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男の子?の雨月はイチャイチャしたがる

159 やーめーてー!

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「はーちゃはねー、ぼくのなの。とっちゃ、やなの!はーちゃはぼくの!おちりもぼくのなの。ね?なーちゃ!」

 ちょ、ちょ、ちょっと!
 うげつったら、な、な、な、なんてことをいうのーーー!

「は、『はーちゃ』って……もしかして星野のことか?『おちり』って……ひーっくっっくっくっ、ひはははは……」

「……渡辺さん、変な笑い声出さないでください。それに……笑いすぎです」

 私は渡辺さんを睨まずにはいられなかった。
 だって、おさない雨月を睨んだってしょうがないんだもん。
 おさない雨月には悪意はなくても……渡辺さんのその笑いには私にとって悪意にしか思えないもの。

 八つ当たりでも、睨ませてもらいます!

「あ、ごめんごめん。だってさぁ……『おちり』だぜ?」

 だーかーらー!
 その固有名詞はダメなんだってば!
 おさない雨月が言っちゃうのは仕方がなくっても、渡辺さんが言っちゃあダメでしょう!

「はーちゃのぷにぷにおちり、きもちいーの!はーちゃ、ぷにぷになのぉ!」

 おさない雨月は渡辺さんが笑っているのが気に入ってしまったらしく嬉しそうに「おちり!おちり!」と言っている。

 きゃぁああああ!
 やーめーてー!

 ……もう、私にはお手上げだわ。

 私は項垂れて降参するしかなかった。

「……あ、笑いが……ふはぁはははは!これ、柴犬が聞いたら喜びそうなネタだな」

「絶対に、や、やめてください!」

 それだけは困ります!
 やめてもらわなくっちゃ……。
 そこに夏川上司のお怒りの声が渡辺さんを一撃する。

「わーたーなーべー!さっさと戻れ。あっちの係長を待たすな!」

 夏川上司のいつにない低音ボイスの一声で渡辺さんの背筋がビシッと伸びた。

「は、はい!じゃあ、星野はあの子がいるからここで仕事をするってことか?」

「あ、はい。夏川上司の配慮でこうなりました」

「了解!えーと、雨月ちゃんだったかな?」

「うん」

 名前を呼ばれたおさない雨月は嬉しそう。

「お昼休みにでも会いに来ていいかな?『おちり』のお話ししような!」

「渡辺さん!」

 もう!何てこというのよ。
 私は咄嗟に叫んでしまった。

「はいなのぉ!」

 おさない雨月はいいお返事です。
 ……ききたくないわっ。

「冗談だって。じゃあ、俺行くわ。夏川課長、係長を待たせるので早く戻って来てくださいよ。えっと……奥さん、ごきげんよう!また来ます」

「わかった。茶でも出しとけよ」

 私と夏川上司と陽愛さんに愛想を振り撒きながら……
 一波乱ありましたが、漸く渡辺さんが第三会議室から去ってくれました。
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