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第二章 赤の瞳と金の瞳

第72話 黄竜はお知り合い?

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 空は晴れ渡っていて、きれいだ。どこを探しても黒い影は見当たらない。

「ブレイド、大丈夫だからおろして?」
「ダメだ。またエマを狙われるかもしれないだろ」

 抱き上げている腕に力がこもる。恥ずかしいけれど、私はそれに従った。

「エマ!!」
「ルニア!」
「今の声はなんだ!? またあいつがきたのか!?」

 ルニアと一緒に運動をしていた人達が次々と集まってくる。全員にこの姿を見られてしまうのか。恥ずかしい度がどんどん上昇してしまう。
 いまは、声の主を探すのが先よ! と自分に言い聞かせる。

「――エマ様ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 突然、上空から子どもが降ってきた。私は慌てて手を伸ばす。ちょっとまって、このままじゃブレイドごとドスンじゃ……。
 その心配は杞憂になった。
 腕の中に落ちてきた金色の髪の子どもはにこにこしながら数ミリ残して浮いている。どういう仕組み? 背中側を見ると、竜の翼(小)があった。

「え、あの、誰!?」

 まったく覚えがない男の子。金色の髪はふわふわサラサラでルニアみたい。目の色は左が青と右が緑の二つを持っていてキラキラと輝いている。か、可愛い!!
 って、この子がさっきの竜の声の主!? 見た目はこんなに可愛いのに……。どこからあの凶悪そうな声が出るの?

「ひどい。忘れてしまったんですかぁ?」

 男の子はまんまるな目に涙を浮かべ訴えてくる。けれど、まったくこれっぽっちも思い当たらない。一度見れば忘れる訳ないくらいに可愛いのだもの。

「ごめんなさい。わからないわ」

 私が謝った瞬間、いつの間にか人の姿に戻っていたスピアーが手を伸ばして男の子を捕まえた。いつもはスピアーがブレイドにやられる側なのに、なんて思ってしまう。
 いつもなら、のブレイドはというとどう対応すればいいのか迷っている風だった。この子見た目は子どもだものね。

「フレイル、お前また小さなっとるな」
「……やぁ、スピアー。久しぶりぃ。何年ぶりかなぁ」
「知らんわ。てか、エマちゃんに近寄んな」
「えぇー、エマ様は僕が見つけたんだよぉ? 僕が最初に、ねぇ」
「いやいや、エマちゃん知らんゆーとるやろ?」
「あの、スピアーはこの子の事知ってるの?」

 男の子はフレイルと呼ばれていた。二人はずいぶんと仲良しそうにみえるけれど、知り合いなのかな……。

「さっき話しとったやろ。仲良しがぎょーさんおったって、そのうちの一人や。黄竜のフレイル。変な研究とか大好きな変なヤツ」
「変な研究じゃないよぉ。僕は真理の探求をしてるだけだよぉ」

 フレイルはスピアーの手から離れて地面に降り立つ。どう見ても幼い少年にしか見えない……。
 そして、こんな小さな知り合いはいなかったと思う。

「……どうして、レイと同じ顔なんだ?」

 ゆっくりとルニアがフレイルに近付く。えっと、ルニアも知り合いなの?

「……あぁ、ルニア姉様もおられたのですね。お久しぶりです。元気でしたか?」

 …………え? 待って、フレイルって、ルニアの弟!?
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