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子猫の雨月と男の子の雨月
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男の子の雨月は私から離れない。
両手で私を捕獲するかのようにピトッとくっついてる。
私は今、台所にいる。
やっと『オムライス』が作れるというのに……男の子の雨月がなぜかくっついたまま離れない。
冷蔵庫から今日、オムライスを作る分のごはんと玉子を四個と炒めた具材を取り出した。
「雨月、邪魔なんだけど……」
「すきっ!すきっ!」
と私の顔を見ながらそう言ってやっぱり離れてくれない。
どうみても、ここから動く気はないみたい。
それなら……提案してみることにした。
「雨月、見てていいから『おねーさん』にくっつくのをやめてくれないかな?火を使うから雨月にくっつかれてながら作業すると『おねーさん』危ないんだ」
男の子の雨月はじっと考え始めたように動かなくなった。
きっと、わかってくれる筈!
暫くして男の子の雨月の手が私から離れていった。
「んー!」
「ありがとう、雨月」
男の子の雨月の頭を何度も撫でると雨月はとっても嬉しそうな顔を私に見せてくれた。
いいお返事が聞けたので料理作りを開始する。
フライパンを火にかけて具材とごはんを投入して炒め始めた。いい匂いがし初めて、まんべんなく火が通ったところでケチャップ投入。
うっすら全体に色づくまでごはんを切るように木ベラを丹念に動かす。
ケチャップの焼けるいい匂いが広がっていく。
男の子の雨月が鼻で大きく息を吸って
「すきっ!すきっ!すきっ!」
と言ってきゃっきゃとはしゃぎ出す。
まだ完成してないけどオムライスを心待ちにしてくれている……。
それが私には非常に嬉しかったの。
「雨月、もうちょっとだから待っててね!」
炒め終えたケチャップライスを作業台の上に置いてあったお皿二つに半分ずつ山になるような形に分けた。
フライパンをキッチンペーパーで丁寧に拭き、サラダ油を少し入れてフライパンを円を描くように揺らし全体に広げた。
玉子を二個五百ミリの計量カップに入れてお箸で玉子をしっかりほぐす。
いいタイミングで溶き玉子を投入してちょっと厚めの丸い薄焼き玉子を作った。
それをケチャップライスを乗せたお皿の上に乗せた。
くるんでいないオムライス。
私が考えた最終結果がこれになった。
同じのをもう一つ作ってローテーブルへ。
お皿に乗せたオムライス二つとスプーンを二つそれぞれ一つずつ並べて置いた。ケチャップは真ん中に。
私が定位置の座布団に座ると男の子の雨月は私の膝に座ろうとした。
「雨月、今日はここに座ってくれる?」
私は足を広げて座布団を指差す。男の子の雨月はちょっと嫌そうな顔をしながら渋々と私の前に座った。
そんな態度を見て私は後ろから男の子の雨月を抱きしめて
「一緒にオムライスを食べようね!」
男の子の雨月の顔に自分の顔をくっつけてスリスリしてからほっぺにチュッと私からキスをしたのでした。
両手で私を捕獲するかのようにピトッとくっついてる。
私は今、台所にいる。
やっと『オムライス』が作れるというのに……男の子の雨月がなぜかくっついたまま離れない。
冷蔵庫から今日、オムライスを作る分のごはんと玉子を四個と炒めた具材を取り出した。
「雨月、邪魔なんだけど……」
「すきっ!すきっ!」
と私の顔を見ながらそう言ってやっぱり離れてくれない。
どうみても、ここから動く気はないみたい。
それなら……提案してみることにした。
「雨月、見てていいから『おねーさん』にくっつくのをやめてくれないかな?火を使うから雨月にくっつかれてながら作業すると『おねーさん』危ないんだ」
男の子の雨月はじっと考え始めたように動かなくなった。
きっと、わかってくれる筈!
暫くして男の子の雨月の手が私から離れていった。
「んー!」
「ありがとう、雨月」
男の子の雨月の頭を何度も撫でると雨月はとっても嬉しそうな顔を私に見せてくれた。
いいお返事が聞けたので料理作りを開始する。
フライパンを火にかけて具材とごはんを投入して炒め始めた。いい匂いがし初めて、まんべんなく火が通ったところでケチャップ投入。
うっすら全体に色づくまでごはんを切るように木ベラを丹念に動かす。
ケチャップの焼けるいい匂いが広がっていく。
男の子の雨月が鼻で大きく息を吸って
「すきっ!すきっ!すきっ!」
と言ってきゃっきゃとはしゃぎ出す。
まだ完成してないけどオムライスを心待ちにしてくれている……。
それが私には非常に嬉しかったの。
「雨月、もうちょっとだから待っててね!」
炒め終えたケチャップライスを作業台の上に置いてあったお皿二つに半分ずつ山になるような形に分けた。
フライパンをキッチンペーパーで丁寧に拭き、サラダ油を少し入れてフライパンを円を描くように揺らし全体に広げた。
玉子を二個五百ミリの計量カップに入れてお箸で玉子をしっかりほぐす。
いいタイミングで溶き玉子を投入してちょっと厚めの丸い薄焼き玉子を作った。
それをケチャップライスを乗せたお皿の上に乗せた。
くるんでいないオムライス。
私が考えた最終結果がこれになった。
同じのをもう一つ作ってローテーブルへ。
お皿に乗せたオムライス二つとスプーンを二つそれぞれ一つずつ並べて置いた。ケチャップは真ん中に。
私が定位置の座布団に座ると男の子の雨月は私の膝に座ろうとした。
「雨月、今日はここに座ってくれる?」
私は足を広げて座布団を指差す。男の子の雨月はちょっと嫌そうな顔をしながら渋々と私の前に座った。
そんな態度を見て私は後ろから男の子の雨月を抱きしめて
「一緒にオムライスを食べようね!」
男の子の雨月の顔に自分の顔をくっつけてスリスリしてからほっぺにチュッと私からキスをしたのでした。
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