究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平

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ジョナサンの不安2

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 ゴンゾはぼんやりと虚空を見つめながら、ひとり言のように呟いた。

「俺が、俺たちが間違っていた事は、自分でよくわかっているんだ。パティはいい子だ。だけど、もう取り返しがつかなかった」
「そうだな。パティをドミノ村から追い出して、無かった事にすればいい。そうすればドミノ村の人々がパティにしてきた事は無になる」
「・・・。神父、俺はどうすればいいんだ。パティに対してこんなひどい事をして、」
「ゴンゾがパティにできる事は何もない。パティはゴンゾもドミノ村の人々も誰も許さない。だかな、もしまたドミノ村に、容姿の異なる者が来た時、その者が助けを求めていたら、どうか助けてやってほしい。それが、パティにできる唯一の罪滅ぼしだ」
「・・・。ああ、」

 ジョナサンとゴンゾが話していると、教会のドアが乱暴に叩かれ、村人が転がるように飛び込んできた。

「神父さま!大変だ!ガラの悪い奴らが大勢で現れて、神父さまを出せって!」

 ジョナサンは不安な気持ちになりながらゴンゾと共に教会を出た。

 ドミノ村の広場には、村人たちと見た事のない者たちが待っていた。その中に見覚えのある者。村を追い出されたマフサだ。

「何だ、治癒魔法師はジジイなのか」

 目の細い男が不満そうに言った。マフサがとりなすように答える。

「はい。神父のジョナサンは老人ですが、治癒魔法の腕は王都の治癒魔法師とひけを取りません」

 細目の男とマフサの話しから察するに、どうやら彼らはジョナサンを捕まえに来たようだ。

 ジョナサンの命一つで村人が助かるならば安いものだ。だが。ジョナサンの脳裏に可愛い孫娘の顔が浮かぶ。

 パティはジョナサンにまたね、とあいさつして王都に帰って行ったのだ。

 パティとはもう二度と会えないと思うと激しい悲しみが去来する。

「何もんだお前ら。神父はこの村になくてはならない人だ。帰ってくれ」

 ジョナサンを守るように長身のゴンゾが立ちはだかった。

「やめろゴンゾ!」

 ジョナサンの静止も虚しく、ゴンゾはジョナサンをとらえようとしたガラの悪い男たちを吹っ飛ばしてしまった。

 《パワー》の魔法は強力だ。だがゴンゾの魔法は戦いのためではなく、土木建築のための魔法だ。人を倒すものではない。

 細目の男が気味の悪い笑みを浮かべて剣を抜いた。ゴンゾが構える。

 次の瞬間、ゴンゾの左腕が宙を舞った。

「ギャアッ!」

 ゴンゾのケモノのような叫びが村に響き渡った。
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