悪役令嬢に転生しましたがコミュ障で意地悪できないでいると溺愛されてました

あさみ

文字の大きさ
1 / 3

第1話

しおりを挟む

ぎょへぇぇぇぇ!!!!

薔薇柄フリルにレースてんこ盛りのかわいい寝具、贅沢な大きな窓に広々とした部屋。
目が覚めた時、全く覚えのないゴージャスで乙女チックな空間に包まれていて、私は酔ってラブホ(行ったことはない)にでも泊まったのかと思った。

いや、それの方がどれだけマシだったか。

ひとまず顔でも洗って混乱する頭をスッキリさせようと洗面所に行った私は、冒頭の奇声をもう一度上げることになる。

「なに、これ・・・。」

透き通るような白い肌。大きくも切れ長の知性を感じさせる目元。ナイトキャップを外せば流れ出す滑らかな薄紫がかった銀髪。
コスプレイヤーかよ!!!

鏡に映ったのは、いつも見慣れた小太りアラサー黒髪コミュ障女子の私ではなく、どこの海外の方とも違う髪と瞳の色、どちらかと言えば2次元ファンタジーに出てきそうな華やかな容姿の若い女だった。

いや、このビジュアルどこかで見たことあるような・・・。

「うっ!?!?」

その時、急に頭の中に膨大な映像が流れ込んできた。
それは一人の女性が子供から現在に至るまでの記憶の様だった。

「これって、もしかして・・・。」

私はこの記憶に一つ心当たりがあった。
乙女ゲーム「ロマンス☆ウェディング」主人公のライバル悪役令嬢、アミーリア・ビセットのキャラ設定そのものだったのだ。

脳内にある記憶を総動員して考えた結果、どうやら私、日本のアラサーOL佐藤淑子は、現代の記憶そのままにゲームの世界の悪役令嬢に転生してしまったようだった。

「なんてこったい・・・。」

へなへなとその場にしゃがみ込む私。
さらに記憶をたどると、アミーリアは確かエンディング次第では主人公を虐めすぎて国外追放もあったんじゃなかったけ?

それはマズイ!非常にマズイ!!





私はアミーリアと佐藤淑子の記憶をかき集めて頭をフル回転させた。
ゲームを数回プレイした結果、アミーリアには良いエンディングが用意されていなかったこと。現時点ではアミーリアは主人公と出会っていないこと。

・・・。

よし、決めた。

私はコミュ障なのだから、主人公とイケメンを取り合って、恋愛ゲーム勝利して幸せになることなんて到底無理!

記憶によればアミーリアの実家は上流貴族。
女で一人生きていくには十分な資産もあるはず。

私は主人公にも攻略対象のイケメンにもこのまま会わず、一生引きこもって平和に生きてやる!
コミュ障、陰キャ、引きこもりの私のスキル、この世界で存分に使わせてもらうわ!ふはははは!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

悪役令嬢の取り巻き令嬢(モブ)だけど実は影で暗躍してたなんて意外でしょ?

無味無臭(不定期更新)
恋愛
無能な悪役令嬢に変わってシナリオ通り進めていたがある日悪役令嬢にハブられたルル。 「いいんですか?その態度」

嫁ぎ先は悪役令嬢推しの転生者一家でした〜攻略対象者のはずの夫がヒロインそっちのけで溺愛してくるのですが、私が悪役令嬢って本当ですか?〜

As-me.com
恋愛
 事業の失敗により借金で没落寸前のルーゼルク侯爵家。その侯爵家の一人娘であるエトランゼは侯爵家を救うお金の為に格下のセノーデン伯爵家に嫁入りすることになってしまった。  金で買われた花嫁。政略結婚は貴族の常とはいえ、侯爵令嬢が伯爵家に買われた事実はすぐに社交界にも知れ渡ってしまう。 「きっと、辛い生活が待っているわ」  これまでルーゼルク侯爵家は周りの下位貴族にかなりの尊大な態度をとってきた。もちろん、自分たちより下であるセノーデン伯爵にもだ。そんな伯爵家がわざわざ借金の肩代わりを申し出てまでエトランゼの嫁入りを望むなんて、裏があるに決まっている。エトランゼは、覚悟を決めて伯爵家にやってきたのだが────。 義母「まぁぁあ!やっぱり本物は違うわぁ!」 義妹「素敵、素敵、素敵!!最推しが生きて動いてるなんてぇっ!美しすぎて眼福ものですわぁ!」 義父「アクスタを集めるためにコンビニをはしごしたのが昨日のことのようだ……!(感涙)」  なぜか私を大歓喜で迎え入れてくれる伯爵家の面々。混乱する私に優しく微笑んだのは夫となる人物だった。 「うちの家族は、みんな君の大ファンなんです。悪役令嬢エトランゼのね────」  実はこの世界が乙女ゲームの世界で、私が悪役令嬢ですって?!  ────えーと、まず、悪役令嬢ってなんなんですか……?

悪役令嬢が睨んでくるので、理由を聞いてみた

ちくわ食べます
恋愛
転生したのは馴染みのない乙女ゲームの世界だった。  シナリオは分からず、登場人物もうろ覚え、タイトルなんて覚えてすらいない。 そんな世界でモブ男『トリスタン』として暮らす主人公。 恋愛至上主義な学園で大人しく、モブらしく、学園生活を送っていたはずなのに、なぜか悪役令嬢から睨まれていて。 気になったトリスタンは、悪役令嬢のセリスに理由を聞いてみることにした。

ヒロインだと言われましたが、人違いです!

みおな
恋愛
 目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でした。  って、ベタすぎなので勘弁してください。  しかも悪役令嬢にざまあされる運命のヒロインとかって、冗談じゃありません。  私はヒロインでも悪役令嬢でもありません。ですから、関わらないで下さい。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

悪役令嬢に転生しましたが、全部諦めて弟を愛でることにしました

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に転生したものの、知識チートとかないし回避方法も思いつかないため全部諦めて弟を愛でることにしたら…何故か教養を身につけてしまったお話。 なお理由は悪役令嬢の「脳」と「身体」のスペックが前世と違いめちゃくちゃ高いため。 超ご都合主義のハッピーエンド。 誰も不幸にならない大団円です。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...