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しちぃ

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えへへ。

えへへ。

ボクはとってもうれしいの。

おねーさんはボクの顔を眺めながら

何かを話しかけてくれてる

『クロ……』

何を言っているの?

おしえて、おねーさん。

『ウル……』

何を言っているの?

ボク、全然わからないの。

どうしてわからないのだろう?

ボクはおねーさんの言葉、知りたいのに……

ボクは首を傾げて懇願したんだ。

『ねぇ、教えて?』って。

『雨の日に拾ったし、私の名前をひとつとって……「うげつ」って……どうかな?』

う、うそみたい……

これって、幻の声?なの?

おねーさんの声、

き、聞こえたぁあ!

優しい声なんだよ……

暖かみのある素敵な声なんだよ。



ボクの願いが叶っちゃった!

「うげつ」って言葉、聞こえたんだよ!

これって……奇跡だよね?

でも……

『うげつ』ってなんだろう?

その言葉しか聞こえないけど

それでもいい!

『うげつ』という言葉が

ボクとおねーさんを繋ぐ……言葉なんだね?

「ニャァアアアア!」

ボク、とっても嬉しくって

とってもとっても大きく声を出したよ。

ね?

もっともっと『うげつ』って言ってね!

ボクはとっても嬉しくなるんだもん。

おねーさんに『うげつ』って言われるの……好き!

とっても好きなの。

嬉しいと云う表現……大きく声に出すからね!

『ボク、おねーさんが好き!』って。

言葉は……

残念なことに、ね

「ニャァアアアア!」

にしかならないんだけど。



ね?

おねーさん。

……わかってくれるかな?



ボクの気持ち。

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