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第25章 成長する子供達と主人公
娘の結婚は反対です!
しおりを挟む「結局本当に泊まるし!」
「あうっ!」
「ひうっ!」
夜、セオドアは子供達の間にそう叫びながら倒れ込んで顔面を寝室の布団に埋めながら叫ぶ。これなら部屋に声が響かないのだが近くにいた子供達はびっくりだ。
また、まただぞ?
俺の部屋に泊まるの!部屋を準備したのに!また俺の部屋に泊まるんだ!
セオドアは怒りに震えた。
俺の自室は客間じゃない。アミィール様から貰った部屋で、アミィール様と過ごし、子供達が遊ぶ部屋でもある。なのになんでそう簡単に奪える?
「………俺の部屋なのに………ぐずっ」
怒りすぎてグズグズと泣き始める父親を子供達は撫でる。嬉しいけれど、それが更に俺を凹ませた。
ダメな父親を晒すなんて………何もかもあの勝手な兄のせいだ。とはいえ、今回は2日しかいないと言っていた。プラス思考で乗り切るしかない。
にしても…………
セオドアは涙を拭きながらちら、とセラフィールを見る。セラフィールは心配そうにこちらを見ている。
セフィロトは十中八九、セラフィールを好きだ。当然といえば当然で、セラフィールはこんなにも可愛いんだから男にモテるのは間違いなしなのだ。
けれども、………まだその現実を受け入れたくない。セラフィールがもしセフィロトを好きになって『婚約したい』とか『将来の夢はセフィロトのお嫁さん!』とか言うようになってみろ?俺は泣く自信しかない、これは絶対だ。
「パパ?」
「パパ?」
そこまで考えて子供達をまとめて抱き締める。絶対嫌だ。セラフィールはお嫁さんにやりたくない。こんな可愛い娘を嫁になどやれるか。…………嗚呼、ラフェエル皇帝様が何故婚約の時あのように怒ったか今ならわかる。こんなの耐えられない。耐えられるわけがない。
セオドアはそれを噛み締めながら言う。
「セラ、…………絶対、絶対私とアド、ラフェエル皇帝様以外の男と近づいちゃダメだよ、セフィロトもダメだ。それ以外の男に言い寄られるのは私が認めないからな?」
「う?にゃんで?」
「パパが悲しむからだよ。絶対ダメだよ?
アドも男の子なんだ、セラを守れるのはお前しかいないんだからな」
「げえ……セラまもるくない」
アドラオテルはそう言って嫌そうな顔をする。それを聞いたセラフィールはむ、としてアドラオテルを睨む。すると、アドラオテルもセラフィールを睨みつけた。いつも仲がいいのにたまに二人の間に無言が走るのだ。謎ではあるが、今はそれは置いておこう。
セオドアはアドラオテルの頭を撫でて言う。
「男は女の子を守るんだよ。アドは男の子だろう?お姉ちゃんを守るんだ、アドが」
「ハッ!」
「ぶう!」
アドラオテルはぷい、と顔を逸らす。セラフィールはほっぺたを膨らませた。やはり、どちらも可愛い。
「ふふ、セオ様、また面白い話をアドとセラにしているのですか?」
「アミィ!おかえり」
そんなことを話していたら、お風呂から上がったアミィールがくすくすと笑いながら歩いてきた。夜着の隙間から覗く白い肌を見て、以前兄上が居るにも関わらず行った営みのことを思い出して、顔を赤らめた。あの時が1番昂った。隠れて行うのが好きなのかもしれない。
「………ッ」
そんなことを思っていると欲情してきた。ああ、20歳だからな、盛んなんだ!
開き直りに近い気持ちを持ちつつ、アミィールに言う。
「アミィ、今から子供達を寝かせるよ。………だから、その………」
「……………心得ております。わたくしも、一緒に絵本を読ませますわ。
セラ、共に本を読みましょう」
アミィールはそう言って優しく笑った。
やはり俺の奥さんは読心術が使えるようだ。本当に俺のことを知り尽くしている。嬉しくて、恥ずかしいセオドアは顔を赤くしながらアドの好きな絵本を手に持ち言う。
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