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ジャン=ジャック・ルソー
旅路で知り合った婦人
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ルソーがモンペリエに向かって治療の旅を始めたところ、ル・コロンビエ夫人の一行と旅程が一緒になった。
ルソーは人見知りを発揮して、あまり近づかないようにしていたが、夫人達の方で興味を示してきた。
ル・コロンビエ夫人は若くて人気もあり、若い男たちの取り巻きもおおいので、ルソーにはそれほど興味を示さなかったが、ラルナージュ夫人は取り巻きも少ないので旅の道連れを欲していた。
旅中、、宿が一緒で食事も一緒になることがあるので人見知りのルソーも口を聞かざるを得ない。
「あなたはどこの出身なの」と病人のルソーに対して興味を持った夫人たちが質問してくる。
「イギリスです」とルソーは嘘をついた。
旅の期間だけの関係なので適当にやり過ごそうと思ったのだ。
「名前は」
「ダディング・ジャコバイトです。よろしく。マダム」偽名を名乗った。
そうすると、みんなはルソーの事をダディングさんと呼び始めた。
しかし、いまいましいことに、年寄りの病人トリニャン公爵がダディングさんと話がしたいと言ってきた。
「君はイギリス出身じゃそうだが、ジェームス王についてどう思う」
とイギリスの王や王子、旧サンジェルマン宮の事などについて質問してきた。
ルソーは本で知っていた薄っぺらい知識で冷や汗を書きながら何とか誤魔化し通した。
ラルナージュ夫人はルソーに明らかな好意を持っていた。
「ねえ、コロンビエ夫人、あのダディングさんてどう思う」
「あのひと、世間知らずだけど割と感じはいいわ」
「そうよね。私、結構タイプなのよ」
そんな噂をしているのがルソーの耳に聞こえてくる。
ある日曜日、ミサにラルナージュ夫人と行く事になった。
ルソーは普段通りの仕草でお祈りをした。
「ダディングさんて信心家なのね」
「いえ、そういうわけでもないですが、修行していたことがあるので」
「まあ、素敵。私、ダディングさんに惚れちゃいそう」
「そんな、からかわないでください」
ルソーはラルナージュ夫人がルソーの事をからかっていると思った。
(病人の自分に夫人が惚れるはずがない。自分がもしその気になれば、きっとトリニャン公爵と笑い話にするに違いない)
「ダディングさんはモテますねえ」とトリニャン公爵がからかってくる。
(ほらみろ。2人でグルになってるんだ)
そう思って疑わない。
「ねえ、ねえダディングさん。一緒に歩きましょう」
ルソーは素っ気ない態度で過ごしていた。からかわれて笑いものにされるのはまっぴらだった。
それでも、惚れっぽいルソーはだんだんラルナージュ夫人に本気で惚れてしまった。
ラルナージュ夫人は決して若くはない。しかし、男好きのするルックスなのだ。
柔らかそうなもち肌。
艶やかな瞳。
ルソーにとってはとても魅力的に映る。
ルソーはそういった生命の美しさに敏感なのだ。
しかも、ラルナージュ夫人はルソーをからかっている訳ではなく、本気で好意を持っていた。それが、彼女の魅力をさらに一弾引き上げていたのだ。
「ダディングさん、私はあなたの事が好きよ。いけないことをしてもいいと思うほど。あなたはどう」と魅惑的な表情でラルナージュ夫人は囁いてくる。
しかし、いくじのないルソーはラルナージュ夫人に手を出すことは出来なかった。
「ああ、これがみな本当だったら私は男性のうちで一番果報者なのに!」
ルソーはそう叫んだ。
そんなうぶなルソーを見て、ラルナージュ夫人はますますルソーに惹かれていった。
そうした旅を続けてる途中、ル・コロンビエ夫人の一行とは別れることになった。
つまり、ルソー、ラルナージュ夫人、トリニャン公爵と三人でゆっくりと旅を続ける事になったのだ。
そうして、ルソーはラルナージュ夫人からさらなる誘惑を受けることになった。
ルソーは人見知りを発揮して、あまり近づかないようにしていたが、夫人達の方で興味を示してきた。
ル・コロンビエ夫人は若くて人気もあり、若い男たちの取り巻きもおおいので、ルソーにはそれほど興味を示さなかったが、ラルナージュ夫人は取り巻きも少ないので旅の道連れを欲していた。
旅中、、宿が一緒で食事も一緒になることがあるので人見知りのルソーも口を聞かざるを得ない。
「あなたはどこの出身なの」と病人のルソーに対して興味を持った夫人たちが質問してくる。
「イギリスです」とルソーは嘘をついた。
旅の期間だけの関係なので適当にやり過ごそうと思ったのだ。
「名前は」
「ダディング・ジャコバイトです。よろしく。マダム」偽名を名乗った。
そうすると、みんなはルソーの事をダディングさんと呼び始めた。
しかし、いまいましいことに、年寄りの病人トリニャン公爵がダディングさんと話がしたいと言ってきた。
「君はイギリス出身じゃそうだが、ジェームス王についてどう思う」
とイギリスの王や王子、旧サンジェルマン宮の事などについて質問してきた。
ルソーは本で知っていた薄っぺらい知識で冷や汗を書きながら何とか誤魔化し通した。
ラルナージュ夫人はルソーに明らかな好意を持っていた。
「ねえ、コロンビエ夫人、あのダディングさんてどう思う」
「あのひと、世間知らずだけど割と感じはいいわ」
「そうよね。私、結構タイプなのよ」
そんな噂をしているのがルソーの耳に聞こえてくる。
ある日曜日、ミサにラルナージュ夫人と行く事になった。
ルソーは普段通りの仕草でお祈りをした。
「ダディングさんて信心家なのね」
「いえ、そういうわけでもないですが、修行していたことがあるので」
「まあ、素敵。私、ダディングさんに惚れちゃいそう」
「そんな、からかわないでください」
ルソーはラルナージュ夫人がルソーの事をからかっていると思った。
(病人の自分に夫人が惚れるはずがない。自分がもしその気になれば、きっとトリニャン公爵と笑い話にするに違いない)
「ダディングさんはモテますねえ」とトリニャン公爵がからかってくる。
(ほらみろ。2人でグルになってるんだ)
そう思って疑わない。
「ねえ、ねえダディングさん。一緒に歩きましょう」
ルソーは素っ気ない態度で過ごしていた。からかわれて笑いものにされるのはまっぴらだった。
それでも、惚れっぽいルソーはだんだんラルナージュ夫人に本気で惚れてしまった。
ラルナージュ夫人は決して若くはない。しかし、男好きのするルックスなのだ。
柔らかそうなもち肌。
艶やかな瞳。
ルソーにとってはとても魅力的に映る。
ルソーはそういった生命の美しさに敏感なのだ。
しかも、ラルナージュ夫人はルソーをからかっている訳ではなく、本気で好意を持っていた。それが、彼女の魅力をさらに一弾引き上げていたのだ。
「ダディングさん、私はあなたの事が好きよ。いけないことをしてもいいと思うほど。あなたはどう」と魅惑的な表情でラルナージュ夫人は囁いてくる。
しかし、いくじのないルソーはラルナージュ夫人に手を出すことは出来なかった。
「ああ、これがみな本当だったら私は男性のうちで一番果報者なのに!」
ルソーはそう叫んだ。
そんなうぶなルソーを見て、ラルナージュ夫人はますますルソーに惹かれていった。
そうした旅を続けてる途中、ル・コロンビエ夫人の一行とは別れることになった。
つまり、ルソー、ラルナージュ夫人、トリニャン公爵と三人でゆっくりと旅を続ける事になったのだ。
そうして、ルソーはラルナージュ夫人からさらなる誘惑を受けることになった。
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