35 / 190
セガルラ国編
第51話 肉料理
しおりを挟む
狭い村だからなのか、匂いがそこら中に広がっていたらしい。その初めて嗅いだお腹がすく匂いの元をたどっていたら、この宿屋に着いたという住人たち。
あちゃー。
なら、協力してもらおうかな。
「明日でいいなら料理を教えるわ。けど、今日は味見で協力してくれない?」
「まだご飯を作ってないからいいけれど……」
「その時に材料を教えるから、自分で用意してくれると助かるわ。肉に関しては、私が提供するから」
「それなら頼もうかしら」
「そうね。新たに料理が覚えられるなんて、嬉しいもの」
「なら決まり! 今作っていたものも明日教えるわね。もちろん、これから作る料理も」
女性たち全員に「ありがとう!」と言われ、苦笑してしまう。
なんというか、どこの村でもそうだけれど、獣人たちはとても素直だ。そして、興味があることに対して、もの凄く追及してくる。
だからこそ、上達が早いんだろうなあ。
とりあえず主婦のみなさんは横に置いといて、次は何を作ろうかと悩む。ボアを使った山賊焼きと生姜焼きがいいかな?
調味料や使う野菜を用意してもらっている間に、ボアの肉を薄めに切る。人数が増えたから時短にするつもりだ。
材料を言って用意してもらい、すり下ろし器を使ってショウガと玉ねぎをすり下ろす。それぞれ別のボウルに入れ、山賊焼き用のタレと生姜焼き用のたれを作り、その中に肉を浸す。
四人に聞いたら熟成が使えるというので、それを使って味を染み込ませてもらい、先に山賊焼きを焼いてもらう。もう一人には玉ねぎをスライスしてもらってからフライパンをもうひとつ出してもらい、玉ねぎを軽く炒めたあとで生姜焼きを炒めてもらった。
「こっちはミショの実の搾りかすを使った山賊焼きで、こっちは絞った液体を使った生姜焼きよ」
『おおお!』
米が食べたいところだけれど、ないからね。パンで我慢だ。たぶんパンにも合うと思うし。
山賊焼きと生姜焼きの付け合わせにキャベツの千切りをつけてもいいと話すと、女性たちはメモをしていた。村人たちに味見をしてもらっている間に、今度はトマト煮込みを作る。
トマトの皮を湯むきしたあと、小さくカット。種は舌ざわりが悪いので取り除く。取り除かなくてもいいと話し、まずはカットしたトマトと少量の水を鍋の中に入れ、潰しながら煮詰めてもらう。
その作業をしている間に、ボアの肉を使った角煮を作る。こっちは時間がかかるから、今回は熟成を使って作るつもりだ。
まずはボア肉のバラの部分をネギと輪切りにしたショウガを一緒に煮てあくを取り、魔法で冷ましてもらう。それが終わったらネギとショウガを取り除き、その中に醤油とはちみつ、酒を入れて味付け。
そのまま一回沸かしてもらい、弱火にしてもらう。
「本来はここから一時間ほど煮ていくんだけど、今はそんな時間がないから、熟成を使うわ」
料理スキルの中にある熟成魔法を使って、肉に味を染み込ませる。この時、小さなジャガイモやペコロスがあるなら、一緒に入れるといいとも教えた。今回はそっちもなかったので、肉だけだ。
それを切って一人二切れずつ食べてもらう。その時にオークのバラ肉で作っても美味しいと話すと、全員の目が光った気がした。
哀れ、オーク。確実に食材として見られたぞ……?
生温~い視線で彼らを見ている間にトマトが潰れたというので、ハチミツと塩、ソースと醤油、ワインとブイヨンを使ってトマトソースを作り上げる。ワインの酒精を飛ばしつつ煮詰め、ある程度の緩さになったら一回火を止めてもらった。
「このあたりで採れる肉はなに?」
「一角兎とボア、ディアとロック鳥、たまーにオークだな」
「なるほど。なら、今回はロック鳥を使うわ」
『おおっ!』
ロック鳥と聞いて、住人たちから歓声が上がる。最近は食べていないから嬉しいと話す男性の獣人たち。
美味しいものね、ロック鳥は。
ロック鳥を小さく切ってから塩コショウし、フライパンで焼く。皮の部分はカリっと、肉はふんわりと。
焼き色をつけたらトマトソースの中に入れ、ジャガイモと櫛形に切った玉ねぎを入れ、一緒に煮こむ。
「今回はロック鳥を使ったけど、一角兎でも美味しいわ。もしコッコがいるなら、コッコのもも肉でやってもいいわよ」
「なるほど……。他の肉でもできるか?」
「できるけど、それはあとでね」
小さな声で聞いてきた料理人に、私も小さな声で話す。この宿限定で、ハンバーグと煮込みハンバーグを教えるつもりなのだ。
もちろん、ミンサーも提供するつもりでいる。ボアとオークが採れるなら美味しいと思うんだよね~。ヘルシーに仕上げたいなら、ロック鳥か一角兎を使ったものを作ってもいいわけだし。
それは住人たちが帰ってから教えるつもりだ。
カレー粉を作りたいところだけれど材料が足りないし、この村で集められるかどうかもわからない。トマトと豆を中心に作っているという話だから、それらを使った料理がいいと思うんだよね。
煮込みを中心にしてもらうとして、あとは何がいいかなあ? ステーキにトマトソースをかけるのもいいかな?
よし、ボアのステーキを何枚も焼いて、トマトソースをかけたものを食べてもらおう。てなわけで、もう一度トマトソースを作ってもらい、ボア肉を二センチくらいの厚さに切ると、筋切りをして塩コショウし、フライパンで焼く。
中まで火が通ったら食べやすい大きさに切り、トマトソースをかける。最初から細く切って焼いてもいいと話し、それも作ってみた。
どっちの見た目がいいかはわからないから、それは好みかな。
あとはキャベツ、ニンジン、玉ねぎ、薄くスライスしたボア肉を使った野菜炒め、ペンネがあるというのでトマトソースとペンネを混ぜたパスタを作り、みんなで試食した。
ここで改めて自己紹介をして、試食しながら材料を教えると、女性たちはきちんとメモを取って味わっている。
「ミショの実は気付け薬になるだけじゃなくて、調味料にもなるのね……」
「すり下ろす道具は、アリサが作ってくれるのかしら?」
「ええ、作るわ。一応壊れないように魔法をかけておくけど、もし壊れたりもうひとつ欲しいと思ったら、鍛冶師か道具屋に頼んでね」
「そうするわ」
道具に関しては明日渡すと話し、みんな満足して解散した。
さて、メインはこれからですぜ。
「アリサ、内緒話していた料理はなんだ?」
「ハンバーグというの。肉を細かく切って叩き、柔らかくした肉を使うのよ」
「それは面倒だな……」
「そうね、普通ならね。これを使えば楽に作れるわ」
マジックバッグからステンレスのインゴットを出し、ミンサーをふたつ錬成する。それを四人に見せる。
「見たことがない道具だが……」
「私の故郷にあった道具で、ミンサーというの。この大きな穴に小さく切った肉を入れ、ここを回すと肉が細かくなって出てくるの」
「なるほど……」
「さっそくやってみましょうか」
ミンサーを持って調理場に行くと、ボア肉とオーク肉を出して一口大に切る。それをミンサーの口に入れ、肉を押しながらハンドルを回すと、少しずつ肉が細かくなって出てくる。
「「「「おお……」」」」
「こうなるのか!」
「こんなに細かくなるのね」
「これを包丁でやるのは骨が折れるな」
「時間もかかるよね」
「でしょう? だからこそ、このミンサーが時間と労力を短縮してくれるの」
「「「「なるほど!」」」」
見本を見せたあとは彼らにやってもらい、使い方を教える。ひき肉ができたあとは玉ねぎをみじん切りにしてもらい、卵とパン粉、牛乳と塩コショウ、ナツメグを入れて混ぜ合わせる。
量が多いから十等分にしてみた。
それを手に取って空気を抜くと、楕円にして真ん中を凹ます。
「ここに窪みを作ったのはなんでだ?」
「焼いているうちに真ん中が膨らんでくるの。そうすると肉が割れてしまうから、そうならないようにする措置ね」
「なるほど……」
「焼いている時に見るとわかるわよ?」
全員で丸めたあと、フライパンで焼く。火加減は中火でと話してからどれくらいの炎か見せる。
蓋をしたいところだけれど、蓋がないからね。仕方ないからこのままだ。
焼いているうちに真ん中が膨らんできて、凹んでいた部分がたいらになる。周囲もグレーになってきたところで引っくり返すと、綺麗な焼き色がついていた。
「「「「おおお!」」」」
「引っくり返したら、ここにチーズを載せてもいいの」
薄く切ったチーズを一枚載せ、そのまま焼く。そしてチーズがとろっとしたころ火を止め、お皿に移す。ナイフでハンバーグを切ると、肉汁がじゅわ~っと出て、チーズもとろ~っとしたたり落ちる。
その段階で、誰かの「ゴクリ」という、喉を鳴らす音がした。
あちゃー。
なら、協力してもらおうかな。
「明日でいいなら料理を教えるわ。けど、今日は味見で協力してくれない?」
「まだご飯を作ってないからいいけれど……」
「その時に材料を教えるから、自分で用意してくれると助かるわ。肉に関しては、私が提供するから」
「それなら頼もうかしら」
「そうね。新たに料理が覚えられるなんて、嬉しいもの」
「なら決まり! 今作っていたものも明日教えるわね。もちろん、これから作る料理も」
女性たち全員に「ありがとう!」と言われ、苦笑してしまう。
なんというか、どこの村でもそうだけれど、獣人たちはとても素直だ。そして、興味があることに対して、もの凄く追及してくる。
だからこそ、上達が早いんだろうなあ。
とりあえず主婦のみなさんは横に置いといて、次は何を作ろうかと悩む。ボアを使った山賊焼きと生姜焼きがいいかな?
調味料や使う野菜を用意してもらっている間に、ボアの肉を薄めに切る。人数が増えたから時短にするつもりだ。
材料を言って用意してもらい、すり下ろし器を使ってショウガと玉ねぎをすり下ろす。それぞれ別のボウルに入れ、山賊焼き用のタレと生姜焼き用のたれを作り、その中に肉を浸す。
四人に聞いたら熟成が使えるというので、それを使って味を染み込ませてもらい、先に山賊焼きを焼いてもらう。もう一人には玉ねぎをスライスしてもらってからフライパンをもうひとつ出してもらい、玉ねぎを軽く炒めたあとで生姜焼きを炒めてもらった。
「こっちはミショの実の搾りかすを使った山賊焼きで、こっちは絞った液体を使った生姜焼きよ」
『おおお!』
米が食べたいところだけれど、ないからね。パンで我慢だ。たぶんパンにも合うと思うし。
山賊焼きと生姜焼きの付け合わせにキャベツの千切りをつけてもいいと話すと、女性たちはメモをしていた。村人たちに味見をしてもらっている間に、今度はトマト煮込みを作る。
トマトの皮を湯むきしたあと、小さくカット。種は舌ざわりが悪いので取り除く。取り除かなくてもいいと話し、まずはカットしたトマトと少量の水を鍋の中に入れ、潰しながら煮詰めてもらう。
その作業をしている間に、ボアの肉を使った角煮を作る。こっちは時間がかかるから、今回は熟成を使って作るつもりだ。
まずはボア肉のバラの部分をネギと輪切りにしたショウガを一緒に煮てあくを取り、魔法で冷ましてもらう。それが終わったらネギとショウガを取り除き、その中に醤油とはちみつ、酒を入れて味付け。
そのまま一回沸かしてもらい、弱火にしてもらう。
「本来はここから一時間ほど煮ていくんだけど、今はそんな時間がないから、熟成を使うわ」
料理スキルの中にある熟成魔法を使って、肉に味を染み込ませる。この時、小さなジャガイモやペコロスがあるなら、一緒に入れるといいとも教えた。今回はそっちもなかったので、肉だけだ。
それを切って一人二切れずつ食べてもらう。その時にオークのバラ肉で作っても美味しいと話すと、全員の目が光った気がした。
哀れ、オーク。確実に食材として見られたぞ……?
生温~い視線で彼らを見ている間にトマトが潰れたというので、ハチミツと塩、ソースと醤油、ワインとブイヨンを使ってトマトソースを作り上げる。ワインの酒精を飛ばしつつ煮詰め、ある程度の緩さになったら一回火を止めてもらった。
「このあたりで採れる肉はなに?」
「一角兎とボア、ディアとロック鳥、たまーにオークだな」
「なるほど。なら、今回はロック鳥を使うわ」
『おおっ!』
ロック鳥と聞いて、住人たちから歓声が上がる。最近は食べていないから嬉しいと話す男性の獣人たち。
美味しいものね、ロック鳥は。
ロック鳥を小さく切ってから塩コショウし、フライパンで焼く。皮の部分はカリっと、肉はふんわりと。
焼き色をつけたらトマトソースの中に入れ、ジャガイモと櫛形に切った玉ねぎを入れ、一緒に煮こむ。
「今回はロック鳥を使ったけど、一角兎でも美味しいわ。もしコッコがいるなら、コッコのもも肉でやってもいいわよ」
「なるほど……。他の肉でもできるか?」
「できるけど、それはあとでね」
小さな声で聞いてきた料理人に、私も小さな声で話す。この宿限定で、ハンバーグと煮込みハンバーグを教えるつもりなのだ。
もちろん、ミンサーも提供するつもりでいる。ボアとオークが採れるなら美味しいと思うんだよね~。ヘルシーに仕上げたいなら、ロック鳥か一角兎を使ったものを作ってもいいわけだし。
それは住人たちが帰ってから教えるつもりだ。
カレー粉を作りたいところだけれど材料が足りないし、この村で集められるかどうかもわからない。トマトと豆を中心に作っているという話だから、それらを使った料理がいいと思うんだよね。
煮込みを中心にしてもらうとして、あとは何がいいかなあ? ステーキにトマトソースをかけるのもいいかな?
よし、ボアのステーキを何枚も焼いて、トマトソースをかけたものを食べてもらおう。てなわけで、もう一度トマトソースを作ってもらい、ボア肉を二センチくらいの厚さに切ると、筋切りをして塩コショウし、フライパンで焼く。
中まで火が通ったら食べやすい大きさに切り、トマトソースをかける。最初から細く切って焼いてもいいと話し、それも作ってみた。
どっちの見た目がいいかはわからないから、それは好みかな。
あとはキャベツ、ニンジン、玉ねぎ、薄くスライスしたボア肉を使った野菜炒め、ペンネがあるというのでトマトソースとペンネを混ぜたパスタを作り、みんなで試食した。
ここで改めて自己紹介をして、試食しながら材料を教えると、女性たちはきちんとメモを取って味わっている。
「ミショの実は気付け薬になるだけじゃなくて、調味料にもなるのね……」
「すり下ろす道具は、アリサが作ってくれるのかしら?」
「ええ、作るわ。一応壊れないように魔法をかけておくけど、もし壊れたりもうひとつ欲しいと思ったら、鍛冶師か道具屋に頼んでね」
「そうするわ」
道具に関しては明日渡すと話し、みんな満足して解散した。
さて、メインはこれからですぜ。
「アリサ、内緒話していた料理はなんだ?」
「ハンバーグというの。肉を細かく切って叩き、柔らかくした肉を使うのよ」
「それは面倒だな……」
「そうね、普通ならね。これを使えば楽に作れるわ」
マジックバッグからステンレスのインゴットを出し、ミンサーをふたつ錬成する。それを四人に見せる。
「見たことがない道具だが……」
「私の故郷にあった道具で、ミンサーというの。この大きな穴に小さく切った肉を入れ、ここを回すと肉が細かくなって出てくるの」
「なるほど……」
「さっそくやってみましょうか」
ミンサーを持って調理場に行くと、ボア肉とオーク肉を出して一口大に切る。それをミンサーの口に入れ、肉を押しながらハンドルを回すと、少しずつ肉が細かくなって出てくる。
「「「「おお……」」」」
「こうなるのか!」
「こんなに細かくなるのね」
「これを包丁でやるのは骨が折れるな」
「時間もかかるよね」
「でしょう? だからこそ、このミンサーが時間と労力を短縮してくれるの」
「「「「なるほど!」」」」
見本を見せたあとは彼らにやってもらい、使い方を教える。ひき肉ができたあとは玉ねぎをみじん切りにしてもらい、卵とパン粉、牛乳と塩コショウ、ナツメグを入れて混ぜ合わせる。
量が多いから十等分にしてみた。
それを手に取って空気を抜くと、楕円にして真ん中を凹ます。
「ここに窪みを作ったのはなんでだ?」
「焼いているうちに真ん中が膨らんでくるの。そうすると肉が割れてしまうから、そうならないようにする措置ね」
「なるほど……」
「焼いている時に見るとわかるわよ?」
全員で丸めたあと、フライパンで焼く。火加減は中火でと話してからどれくらいの炎か見せる。
蓋をしたいところだけれど、蓋がないからね。仕方ないからこのままだ。
焼いているうちに真ん中が膨らんできて、凹んでいた部分がたいらになる。周囲もグレーになってきたところで引っくり返すと、綺麗な焼き色がついていた。
「「「「おおお!」」」」
「引っくり返したら、ここにチーズを載せてもいいの」
薄く切ったチーズを一枚載せ、そのまま焼く。そしてチーズがとろっとしたころ火を止め、お皿に移す。ナイフでハンバーグを切ると、肉汁がじゅわ~っと出て、チーズもとろ~っとしたたり落ちる。
その段階で、誰かの「ゴクリ」という、喉を鳴らす音がした。
230
あなたにおすすめの小説
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。
灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。
曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。
婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。
前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。