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神子と騎士と幼なじみ
第22話 あたたかい
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オルキナスが去ってから嫌なことばかり悶々と考えてしまって結局一睡も出来ずに翌日になってしまった。
騎士達が瑠璃を気にかける理由も、白が瑠璃を嫌っていないという話も、何か裏があるのでは無いかと勘ぐってしまう。
未だに思い通りに動かせない足を引き摺ってベッドから降り、夜が明ける前から部屋の隅で膝を抱えて丸くなっていた。
布団を頭から被って膝に顔を埋めれば周りの声も聞こえにくくなって世界の中に自分1人しか居ないように感じる。
日本にいた頃ならたったこれだけの事で辛いことは一時的に忘れることが出来た。
だというのに、最近はずっと頭に響いている声が消えてくれない。
どれだけ強く耳を塞いでも瑠璃を責め立てる声は瑠璃を許してくれない。
「悪い子で、ごめんなさい…ぼくは、しあわせになっちゃだめ…」
その声はいつも同じことを繰り返し言うだけだ。
白の声で、お前なんか早く死ねと繰り返される。
両親の声で、お前なんか生まれなければ良かったのにと責められる。
男の声で、人殺しが幸せになっていい訳が無いだろうと詰られる。
夢の中では白も両親も優しいままだったのに、意識があるときに聞こえる声では瑠璃を罵倒する。
白も両親もそんなこと言うはずがないと思えば思うほどその声は大きくなっていく。
「もう、やめて…!早く消えるから、早く死ぬから、」
1人で頭を抱えながら悲痛な叫びをあげた。
「瑠璃っ!!」
声を出して直ぐに、瑠璃が蹲っている場所からベッドを挟んだ向かい側の扉が音を立てて開かれ、白が飛び入って来た。
それ程大きくない部屋の中にいきなり白が現れて、先程までの白の声は幻聴ではなく本当に白が言った言葉なのもしれないと瑠璃の頭は混乱を極めた。
「ぁ、ご、ごめんなさい、しろ、ごめんなさい…っ」
瑠璃のそばまで駆け寄ってきた白と目が会った瞬間、瞬時に涙で濡れそぼった瞳を逸らした。
「大丈夫か…!?何があったんだ!?」
何かがあったという訳では無いが、もしかしたら白は瑠璃の悲鳴を聞いて何かのトラブルが起こったと思ったのだろうか。
しかし今の瑠璃はひたすら白に謝ることしか出来ず、周囲の状況など確認できる状態では無かった。
今目の前にいる白は瑠璃が作り出した幻影なのか、現実の存在なのかも区別がつかなかった。
「死ねなんて言わないで…っ僕のこと嫌いなら、早く消えるから、しろの声でひどいこと言わないでよぉ…っ」
白の声で瑠璃を罵倒する幻聴には嫌気がさした。
瑠璃を罵倒なんかしない過去の優しい白の記憶だけを抱えていたかった。
「そんなこと言うはず無いだろッ!瑠璃、俺の話を聞いてくれ…!」
瑠璃の言葉を強く否定して、白が瑠璃の両肩を掴んで俯いていた顔を上げさせる。
顔を上げさせられて強制的に白の瞳と視線が交錯した。
幻影と現実の間を揺蕩っていた瑠璃の意識は、白の声で現実に引き戻された。
「っ…どうして…」
久方ぶりに目が合った白の瞳は真っ直ぐに瑠璃の瞳を射抜いた。
瑠璃が想像していた白は嘲りや蔑みを込めた視線を向けてきていたはずなのに、今目の前にいる白は心配や悔恨が入り交じる感情を浮かべているように見えた。
白が悲しそうな顔をしている理由が思い当たらず瑠璃の混乱は深まる一方だった。
「やっと目見てくれたか…いいか瑠璃、俺の話をよく聞け」
あまりにも真っ直ぐな瞳で射抜かれているせいで白から目を離すことが出来ず、正面で向かい合ったまま白が話を続ける。
「どこのクソ野郎に吹き込まれたか知らねえけどな、俺がお前のこと嫌いになることなんて絶ッ対に無い。命賭けても良い」
依然として瑠璃の瞳を真っ直ぐ見つめたままの白が強い意志を述べた。
瑠璃は白が自分のことを嫌っていると心の底から思っている。
心の底から思っていることはことはそう簡単に覆るものでは無いが、白が嘘を言っているようには見えなかった。
瑠璃のことを嫌っている人間がこんなに真っ直ぐな目をして「嫌いになんてならない」と言い切れるのだろうか。
「…でも……」
もう誰も信じられないという気持ちと、白だけは信じてもいいかもしれないという相反する気持ちが瑠璃の心の中でぐるぐるとせめぎ合っていた。
瑠璃がうだうだと悩んでしまっている間も白は目を逸らさない。
もしかしたら白は、
もう一度白を信じたいというそんな気持ちが芽生えてきていた。
瑠璃の疑心暗鬼な心をも揺れ動かす程白の瞳は真っ直ぐで淀みなかった。
「俺の事信じられなくてもいいよ。瑠璃が辛い思いするなら、無理に信じてくれなんて言えねぇよな」
しばらくの沈黙の後、白が強ばっていた表情を緩めてどこか寂しそうな笑みを浮かべた。
白の寂しそうな顔を見て瑠璃の胸が締め付けられるように痛んだ気がした。
「そんな辛そうな顔しないでくれよ、俺はお前が怯えることが無い場所を作ってやりたいんだ。お前が1人でいたいって言うなら俺ももう近寄らない。ただ、お前の幸せを祈ってるやつはいるんだって事だけ覚えていてくれ」
「ぼくの、しあわせ…?」
つい昨日オルキナスが似たようなことを言っていた気がする。
瑠璃に優しくするのは自分が勝手にやっている事だとか言っていたはずだ。
怪我を治療するのも、暖かい言葉をかけるのも、瑠璃に見返りを求めてやっていることでは無いということらしい。
瑠璃にとってそんなに都合が良いことが本当に存在するのだろうか。
少なくとも、白の言葉を聞いて長らく冷たく強ばっていた心にほんの少しの暖かさが差したことは間違いなかった。
「そう、お前の幸せ。とりあえず今はお前に元気になって欲しい!ただそれだけの事なんだ」
寂しそうな笑顔を引っ込めて、今度は太陽のように明るい笑顔をたたえて白は言う。
瑠璃の記憶の中にある大好きな白の姿そのものが目の前にはあった。
怖い顔じゃない。酷い言葉を言わない。
毎日瑠璃が住む家まで会いに来て、にこにこと世間話をするかつての白の姿と同じだった。
「…とりあえず飯食おうぜ。俺作ってきたんだよ!無理なら残しても誰も怒らねぇから」
食事を残すことを気にする瑠璃に、先んじて問題ないと伝えてくれる優しさもかつての白らしい言葉だった。
「う、ん…」
「よし!ちょっと待っててくれ、すぐに持ってくるから!」
小さく頷いた瑠璃の声を聞いて、白がベッドを飛び越えて部屋を走り出た。
恐らく既に食事の用意は終わっていたが、瑠璃の声を聞いて食事を置いて身一つで飛んで来てくれたのだろう。
白の行動一つ取っても瑠璃のことを心から思ってくれていることは誰の目から見ても明らかだった。
ただ1人、瑠璃だけが白のことを心から信じることが出来ないでいた。
白が部屋を出て戻って来るのはすぐだった。
部屋の外からドタドタと足音が聞こえ、部屋の前で止まった。
日本にいた時からそうだったが、白は走る勢いのまま扉を開けて大きな音を立てることはしない。
どれだけ急いでいても、瑠璃が驚かないようにそっと扉を開けるのだ。
「入るぞー」
耳馴染みのいい声で瑠璃に許可を求めながら白が扉を開けた。
布団を頭から被ったままベッドの脇から扉の方を覗くと、茶碗や水差しが載った盆をサイドテーブルに置く姿が見えた。
「ははっ、瑠璃芋虫みたいになってんぞ」
盆を置いてから瑠璃の姿を視認した途端白が破顔した。
頭から布団をすっぽりと被った姿は変わっていないはずだが、瑠璃に何かあったと焦って飛んできた先程は瑠璃の服装などに気をかける余裕は無かったのだろうか。
改めて指摘されると自分の姿がやけに情けなく思えてきて、頬を赤く染めていそいそと布団から這い出た。
「あ!寒いならそのままでいいからな!」
「ううん、寒くないよ」
白が揶揄ったせいで布団から出たと思ったのか、白が慌てて瑠璃を布団に戻そうとした。
大丈夫、そう言った瞬間、白と普通に会話できていることにはたと気が付いた。
「?どうした?」
「…な、んでもない」
答えたきり固まってしまった瑠璃の顔を白が覗き込む。
「まあ、なんでもないならいいか」
まだぼんやりとしている瑠璃に釈然としない様子を見せた白だが、瑠璃がなんでもないと言うとそれ以上深くは踏み込まなかった。
「ほら、飯持ってきたから食おうぜ。ベッドの上で食べるか?立てるか?」
「…1人で立てる」
ベッド脇で布団にくるまっている瑠璃を案じた白が手を差し伸べたが、瑠璃はさっとその手を避けた。
手を避けた後でこんな態度をとったら白を怒らせてしまうかもしれないと思い至ったが、白は特に気にした様子はなかった。
酷いことを言ってこない白はこんなことでは怒らないのかもしれない。
ずっと些細なことで責め立てられて暴力を振るわれていた瑠璃は、白が怒らないことをどうしても不思議に感じてしまっていた。
どんな顔をすればいいのか分からなくなって、白から目を逸らしながら未だに思い通り動いてくれない足を引き摺ってベッドへと這い上がった。
「ちょっと冷えちまったけどまぁちょうどいいだろ。はい」
「え…」
サイドテーブルに載せられていたのはどうやら日本でよく見たおかゆだったらしい。
白はおもむろにそれをスプーンで1口分掬って瑠璃にはいと言って差し出してきた。
これは白が手ずから食べさせてくれるということだろうか。
「ほら、あーん」
スプーンを向けられたまま固まった瑠璃にもう一度スプーンを近づける。
少し戸惑ってしまったのは事実だが、白にかなり至近距離に近付かれているのに体の震えも無い。
特に拒否する理由も思い当たらず、そのままぱくりとスプーンを咥えた。
「どう?うまいか?」
「……」
スプーンを咥えた途端口内に広がったのは馴染みのある懐かしい味のおかゆだった。
白は冷えたと言ったが、猫舌の瑠璃にとってはちょうど食べやすい温かさになっていた。
煮込まれて柔らかくなった米をゆっくり咀嚼してこくりと飲み込んだ。
ほんのりと出汁のような風味がして優しく塩で味付けされている。
瑠璃が作るものよりは随分と塩味が濃いが、味付けのベースはほとんど同じだ。
よく料理をする瑠璃を昔から隣で見ていた白は、見よう見まねで料理の真似事をしていた。
料理の手本が瑠璃なのだから味が似てくるのは必然なのだろう。
ただ、味付けのベースは似ていても本来濃い味が好きな白が作ると瑠璃が作るものより味付けが濃くなるというのは常だった。
「るり?」
おかゆを食べたきり黙ってしまった瑠璃の顔をまた白が覗き込んだ。
「え!?ちょ、どうした瑠璃!そんなにまずかったか……!?」
まずかった訳じゃない。
それなのに目の前の白は手をわたわたと動かしながら瑠璃を案じた。
つい先程真っ直ぐ瑠璃の目を見つめて思いの丈をぶつけてきた白からは想像がつかない狼狽えぶりだ。
「ちが、まずくなんて、」
まずくない、そう否定しようと絞り出した声が震えていることに気付いた。
白が怖くて震えている訳では無い。
ならばなぜ声が震えているのだろうか。
「そんな泣く程まずかったのか…!?」
「え……?」
白に言われてやっと自分の視界が滲んでいることに気付いた。
頬に触れるとしっとりと濡れている。
目元を拭っても瞳から次々に溢れ出す涙は止まらなかった。
「ごめんな瑠璃、別のやつ持ってくるから!」
「だめ、まって…!」
「でも、」
すでに食器を下げようと動いていた白の腕を慌てて両手で抑えた。
未だに瑠璃の瞳からはぼたぼたと滂沱の涙がこぼれている。まるで蛇口の栓が壊れてしまったかのようにその涙は止まらない。
「ちがうの……まずいんじゃないよ、」
瑠璃が話し始めて白は動きを止めた。
たどたどしく喋る瑠璃を急かすことなく黙って話を聞いてくれるらしい。
白が着ているシャツの袖が皺になりそうなほど握りしめてなんとか涙を止めようとするが一向に止まる気配が無いうえに、みっともなく震えて引きつった声では今の瑠璃の心情を上手く伝えることは出来そうになかった。
「あ、あのね、えっと…」
「大丈夫、ゆっくりでいいから」
視線を自身の手元から持ち上げずにはらはらと涙を流し続ける瑠璃の背中を白が優しい力で撫でる。
そのおかげで涙は止まらなくともなんとか呼吸だけは落ち着かせることが出来た。
「すごく美味しかったんだよ、だからなんで涙が出るのか僕にも分からないの…ただ、こんなにあたたかくて、嫌な気持ちにならないのはすごく、久しぶりで、」
文脈なんてバラバラで、白に言いたいことが伝わっているかは分からない。
とにかく白が作ってくれた食事が不味くて泣いている訳では無いと伝えたかった。
「ごめん、ごめんね…何が言いたいのか分からないよね…」
「…なあ、触ってもいいか?」
ぐずぐずと鼻を鳴らしながらなんとかして言葉を紡ぐ瑠璃を白は泣きそうに歪んだ瞳で見つめていた。
おもむろに瑠璃の方へと腕を伸ばしたが、触れる直前で止まって瑠璃に許可を求める。
瑠璃を気遣わしげに見るその瞳は、白が瑠璃の思いを最優先に動いているのだという証拠に他ならない。
もう白に近づかれても体は震えなかった。
次々溢れてくる涙を拭いながらこくりと頷くやいなや、白ががばりと抱きついてきた。
「瑠璃、もう大丈夫なんだ。俺達が絶対瑠璃のこと守る。何回だって言うよ、俺はお前に幸せになって欲しい」
白はなおも瑠璃に幸せになって欲しいのだと言い募った。
涙を流しすぎてひきつけを起こしたような呼吸になっている瑠璃を落ち着かせるように、白が瑠璃の細い体を抱きしめながら背中をとんとんと優しくたたく。
「ごめんね、信じなくてごめんなさいっ、しろがあんなこと言う訳ないって分かってたのに…っ」
白の胸に顔を押し付けて何度も謝る。白の真っ直ぐ見つめてくる瞳も言葉も嘘偽りの無いものだと思った。
数回しか会ったことが無い男の言うことを鵜呑みにして勝手に白を疑ってしまっていたのだとやっと気づいた。
思えば今まで白が瑠璃に嘘をついたことなど1度としてなかった。もしあの部屋で男が言っていた話が本当なのだとしたら、白は瑠璃のことをずっと騙していたということになる。
そしてつい数分前まで瑠璃は本気でそう思い込んでいたのだ。
だがそれはにわかには信じ難い話であると気づくことが出来た。
白の作った温かい手料理を振る舞われ、暖かい腕で抱きしめられてようやく烏丸白という人間の本質を思い出すことが出来たのだ。
白は人を陥れたりしない。それが例え過去に罪を犯した瑠璃であったとしてもきっとそれは変わらない。
そもそも冷静に考えれば白が瑠璃の過去を知っているという話も信憑性が無いものだった。
「誰に何言われたのか俺には分からねぇけど、とりあえず俺はお前の味方だし絶対裏切らない。俺がお前に嘘ついたことなんかないだろ?」
依然として瑠璃の背中を優しく撫でながら白が言う。
「うん…っごめんね、ごめんねしろっ…」
「瑠璃が謝ることないんだって。大丈夫、大丈夫だから」
どうして白を信じることが出来なかったのだろうか。
この世界に来てから色んなことが起こりすぎているせいで時折自分が自分じゃないような感覚に陥ることさえある。
当たり前のことを判断できないのもそのせいだったのかもしれない。
白のおかげで幾分か思考が晴れたような気がした。
きっとアルフォンスやオルキナスも瑠璃を害そうなど思っていないのかもしれない。だとしたら瑠璃は彼らの言葉を信じずに無礼な行いをした。
2人に会って謝りたいと思った。謝って、その上で瑠璃の思いも伝えなければならないと思った。
瑠璃の頭上からは謝らなくていいのだと宥めてくれている白の声が聞こえる。
それでも瑠璃にはまだ謝らなければならない理由があるのだ。
白の願いはなんでも叶えてあげたいとずっと思っていた。
それでもだった一つだけ、白の思いを聞き入れることが出来ない。否、聞き入れてはならないのだ。
ーごめんなさい、それでも僕は、
それは誰になんと言われようと揺るがない瑠璃の思い、今生きる理由だった。
ー僕は幸せにはなれない
ー生きてたくさん苦しんで、罪を償わなきゃいけない
アルフォンスには生きろと命令され、白には幸せになって欲しいと言われた。
ならば生きて苦しむことが瑠璃の償いになる。
だからこそ、瑠璃に幸せになって欲しいという白の願いだけは叶えてやることが出来ないのだ。
「ごめんね…」
白の胸にしがみついたまま、何度も謝罪を繰り返した。
騎士達が瑠璃を気にかける理由も、白が瑠璃を嫌っていないという話も、何か裏があるのでは無いかと勘ぐってしまう。
未だに思い通りに動かせない足を引き摺ってベッドから降り、夜が明ける前から部屋の隅で膝を抱えて丸くなっていた。
布団を頭から被って膝に顔を埋めれば周りの声も聞こえにくくなって世界の中に自分1人しか居ないように感じる。
日本にいた頃ならたったこれだけの事で辛いことは一時的に忘れることが出来た。
だというのに、最近はずっと頭に響いている声が消えてくれない。
どれだけ強く耳を塞いでも瑠璃を責め立てる声は瑠璃を許してくれない。
「悪い子で、ごめんなさい…ぼくは、しあわせになっちゃだめ…」
その声はいつも同じことを繰り返し言うだけだ。
白の声で、お前なんか早く死ねと繰り返される。
両親の声で、お前なんか生まれなければ良かったのにと責められる。
男の声で、人殺しが幸せになっていい訳が無いだろうと詰られる。
夢の中では白も両親も優しいままだったのに、意識があるときに聞こえる声では瑠璃を罵倒する。
白も両親もそんなこと言うはずがないと思えば思うほどその声は大きくなっていく。
「もう、やめて…!早く消えるから、早く死ぬから、」
1人で頭を抱えながら悲痛な叫びをあげた。
「瑠璃っ!!」
声を出して直ぐに、瑠璃が蹲っている場所からベッドを挟んだ向かい側の扉が音を立てて開かれ、白が飛び入って来た。
それ程大きくない部屋の中にいきなり白が現れて、先程までの白の声は幻聴ではなく本当に白が言った言葉なのもしれないと瑠璃の頭は混乱を極めた。
「ぁ、ご、ごめんなさい、しろ、ごめんなさい…っ」
瑠璃のそばまで駆け寄ってきた白と目が会った瞬間、瞬時に涙で濡れそぼった瞳を逸らした。
「大丈夫か…!?何があったんだ!?」
何かがあったという訳では無いが、もしかしたら白は瑠璃の悲鳴を聞いて何かのトラブルが起こったと思ったのだろうか。
しかし今の瑠璃はひたすら白に謝ることしか出来ず、周囲の状況など確認できる状態では無かった。
今目の前にいる白は瑠璃が作り出した幻影なのか、現実の存在なのかも区別がつかなかった。
「死ねなんて言わないで…っ僕のこと嫌いなら、早く消えるから、しろの声でひどいこと言わないでよぉ…っ」
白の声で瑠璃を罵倒する幻聴には嫌気がさした。
瑠璃を罵倒なんかしない過去の優しい白の記憶だけを抱えていたかった。
「そんなこと言うはず無いだろッ!瑠璃、俺の話を聞いてくれ…!」
瑠璃の言葉を強く否定して、白が瑠璃の両肩を掴んで俯いていた顔を上げさせる。
顔を上げさせられて強制的に白の瞳と視線が交錯した。
幻影と現実の間を揺蕩っていた瑠璃の意識は、白の声で現実に引き戻された。
「っ…どうして…」
久方ぶりに目が合った白の瞳は真っ直ぐに瑠璃の瞳を射抜いた。
瑠璃が想像していた白は嘲りや蔑みを込めた視線を向けてきていたはずなのに、今目の前にいる白は心配や悔恨が入り交じる感情を浮かべているように見えた。
白が悲しそうな顔をしている理由が思い当たらず瑠璃の混乱は深まる一方だった。
「やっと目見てくれたか…いいか瑠璃、俺の話をよく聞け」
あまりにも真っ直ぐな瞳で射抜かれているせいで白から目を離すことが出来ず、正面で向かい合ったまま白が話を続ける。
「どこのクソ野郎に吹き込まれたか知らねえけどな、俺がお前のこと嫌いになることなんて絶ッ対に無い。命賭けても良い」
依然として瑠璃の瞳を真っ直ぐ見つめたままの白が強い意志を述べた。
瑠璃は白が自分のことを嫌っていると心の底から思っている。
心の底から思っていることはことはそう簡単に覆るものでは無いが、白が嘘を言っているようには見えなかった。
瑠璃のことを嫌っている人間がこんなに真っ直ぐな目をして「嫌いになんてならない」と言い切れるのだろうか。
「…でも……」
もう誰も信じられないという気持ちと、白だけは信じてもいいかもしれないという相反する気持ちが瑠璃の心の中でぐるぐるとせめぎ合っていた。
瑠璃がうだうだと悩んでしまっている間も白は目を逸らさない。
もしかしたら白は、
もう一度白を信じたいというそんな気持ちが芽生えてきていた。
瑠璃の疑心暗鬼な心をも揺れ動かす程白の瞳は真っ直ぐで淀みなかった。
「俺の事信じられなくてもいいよ。瑠璃が辛い思いするなら、無理に信じてくれなんて言えねぇよな」
しばらくの沈黙の後、白が強ばっていた表情を緩めてどこか寂しそうな笑みを浮かべた。
白の寂しそうな顔を見て瑠璃の胸が締め付けられるように痛んだ気がした。
「そんな辛そうな顔しないでくれよ、俺はお前が怯えることが無い場所を作ってやりたいんだ。お前が1人でいたいって言うなら俺ももう近寄らない。ただ、お前の幸せを祈ってるやつはいるんだって事だけ覚えていてくれ」
「ぼくの、しあわせ…?」
つい昨日オルキナスが似たようなことを言っていた気がする。
瑠璃に優しくするのは自分が勝手にやっている事だとか言っていたはずだ。
怪我を治療するのも、暖かい言葉をかけるのも、瑠璃に見返りを求めてやっていることでは無いということらしい。
瑠璃にとってそんなに都合が良いことが本当に存在するのだろうか。
少なくとも、白の言葉を聞いて長らく冷たく強ばっていた心にほんの少しの暖かさが差したことは間違いなかった。
「そう、お前の幸せ。とりあえず今はお前に元気になって欲しい!ただそれだけの事なんだ」
寂しそうな笑顔を引っ込めて、今度は太陽のように明るい笑顔をたたえて白は言う。
瑠璃の記憶の中にある大好きな白の姿そのものが目の前にはあった。
怖い顔じゃない。酷い言葉を言わない。
毎日瑠璃が住む家まで会いに来て、にこにこと世間話をするかつての白の姿と同じだった。
「…とりあえず飯食おうぜ。俺作ってきたんだよ!無理なら残しても誰も怒らねぇから」
食事を残すことを気にする瑠璃に、先んじて問題ないと伝えてくれる優しさもかつての白らしい言葉だった。
「う、ん…」
「よし!ちょっと待っててくれ、すぐに持ってくるから!」
小さく頷いた瑠璃の声を聞いて、白がベッドを飛び越えて部屋を走り出た。
恐らく既に食事の用意は終わっていたが、瑠璃の声を聞いて食事を置いて身一つで飛んで来てくれたのだろう。
白の行動一つ取っても瑠璃のことを心から思ってくれていることは誰の目から見ても明らかだった。
ただ1人、瑠璃だけが白のことを心から信じることが出来ないでいた。
白が部屋を出て戻って来るのはすぐだった。
部屋の外からドタドタと足音が聞こえ、部屋の前で止まった。
日本にいた時からそうだったが、白は走る勢いのまま扉を開けて大きな音を立てることはしない。
どれだけ急いでいても、瑠璃が驚かないようにそっと扉を開けるのだ。
「入るぞー」
耳馴染みのいい声で瑠璃に許可を求めながら白が扉を開けた。
布団を頭から被ったままベッドの脇から扉の方を覗くと、茶碗や水差しが載った盆をサイドテーブルに置く姿が見えた。
「ははっ、瑠璃芋虫みたいになってんぞ」
盆を置いてから瑠璃の姿を視認した途端白が破顔した。
頭から布団をすっぽりと被った姿は変わっていないはずだが、瑠璃に何かあったと焦って飛んできた先程は瑠璃の服装などに気をかける余裕は無かったのだろうか。
改めて指摘されると自分の姿がやけに情けなく思えてきて、頬を赤く染めていそいそと布団から這い出た。
「あ!寒いならそのままでいいからな!」
「ううん、寒くないよ」
白が揶揄ったせいで布団から出たと思ったのか、白が慌てて瑠璃を布団に戻そうとした。
大丈夫、そう言った瞬間、白と普通に会話できていることにはたと気が付いた。
「?どうした?」
「…な、んでもない」
答えたきり固まってしまった瑠璃の顔を白が覗き込む。
「まあ、なんでもないならいいか」
まだぼんやりとしている瑠璃に釈然としない様子を見せた白だが、瑠璃がなんでもないと言うとそれ以上深くは踏み込まなかった。
「ほら、飯持ってきたから食おうぜ。ベッドの上で食べるか?立てるか?」
「…1人で立てる」
ベッド脇で布団にくるまっている瑠璃を案じた白が手を差し伸べたが、瑠璃はさっとその手を避けた。
手を避けた後でこんな態度をとったら白を怒らせてしまうかもしれないと思い至ったが、白は特に気にした様子はなかった。
酷いことを言ってこない白はこんなことでは怒らないのかもしれない。
ずっと些細なことで責め立てられて暴力を振るわれていた瑠璃は、白が怒らないことをどうしても不思議に感じてしまっていた。
どんな顔をすればいいのか分からなくなって、白から目を逸らしながら未だに思い通り動いてくれない足を引き摺ってベッドへと這い上がった。
「ちょっと冷えちまったけどまぁちょうどいいだろ。はい」
「え…」
サイドテーブルに載せられていたのはどうやら日本でよく見たおかゆだったらしい。
白はおもむろにそれをスプーンで1口分掬って瑠璃にはいと言って差し出してきた。
これは白が手ずから食べさせてくれるということだろうか。
「ほら、あーん」
スプーンを向けられたまま固まった瑠璃にもう一度スプーンを近づける。
少し戸惑ってしまったのは事実だが、白にかなり至近距離に近付かれているのに体の震えも無い。
特に拒否する理由も思い当たらず、そのままぱくりとスプーンを咥えた。
「どう?うまいか?」
「……」
スプーンを咥えた途端口内に広がったのは馴染みのある懐かしい味のおかゆだった。
白は冷えたと言ったが、猫舌の瑠璃にとってはちょうど食べやすい温かさになっていた。
煮込まれて柔らかくなった米をゆっくり咀嚼してこくりと飲み込んだ。
ほんのりと出汁のような風味がして優しく塩で味付けされている。
瑠璃が作るものよりは随分と塩味が濃いが、味付けのベースはほとんど同じだ。
よく料理をする瑠璃を昔から隣で見ていた白は、見よう見まねで料理の真似事をしていた。
料理の手本が瑠璃なのだから味が似てくるのは必然なのだろう。
ただ、味付けのベースは似ていても本来濃い味が好きな白が作ると瑠璃が作るものより味付けが濃くなるというのは常だった。
「るり?」
おかゆを食べたきり黙ってしまった瑠璃の顔をまた白が覗き込んだ。
「え!?ちょ、どうした瑠璃!そんなにまずかったか……!?」
まずかった訳じゃない。
それなのに目の前の白は手をわたわたと動かしながら瑠璃を案じた。
つい先程真っ直ぐ瑠璃の目を見つめて思いの丈をぶつけてきた白からは想像がつかない狼狽えぶりだ。
「ちが、まずくなんて、」
まずくない、そう否定しようと絞り出した声が震えていることに気付いた。
白が怖くて震えている訳では無い。
ならばなぜ声が震えているのだろうか。
「そんな泣く程まずかったのか…!?」
「え……?」
白に言われてやっと自分の視界が滲んでいることに気付いた。
頬に触れるとしっとりと濡れている。
目元を拭っても瞳から次々に溢れ出す涙は止まらなかった。
「ごめんな瑠璃、別のやつ持ってくるから!」
「だめ、まって…!」
「でも、」
すでに食器を下げようと動いていた白の腕を慌てて両手で抑えた。
未だに瑠璃の瞳からはぼたぼたと滂沱の涙がこぼれている。まるで蛇口の栓が壊れてしまったかのようにその涙は止まらない。
「ちがうの……まずいんじゃないよ、」
瑠璃が話し始めて白は動きを止めた。
たどたどしく喋る瑠璃を急かすことなく黙って話を聞いてくれるらしい。
白が着ているシャツの袖が皺になりそうなほど握りしめてなんとか涙を止めようとするが一向に止まる気配が無いうえに、みっともなく震えて引きつった声では今の瑠璃の心情を上手く伝えることは出来そうになかった。
「あ、あのね、えっと…」
「大丈夫、ゆっくりでいいから」
視線を自身の手元から持ち上げずにはらはらと涙を流し続ける瑠璃の背中を白が優しい力で撫でる。
そのおかげで涙は止まらなくともなんとか呼吸だけは落ち着かせることが出来た。
「すごく美味しかったんだよ、だからなんで涙が出るのか僕にも分からないの…ただ、こんなにあたたかくて、嫌な気持ちにならないのはすごく、久しぶりで、」
文脈なんてバラバラで、白に言いたいことが伝わっているかは分からない。
とにかく白が作ってくれた食事が不味くて泣いている訳では無いと伝えたかった。
「ごめん、ごめんね…何が言いたいのか分からないよね…」
「…なあ、触ってもいいか?」
ぐずぐずと鼻を鳴らしながらなんとかして言葉を紡ぐ瑠璃を白は泣きそうに歪んだ瞳で見つめていた。
おもむろに瑠璃の方へと腕を伸ばしたが、触れる直前で止まって瑠璃に許可を求める。
瑠璃を気遣わしげに見るその瞳は、白が瑠璃の思いを最優先に動いているのだという証拠に他ならない。
もう白に近づかれても体は震えなかった。
次々溢れてくる涙を拭いながらこくりと頷くやいなや、白ががばりと抱きついてきた。
「瑠璃、もう大丈夫なんだ。俺達が絶対瑠璃のこと守る。何回だって言うよ、俺はお前に幸せになって欲しい」
白はなおも瑠璃に幸せになって欲しいのだと言い募った。
涙を流しすぎてひきつけを起こしたような呼吸になっている瑠璃を落ち着かせるように、白が瑠璃の細い体を抱きしめながら背中をとんとんと優しくたたく。
「ごめんね、信じなくてごめんなさいっ、しろがあんなこと言う訳ないって分かってたのに…っ」
白の胸に顔を押し付けて何度も謝る。白の真っ直ぐ見つめてくる瞳も言葉も嘘偽りの無いものだと思った。
数回しか会ったことが無い男の言うことを鵜呑みにして勝手に白を疑ってしまっていたのだとやっと気づいた。
思えば今まで白が瑠璃に嘘をついたことなど1度としてなかった。もしあの部屋で男が言っていた話が本当なのだとしたら、白は瑠璃のことをずっと騙していたということになる。
そしてつい数分前まで瑠璃は本気でそう思い込んでいたのだ。
だがそれはにわかには信じ難い話であると気づくことが出来た。
白の作った温かい手料理を振る舞われ、暖かい腕で抱きしめられてようやく烏丸白という人間の本質を思い出すことが出来たのだ。
白は人を陥れたりしない。それが例え過去に罪を犯した瑠璃であったとしてもきっとそれは変わらない。
そもそも冷静に考えれば白が瑠璃の過去を知っているという話も信憑性が無いものだった。
「誰に何言われたのか俺には分からねぇけど、とりあえず俺はお前の味方だし絶対裏切らない。俺がお前に嘘ついたことなんかないだろ?」
依然として瑠璃の背中を優しく撫でながら白が言う。
「うん…っごめんね、ごめんねしろっ…」
「瑠璃が謝ることないんだって。大丈夫、大丈夫だから」
どうして白を信じることが出来なかったのだろうか。
この世界に来てから色んなことが起こりすぎているせいで時折自分が自分じゃないような感覚に陥ることさえある。
当たり前のことを判断できないのもそのせいだったのかもしれない。
白のおかげで幾分か思考が晴れたような気がした。
きっとアルフォンスやオルキナスも瑠璃を害そうなど思っていないのかもしれない。だとしたら瑠璃は彼らの言葉を信じずに無礼な行いをした。
2人に会って謝りたいと思った。謝って、その上で瑠璃の思いも伝えなければならないと思った。
瑠璃の頭上からは謝らなくていいのだと宥めてくれている白の声が聞こえる。
それでも瑠璃にはまだ謝らなければならない理由があるのだ。
白の願いはなんでも叶えてあげたいとずっと思っていた。
それでもだった一つだけ、白の思いを聞き入れることが出来ない。否、聞き入れてはならないのだ。
ーごめんなさい、それでも僕は、
それは誰になんと言われようと揺るがない瑠璃の思い、今生きる理由だった。
ー僕は幸せにはなれない
ー生きてたくさん苦しんで、罪を償わなきゃいけない
アルフォンスには生きろと命令され、白には幸せになって欲しいと言われた。
ならば生きて苦しむことが瑠璃の償いになる。
だからこそ、瑠璃に幸せになって欲しいという白の願いだけは叶えてやることが出来ないのだ。
「ごめんね…」
白の胸にしがみついたまま、何度も謝罪を繰り返した。
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不憫受けは可哀想だけど、、、大好きです!!
夜中に一気読みしちゃったけど、続きが気になりすぎて眠れないよぅ(ノД`)
これから周りが瑠璃くんの心をどう癒していくのかが楽しみです♪
感想ありがとうございます!✨
不憫な主人公、かわいいですよね…!
好きなものを好きなだけ書いてるので好みが合ったようで嬉しいです!
今後ものんび〜り連載していくと思いますので、そう言っていただけると励みになります✨