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卒業

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 その日もパティはエラルドの教示を受けていた。目の前のエラルドが剣を構える。

 エラルドの筋肉の動き、呼吸。パティはつぶさに感知して動いた。

 カンッ。エリオからもらった杖が真剣に当たり、カン高い音を響かせる。

 新しい杖にもだいぶ慣れた。エラルドとの剣と杖の打ち合いが続く。

 しばらくして、エラルドが手をあげた。

「よし、やめ。パティ、腕をあげたな」
「はい。ありがとうございます!」

 パティは荒い呼吸を整えながら答えた。エラルドはパティの杖の腕が何故上達したのか質問してきたので、パティは先輩冒険者のエリオたちに指導をしてもらったのだと答えた。

 エラルドは一つうなずいてから口を開いた。

「パティ。修行には終わりがない。これからも訓練は続く。だがこれは、一つの区切りだ。お前の杖の修行はここでいったん終了する」

 えっ。パティは思わず息を飲んだ。杖の修行の終わりは、エラルドとロレーナに会えなくなる事を意味する。パティはさびしい気持ちを隠しながら、深々と頭をさげた。

「これまでご指導ありがとうございました」

 個人練習をしていたロレーナがやってきて、エラルドのとなりに立った。エラルドはロレーナの肩を抱きながら言った。

「勘違いするなよ?パティ。お前はこれからも俺の弟子だし、ロレーナとは兄弟弟子だ。定期的に修行の経過を確認するからな、気を引き締めておくように」
「はい!」
「それでだな。俺たちもこのまま剣の修行だけしていても生活できない。俺たちは仕事をしようと考えている」

 そこでエラルドは歯切れ悪そうに言葉を止めた。

「俺たちは冒険者になろうと思う」
「冒険者?。エラルドとロレーナが?」
「ああ。ロレーナはまだ十三歳だから、冒険者登録はできないが、見習いとしてなら俺についてこれるだろう」
「わぁっ!とってもいい考えですね!私も応援します!」
「ありがとう。そこでパティ、先輩冒険者として、俺たちに冒険者の事を教えてくれないか?」
「えっ?!私が先輩冒険者?!」
「そうだろ?パティの方が早く冒険者の仕事を初めてたんだから」

 パティはこれまで自分の事を新米冒険者だと思っていた。だがパティに後輩ができるのだ。

「はい!任せてください!先輩冒険者として立派に指導してみせます!」
「・・・。そうか、頼んだ」

 パティは、エラルドとロレーナの準備が整った後、城下町の冒険者協会に同行する約束をした。

 
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