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400、エリスの決意
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ジーナは心外だといった様子でアンジェを睨むと。
「フィアーナとの付き合いはこっちの方が長いんだ。料理ぐらい教わってるさ」
「へえ、母さんに教わってるなら安心だよな」
エイジの言葉に、ジーナはふぅと溜め息をつくと。
「安心ってエイジ、人を何だと思ってるんだい。まったく、こっちは苦労してここまで食料を運んできたって言うのにさ」
「はは、ゴメン。ジーナさん」
ライアンが肩をすくめて言う。
「酷いぜ隊長! そもそも苦労して食料を運んできたのは俺だろ?」
「ライアン、男が小さなことにこだわるんじゃないよ」
「ふにゃ! まったくだにゃ」
彼らのやり取りに、エリスの顔に笑顔が浮かぶ。
まだその顔は青いが、だいぶ生気が戻り始めている。
「またフィアーナさんに料理を教わりたいわね」
「そうね、エリス」
リアナも大きく頷いた。
ジーナは、フィアーナの真似をして大きく手をパンパンと叩くと皆に言った。
「さて! フィアーナの代わりを務めるとするか。あんたたちに、任せとくと何が出来るか心配だからね」
リアナやアンジェがそれを聞いて頬を膨らます。
「酷いわ!」
「そうよそうよ!」
「言ったね? それじゃあ腕前を見せてもらうよ。エリスは大人しく休んでるんだよ。エイジ、あんたは傍についててやりな」
そう言ってエイジとエリスにウインクをすると、ジーナは皆を連れて調理をしに寝室を出ていった。
エリスは、彼らの後ろ姿を見つめながらエイジに話しかけた。
「みんな気を使ってくれてるのね。あんな姿になった私を不安にさせないように……」
エリスの言葉に、エイジはその手をしっかりと握った。
「どんな姿になってもエリスはエリスさ。そんなことより休めよ、料理が出来たら起こしてやるからさ」
エイジの言葉にエリスはベッドの上に体を横たえて頷いた。
「ありがとう、エイジ」
エリスの右手の腕輪が赤く輝く。
静かに二つの人影が一瞬重なった。
エリスの手がしっかりとエイジの手を握りしめる。
(エイジ……)
エリスはエイジの胸の防具の宝玉を指でなぞった。
重なっていた人影が二つに分かれると、美しい王女は吐息を漏らす。
そして、エイジに微笑んだ。
「どうして私にこんな力があるのかは分からない。でも、これが私の力なら私もエイジと一緒に戦う。ねえ、いいでしょ? エイジ」
エイジはエリスを見つめながら、ふぅと溜め息をついた。
「駄目だって言っても聞かないんだろ?」
「ええ、エイジは私の事良く知ってるでしょ?」
決意に満ちたエリスの眼差しを見て、エイジは静かに頷いた。
ジーナとの模擬戦。
その最中、エリスと一つになった時に感じた力。
それは、今までにないものだった。
「分かったよエリス。でも、その力が一体何なのか、何故人間のエリスからエレメントクリスタルが現れたのか、まずはそれを調べてからだ」
ファルティーシアでさえ、人間からエレメントクリスタルが生まれるなど聞いたことが無いと言っている。
一つになった瞬間感じた強い衝撃、そして昏倒したエリス。
エイジが不安を感じるのも当然だろう。
エリスはエイジを見つめる。
「調べるって、でもどうやって?」
真実の大門で出会った、女王ララリシアの魂の欠片。
もし、彼女がいればとエリスは思う。
いにしえの精霊たち、そして精霊と人から生まれた人間を良く知る人物だ。
しかし、彼女はもはやリカルドの手の中である。
エイジはエリスを見つめる。
「エリス、いにしえの精霊たちに繋がるものが一つだけ心当たりがある」
「心当たり?」
エリスの言葉にエイジは懐から円形の石を取り出した。
ファルティーシアから預かったものだ。
精霊の霊廟に入るための聖石。
「いにしえの精霊たちが眠る場所。エリス、とにかく明日そこに行ってみよう。何か分かるかもしれない」
「フィアーナとの付き合いはこっちの方が長いんだ。料理ぐらい教わってるさ」
「へえ、母さんに教わってるなら安心だよな」
エイジの言葉に、ジーナはふぅと溜め息をつくと。
「安心ってエイジ、人を何だと思ってるんだい。まったく、こっちは苦労してここまで食料を運んできたって言うのにさ」
「はは、ゴメン。ジーナさん」
ライアンが肩をすくめて言う。
「酷いぜ隊長! そもそも苦労して食料を運んできたのは俺だろ?」
「ライアン、男が小さなことにこだわるんじゃないよ」
「ふにゃ! まったくだにゃ」
彼らのやり取りに、エリスの顔に笑顔が浮かぶ。
まだその顔は青いが、だいぶ生気が戻り始めている。
「またフィアーナさんに料理を教わりたいわね」
「そうね、エリス」
リアナも大きく頷いた。
ジーナは、フィアーナの真似をして大きく手をパンパンと叩くと皆に言った。
「さて! フィアーナの代わりを務めるとするか。あんたたちに、任せとくと何が出来るか心配だからね」
リアナやアンジェがそれを聞いて頬を膨らます。
「酷いわ!」
「そうよそうよ!」
「言ったね? それじゃあ腕前を見せてもらうよ。エリスは大人しく休んでるんだよ。エイジ、あんたは傍についててやりな」
そう言ってエイジとエリスにウインクをすると、ジーナは皆を連れて調理をしに寝室を出ていった。
エリスは、彼らの後ろ姿を見つめながらエイジに話しかけた。
「みんな気を使ってくれてるのね。あんな姿になった私を不安にさせないように……」
エリスの言葉に、エイジはその手をしっかりと握った。
「どんな姿になってもエリスはエリスさ。そんなことより休めよ、料理が出来たら起こしてやるからさ」
エイジの言葉にエリスはベッドの上に体を横たえて頷いた。
「ありがとう、エイジ」
エリスの右手の腕輪が赤く輝く。
静かに二つの人影が一瞬重なった。
エリスの手がしっかりとエイジの手を握りしめる。
(エイジ……)
エリスはエイジの胸の防具の宝玉を指でなぞった。
重なっていた人影が二つに分かれると、美しい王女は吐息を漏らす。
そして、エイジに微笑んだ。
「どうして私にこんな力があるのかは分からない。でも、これが私の力なら私もエイジと一緒に戦う。ねえ、いいでしょ? エイジ」
エイジはエリスを見つめながら、ふぅと溜め息をついた。
「駄目だって言っても聞かないんだろ?」
「ええ、エイジは私の事良く知ってるでしょ?」
決意に満ちたエリスの眼差しを見て、エイジは静かに頷いた。
ジーナとの模擬戦。
その最中、エリスと一つになった時に感じた力。
それは、今までにないものだった。
「分かったよエリス。でも、その力が一体何なのか、何故人間のエリスからエレメントクリスタルが現れたのか、まずはそれを調べてからだ」
ファルティーシアでさえ、人間からエレメントクリスタルが生まれるなど聞いたことが無いと言っている。
一つになった瞬間感じた強い衝撃、そして昏倒したエリス。
エイジが不安を感じるのも当然だろう。
エリスはエイジを見つめる。
「調べるって、でもどうやって?」
真実の大門で出会った、女王ララリシアの魂の欠片。
もし、彼女がいればとエリスは思う。
いにしえの精霊たち、そして精霊と人から生まれた人間を良く知る人物だ。
しかし、彼女はもはやリカルドの手の中である。
エイジはエリスを見つめる。
「エリス、いにしえの精霊たちに繋がるものが一つだけ心当たりがある」
「心当たり?」
エリスの言葉にエイジは懐から円形の石を取り出した。
ファルティーシアから預かったものだ。
精霊の霊廟に入るための聖石。
「いにしえの精霊たちが眠る場所。エリス、とにかく明日そこに行ってみよう。何か分かるかもしれない」
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