超変態なジャン=ジャック・ルソーの思想がフランス革命を引き起こすまで

MJ

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ジャン=ジャック・ルソー

クロード・アネ

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ルソーはクロード・アネがヴァランス婦人と関係を持っていることは知っていた。

しかし、クロード・アネがルソーと婦人との関係を知っていたのかどうかは分からない。

賢い、観察眼の優れたアネの事だから、きっと知っていたに違いない。

それでも、ルソーと婦人とアネは仲良く3人で暮らしていた。アネは婦人がルソーを可愛がることを許容していた。婦人はルソーにアネがどれほど素晴らしい人物か語っていたし、アネにはルソーの可能性を説いていた。ルソーにとっては心境は複雑だがとても楽しい日々を過ごしていた。何よりも、3人で食卓を囲んだ団欒が楽しかった。

一方、婦人の家には、婦人の財産をかすめ取ろうとして事業を持ち込む邪魔者の客が絶えず来て、婦人はいつも忙しそうにしていた。

客は言う。
「ヴァランス婦人、なにか、事業を起こしましょう。お金は使わないと増えませんよ」

「私は、植物園を建てたいと思っているの」

「ほう、それはいいアイデアだ」

「うちのクロード・アネは植物に詳しいので、園長にして、その隣に病院を建てるの。そこにはアネが管理して育てた薬草を薬に使えば評判が良くなるはずよ」

「なるほど。それはいい施設になるだろう。すぐにでも国王に申請を出して事業を始めましょう」

そうして、クロード・アネのために植物園を建てる計画が起こった。ルソーもその植物園で働く予定だった。

しかし、その計画は水泡と化してしまった。

クロード・アネはアルプスよもぎという高山植物の採集に夢中になっていた。グロッシ医師が肺病の治療薬として欲しがっていたのだ。クロード・アネは毎日のようにアルプスの山の中に入っていきアルプスよもぎを探した。

クロード・アネは高山に登りすぎて肋膜炎になってしまった。

グロッシ医師がアネを治療したが、回復はしなかった。
「ぜえ、ぜえ、ぜえ」

「アネ、大丈夫?」

「アネ、アネ、アネ。しっかりして」

「はあ、はあ、はあ。」

声も出せないアネをヴァランス婦人とルソーは必死で看病を続けた。


5日後、アネは亡くなった。

ルソーは最後までアネを励まし続けたが、その効果はなかった。

婦人とルソーは深い悲しみに包まれた。

ルソーはアネの黒いタキシードを見てふと頭に浮かんだことを口にした。
「このタキシードはぼくが形見に貰っていいかな」

ヴァランス婦人はルソーを見ることもなく泣き続けた。

ルソーは言ったことを後悔した。


アネが居なくなった婦人の家は徐々に傾き始めた。
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