【R18】翼神のイタズラ PLAYER No.037 大橋道哉の場合

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イベントボスとコイバナと

「・・いや・・・・
　とりあえず集中してくんない？」

　人気MMO RPG 『アイロカ』の
　サマーイベントボス討伐。

　魔法攻撃メインの今回のボス戦で
　俺のメインキャラ（物理タンク役）は
　完全に二軍だ。

　とはいえ、
　無数に沸くボスキャラの取り巻きの物理攻撃が
　主にヒーラーに向かないように
　何人かの物理タンクはヒーラーの護衛役で
　参戦中だ。
　・・さほど忙しくない。

「いや、でも昨日の今日でよー」

　ヒーラーにいかないように
　スキルでヘイトを集めて
　寄ってきた雑魚を薙ぎ払いで一掃する。

　・・これの繰り返しだ。

「あーーーー！
　もう話は後で聞くから！！」

　対して、
　メインキャラが魔法アタッカーな相棒は
　滅茶苦茶忙しい。
　俺が相当ウザいに違いない。
　 
　―――15分後

　討伐完了の挨拶を終わらせて、
　早々に「報酬の相談は明日させて！」と
　ギルドメンバーに頼んで
　俺と相棒青木は
　早々にログアウトしたのだった。
　 
　青木宅近くにあるネカフェは
　平日の昼間は安いし、
　スペックが良いゲーミングPCが揃っている。
　更に隣り合う席の間の壁は取り外せる。

　実家住まいの俺達は、
　ちょっと邪魔されたくないボス戦なんかのときは
　二人でここを使っている。

「・・・・で
　・・何で俺がそんな相談に
　乗れると思ったんだよ？」

　ネカフェの飲み放題から持ってきた
　メロンサイダーを口に含んで
　青木はいかにもご機嫌斜め。

　・・まぁ、金払って
　家族に邪魔されないネカフェに来たのに、
　相棒からウザい相談で邪魔されたんだから、
　ご機嫌斜めにもなるだろう。

「いや、青木、頭良いし・・・」

「頭が良いとか悪いとかじゃねーだろ・・。
　俺、童貞だぞ・・・」

「いや、
　前に田口とのエッチでやらかした時は、
　溝口に相談したんだが・・」

　溝口というのは同じ高校に行っていたエロ男で、
　俺達と同学年の19歳にして
　経験人数が10人とか15人とか
　豪語している奴だ。

　溝口の名前に
　青木はあからさまに嫌な顔をする。

「『早漏でも直ぐに挿入できるように
　俺が開発してやってもいいけど？』
　・・とか言いやがって・・・・」

　今思い出しても、無茶苦茶気分が悪い。

　ズズッズズズズ！！

　残り少ないウーロン茶を
　へこませたストローで吸い上げる俺を
　青木はジト目で見る。

「いや、
　溝口なんぞに話したお前が悪いだろ・・」

「・・知り合いの中で一番
　経験値高い奴だし・・」

「・・・・もう溝口はいいや。
　田口に文句でも言われたの？」

　諦めたらしい青木の質問に溜息が出る。

「田口は文句とかは言わないけど・・」

「・・だよねー」

　俺と同じく
　高校時代から田口について知っている青木は
　納得したといった感じで言った。

　マジメ。
　大人しくて自己主張しない。
　引っ込み思案。
　優しい・・・etc・・・
　高校の同級生の田口に対する評価は
　多分、そんな感じだろう。

「土下座したら、
　びっくりはしてた・・・」

「・・・・お前の土下座安いな」

「仕方ないだろ。
　失敗続きで俺の土下座は
　いつでも下落傾向だ。
　・・キスしただけで興奮して
　一人で致した上にその後ずっと、
　役立たずだったんだぞ・・」

　自分で言ってて、だいぶ引く。

「・・・その後って・・」

「・・・挽回しようと思って、
　そのまま、何事もなかったように押し倒して、
　田口の胸を必死こいて揉んでたら・・
　滅茶苦茶痛そうな感じで
　涙目になったから・・・
　やめた・・・」

「・・・そりゃぁ土下座だな・・・」

「・・・・」
「・・・・」

　青木が可哀想な目で俺を見る。

　俺を見た後、
　暫く間を開けて不思議そうに聞いてくる。

「・・というか、
　田口に文句言われたわけじゃないのに、
　何をお前は焦ってるの？」

「・・・俺、
　田口を快楽堕ちさせたい・・
　なるべく早めに」

「・・・・・・・・・・・え？」
「なるべく早めに
　田口を快楽堕ちさせたい」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
　お前、
　大橋のクセに何言ってんの？」

　青木の顔から哀れみが完全に失せて
　呆れ100％になった。