成長チートになったので、生産職も極めます!

雪華慧太

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315、先客

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「ああ、頼むぞエリク」

 ラエサルの言葉に、エリクは力強く頷いた。
 話しが決まったところで、エイジは青いクリスタルを取り出した。

「じゃあそろそろ行きましょう。ファルティーシアさんに、これも届けないといけないですからね」

 あの泉の水を、吸い込んだクリスタルである。
 リイムとミイムが、それを覗き込みながらエイジに尋ねる。

『ねえ、エイジ。そういえばお母様には何をお願いするの?』

『みゅう~、ミイムも気になるです!』

 エイジを見つめる二人に、エイジは答えた。

『やっぱり、白王の薔薇のことを聞こうと思う。メグは可能性は少ないって言ってたけど、それでもやっぱり俺が今一番手に入れたい物だからさ』

 リイムがおませな顔をして言う。

『エリスの為ね、エイジってほんとにエリスが好きなのね!』

 エイジは、メグたちの思考空間に招かれた時のことを思い出していた。
 あの時、エリスは自分の命を顧みずに七色の光の中に飛び込んできた。
 隣に立っているこの国の王女を見つめる。
 エリスは不思議そうに首を傾げた。

「どうしたの? エイジ」

 エイジは何でもないと言った様子で首を横に振った。
 そして、新たな決意を込めてエリスに言う。

「エリス。必ず白王の薔薇を見つけよう、そして一緒にレオンさんのところに行くんだ!」

「エイジ? どうしたの急に」

 目の前の少年の決意が込められた瞳に、エリスは頬を染めた。
 何だかとても逞しく、そして頼もしく思えたからだ。
 そしてそっとエイジの手に触れる。

「ありがとう、エイジ」

 頼もしい反面、エリスは彼がいなくなってしまったらと思うと怖くなる時がある。

(もし、エイジがいなくなってしまったら私……)

 エイジとラエサルとの戦いの時も、心配で堪らなかったのだ。
 右手に嵌めた腕輪が赤い光を帯びていく。
 リイムとミイムが側で飛び回っている。

『エリスもエイジが大好きよね! 強い気持ちを感じるもの』

『エイジとエリスは好き同士です!』

 エイジは、咳ばらいをすると照れたように笑いながら二人に答える。

『でもさ、初めてエリスに出会った時なんて、大喧嘩になりそうだったんだぜ』

『うそぉ! 何があったの?』

『エリスとエイジの出会い聞きたいです!』

 興味津々の精霊たち。
 エイジは、冒険者ギルドで初めてエリスに出会った時のことを思い出した。
 そして肩をすくめる。

『また今度な』

『え~』

『みゅぅうう、エイジ意地悪です!』

 精霊たちを肩に乗せて笑っているエイジを見て、エリスは不思議そうに首を傾げた。

「エイジ、この子たちと何を話しているの?」

「ん? ああ、エリスと初めて会った時、大喧嘩になりそうにだったって話してたんだ」

 リアナがそれを聞いて、クスクスと笑った。

「思い出すわ。私、隣で見ててハラハラしたんだから」

「もう、リアナまで」

 エリスは頬を染めて二人を睨んだ。
 だが……。

(あの時、エイジと一緒に冒険をすることを選んでよかった。……お母さん、エイジに会わせてくれてありがとう)

 少女はそう思いながら、右手の腕輪をしっかりと握りしめる。
 かつて父と母はこの町で出会った。
 エリスには母が自分を彼に会わせてくれたのでは、と思えたのだ。

 エイジたちはその後、精霊の住処に戻へと戻った。
 リイムとミイムが先に中に入っていくと、光に覆われていた入り口が開く。
 足を踏み入れるとリイムたちが戻ってきて、エイジの周りを飛び回る。

『エイジ!』

『お客さんが来てたです。エイジが会いたがってた人です!』

 と同時に、ラエサルから強い闘気が放たれ、その両手にはナイフが握られていた。
 オリビアも同様である。
 手にはソード・オブ・エンジェルが握られていた。

 リイムたちが客と呼んだ男は、ファルティーシアと何事かを話している。
 眼鏡をかけた学者のようなその男。
 男は、一行に気が付くと微笑みながら口を開いた。

「これはこれは。随分と怖い顔をしていますね、ラエサル」
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