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world:01 猫耳転生とJ世代
第10話・超爆誕ニャン!!!
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みんなのおかげで、なんとかベルノを助け出すことが出来た。無事で良かった、ほんっと良かった。結局ウチは自力でなにも成し得ていないけど……そんな反省なんて後でいい。
今はまずこの子だ。白い毛並みにしっぽの先の焦げ跡、そして金色の瞳。なによりウチの呼びかけに反応している。……間違いなくウチの飼い猫のベルノだ。
「幼い事に死に別れて再会したのが白亜紀って……」
小さいもふもふが震えている。川の水を浴びているし、いつからあそこに放置されていたのかわからないしで体力が心配だ。
「この子もチョコで体力回復するかな?」
〔それはわかりません。流石に猫まで想定していないので……〕
と言うか、こんな弱肉強食の時代に転生させた馬鹿神はどこまでアホなんだ? 子猫のままってエサにしかならんだろ。
「ったく、擬人化するとか考えなかったのかよ」
〔ですがもし擬人化していたら、あなたの飼いネコと気が付かなかったのでは?〕
……あ、それもそうだ。むしろ結果から見れば良かったと思うべきか。まあ、納得出来ないけど。
「ベルノ、ちょっと口開けて~」
と、薬を飲ませるときの要領で口を開き、小さく割ったチョコを放り込んだ。これで体力回復してくれればラッキー、ダメだったら火を起こして暖めなきゃ。
しかし、運命というものは、アッサリとウチを裏切ってくれる。悪い方にも、良い方にも。
――煙deポンッ!!
「猫耳モフモフ美少女超爆誕ニャン!!」
どこかで聞いたようなセリフとともに、猫耳モフモフ”幼女”が。まあ、なんというか死ぬほど、愛い!
「え、ライズ化? ……ベルノは猫やぞ!?」
〔あらあら、なんてことでしょう〕
「ちょ、おま、恐竜を変身させるスキル言うてたやないか。『あらあら』じゃないっての!」
ふわふわのしっぽと猫耳。人間年齢で言えば五~六歳くらいだろうか。アーモンド形の瞳はクリクリしていて、ほっぺはプニプニ。そして、一瞬アンバランスにも思えるゴスロリ調のワンピースが、小悪魔的演出にひと役買っている。なんというかもう……食べたくなる可愛さ! そして、萌え系を極めたような可愛い声。超萌えボな娘だ。
「はうぅ……かわゆいですぅ~」
ちなみにプチは木の上に逃げていた。猫パンチがよほど嫌だったのだろうか、『かわゆい』言いながら逃げてる矛盾、それもまた可愛い。
「マジか~」
〔あら、嫌なのですか?〕
「嫌とかそういうんじゃなくて、なんかすごく複雑な心境というか、思考がおいつかねぇ……」
「……なんだコイツ? 食っていいか?」
いたずらっぽく笑いながら言うティラノ。
「やめて下さいティラノさん私のです!」
さっきまでなら怒っていたこの一言に、今なら笑って返せる。それは……ウチが彼女達に持っていた先入観、弱肉強食に生きる野生生物への“間違った認識”に気づかされたからだ。
♢
ベルノを助けるために丸太を渡っているとき、なんとなくティラノに聞いてみた。
「さっきワニを蹴り飛ばしたじゃん?」
「ああ、綺麗に入っただろ、あのまわし蹴り!」
「……うん、綺麗だった。ってそうじゃなくて。この木を切る時に使った技あるでしょ、レックス・ブレードだっけ? 最初からあの技使っていればサクッと倒せたんじゃないの?」
「はぁ? なにいってんだオメー?」
この時、ウチには思いもよらない返答があったんだ。
「あんな強力な技使ったら、アイツ殺しちまうだろ?」
「でも、殺して食べるんじゃないの?」
「確かに俺様達は食べるために殺す。だけど腹が減ってねえ時に、意味なく殺すことはありえないぜ?」
ショックだった、マジでその通りだ。知っていたハズなんだけど、脳の隅っこにこびり付いていた程度の知識で、ウチは、そこまで考えが至ってなかった。
彼女達の考え方を変えようとか、押さえつけようとか、その時点で間違っていた。この時代を生き抜いてきた者としての考えを認めた上で、共存出来る道を模索し、理解することが必要だったんだ。
――こんな単純な事にやっと気が付いたよ。
「これが、ジュラシック世代の在り方なんだな……」
♢
「女神さん、頼みがあるんだけど……」
〔何でしょう?〕
「この娘達の為に、カバンから他の食材も出せる様にしてもらえないかな?」
〔良いですよ!〕
え……アッサリと言いやがった。渋ると思って土下座するつもりだったのに。
〔八白亜紀、あなたがこの時代に向き合う一歩となるのですから〕
「まあ、まだそれは微妙なんだけど……異世界転生諦めてないし」
〔ただし条件があります〕
「条件って?」
〔恐竜人を五人集めてください。それが出来たら許可しましょう〕
五人か。あと三人の……あれ?
「なあ、それってベルノも含むの?」
〔悩ましい所ですが、あなたのライズ化の効果なので含みましょう〕
「じゃあ、あと二人か。あ……」
〔どうしました?〕
「女神さんはライズに含まれますか?」
直後、ウチの脳天に無言のカカト落としが飛んできました。
〔バナナはおやつに入りますか? みたいな言い方をしないで下さい〕
“ぱふっ”とした蹴りで、小枝で叩かれた程度のダメージしかなかったけど。
「あ、あとさ……」
〔まだなにかあるのですか?〕
「もう一つ、大事な頼みがあるんだ……」
――――――――――――――――――――――――――――
〇ライズについて
恐竜を恐竜人化する“能力”や、“恐竜人”を総称してライズと呼ぶ。ライズを行う事象/行為についてはライズ化という書き方で区別できるようにしています。
今はまずこの子だ。白い毛並みにしっぽの先の焦げ跡、そして金色の瞳。なによりウチの呼びかけに反応している。……間違いなくウチの飼い猫のベルノだ。
「幼い事に死に別れて再会したのが白亜紀って……」
小さいもふもふが震えている。川の水を浴びているし、いつからあそこに放置されていたのかわからないしで体力が心配だ。
「この子もチョコで体力回復するかな?」
〔それはわかりません。流石に猫まで想定していないので……〕
と言うか、こんな弱肉強食の時代に転生させた馬鹿神はどこまでアホなんだ? 子猫のままってエサにしかならんだろ。
「ったく、擬人化するとか考えなかったのかよ」
〔ですがもし擬人化していたら、あなたの飼いネコと気が付かなかったのでは?〕
……あ、それもそうだ。むしろ結果から見れば良かったと思うべきか。まあ、納得出来ないけど。
「ベルノ、ちょっと口開けて~」
と、薬を飲ませるときの要領で口を開き、小さく割ったチョコを放り込んだ。これで体力回復してくれればラッキー、ダメだったら火を起こして暖めなきゃ。
しかし、運命というものは、アッサリとウチを裏切ってくれる。悪い方にも、良い方にも。
――煙deポンッ!!
「猫耳モフモフ美少女超爆誕ニャン!!」
どこかで聞いたようなセリフとともに、猫耳モフモフ”幼女”が。まあ、なんというか死ぬほど、愛い!
「え、ライズ化? ……ベルノは猫やぞ!?」
〔あらあら、なんてことでしょう〕
「ちょ、おま、恐竜を変身させるスキル言うてたやないか。『あらあら』じゃないっての!」
ふわふわのしっぽと猫耳。人間年齢で言えば五~六歳くらいだろうか。アーモンド形の瞳はクリクリしていて、ほっぺはプニプニ。そして、一瞬アンバランスにも思えるゴスロリ調のワンピースが、小悪魔的演出にひと役買っている。なんというかもう……食べたくなる可愛さ! そして、萌え系を極めたような可愛い声。超萌えボな娘だ。
「はうぅ……かわゆいですぅ~」
ちなみにプチは木の上に逃げていた。猫パンチがよほど嫌だったのだろうか、『かわゆい』言いながら逃げてる矛盾、それもまた可愛い。
「マジか~」
〔あら、嫌なのですか?〕
「嫌とかそういうんじゃなくて、なんかすごく複雑な心境というか、思考がおいつかねぇ……」
「……なんだコイツ? 食っていいか?」
いたずらっぽく笑いながら言うティラノ。
「やめて下さいティラノさん私のです!」
さっきまでなら怒っていたこの一言に、今なら笑って返せる。それは……ウチが彼女達に持っていた先入観、弱肉強食に生きる野生生物への“間違った認識”に気づかされたからだ。
♢
ベルノを助けるために丸太を渡っているとき、なんとなくティラノに聞いてみた。
「さっきワニを蹴り飛ばしたじゃん?」
「ああ、綺麗に入っただろ、あのまわし蹴り!」
「……うん、綺麗だった。ってそうじゃなくて。この木を切る時に使った技あるでしょ、レックス・ブレードだっけ? 最初からあの技使っていればサクッと倒せたんじゃないの?」
「はぁ? なにいってんだオメー?」
この時、ウチには思いもよらない返答があったんだ。
「あんな強力な技使ったら、アイツ殺しちまうだろ?」
「でも、殺して食べるんじゃないの?」
「確かに俺様達は食べるために殺す。だけど腹が減ってねえ時に、意味なく殺すことはありえないぜ?」
ショックだった、マジでその通りだ。知っていたハズなんだけど、脳の隅っこにこびり付いていた程度の知識で、ウチは、そこまで考えが至ってなかった。
彼女達の考え方を変えようとか、押さえつけようとか、その時点で間違っていた。この時代を生き抜いてきた者としての考えを認めた上で、共存出来る道を模索し、理解することが必要だったんだ。
――こんな単純な事にやっと気が付いたよ。
「これが、ジュラシック世代の在り方なんだな……」
♢
「女神さん、頼みがあるんだけど……」
〔何でしょう?〕
「この娘達の為に、カバンから他の食材も出せる様にしてもらえないかな?」
〔良いですよ!〕
え……アッサリと言いやがった。渋ると思って土下座するつもりだったのに。
〔八白亜紀、あなたがこの時代に向き合う一歩となるのですから〕
「まあ、まだそれは微妙なんだけど……異世界転生諦めてないし」
〔ただし条件があります〕
「条件って?」
〔恐竜人を五人集めてください。それが出来たら許可しましょう〕
五人か。あと三人の……あれ?
「なあ、それってベルノも含むの?」
〔悩ましい所ですが、あなたのライズ化の効果なので含みましょう〕
「じゃあ、あと二人か。あ……」
〔どうしました?〕
「女神さんはライズに含まれますか?」
直後、ウチの脳天に無言のカカト落としが飛んできました。
〔バナナはおやつに入りますか? みたいな言い方をしないで下さい〕
“ぱふっ”とした蹴りで、小枝で叩かれた程度のダメージしかなかったけど。
「あ、あとさ……」
〔まだなにかあるのですか?〕
「もう一つ、大事な頼みがあるんだ……」
――――――――――――――――――――――――――――
〇ライズについて
恐竜を恐竜人化する“能力”や、“恐竜人”を総称してライズと呼ぶ。ライズを行う事象/行為についてはライズ化という書き方で区別できるようにしています。
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