成長チートになったので、生産職も極めます!

雪華慧太

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332、キャンプ

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「お前たちはもう、キラーマンティスの群れさえも倒す実力がある。この付近で用心するべき魔物がいるとしたら、あいつぐらいだろうな」

「あいつって?」

 ラエサルの言葉にリアナが首を傾げて尋ねた。

「ああ、お前たちも一度見ているはずだぞ」

 その言葉にエリスとリアナは顔を見合わせた。
 そしてハッとした様に頷く。

「もしかして!」

「ヒュドラね!」

 ラエサルと再会したあの祭壇の上に、その巨体を晒していた魔物。
 一行は皆その姿を思い出して背筋を震わせる。
 他の魔物とは一線を画する存在感があった。
 二人の言葉にラエサルは頷いた。

「そうだ、地下75階層から80数階層までは奴らの縄張りだからな。お前たちが見た個体は若くまだ小さい、成長したものは85階層付近でその辺りの主と化している。主と化した連中は、サイズもその力もあんなものではないぞ」

「あ、あれで小さいの!?」

「信じられない……」

 それを聞いて、ぞくりとしたような顔をするエリスたち。
 と、同時に疑問が生じる。

「そういえば、私たちが目的にしている精霊の霊廟はどこにあるの?」

「そうね、そこに行くことが優先だもの。強い魔物は避けて通る手もあるわ」

 ラエサルは肩をすくめた。

「ファルティーシアの話を聞く限り、霊廟へ通じる扉があるのは地下90階層だな」

「地下90階層……」

 思わず言葉を失うエリスとリアナ。
 アンジェとオリビアも息をのむ。
 そんな、彼女たちの様子を見つめながらラエサルは言った。

「少なくとも、ヒュドラを避けて通っていては辿り着けん。奴等の嗅覚は尋常ではないからな。それに……」

 エイジはラエサルに尋ねた。

「それに? 何ですか、ラエサルさん」

「ああ、その霊廟とやらでの試練。生半可なものだとは思えんからな」

 ラエサルの言葉に一同は顔を見合わせる。
 エイジは思った。

(確かに、凄い力を持つ太古の精霊たちが作った霊廟だ。一体何があるのか想像もつかない)

「ファルティーシアもその試練の詳細は、分からないと言っていたからな。霊廟に向かうことも大事だが、問題はその後だろう」

 ラエサルの言葉に一行は皆頷いた。

「予定では、今日は80階層まで下りお前たちのレベルを十分に上げた上で、一度キャンプをし夜を明かす。予定通りなら、夜にはジーナたちも来ることになっている。あいつがいれば、キラーマンティスの群れや主以外のヒュドラなど敵ではないだろうからな」

「キャンプって、そんな場所でですか!?」

 思わず声を上げるリアナ。

「どうした、不満か? 安心しろ、80階層にもここと同じように魔物が入り込めない場所がる」

 その言葉にリアナは、俯くと上目遣いでラエサルを見る。

「あ、あの……お風呂とかは? ラエサルさん、確か迷宮の奥にも綺麗な湧き水が出ているところがあるって」

「そうね、エイジもいるし。水浴びぐらいは」

 エリスもそう言って、エイジをチラリと見る。
 エイジの前では綺麗でいたいのだろう。

「まったく、お前たちときたら」

 呆れたように溜め息をつくラエサル。
 だが、仕方ないと言った様子で笑うと答えた。

「安心しろ、そのことは考えてある。そこは少し面白い場所でな」

 アンジェが首を傾げた。

「面白い場所? どういうこと、ラエサル」

「まあそれは、行ってからのお楽しみだ」


 ─────

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