究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

ジョナサンの不安3

　ジョナサンは素早くゴンゾの腕を拾い、傷口に押し当てた。

　だがゴンゾの腕は重く、腕を持ちながらの治癒魔法は難しかった。

「誰か！ゴンゾの腕を支えてくれ！早くしないと死んでしまうぞ！」

　ジョナサンが大声で村人によびかけるが、誰も呆然として動こうとはしなかった。

「どいつもこいつも仕方ないねぇ。ジョナサン、早くこのバカのケガを治しな」

　ふと軽くなった腕を見ると、チコリばあさんがゴンゾの腕を支えてくれていた。

「チコリ、ありがとう」

　ジョナサンはありったけの魔力を込めてゴンゾの腕をつないだ。

「ほう、確かにジジイの治癒魔法はすごいな」

　細目の男は感嘆した。

「だがなぁ、やはり美しい娘がいいなぁ」

　細目の男の不満に、マフサがすかさず口を開いた。

「イエーリさま。それでしたら、このジジイの孫娘はいかがでしょうか？ジジイの孫娘は十五歳の若い娘です。それに、火、水、風、土のすべてのエレメントを使える魔法を持っています」
「本当か？！そんな娘がいるのか？！ぜひそいつを連れて来い！」

　ジョナサンの孫娘、パティの事だ。ジョナサンは立ち上がって叫んだ。

「私が貴方たちについていく。この村からは手を引いてくれ！」
「ジョナサン！だめだよ！パティと約束しただろう！また会うって、」

　ゴンゾを支えていたチコリが、ゴンゾを転がしてジョナサンの服のすそを掴んだ。

「すまないチコリ。パティに伝言を頼んでいいか？約束を守れなくてすまない、と」
「ふん。そんな伝言ごめんだね。自分で言いな」

　ジョナサンとチコリの会話をさもつまらなそうに聞いていたマフサが口を開いた。

「そんな事言うなよ、ジジイ。俺は優しいからさ、最後にパティに会わせてやるよ」

　マフサの言葉に、ジョナサンはマフサの真意に気づいた。マフサは細目の男に協力する気も、ジョナサンをさらう気もないのだ。

　マフサの目的は、パティに復讐する。ただそれだけなのだ。

　ジョナサンは心の中で強く祈った。

　パティ、お願いだからここには絶対に来ないでくれ。