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3巻
3-1
しおりを挟む第一章 出会いと特別ダンジョン
リンこと私――鈴原優衣は、会社が倒産したことをきっかけに、ハローワークに通っていた。
そしてその帰り道、アントス様という神様のうっかりミスで、異世界――ゼーバルシュに落ちてしまった。
どうやら日本には戻れないらしい……ということで、私はアントス様からお詫びに授かったチートな調薬スキルを活かし、薬師としてポーション屋を営むことに。お店を開くまでには、いろいろなダンジョンに潜ったり、エンペラーハウススライムのラズと従魔契約をしたりした。
開店してからは口コミのおかげで毎日大忙しだけど、旅の途中で出会った侯爵家子息で騎士のエアハルトさん、彼に忠誠を誓っている執事のアレクさんや、家の管理を任されている双子の姉妹のララさんとルルさん、ラズがお手伝いしてくれている。
それからしばらくして、ラズ以外の従魔もたくさん増えた。
騎士団からの依頼で潜った上級ダンジョンで出会い、酷い傷を治したことで従魔となってくれた、デスタラテクトという凶悪な蜘蛛――スミレ。
ある日、ガリガリに痩せ、あちこちに大怪我をした状態で庭に現れた、スミレの元仲魔だという魔物たち――グレイハウンドのロキ、ロック。ビッグキャットのレンとシマ、ソラとユキ。
すっごく賢くて優しくて、とても強い従魔たち。
みんなも店の手伝いをしてくれるから助かっている。
他にも風邪が流行り始めたころ、第二王子でSランク冒険者であるグレイさんの紹介で、王宮医師のマルクさんに出会い、一緒に幼児用の風邪薬を開発したり。
エアハルトさんや『猛き狼』とカズマさん、『蒼き槍』といった冒険者のみなさん、後ろ盾になってくれたガウティーノ家とユルゲンス家が、私の誕生日パーティーを開いてくれたりもした。
それがとっても嬉しくて、すっごく感動したの!
その後、騎士を辞めて冒険者となったエアハルトさん、アレクさん、グレイさんとその婚約者であるユーリアさんを仲間に加え、『フライハイト』という名前のパーティーを結成した。
新たに私の居場所ができた瞬間だ。
そんなふうにバタバタと過ごしているうちに、季節は秋になってしまった。
ゼーバルシュに来てからもう半年なんて、あっという間だったなあ……
十一月初め、遠くに見える山々が雪化粧を始めたころ。
今日は店が休みの日だし、追加で薪にする倒木や枝を拾いに森へ行くことに。
ダンジョンに行くことも考えたんだけど、今のところ薬草も食材も足りているから、慌てて潜る必要がない。
〈リン。また、乾燥した枝や木を集めればいいのか?〉
慣れた様子で尋ねるロキ。
「うん。冬用の薪にするからね。もし【マジックボックス】に入らないようなら持って来て。私の鞄の中に入れるから」
〈わかった〉
従魔たちと一緒にいつも来る西の森。
ビッグホーンディアやブラウンボア、ブラウンベアやビッグホーンラビットと戦いながら、従魔たちとまたダンジョンに行きたいと話をしていると、遠くで大きな物音や魔物の声がした。
「……なんだろう? 誰か、戦ってるのかな」
〈我が様子を見に行こう。スミレ、ロックよ、一緒に来てくれ。リンはラズやレンたちと一緒に、ここで待っておれ〉
ロキが代表で様子を見に行ってくれるというので、素直に従う。
こういう偵察みたいなのは、いつもロキかレンかシマがやってくれるのだ。
そして敵を拘束するために、ラズかスミレが一緒に行くことが多い。
偵察先で間違えて攻撃されないかなあ……っていつも心配になるけど、首に従魔用のリボンをしているからなのか、今のところ冒険者から襲われるということはない。
新しく従魔になってくれたみんなの姿が、たくさんの冒険者たちに浸透してきた証拠だろう。
その場で待っているだけだと寒いから、近くにある倒木や枝を拾っては小さくしたり、ふかふかになっている腐葉土混じりの土を大きな麻袋に入れたりしながら、待つことしばし。
ロックだけが戻って来て、怪我をしている人がいると報告してきたので、一緒にその場へ行くことに。
怪我をしていた人は男性で、頭には立派な角があり、腰のあたりからは尻尾が生えていた。
角は、耳の上あたりから頭に沿うようにして、上に向かって伸びている。
尻尾には鱗がびっしりとついていて、とても綺麗だ。
「大丈夫ですか? 今、ポーションを出しますので、飲んでください」
「すまない。ありがとう」
かなり酷い怪我をしていたので、ハイパーポーションがいいだろうと予備で持っていたものを渡し、飲んでもらう。
MPもなくなっていると困るので、ハイパーMPポーションも飲んでもらったら、男性はとても驚いた顔をして、怪我をしていた場所を確認していた。
「凄いな……いっぺんに治ってしまった。それに、MPも満タンまで回復したよ。強力なポーションをありがとう。俺はドラゴン族のAランク冒険者で、ヨシキという」
感動した面持ちで自己紹介するヨシキさん。
おお、ドラゴン族の人に初めて会った!
「私は魔神族のハーフで、薬師のリンといいます」
「リンか。本当に助かった」
一息ついたのか、ヨシキさんが立ち上がった。おおう、かなりデカいんだけど!
たぶんだけど、エアハルトさんやアレクさんよりも、頭ふたつ分以上は大きいんじゃないかな。
私と比べたら、これこそ、大人と子どもの身長差だよ!
そしてヨシキさんは、もはや今では懐かしいと感じる迷彩服に似たデザインの服を着ていた。
この世界にも迷彩模様ってあるんだなあ。それとも、渡り人――私のように何らかの事情があって異世界からやってきた人々が伝えたのかな?
腕を組んでなにかを思い出すような仕草をしていたヨシキさんに、これから王都に戻ると伝えると、「案内してほしい」と言ってきたので頷く。
歩きながら話を聞いたところ、ヨシキさんはドラゴン族の国であるドラール国から来たんだって。
もうじき王都に着く……といったタイミングで、休憩しようと森に入ったら、ビッグベア三体に襲われたらしい。
同時に二体までなら倒した経験はあるけど、三体というのは初めてで、そのうえ疲れていたこともあって判断が鈍り、後れを取ってしまったそうだ。
なんとか二体を片づけ、残りの一体と必死になって戦ったものの疲れで動きは鈍る一方。
死ぬかもしれないと焦っているところにロキたちが現れて、最後のビッグベアを倒したそうだ。
ビッグベアよりも強いグレイハウンドが現れたので、今度こそ死を覚悟したら、首に巻かれている従魔用のリボンが目に入り、安堵したんだとか。
その後ロックが私を呼びに行っている間、ロキがヨシキさんの側に残り、周囲の警戒までしてくれていたんだと経緯を説明してくれた。
再びありがとうとお礼を言われたので、その分帰ったら従魔たちをたくさん褒めて、撫で回すことにしよう。
「そうだったんですね。この子たちは私の従魔なんです」
「薬師なのにこんなに従魔がいるのか?」
「はい。ラズ――エンペラーハウススライム以外の子たちは、全員が酷い怪我をしていたんです。それを治したら、従魔になりたいと言ってくれて……。ラズがいたとはいえ、私は一人だったので助かっていますし、大事な家族です」
「そうか……」
優しい目をして私の頭を撫でる、ヨシキさん。
その後、どうしてアイデクセ国に来たのか聞いてみた。
ヨシキさんが育ったドラール国は、この国よりもさらに西の海沿いにあるそうだ。
海沿いの国なだけあって、輸出入が盛んらしいんだけど、最近輸入されるようになった、アップルマンゴーやイチゴ、さくらんぼを見て、現物を採ってみたくなったんだって。
だから旅をして、この国まで来たそうだ。
王様~、ドラゴンの国とも交易していたんだね。
今は知らない人を驚かせないよう人型になっているけど、本来はもっとドラゴンぽいらしい。
話しているうちに、王都の西門に辿り着いた。
宿を紹介してくれと頼まれたんだけど、私は良い宿を知らないからとヨシキさんを一旦待たせて、エアハルトさんに連絡した。
エアハルトさんは元騎士で現冒険者だから、そういった情報をたくさん知っていると思ったのだ。
門のところで待っていると、すぐにエアハルトさんが来てくれた。
「お休みのところをすみません、エアハルトさん」
「構わない。彼が連絡をくれた冒険者か?」
突然のお願いだったのに、嫌な顔ひとつしないエアハルトさん。
「はい。宿を紹介してほしいそうです」
エアハルトさんとヨシキさんはお互いに名乗り、挨拶を交わしている。
その後、ヨシキさんが希望の宿の説明をしていた。
それを聞いたエアハルトさんは、「なるほど」と頷いて歩き始める。
宿屋街に向かう途中で店の前を通ったので、ここが私の店だと紹介する。
「ダンジョンに潜るときは是非!」と宣伝をすると、ヨシキさんは笑って「そのときは頼む」と言ってくれた。
私は二人と店の前で別れ、エアハルトさんとヨシキさんは宿屋街のほうへ、私は家の中へと入る。
「ロキ、スミレ、ロック。今日は偉かったね。そしてヨシキさんを一人にしないでいてくれてありがとう」
〈リンが怪我人を放っておくとは思えんしな〉
〈リン、タスケル、オモッタ〉
〈リンママなら、必ずポーションを持っているし〉
大活躍だった三匹にお礼を言うと、少し照れ臭そうに嬉しいことを言ってくれた。
「そうだね。だから、ありがとう」
お礼と感謝を込め、三匹を撫で回す。
他の従魔たちが羨ましそうに見ていたから、一緒に出かけてくれてありがとうと撫で回した。
結局もふもふツルスベまみれになったのは、言うまでもありません!
翌日。開店早々にエアハルトさんの元同僚であるビルさんと、以前マルクさんの護衛をしていた騎士――ローマンさんが顔を出した。
「今日はどうされました?」
「実は、ポーションが溜まってきてしまってね……」
少し困った顔をしてビルさんが切りだしたので、紅茶とクッキー、ゼリーを二人に出し、詳しい話を聞くことに。
二人によると、冬の間は冒険者だけでなく騎士も、ダンジョンに潜る人数や回数が減るらしい。
だから、必要なポーションの数もいつもに比べて少なくなるんだけど、冒険者の数が減ったことで余裕ができた他店舗から騎士団への納品数が増えた結果、在庫を抱えてしまっているそうだ。
そういった事情で、騎士たちで手分けして各地区にいる薬師たちに「納品数を抑えてほしい」と通達しているんだって。なるほど、納得した。
あともう一点、ハイ系ポーションを作れるようになった薬師たちがいるから、今度から彼らに納品を頼もうと思っていると伝えられた。
ただ、ハイパー系と万能薬に関しては今のところ私しか作れないようで、私にはそれらの納品を引き続きお願いしたいと言われた。
他の人も頑張って挑戦しているみたいなんだけど、ハイパー系は魔力が足りなくて断念している人が多いって聞いた。
ビルさんによると、王都にいる薬師が一日に作ることができる普通のポーションの本数は、約百本程度だそうだ。
私の場合は、平気でその三倍以上は作れるからね……
本当に私の魔力ってチートなんだなあって、改めて実感したよ。
万能薬も失敗続きでまったく成功しないんだとか。
あと一歩で完成しそうなのに、失敗の原因がなにかわからないって悩んでるらしいんだけど……
実は、万能薬はハイパー系よりも作るのが簡単と思われているけど、それなりに魔力が必要でとても繊細な薬だって教えたほうがいいんだろうか。
魔力が足りていたとしても、種類がひとつ違うだけでも失敗する。
それに万能薬は全部で十五種類の薬草やキノコを使うんだけど、どれも種類の判別や扱いが難しい。
特に魔力草は液体の抽出がとても難しく、最初にすり潰す段階で失敗すると、その時点でダメになる確率が高いのだ。
まあ、私がわざわざ言わなくても薬師であれば知っている情報だと思うけどね。
ちなみにローマンさんが一緒に来たのは、エアハルトさんの代わりにこの地区の担当になったから、挨拶をするためだったんだって。
紅茶とクッキー、ゼリーを食べきった二人は、一ヶ月後の次回の納品のころにまた連絡するからと言って帰っていった。
「まあ、ポーションの納品を控えるのは妥当だよね。さて、もうひと踏ん張りしますか」
あと少しでお昼休みになるからと、従魔たちと他愛もない話をしながら、時間が過ぎるのを待つ。
お昼休みには従魔たちと一緒に庭のお手入れをして、ご飯を食べた。
午後は『蒼き槍』のメンバーが来たので採取依頼をお願いしてみたんだけど……
快く引き受けてくれました!
その後、最近Aランクに上がった冒険者が、改めてよろしくと挨拶代わりにポーションを買いに来てくれた。
「Bランク以下には売らないって言われて、最初は恨んだけど、リンちゃんからしたら仕方ないことなんだよな」
「まだ神酒は買えないけど、金を貯めていつか買いに来るから」
嬉しそうな顔をして話している冒険者たち。
「また来てくださるのを待っていますね」
いろいろあったけれど、それでも買いに来てくれたことが嬉しい。
それに、Aランクに上がるほどの技量と性根があるなら、そのうちSランクにもなれるんじゃないかと思った。
この一週間後、『猛き狼』とカズマさん、『蒼き槍』が、SSランクになった。
まさか、Sランクよりも上のランクがあるとは思わなかったよ……
〈彼らの技量は凄いもん〉
〈アンテイ、シテ、イタ〉
「そっか。ラズとスミレから見ても、凄いんだね」
私も、Sランクは無理でも、せめてAランクにはなりたいと従魔たちと話しながら、みんなに囲まれて眠った。すっごく暖かかったです。
どんどん寒くなってきた、十二月下旬。
日中でも暖炉や薪ストーブを焚かないと、震えるくらいに寒い。
どうやら、北の山の麓にある町で雪が降ったんだとか……どうりで寒いわけだ~!
大陸の中央にある高い山脈の関係で、この国に雪が降るのは半月後。
雪が降るとダンジョンに行くのも難しくなるというので、それまでに『フライハイト』のメンバーで特別ダンジョンに潜ろうという話に。
今度の長期のお休みは来週だから、それまでに潜る準備をしておかないと。
といっても、ほとんどいつもと変わらないんだけどね。
次の日の夕方、店じまいをしたあとにエアハルトさんが、特別ダンジョンに潜るための話し合いをするからと呼びに来た。ご飯も一緒に出してくれるそうだ。
おお、ハンスさんのご飯! 今日はなにかな? 楽しみ!
ハンスさんはエアハルトさんちの料理人で、私が教えたレシピをアレンジしていろいろな料理を作ってくれるのだ。
「で、来週は特別ダンジョンに潜るわけだが、みんなはなにが欲しいんだ?」
エアハルトさんの質問に、それぞれが欲しいものをあげていく。
エアハルトさんはヒヒイロカネ、グレイさんはイビルバイパーの皮。
ユーリアさんはどんなものか気になるとのことで豆腐を、アレクさんはイビルバイパーの皮に加えて、デスタラテクトの糸が欲しいと言っている。
みんなも、いろいろと欲しいものがあるんだなあ。
もちろん私は豆腐と油揚げ、厚揚げと、イビルバイパーの内臓狙いです。あと、醤油と味噌も。
そんな中、アレクさんの言葉にスミレが反応して、自分の糸をあげると言い出した。珍しい。
「よろしいのですか? 報酬は?」
〈ニワニ、イル、ムシデ、イイ〉
「おお、それは助かります。ですが、それだと僕がもらいすぎですね。他にもアップルマンゴーをご用意いたしましょう。では……糸はこれくらいの大きさを五個でどうでしょう?」
手で直径十五センチくらいの丸を作りながら言うアレクさん。
〈イイヨ〉
スミレは、サイズも報酬もそれなら大丈夫だと頷いていた。
アップルマンゴーはスミレの好物だからね~。
まさに「超いい笑顔!」になっている。
他にも、イビルバイパーの鱗を防具のうしろに貼るとか、武器を強化するのにゴーレムが落とす金属が必要とか、みんなは私にはさっぱりわからない話をしている。
「あの、金属って、鉱山で掘るんじゃないんですか?」
魔物の勉強をしたときにも思ったけど、ゴーレムが金属を落とすってなにさ。
「もちろん鉱山でも掘るが、ダンジョンに出るゴーレム系の魔物は、なぜか金属と魔石をドロップするんだ。今回狙うのは青い色か、赤と金が混じったような色のゴーレムだ。さあ、リン、問題だ。今俺が言った色のゴーレムは、なにを落とす?」
親切に教えてくれたかと思いきや、突然問題を出してくるエアハルトさん。
「えっと……たしか、青いゴーレムがメテオライトを落として、赤と金が混じったゴーレムがヒヒイロカネを落とすんでしたっけ?」
「正解」
おー、合ってた! やったね!
ゴーレムは、その体色によって落とす金属の種類が変わる。
他には銀がミスリル、虹色がオリハルコンだったかな?
ちなみに、ゴーレムの弱点は打撃と【風魔法】。
なので、【風魔法】が使えない人はハンマーを持っていくんだとか。
もちろん私は【風魔法】で攻撃です。
他にも特別ダンジョンではオーガとレッドウルフ、レインボーロック鳥とビッグシープっていう魔物が出るそうだ。
オーガとレッドウルフは皮や毛皮が防具やコートの素材になるし、レインボーロック鳥やビッグシープは羽や毛が布団やクッションの中身、裁縫の素材になるだけでなく、お肉まで落とすんだとか。
言うなれば、特別ダンジョンは素材と食材の宝庫。
だからこそ特別ダンジョンと名付けられたという。
よし、素材は最小限にして、私は薬草と食材を採りまくろう!
エアハルトさんたちや他の冒険者によると、特別ダンジョンにはいろんな種類の薬草があるというし、もしかしたら今まで見たことがない薬草や果物があるかもしれない。
特別ダンジョンに潜るための準備はみんながしてくれるという。その分、ポーションに関しては任せてもらった。もちろんハイパー系と万能薬、念のため神酒を持っていくよ。
あとはダンジョンに潜る前に一度、凄腕の鍛冶職人であるゴルドさんの店に寄らないとなあ。
自分でできる簡単な手入れはしていたし、ちょっと前にもメンテナンスしてもらっていたけど、採取用のナイフの切れ味がおかしいのだ。
大鎌のレベルも教えてもらいたいしね!
翌日、お昼休みにゴルドさんのところに行った。
ナイフを見せたらもう寿命だと言われてしまったので、買い替えることに。
ついでにラズの分も一緒に買い替え、大鎌のレベルも教えてもらう。
レベルなどの詳しいことは鍛冶師用の【鑑定】だからわかることであって、【アナライズ】だとそういう情報は出ないんだよね。
ゴルドさんによると、あと一回、森にいるベアかボア、ディアを倒せば希少になるそうなので、今度のお休みのときに狩りをしてこようと思う。
ちなみに、私の大鎌みたいに成長する武器は、ゴルドさんのような鍛冶師にレベルを聞いて、成長させていくのが普通だそうだ。
ナイフ二本分のお金とメンテナンス代を払い、ゴルドさんの店を出る。
そして次の休みの日に『フライハイト』のメンバーで森に行き、倒木を【風魔法】で薪にしたり、枯れ枝を拾いつつ戦闘訓練をして、大鎌のレベルを上げた。
【ヴォーパル・サイズ】希少
高名な薬師が草刈りに使っていたという大鎌
希少ではあるが、成長すると言われている
成長すると伝説までになる少し変わった仕様
薬師が装備した場合に限り、ボーナスあり
薬師が装備した場合:攻撃力+400 防御力+400
進化したところ……こんな感じになりました!
成長したからなのか、特典ボーナスが増えているよ……。嬉しいからいいか。
そして、またしばらく戦闘をしていたら、このあたりでは見かけたことがない、真っ黒いベア種の魔物が出た。
「なっ、ブラックベアのネームドだと⁉ 構えろ!」
エアハルトさんが焦った様子で指示を出す。
「「おう!」」
「ええ!」
「え? あ、はい!」
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