上 下
60 / 88

第60話 緊張感のない奴ら。

しおりを挟む
さて、俺はローブを纏い待ち合わせ場所である白逆塔で待っていると、シンデレラーズが歩いてやってきた。

「「「「あ」」」」

4人は、息をそろえ反応した。
 
「あの、ク、クロウ様。よろしくお願いします。あの、動画配信見ました。最強です。」
「ああ」

確か、この子はリリだったな。
助けた俺に感謝して褒めてくれているのだろうか?
お世辞でもうれしいぞ。

と言う事で、フェニックスを倒した時に回収しておいた赤い羽根を渡した。

「あ、ありがとうございます。」

他の三人は、何かめっちゃ驚いているような顔をして、三人は集まり何かコソコソと話している。
 だが、声が小さすぎて聞こえない。

***

「ねえ、あの羽って。」
「ええ、サリ。間違いなくフェニックスの赤羽。あれを持っていると、致命的なダメージを肩代わりしてくれると言う、最高級品。あれを、渡すとか何を考えているの。」
「ユリはどお思う。」
「ユリは...最強だからだと思う。エリは、どう思ってるの?」
「やっぱ、最強なのか...」

***

三人は、コソコソ話は終わったようで、エリが「さあ、行きましょう~」と明るく出発した。

俺は、1~65階層まで5時間ほどかけてダンジョンを探索している。
 その間に、俺がハマった沼があった。
そこは、簡易的な橋を使って渡っている。あ~この沼にハマったことがあるな~っと言うことを思い出しながら渡った。

「ねえ、クロウは何をしているの?」
「秘密だ。」
「じゃあ、何なら答えてくれるの?」
「どれも秘密だ。」

エリが、色々と質問してくる。
 ダンジョンで、魔物と戦う緊張感があるハズなのだが、そのような事はなく、気楽ではあるが。

それに、リリと言う女性が何故かくっついてくるのだが...やはり、後衛スキルなので、やはり怖いのだろうか?
 俺より、シンデレラーズのエリの後ろに隠れていればいいのだが。

「なあ、俺よりお前のリーダーのところに隠れた方が良いのではないか?」
「クロウ様がいいの。」

リリの言葉を聞いたシンデレラーズのリーダーであるエリはショックを受けている。
 
「え、リリは私の事を慕っていたのに...サリ~わあああん!!」

ダンジョンの探索中に、よく抱きつけるなと思った。
 サリはまんざらでもないような顔をして、頭を撫でてあやしている。

「ほら、お前のリーダーが泣いてるぞ。」
「う...うん。エリごめんなさい。」
「いいよ。だけど、クロウより私の事を慕ってほしいな~」
「クロウ様と同じ位慕ってます。」
「わ~ん!!クロウと比較されるよ!!」

エリは、またサリに抱き着きなだめてもらっている。
 いや、だから探索中なのだがな...~

エリの鳴き声で魔物が集まる。それを、俺とユリが対処している。

信頼感があるのか、エリは豪快に泣いてる。ほんと、緊張感のない奴ら。



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

婚約者の彼から彼女の替わりに嫁いでくれと言われた

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:13,867pt お気に入り:484

盤上に咲くイオス

BL / 連載中 24h.ポイント:298pt お気に入り:190

私の婚約者は誰?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:170pt お気に入り:223

神様のエラー・隠蔽魔法使いは気まぐれ

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:863

紳士な若頭の危険な狂愛

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:21

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,776pt お気に入り:7,290

処理中です...