悪役令嬢に転生しましたがコミュ障で意地悪できないでいると溺愛されてました

あさみ

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第2話

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「今夜のベアリング家でのパーティーの準備は整っていますか?」

パーティー!?

転生してから数日。
私は両親に「勉学に目覚めた」という設定で邸宅の図書室にこもり悠々自適な引きこもりニート生活を送っていた。
実際、本で学ぶ異世界の歴史はファンタジー小説のようでのめり込んでしまったし、魔法学の知識は私の中二心が満たされ楽しい毎日を過ごせていた。

そこへ朝食時に両親から突如知らされたパーティーの予定。しかも今夜!

驚きで目を真ん丸にしながらアミーリアの記憶をたどってみると、私が転生する1日前、アミーリアはうきうきでパーティーに参加する予定を組んでいた。

まずい。
パーティーなんてコミュ障最大の修羅場ではないですか!

「わ、私まだ学びたいことが多くて・・・。出来れば辞退したいのですが・・・。」
「あんなに楽しみにしていたのに何を言っておる。勉強などいつでもできるだろう。付き合いも貴族の仕事のうちだぞ。それにベアリング家主催なのだからお前がご執心なハリー様もいらっしゃるぞ。」
「年頃の娘が部屋に籠ってばかりではいけませんよ。夕方には出発しますから、準備をしておいてくださいね。」

ぐぬぬ・・・。
ベアリング家のハリーと言えば公爵家の令息で、ゲームではバリバリのメイン攻略対象。
確かこのパーティはゲームの最序盤、下流貴族の主人公とハリー、そして悪役令嬢の私が出会うエピソード。
もともとハリーが好きなアミーリアが、初対面なのにハリーと意気投合した主人公に嫉妬して影で紅茶をかけて恥をかかせるシーンがあったはず。
アミーリア、初対面相手に酷すぎるぞ!

このままでは今夜、物語が始まってしまう。そうなれば私も破滅人生ルートに一歩近づいてしまう。

いかん!これはいかんですよ!
何か対策を立てないと身が滅んでしまう!



朝食終了後、自室にこもってアミーリアと私の記憶を整理する。
アミーリアとハリーは貴族同士の交流で年に数回会う間柄。
アミーリアはハリーに片想いで熱心なアピールをしているけれど、ハリーはアミーリアの事を地位目当てでモーションをかけてくる多くの貴族の娘の一人と同じように扱われているよう。
そして社交界に初めて参加する下流貴族の主人公の裏表のない天真爛漫さに興味を惹かれ、それに気づいたアミーリアが嫉妬で紅茶をかけて嫌がらせをする、というエピソード。

むむむ。

誰とも会わずに人間関係を築かないつもりだったけれど、どうにもハリーに関しては面識があるよう。

でもこのエピソード、私ことアミーリアが主人公の邪魔さえしなければ、二人の恋は順調に育まれ、勝手にハッピーエンドになるのでは?
主人公とさえ接点を持たなければ、また接点が出来てしまっても意地悪さえしなければアミーリアの人生、大丈夫なのでは??

アミーリアの悪役令嬢としてのモチベーションはハリーへの恋心と主人公への嫉妬。恋愛干物コミュ障女の私は両方持ち合わせていないのだから、ただのモブとしてやり過ごせるはず!

そうと分かれば今夜のパーティー、コミュ障スキルで完全に気配を殺してみせますわ!おほほほほ!
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