クレール 光の伝説「迷走の【吊られた男《ハングドマン》】」

神光寺かをり

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夜明け、あるいはエピローグ

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 朝靄の食卓。

「ったく、危なっかしいヤツだぜ、お前は」

 しなびたリンゴをかじりながら、ブライトがぼやくように言う。

「油断するから痛い目に遭う。……ま、目の保養にはなったが」

 彼は網膜に前日の光景を焼き付けていた。男の形をした若い娘の肢体に、血管の浮いた長大で赤黒い「男の肉体の一部」がまとわりついているその様を思い出し、ほくそ笑んだ。

「私はあなたを信頼しているのですよ。あなたが必ず助けてくれると信じているから、油断もできる」
 エル=クレールの微笑み。
 それは大理石の彫刻の物でも白磁の人形のそれとも違う、一人の少女の笑顔だった。

「……その油断を夜中の寝室でもしてくれてりゃぁ、夜這いのし甲斐もあるのにさぁ」

 ブライトは、ようやく腫れの引いた左頬と、まだだいぶ腫れている右頬とをさすった


【このエピソード、了】
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感想 1

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みんなの感想(1件)

蒼月丸
2024.09.20 蒼月丸

いい作品なのでお気に入り登録しました!お互い書籍化目指して頑張りましょう!

2024.09.21 神光寺かをり

ありがとうございます、がんばりましょう!

解除

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