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第21章 元龍神の末裔の『呪い』
カミングアウト
しおりを挟む「あ~面白かった~ねえ、セオくん。私たちの喧嘩は凄いでしょ?」
「凄い凄くない関係なしにこんなことをするのはおやめ下さい!アミィール様は身重なのですよ!」
アトランティスの通路にて、アルティアとセオドア、アミィールという順番で並びながら歩いていた。昨日は緊急事態だったから転移魔法を使ったけれど、此処から城に転移するのは疲れるらしく、外まで歩こうということになったのだ。
アミィールはセオドアの服の裾を掴みながら、笑顔で毒づく。
「本当にお母様は『魔法だけ』は凄いですね?それで人格破綻者でなければ最強なんですけれど」
「あら?人格破綻者に負けた貴方はゴミかなにかかしら?口の利き方のなっていないゴミね。
ゴミはゴミらしくゴミ箱にぶち込みましょうか?」
「ふ、2人とも………喧嘩は………」
セオドアはまた喧嘩をしようとする2人を宥める。………この2人の喧嘩は本当に加減知らずなのだ。しかも2時間ぶっ通しで上位魔法をポンポンポンポン使うから、俺が潜っていたベッドは木片と化したし、布団は燃えたし、何より俺にまで魔法が飛んできて必死に防御魔法を唱えてたんだ。
リーブに習ってとても強い防御魔法を身につけたというのにそれだって最終的にヒビが入って割れたくらいだからそんな凶器をアミィール様に向けて欲しくない。
セオドアの必死すぎる宥めに、人が変わったようにアミィールは笑顔になり、セオドアを後ろから優しく抱き締めた。
「セオ様、安心してくださいまし。
わたくしの方が強いので死ぬことはありません」
「ハッ、あんな鼻くそみたいな魔法で私より強いなんて井の中の蛙というのは惨めねえ。それでしか自己肯定できないのだから」
「………………貴方は黙っててくださいまし。本当に殺しますよ?」
「やってみなさいクソガキ」
あ、やばい。また喧嘩が始まる。
そう敏感に察知したセオドアは話題を変えるために先程ガーランドに会ったことを話すことにした。
「き、聞いてください、私、先程___ガーランド様に会ったのです」
「___!」
「?」
ガーランド、という言葉に、前を歩いていたアルティアの足が止まる。アミィールは首をかしげている。
「ガーランド、とは誰ですの?」
「え?アミィは知らないのかい?アミィの___「セオくん、シャラプ」むっ!」
「セオ様!」
開いていた口を光の縄が巻きついた。轡をつけられた俺を他所にアミィール様は母親を睨む。
「ふざけないでくださいまし!今すぐこの縄を____」
「!」
アミィールはそういった途中で、ふ、と消えた。アミィール様が、消えた………!そんなの黙って見ていられない。けれど、轡のせいで喋れない。
「んーっ!んーっ!」
「そんなに睨まないで。アミィールは、城に転移させただけよ」
「っぷは!」
アルティアはそう言いながらぐ、と拳を突きつけて握った。すると、光の縄が解けた。酸素を沢山吸って、改めてアルティア皇妃様を見た。
「なんで、そんなこと………!」
「____ガーランドの話は、アミィールにしないで」
「は…………?」
アルティア皇妃様はぽつり、静かに言う。なんで……?だって、アミィール様の祖父じゃないか。なんで知らせてはならない?
キョトンとするセオドアを見て、アルティアは爪先で地面を叩きながらに言った。
「ガーランドは…………私のお父さんよ。けれど、アミィールに知らせることは無い。
だって、ガーランドを殺したのは____私だから」
「____ッ」
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