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第2章~2回目の小学生~
第11話Part.2~その「ゼオン」はあなたの想像上の存在に過ぎないのではないでしょうか~
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「今日は素振りと打ち込みでお願いします。我々は急遽出かける必要ができましたので。」
「分かった。」
「ファンデン様。私との立ち合いは半月後でよろしいですか?」
「ああ。それでいい。」
家に帰った後は鍛練。だがゼオンたち騎士は用事ができたようで、自主練習となった。そしてあのディナーの最中には話ができなかったので、前に約束したゼオンとの立ち合いの日取りを今決めた。
ゼオンを見送った後は素振りを始める。敵を想定しながら剣を振る。たまに回避行動を取ったりと実戦を想定しながらの素振りだ。これも慣れてくると何もないはずの空に相手の姿が朧気ながらも浮かび上がり、攻撃や防御、回避をしてくる。
今想定している相手はゼオン。とはいっても俺は彼の戦闘をそこまで多く見たわけでは無い。俺が知る限りのゼオン。だがそれでも凄まじく強い。何度やっても致命傷となる攻撃を食らわされる。
その度にリアクションを取ってしまうので、傍から見ていると妙な光景にしか見えないだろう。
何度やっても勝てないので段々とヒートアップしてきた俺は上半身の服を脱ぎ捨てる。もう冬も近く肌寒いというのに汗が出てきて暑く感じる。普段ならゼオン辺りに「風邪引きますぞ。」とか言われて止められるだろうが、今は俺一人だ。注意する奴など居ない。
結局一度も想像の中のゼオンに勝つことができなかったが、最後に俺の構想している技を練習してみた。まずは大剣を横薙ぎに斬る。さらにそこから斜め上に斬り上げ、最後に真上から両断する。これを大剣でなるべく速く斬り、敵の胴体を模した的にきっちりと3つの斬り口を付けて細かく斬る。
今回はうまくいった。斬った的が重力に逆らえず落ちてターゲットが無くなる前に全ての剣撃を与えられた。俺はふぅーっと一息ついて大剣を背中の鞘に納めた。
俺は脱いだ服を拾う為にその方向を向くと、誰かが立っている。良い身なりをした女の子。見覚えがある気がするが遠すぎるので誰かは判別できない。俺は服の方へ向かうと女の子との距離が近づく。服の前まで行くと顔が判別できた。それと同時に
「キャーーーーッ。」
女の子の悲鳴がロートリース家の屋敷内に響き渡る。声の主は豪商フィオーニ家の娘、ペティのものだった。彼女は俺の露になった上半身を見て思わず叫んでしまったようだ。
俺はその大きな叫び声に驚く。ペティは両目を手で覆って見ないようにしているが、ところどころ隙間が開いている。(アレで隠れているんだろうか。)と全く見当違いのことを思ったが、直ぐにシャツを羽織った。
ペティの悲鳴を聞いたロートリース家の使用人たち、フィオーニ家の使用人も続々と練習場に集まってきてしまった。(どうしよう……。何を言っても面倒な事になりそう。)とうまい言い訳を考えようとしたが思いつかない。まったくどうしてこんなことになったんだ。
「分かった。」
「ファンデン様。私との立ち合いは半月後でよろしいですか?」
「ああ。それでいい。」
家に帰った後は鍛練。だがゼオンたち騎士は用事ができたようで、自主練習となった。そしてあのディナーの最中には話ができなかったので、前に約束したゼオンとの立ち合いの日取りを今決めた。
ゼオンを見送った後は素振りを始める。敵を想定しながら剣を振る。たまに回避行動を取ったりと実戦を想定しながらの素振りだ。これも慣れてくると何もないはずの空に相手の姿が朧気ながらも浮かび上がり、攻撃や防御、回避をしてくる。
今想定している相手はゼオン。とはいっても俺は彼の戦闘をそこまで多く見たわけでは無い。俺が知る限りのゼオン。だがそれでも凄まじく強い。何度やっても致命傷となる攻撃を食らわされる。
その度にリアクションを取ってしまうので、傍から見ていると妙な光景にしか見えないだろう。
何度やっても勝てないので段々とヒートアップしてきた俺は上半身の服を脱ぎ捨てる。もう冬も近く肌寒いというのに汗が出てきて暑く感じる。普段ならゼオン辺りに「風邪引きますぞ。」とか言われて止められるだろうが、今は俺一人だ。注意する奴など居ない。
結局一度も想像の中のゼオンに勝つことができなかったが、最後に俺の構想している技を練習してみた。まずは大剣を横薙ぎに斬る。さらにそこから斜め上に斬り上げ、最後に真上から両断する。これを大剣でなるべく速く斬り、敵の胴体を模した的にきっちりと3つの斬り口を付けて細かく斬る。
今回はうまくいった。斬った的が重力に逆らえず落ちてターゲットが無くなる前に全ての剣撃を与えられた。俺はふぅーっと一息ついて大剣を背中の鞘に納めた。
俺は脱いだ服を拾う為にその方向を向くと、誰かが立っている。良い身なりをした女の子。見覚えがある気がするが遠すぎるので誰かは判別できない。俺は服の方へ向かうと女の子との距離が近づく。服の前まで行くと顔が判別できた。それと同時に
「キャーーーーッ。」
女の子の悲鳴がロートリース家の屋敷内に響き渡る。声の主は豪商フィオーニ家の娘、ペティのものだった。彼女は俺の露になった上半身を見て思わず叫んでしまったようだ。
俺はその大きな叫び声に驚く。ペティは両目を手で覆って見ないようにしているが、ところどころ隙間が開いている。(アレで隠れているんだろうか。)と全く見当違いのことを思ったが、直ぐにシャツを羽織った。
ペティの悲鳴を聞いたロートリース家の使用人たち、フィオーニ家の使用人も続々と練習場に集まってきてしまった。(どうしよう……。何を言っても面倒な事になりそう。)とうまい言い訳を考えようとしたが思いつかない。まったくどうしてこんなことになったんだ。
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