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第2章~2回目の小学生~
第11話Part.3~フィオーニ家、シェーベリー支店!来春開店!~
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「な、なんでもないんです。ちょっと大きな虫を見てしまって……。」
この場を穏便に収めてくれたのはペティだった。大きな虫を見て驚いてしまったと集まった皆に説明してくれていた。ロートリース家の使用人たちは納得したが、フィオーニ家の使用人たちはあまり納得して無さそうだったが一応引き下がった。
「えっと、ペティさん。どうしてここに?」
俺はガシガシと荒々しく汗をかいている頭や顔を拭きながら、彼女がどうしてここに来ているのか尋ねた。俺の家に友人は何度か来たことがあったが、ペティには好感を持ってはいるがそこまで親しいわけでもない。それにそもそも招いても無い。
「ロートリース夫人のご注文の品を届けに赴く父に着いてきました。」
「あぁ。そういうこと。」
「シェーベリー戦闘大学校に合格したと聞きました。おめでとうございます。」
「ああ。ありがとう。」
母が何かフィオーニ家に何か注文していたのでそれを届けに来たらしい。それで同じ学校に通い、面識もある俺にわざわざ挨拶と合格のお祝いの言葉を言いに来てくれたようだ。
「私も来年から、シェーベリーの方へ赴くことになりました。」
「……ん?そうなの?」
「来年、シェーベリーに支店を出すことになったので、私もそちらに。」
ペティも来年から学園都市シェーベリーに行くことになったそうなのだが、彼女が受けた学校というのが思い浮かばなかった。
戦闘大学校なら俺やセリオスたち6人の誰かが聞いていて知ってるだろうし、学術学校ならアメリアが受けているので多分ヨーゼフ辺りから聞く筈だ。商業学校というのは俺の知る限り、この国には存在しておらず、彼女が学園都市シェーベリーに行く理由が思い浮かばなかったのだ。
俺の表情から何故シェーベリーに行くのか分かっていないと察したのか、ペティは補足して言う。彼女の説明でやっと合点がいき、俺は「なるほど。」と答えた。
更に話を聞くと、彼女の兄がその支店を任されるようで、ペティがどうしても行きたいと言ったそうだ。娘を溺愛している父のフィオーニ氏は相当渋ったらしいが、最後は夫人の説得もあって渋々シェーベリー行きを認めたようだ。
「へぇ。でも何でわざわざシェーベリーへ?」
「え?いえ、それは…………そう!アメリアさん達もシェーベリーに赴かれるので、できれば一緒の街に住みたいなと思ったからです。」
実家の方が何かと暮らしやすいし、わざわざ新しい支店に赴かなくてもいいのではと、俺は思って尋ねてみると、聞いてはいけなかったのか随分慌てた様子でペティは答える。理由も何か取ってつけたような感じだし、明らかに嘘を言っている気がする。
とはいえ言いたくないのなら無理に聞くのも良くないので、ここは彼女の答えた理由で納得することにした。たしかに友達と離れるのは寂しいというのは俺もよく分かる。
「あっ。そろそろ父も戻ると思いますので。また明日学校で。」
「うん。また明日。」
注文の品を届けに来ているだけだったフィオーニ氏が、そろそろ話も終わって戻るだろうということで、ペティは屋敷の中へと戻って行った。
そのすぐ後にずっと様子を見ていたらしいメイに
「フィオーニ家のご令嬢、かわいらしい方ですね。ファンデン様も隅に置けませんね。」
とからかわれた。一体この娘は何を言っているのだろうか……。メイはこういった話が好きなようで、ニヤニヤが隠しきれていない。なんかしばらくからかわれるネタを提供してしまったみたいで少し憂鬱な気分になってしまった。
この場を穏便に収めてくれたのはペティだった。大きな虫を見て驚いてしまったと集まった皆に説明してくれていた。ロートリース家の使用人たちは納得したが、フィオーニ家の使用人たちはあまり納得して無さそうだったが一応引き下がった。
「えっと、ペティさん。どうしてここに?」
俺はガシガシと荒々しく汗をかいている頭や顔を拭きながら、彼女がどうしてここに来ているのか尋ねた。俺の家に友人は何度か来たことがあったが、ペティには好感を持ってはいるがそこまで親しいわけでもない。それにそもそも招いても無い。
「ロートリース夫人のご注文の品を届けに赴く父に着いてきました。」
「あぁ。そういうこと。」
「シェーベリー戦闘大学校に合格したと聞きました。おめでとうございます。」
「ああ。ありがとう。」
母が何かフィオーニ家に何か注文していたのでそれを届けに来たらしい。それで同じ学校に通い、面識もある俺にわざわざ挨拶と合格のお祝いの言葉を言いに来てくれたようだ。
「私も来年から、シェーベリーの方へ赴くことになりました。」
「……ん?そうなの?」
「来年、シェーベリーに支店を出すことになったので、私もそちらに。」
ペティも来年から学園都市シェーベリーに行くことになったそうなのだが、彼女が受けた学校というのが思い浮かばなかった。
戦闘大学校なら俺やセリオスたち6人の誰かが聞いていて知ってるだろうし、学術学校ならアメリアが受けているので多分ヨーゼフ辺りから聞く筈だ。商業学校というのは俺の知る限り、この国には存在しておらず、彼女が学園都市シェーベリーに行く理由が思い浮かばなかったのだ。
俺の表情から何故シェーベリーに行くのか分かっていないと察したのか、ペティは補足して言う。彼女の説明でやっと合点がいき、俺は「なるほど。」と答えた。
更に話を聞くと、彼女の兄がその支店を任されるようで、ペティがどうしても行きたいと言ったそうだ。娘を溺愛している父のフィオーニ氏は相当渋ったらしいが、最後は夫人の説得もあって渋々シェーベリー行きを認めたようだ。
「へぇ。でも何でわざわざシェーベリーへ?」
「え?いえ、それは…………そう!アメリアさん達もシェーベリーに赴かれるので、できれば一緒の街に住みたいなと思ったからです。」
実家の方が何かと暮らしやすいし、わざわざ新しい支店に赴かなくてもいいのではと、俺は思って尋ねてみると、聞いてはいけなかったのか随分慌てた様子でペティは答える。理由も何か取ってつけたような感じだし、明らかに嘘を言っている気がする。
とはいえ言いたくないのなら無理に聞くのも良くないので、ここは彼女の答えた理由で納得することにした。たしかに友達と離れるのは寂しいというのは俺もよく分かる。
「あっ。そろそろ父も戻ると思いますので。また明日学校で。」
「うん。また明日。」
注文の品を届けに来ているだけだったフィオーニ氏が、そろそろ話も終わって戻るだろうということで、ペティは屋敷の中へと戻って行った。
そのすぐ後にずっと様子を見ていたらしいメイに
「フィオーニ家のご令嬢、かわいらしい方ですね。ファンデン様も隅に置けませんね。」
とからかわれた。一体この娘は何を言っているのだろうか……。メイはこういった話が好きなようで、ニヤニヤが隠しきれていない。なんかしばらくからかわれるネタを提供してしまったみたいで少し憂鬱な気分になってしまった。
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