【完結】薔薇の花と君と

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新しい日々は、フィランヌを変えて行った。毎日楽しいのだ。勉強も友達とのおしゃべりも。
特に前から興味のあった魔法についてはよく学んでいる。幸い、才能もあるようだ。
指導教官に褒められることが多い。
教師には嫌な思い出しかなかったが、帝国に来て認識は変わった。
「フィー、今日はケーキを食べましょうよ」
「いいわね」
帝国の食文化は豊かで、フィランヌはカフェというものに初めて行ったとき、友達が驚くほど、目をキラキラさせたものだ。
基本的に大人しいフィランヌだが、このときは楽しいのがよく伝わってきた。
一緒にいたみんなはフィランヌのかわいさに負けた。
それからは新しいお店やお気に入りのお店に積極的にフィランヌを連れて行ってる。

フィランヌの友達は女の子ばかりだ。
フィランヌは物静かで積極的に発言したりしないし、男の子とほとんどしゃべらない。だが、実は人気があった。
「なんていうか、可愛らしいよな」
「そう、はにかむ顔が最高」
「お前、先に声かけるなよ」
「いや、大人しいし、驚かせちゃうよ」
「そうなんだよなあ」
みんなフィランヌと話したい。でも、怯えさせたくはない。
なんとなく遠巻きに気にしている。
話しかける勇気のある男の子はこの学年にはいないらしい。

フィランヌ本人は恋より魔法に夢中だった。学園の教師だけでは足りず、貴族の中でも一番魔法が得意な公爵令息に弟子入りした。
「君、しつこいよ」
最初、ダルナルトには何度も断られたが、フィランヌが憧れている魔法使いは彼だけだ。
なけなしの勇気を出して、お願いしたら、すぐに断られた。
でも、一度声に出して言えたら、その後も何回でもお願いできた。
「もう、しかたないな」
何十回目だったろうか。ダルナルトが頷いてくれたとき、フィランヌはうれしくて跳ね回りたくなった。

「僕は厳しいよ」
「がんばります!」
フィランヌは少しずつ強くなっていたのだ。帝国に来て新しい友達ができて、
大好きな魔法を毎日学んで。
ダルナルトの魔法は素晴らしい。
災害を防いだり、病気を治したり、それでいて偉ぶらない。無愛想ではあるが。
フィランヌももっとたくさん魔法を身につけて、人のためになりたい。
いつかそれがフィランヌの夢になっていた。
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