私が拾ったのは子猫なんですけど!そして私は男じゃない!

わらいしなみだし

文字の大きさ
84 / 280
子猫の雨月と男の子の雨月

78

しおりを挟む
 落ち込んでいる私に男の子の雨月は立ち上がって私の方へおもむろにやって来て、

「おにーさん、すきっ!」

 って言いながら私の泣きそうな顔の目尻にチュッとキスをしてもう一つの方にも同じことをした。

「すきっ!すきっ!すきっ!」

 私をギュッと抱きしめたと思ったら直ぐに離れてくれた。
 驚いた私を放置して男の子の雨月は寝室の方に入っていった。

 ガサゴソガサゴソ

 男の子の雨月が入っていった寝室からなにかをしている音がしてくる。

 な、何をしているの?

 さすがに気になって立ち上がろうとした時、男の子の雨月は両手になにかを持ってこっちに戻って来た。

 右手には私がいつも着ている就寝用のロングTシャツ。私は今も着ている。
 左手には……子猫の雨月の真っ赤な首輪だった。

「いっしょ!いっしょ!すきっ!すきっ!」

 そう言って私に右手にあるTシャツを私に差し出した。

「雨月、これなら……着てくれるの?」

「んー」

 大きく頷く男の子の雨月。

「一緒の服なら着てくれるの?」

「んー!」

 もう一度大きく頷く男の子の雨月。

 あ……
 なんか、嬉しい!
 同じのがいいだなんて……。

 じゃあ、私とお揃いの服なら着てくれるのかも……。

 私は今日の男の子の雨月に買ってあげる服を想像しながら、ロングTシャツを男の子の雨月に着せた。雨月は抵抗することもなく、すんなり服を着てくれてちょっぴり胸があたたかくなった。

 男の子の雨月は今度は首を伸ばして左手に持っている子猫の雨月の真っ赤な首輪を私に差し出した。

「すきっ!してっ!してっ!すきっ!してっ!してっ!」

 あ……。
 言葉が一つ増えたことに感動すべきなんだけど……。
 私の思考はちょっと静止してしまった。

 え?

 もう一度、冷静に考えてみる。

 これって……どうみても

「首輪、つけて!」

 って言ってるよね?
 首輪は子猫の雨月のだから、男の子の雨月にはしないよって……言った筈なのに?
 覚えてないの?

 男の子の雨月はからだを揺らしておしりをフリフリさせて、まだかな?まだかな?と私が首輪をつけてくれるのを待っている様子。

 どうしよう?
 どっちの雨月もこの真っ赤な首輪が大切だと示してくれた。
 それって、肌身放さずつけていたいってこと?
 持っていたいってこと?

 それなら……首にしなくても、いいんじゃないかな?

「雨月、お手手だしてくれる?」

 それを聞いた男の子の雨月は素直に両腕を伸ばして私に両手を出してくれた。
 私は邪魔にならないだろうとそう考えて左側の方の手を持ち、その手首に子猫の雨月の真っ赤な首輪をつけてあげた。落ちないように、ぴったりサイズの穴で留めてあげる。

 男の子の雨月はとっても嬉しそうにパッと花が開くような満面の笑顔で私に近づいてきて

「すきっ!すきっ!すきっ!」

 そう言ってから私の口と鼻先にチュッと口付けたのでした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

処理中です...