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第1話
しおりを挟むぎょへぇぇぇぇ!!!!
薔薇柄フリルにレースてんこ盛りのかわいい寝具、贅沢な大きな窓に広々とした部屋。
目が覚めた時、全く覚えのないゴージャスで乙女チックな空間に包まれていて、私は酔ってラブホ(行ったことはない)にでも泊まったのかと思った。
いや、それの方がどれだけマシだったか。
ひとまず顔でも洗って混乱する頭をスッキリさせようと洗面所に行った私は、冒頭の奇声をもう一度上げることになる。
「なに、これ・・・。」
透き通るような白い肌。大きくも切れ長の知性を感じさせる目元。ナイトキャップを外せば流れ出す滑らかな薄紫がかった銀髪。
コスプレイヤーかよ!!!
鏡に映ったのは、いつも見慣れた小太りアラサー黒髪コミュ障女子の私ではなく、どこの海外の方とも違う髪と瞳の色、どちらかと言えば2次元ファンタジーに出てきそうな華やかな容姿の若い女だった。
いや、このビジュアルどこかで見たことあるような・・・。
「うっ!?!?」
その時、急に頭の中に膨大な映像が流れ込んできた。
それは一人の女性が子供から現在に至るまでの記憶の様だった。
「これって、もしかして・・・。」
私はこの記憶に一つ心当たりがあった。
乙女ゲーム「ロマンス☆ウェディング」主人公のライバル悪役令嬢、アミーリア・ビセットのキャラ設定そのものだったのだ。
脳内にある記憶を総動員して考えた結果、どうやら私、日本のアラサーOL佐藤淑子は、現代の記憶そのままにゲームの世界の悪役令嬢に転生してしまったようだった。
「なんてこったい・・・。」
へなへなとその場にしゃがみ込む私。
さらに記憶をたどると、アミーリアは確かエンディング次第では主人公を虐めすぎて国外追放もあったんじゃなかったけ?
それはマズイ!非常にマズイ!!
私はアミーリアと佐藤淑子の記憶をかき集めて頭をフル回転させた。
ゲームを数回プレイした結果、アミーリアには良いエンディングが用意されていなかったこと。現時点ではアミーリアは主人公と出会っていないこと。
・・・。
よし、決めた。
私はコミュ障なのだから、主人公とイケメンを取り合って、恋愛ゲーム勝利して幸せになることなんて到底無理!
記憶によればアミーリアの実家は上流貴族。
女で一人生きていくには十分な資産もあるはず。
私は主人公にも攻略対象のイケメンにもこのまま会わず、一生引きこもって平和に生きてやる!
コミュ障、陰キャ、引きこもりの私のスキル、この世界で存分に使わせてもらうわ!ふはははは!
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