アマリアと二人で話したいと言うと、二人は喜んで中庭を案内するようにアマリアに言った。アマリアはアルバートンを先導して、邸宅の奥の中庭へを進んでいった。
中庭は庭師が丁寧に手入れしてくれており、四阿への道も季節の花々が美しく咲き誇っていた。四阿には白いガーデンベンチとテーブルがあり、アマリアはこの四阿でティータイムを過ごすのがお気に入りだった。
「アマリアはどんな花が好きなのかな?」
「そうですね、私は、フリージアが好きです。領地でも栽培に力を入れているんです」
「アマリアにぴったりの可憐な花だね。アマリアの香水もフリージアだろう?」
「そうなんです。お気づきくださって嬉しいです。領地のフリージアを収穫して香水にしようとしているんですが、まだ少量しかできていなくて…」
「そうか。我が家が手伝えることはきっとたくさんあるから、これからは気兼ねなく言ってほしい」
「ありがとうございます、公爵様」
「アマリア、公爵様はもう他人行儀過ぎるよ。ヘンドリックと呼んでくれるかい?」
アルバートンに顎をすくわれ、目線が合う。アマリアはおずおずとアルバートンの名を声にする。
「…ヘンドリック様」
「まぁ、いい。段々と慣れてくるだろうから」
顎に添えられていた手が、柔らかなアマリアの髪を撫でた。一房をそれをすくい上げるとそっとキスをした。
アマリアは一連の流れるような動作にうっとりと見惚れ、ふと思っていたことを口にした。
「ヘンドリック様、私、昨夜何かしてしまったのでしょうか?」
「どういうことだい?」
「私、ヘンドリック様を見ていると、あまりの美しさに何も考えられなくなってしまって。昨夜もその、婚約のお話をちゃんと聞いていなかったのではないかと思って」
「いや、何も粗相なんてしていないよ。でも嬉しいな。アマリアが私の顔をそんなに気に入ってくれていたなんて」
「あ、あの…」
あまりに直接的に言い過ぎたとアマリアは今更ながら沸き起こる羞恥心に両手で顔を覆った。
「アマリアに一目惚れしたのは私だから。でも、確かに言葉が足りなかったかもしれない。だから、ここでやり直させてもらえるだろうか」
すると、アルバートンはアマリアの前に跪き、その手を取ると甲にキスをした。
「アマリア、私の心は既にあなたのものだ。生涯、アマリアただ一人を愛するとここに誓おう。そして、アマリアもまた、私一人を愛すると誓ってほしい。アマリアの愛を得るためなら、私は地獄でも喜んで飛び込もう」
アルバートンはジャケット裏から小さな革の箱を取り出し、開けてみせた。そこには、ブルーダイヤモンドとオニキスがあしらわれた指輪があった。
「受け取ってもらえるだろうか」
「…私でよろしければ、喜んでお受けいたします」
アルバートンがアマリアの薬指に指輪をはめると、サイズもぴったりで、アマリアは指輪の美しさもさることながら、昨夜からの今日でここまで準備をしてくれたことに感動していた。
跪いていたアルバートンはすっと立ち上がると、アマリアを抱き寄せ、その小さな頭に顔をうずめた。
「アマリア、嬉しいよ。これほど嬉しいことが私の人生に本当に起きるなんて信じられないくらいだ」
「はい、私も嬉しいです、ヘンドリック様」
中庭で控えていた者たちも、その奥から二人の様子を見ていたアマリアの両親も、涙を浮かべて二人を祝福していた。
流れるようにここまで来てしまったと思っていたアマリアが、一つ自分で決断したと思えた出来事だった
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