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401、食事の準備
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「いにしえの精霊たちが眠る場所。エリス、とにかく明日そこに行ってみよう。何か分かるかもしれない」
「精霊の霊廟……でも、一体そこに何があるのかしら?」
エリスの問いかけに、エイジは首を横に振った。
「俺にもそれは分からない。ファルティーシアさんからは、霊廟にたどり着くためには試練があるって聞いたけどさ」
「エイジ無理をしないでね」
エリスの言葉にエイジは笑った。
「大丈夫だって。ファルティーシアさんもいるし、リイムもミイムもいるからさ」
「ふふ、そうね。あら? でも精霊たちはどこにいったの?」
目の前の少年の姿は元に戻っている。
エレメンタルフュージョンはもう解いてるはずだ。
「ああ、さっきファルティーシアさんが連れて行ったよ。多分ジーナさんのところに行ったんじゃないかな?」
エリスをベッドに寝かせた後、さり気なくファルティーシアが二人を連れていくのをエイジは見ていた。
リイムやミイムが騒ぐと、エリスがゆっくり休めないと思ったのだろう。
二人は顔を見合わせて笑う。
「ふふ、リイムやミイムにまで気を遣わせちゃったわね」
「気にすることないさ。あの二人はエリスとリアナ並みに好奇心が旺盛だから、今頃きっと向こうで楽しく遊んでるさ」
◇ ◇ ◇
そんな話をエイジたちがしている頃。
リイムとミイムは大忙しだった。
『みむぅうう! 美味しいご飯つくるです!』
そう言って鍋の下で炎の形になっているのはミイムだ。
リイムは、料理に必要な水を魔法で作り出している。
『まったく、人間ってこんなもの食べるのね。変なの!』
ララリシアは精霊の言葉で二人に話しかける。
『助かったわ、二人とも。寝室や浴室みたいに生きてる設備もあるけど、キッチンは動かないのよね』
ミイムは不思議そうに尋ねる。
『ララリシア、キッチンって何ですか?』
『ええ、ミイム。料理を作るところよ。それが使えればもっと楽に調理が出来るんだけど』
そうは言いながらも、場所としては施設の中の休憩所にあるキッチンを使って皆で調理をしている。
火を扱うことが出来る場所や流しがあるので便利だからだ。
リイムが感心したようにいう。
『でも、ララリシアって精霊の言葉が話せたのね?』
『私も驚いているのよね。きっとあの時大量のデータが私にダウンロードされて、多分その中に言語情報もあったんだろうけど』
ララリシアの言葉にミイムは益々不思議そうに。
『ダウンロード? ゲンゴジョウホウ?』
『あん、もう! ミイムは知らなくてもいいわ』
実は先程から、事あるごとにミイムに質問され続けているララリシア。
このままだと一生質問攻めから解放されないと思ったのか、ついにギブアップをする。
調理をしているジーナがララリシアに声をかけた。
「精霊たちと話せるって言うのは便利なものだね。二人とも可愛いものじゃないか」
小さな精霊たちの思わぬ活躍を眺めながら、ジーナはそう言った。
リアナは好奇心旺盛な顔で、小さな精霊たちを見つめている。
「ねえ、ララリシア! 私にも精霊たちの言葉を教えてくれないかしら? 私もリイムやミイムと話したいわ!」
リアナらしい提案に、ララリシアは苦笑しながら。
「ええ、でもいにしえの精霊たちが使っていた言葉とは少し変わってしまっているから、これでも修正プログラムで徐々に補正しながら使ってるのよ」
「シュウフクプログラム? ホセイ?」
首を傾げて問い返すリアナに、ララリシアは天を仰いだ。
「もう! リアナったら、質問攻めはミイム一人で十分よ」
その言葉に一同は笑った。
好奇心旺盛なところは、精霊も人も変わらないのだろう。
ララリシアは肩をすくめながらリアナに勧める。
「教わりたいならエイジから教わるのが一番いいわ。彼の精霊言語は完璧だもの」
「そっか! そうよね、エイジに教えてもらうわ!」
少し頬を膨らませていたリアナの目が、ぱぁっと輝く。
それを見てララリシアが言った。
「リアナとエリスって、エイジの事大好きよね」
「え!?」
ララリシアの言葉に真っ赤になるリアナ。
動揺した様子のリアナを見て、ララリシアは首を傾げた。
「どうしてそんな顔するの? 私がラエサルを頼るときと同じような感じでしょ?」
どうやら好きの意味が違ったようで、リアナはホッと胸を撫でおろしながら咳払いをした。
「ええ、そうね! だってエイジって頼りになるもの。いつだって一生懸命だし、どんな時だって私たちを守ってくれるし、私とエリスのナイトなの!」
オリビアはリアナの言葉を聞いて、うんうんと頷きながら。
「分かるわ、彼って一生懸命だから応援したくなるのよね。そ、それに笑顔が可愛いし」
そんな友人の姿をジト目で見るシェリル。
「笑顔が可愛いって……オリビア、どさくさに紛れて何言ってるにゃ」
「な! ち、違うわ」
「何が違うにゃ?」
じりじりと迫るシェリル。
ジーナが料理をしながら助け舟を出した。
「そりゃ言えてるね。エイジは可愛いからね、つい助けたくなっちまう」
ライアンが、すかさずニッと笑顔になるとジーナに言った。
「俺程じゃないでしょ? ジーナ隊長」
「……」
無言になるジーナと涙目のライアン。
それを眺めながらシェリルはふぅと溜め息をついた。
「自分で言うところが、すでに可愛くないにゃ!」
その言葉を聞いて笑う一同。
そうこうしているうちに、サラダと美味しそうなスープが出来上がる。
ジーナはスープを味見すると言った。
「中々いい味に仕上がったね。スープとサラダとパン、少し簡素だけど迷宮の中だからね。よしとしようか」
「精霊の霊廟……でも、一体そこに何があるのかしら?」
エリスの問いかけに、エイジは首を横に振った。
「俺にもそれは分からない。ファルティーシアさんからは、霊廟にたどり着くためには試練があるって聞いたけどさ」
「エイジ無理をしないでね」
エリスの言葉にエイジは笑った。
「大丈夫だって。ファルティーシアさんもいるし、リイムもミイムもいるからさ」
「ふふ、そうね。あら? でも精霊たちはどこにいったの?」
目の前の少年の姿は元に戻っている。
エレメンタルフュージョンはもう解いてるはずだ。
「ああ、さっきファルティーシアさんが連れて行ったよ。多分ジーナさんのところに行ったんじゃないかな?」
エリスをベッドに寝かせた後、さり気なくファルティーシアが二人を連れていくのをエイジは見ていた。
リイムやミイムが騒ぐと、エリスがゆっくり休めないと思ったのだろう。
二人は顔を見合わせて笑う。
「ふふ、リイムやミイムにまで気を遣わせちゃったわね」
「気にすることないさ。あの二人はエリスとリアナ並みに好奇心が旺盛だから、今頃きっと向こうで楽しく遊んでるさ」
◇ ◇ ◇
そんな話をエイジたちがしている頃。
リイムとミイムは大忙しだった。
『みむぅうう! 美味しいご飯つくるです!』
そう言って鍋の下で炎の形になっているのはミイムだ。
リイムは、料理に必要な水を魔法で作り出している。
『まったく、人間ってこんなもの食べるのね。変なの!』
ララリシアは精霊の言葉で二人に話しかける。
『助かったわ、二人とも。寝室や浴室みたいに生きてる設備もあるけど、キッチンは動かないのよね』
ミイムは不思議そうに尋ねる。
『ララリシア、キッチンって何ですか?』
『ええ、ミイム。料理を作るところよ。それが使えればもっと楽に調理が出来るんだけど』
そうは言いながらも、場所としては施設の中の休憩所にあるキッチンを使って皆で調理をしている。
火を扱うことが出来る場所や流しがあるので便利だからだ。
リイムが感心したようにいう。
『でも、ララリシアって精霊の言葉が話せたのね?』
『私も驚いているのよね。きっとあの時大量のデータが私にダウンロードされて、多分その中に言語情報もあったんだろうけど』
ララリシアの言葉にミイムは益々不思議そうに。
『ダウンロード? ゲンゴジョウホウ?』
『あん、もう! ミイムは知らなくてもいいわ』
実は先程から、事あるごとにミイムに質問され続けているララリシア。
このままだと一生質問攻めから解放されないと思ったのか、ついにギブアップをする。
調理をしているジーナがララリシアに声をかけた。
「精霊たちと話せるって言うのは便利なものだね。二人とも可愛いものじゃないか」
小さな精霊たちの思わぬ活躍を眺めながら、ジーナはそう言った。
リアナは好奇心旺盛な顔で、小さな精霊たちを見つめている。
「ねえ、ララリシア! 私にも精霊たちの言葉を教えてくれないかしら? 私もリイムやミイムと話したいわ!」
リアナらしい提案に、ララリシアは苦笑しながら。
「ええ、でもいにしえの精霊たちが使っていた言葉とは少し変わってしまっているから、これでも修正プログラムで徐々に補正しながら使ってるのよ」
「シュウフクプログラム? ホセイ?」
首を傾げて問い返すリアナに、ララリシアは天を仰いだ。
「もう! リアナったら、質問攻めはミイム一人で十分よ」
その言葉に一同は笑った。
好奇心旺盛なところは、精霊も人も変わらないのだろう。
ララリシアは肩をすくめながらリアナに勧める。
「教わりたいならエイジから教わるのが一番いいわ。彼の精霊言語は完璧だもの」
「そっか! そうよね、エイジに教えてもらうわ!」
少し頬を膨らませていたリアナの目が、ぱぁっと輝く。
それを見てララリシアが言った。
「リアナとエリスって、エイジの事大好きよね」
「え!?」
ララリシアの言葉に真っ赤になるリアナ。
動揺した様子のリアナを見て、ララリシアは首を傾げた。
「どうしてそんな顔するの? 私がラエサルを頼るときと同じような感じでしょ?」
どうやら好きの意味が違ったようで、リアナはホッと胸を撫でおろしながら咳払いをした。
「ええ、そうね! だってエイジって頼りになるもの。いつだって一生懸命だし、どんな時だって私たちを守ってくれるし、私とエリスのナイトなの!」
オリビアはリアナの言葉を聞いて、うんうんと頷きながら。
「分かるわ、彼って一生懸命だから応援したくなるのよね。そ、それに笑顔が可愛いし」
そんな友人の姿をジト目で見るシェリル。
「笑顔が可愛いって……オリビア、どさくさに紛れて何言ってるにゃ」
「な! ち、違うわ」
「何が違うにゃ?」
じりじりと迫るシェリル。
ジーナが料理をしながら助け舟を出した。
「そりゃ言えてるね。エイジは可愛いからね、つい助けたくなっちまう」
ライアンが、すかさずニッと笑顔になるとジーナに言った。
「俺程じゃないでしょ? ジーナ隊長」
「……」
無言になるジーナと涙目のライアン。
それを眺めながらシェリルはふぅと溜め息をついた。
「自分で言うところが、すでに可愛くないにゃ!」
その言葉を聞いて笑う一同。
そうこうしているうちに、サラダと美味しそうなスープが出来上がる。
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