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子猫の雨月と男の子の雨月
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ため息をひとつついて、私は男の子の両手を持って手と手のひらを合わせるようにした。
そしてもう一度
「いただきます!」
と言ってご飯を食べ始めることにした。
お味噌汁椀を持って味噌汁を一口飲み男の子……横にいる雨月の方を見てみると……左手はお茶碗の中でご飯を掴み、右手には焼き鮭の端っこを持ち上げているところだった。
食べられることが嬉しそうでお目目がキランキランしながら揺れる焼き鮭を見ている。
もちろん……両方は素手である。
「ぎゃあああ!待って待って!そんな風に食べないで!お願いだからぁああ!」
男の子は口の中に入れかけた焼き鮭とご飯をそのままにして動かないでくれていた。
今の言葉は、何となくダメだって理解してはくれたのかな?
そう思ってるのも束の間、口の中に焼き鮭はパクッと一口分消えていった。
「雨月!待って。私をみてくれる?」
雨月が左手のご飯を口に入れるのをやめて私の方を向いてくれた。
この言葉は、通じているのね?
はぁあああ。ひとまず安心!
「雨月……あなたはもしかして『お箸』を使えないの?」
そう言いながら、私は右手に箸を持って動かしてみる。
雨月は首を傾けて何のことか全然わからないとでも言うように全く動こうとしない。
もしかして……『お箸』自体わからないのかも……なんてちょっと想像しがたいことになってきた。
だけどさぁ……見た目はどう見ても小学生くらいの男の子だもん。
お箸使えるって思うじゃない。
もし……本当に子猫の雨月が男の子になっちゃったんだとしたら?
お箸どころか、何一つ出来ないんじゃないの?
だって……子猫?……だったんだよ?
信じたら……。
ごめんなさい、まだ全然信じてないんだけど。
この状況を鑑みれば明らかなんだけど……。
私の心はそれを拒否ってる。
本当に本当にどうしたらいいの?
すがれるものなら誰かにすがりたいんだけど。
ダメダメ!
私が子猫……雨月を拾ったんだからぁ!
赤子のように手がかかる男の子の雨月とこの先どうやって過ごしていけばいいの?
本当に、参っちゃうよ……。
時計とにらめっこしながら過ぎ行く時間が気になって仕方がなかった。
そしてもう一度
「いただきます!」
と言ってご飯を食べ始めることにした。
お味噌汁椀を持って味噌汁を一口飲み男の子……横にいる雨月の方を見てみると……左手はお茶碗の中でご飯を掴み、右手には焼き鮭の端っこを持ち上げているところだった。
食べられることが嬉しそうでお目目がキランキランしながら揺れる焼き鮭を見ている。
もちろん……両方は素手である。
「ぎゃあああ!待って待って!そんな風に食べないで!お願いだからぁああ!」
男の子は口の中に入れかけた焼き鮭とご飯をそのままにして動かないでくれていた。
今の言葉は、何となくダメだって理解してはくれたのかな?
そう思ってるのも束の間、口の中に焼き鮭はパクッと一口分消えていった。
「雨月!待って。私をみてくれる?」
雨月が左手のご飯を口に入れるのをやめて私の方を向いてくれた。
この言葉は、通じているのね?
はぁあああ。ひとまず安心!
「雨月……あなたはもしかして『お箸』を使えないの?」
そう言いながら、私は右手に箸を持って動かしてみる。
雨月は首を傾けて何のことか全然わからないとでも言うように全く動こうとしない。
もしかして……『お箸』自体わからないのかも……なんてちょっと想像しがたいことになってきた。
だけどさぁ……見た目はどう見ても小学生くらいの男の子だもん。
お箸使えるって思うじゃない。
もし……本当に子猫の雨月が男の子になっちゃったんだとしたら?
お箸どころか、何一つ出来ないんじゃないの?
だって……子猫?……だったんだよ?
信じたら……。
ごめんなさい、まだ全然信じてないんだけど。
この状況を鑑みれば明らかなんだけど……。
私の心はそれを拒否ってる。
本当に本当にどうしたらいいの?
すがれるものなら誰かにすがりたいんだけど。
ダメダメ!
私が子猫……雨月を拾ったんだからぁ!
赤子のように手がかかる男の子の雨月とこの先どうやって過ごしていけばいいの?
本当に、参っちゃうよ……。
時計とにらめっこしながら過ぎ行く時間が気になって仕方がなかった。
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