成長チートになったので、生産職も極めます!

雪華慧太

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269、水練

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 結局すったもんだがあった後、やはりまずはエイジが試しに入ることになったのである。

「残念ですね。ここは皆の為に、私が体を張って安全を確認するつもりだったのですが」

 エリクのその言葉に、シェリルとアンジェが疑いの眼差しを向ける。

「……何が皆の為にゃ、自分が最初に入りたいだけにゃ」

「絶対そうよ! 真っ先に装備を脱いでたもの」

 二人の疑いな眼差しに、エリクは爽やかな笑顔で笑った。

「心外ですね。仲間は信頼し合わなければなりませんよ」

「ふにゃ~、説得力のかけらもないにゃ」

 そんな会話の中、エイジは防具を外して泉から少し離れた場所に並べた。
 剣はもちろんだが、小手や脛当て、そして胸当てと肩当を外して身軽な姿になっていく。
 エリスとリアナは、水面で遊ぶリイムやミイムを眺めながらエイジに言った。

「一体どんな感じなのかしら」

「ねえ、エイジ。入ったら教えてね」

 一方でオリビアは、先程飛び跳ねていたウォータードルフィンの群れを思い出す。
 そして、エイジの肩に手を置いて言った。

「安心して、エイジ。何かがあったら私が助けに行くわ。こう見えても水練は騎士団でみっちりやってるから」

 騎士団で経験をしたので、泳ぎには自信があるオリビア。
 エイジは、そんなオリビアの様子に苦笑する。

「えっと……ってことはオリビア、ずっとそこで見てるってことか?」

「え?」

 オリビアは首を傾げた後、エイジが言っていることがようやく理解できたのか耳まで真っ赤になる。

「そ、そうね。服ぐらい脱ぐわよね」

 その時、後ろからオリビアの肩をエリクが叩く。

「安心しなさい、オリビア。水練なら私も得意です、エイジに何かがあったら私が泉に飛び込みますよ」

「そう。じゃあエリク先輩、頼みま……す」

 振り返ったオリビアの目が点になっている。
 足元には、着ていたはずの上着が丁寧に畳まれている。
 いつの間に脱いだのだろうか。
 エリクは、上半身裸になっていた。

「さあ、エイジ。安心して泉に入って下さい!」

「え、エリク先輩!」

「ふにゃ~、なんでもう脱いでるにゃ先輩!!」

 それが何か? といった表情をするエリク。
 エイジは頭を抱えながら溜め息をついた。

(エリクさん……こと温泉に関しては完全にアウトな人だな)

 エリスやリアナも頬を染めて。

「わ、私たちあの柱の陰で待ってるわ!」

「うん! エリス行きましょ」

 オリビアやシェリル、そしてアンジェも後に続く。
 エイジはリイムとミイムも彼女たちのところに行くように声をかけた。
 二人の精霊たちは首を傾げると。

『人間って変なの~、行きましょうミイム』

『もっと遊びたかったです!』

 そう言いながらも柱の陰に飛んでいく。
 エイジはふぅと溜め息をつくと、服を脱ぎ始める。

「ふう、これでやっと落ち着いて泉に入れるな」

 エイジは脱いだ服を防具の横に畳んでおくと、泉の中に一歩足を踏み入れた。
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