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4 自慢したかった◆◆アイリス
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わたしは、サザーランド侯爵家ご長男のオースティン・グローバー様が好きだった。
わたしより4歳年上のオースティンお兄様と同い年のキャメロンのグローバー兄弟は、わたしの幼馴染みになる。
侯爵家と子爵家の爵位の違いはあったが、オースティンお兄様のお母様が亡くなって、後妻に入られたキャメロンのお母様がわたしの母と親友だったので、わたしと弟は格上のグローバー家に出入りを許されていた。
グローバー家の子供は兄弟だけしか居ないので、侯爵ご夫妻はわたしを娘のように可愛がってくださった。
弟のダレルは中等部に入った頃から、名門の侯爵家に対して気後れが出てきたようで、母に同伴して遊びに行かせて貰うことを遠慮するようになっていたけれど、わたしは成人しても幼い頃と変わらず、侯爵家を親戚の様に思っていた。
現にわたしの成人……デビュタントで国王陛下にお目通りの際には、侯爵夫人のセーラ様が付き添って、わたしの後ろ楯だと知らしめてくださった。
「可愛いアイリスが本当に娘になってくれたらいいのに」
セーラ様が優しく微笑みながら、わたしの髪を編んでくれる。
娘になってくれたら、と度々口にするセーラ様の頭の中には、キャメロンとわたしの結婚があったのだと思う。
いくら、わたしを娘のように思ってくださっていても。
さすがに子爵家の娘では、侯爵家の後継であるオースティンお兄様の妻にさせるわけにはいかないのだろう。
だけど、わたしはキャメロンよりもお兄様が好きだった。
今では子供の頃より距離は出来たけれど、たまにお話してくださる度に、お姿を見かける度に……胸が苦しくなる程に。
そんな気持ちを何年もグズグズ持ち続けて。
わたしは貴族学院で仲良くなったシンシア・カーライルに、苦しい胸の内を明かした。
「オースティン・グローバー様……サザーランド侯爵家の有名な方ね。
貴女の幼馴染みだとは知らなかった」
オースティンお兄様は飛び級で学院を卒業されてから、帝国の大学に留学し、去年こちらに戻ってこられた秀才だ。
その上、整ったお顔立ちなので、実物に会ったことはないけれどお名前だけ知っている人も多い。
伯爵家のシンシアでさえ簡単には近付けないお兄様と子爵家のわたしが幼馴染みだなんて、驚いただろう。
「Aクラスのキャメロン・グローバーのお兄様なの」
「では、あの御方も貴女の幼馴染みなのね。
普段、貴女達は親しそうにしていないでしょう」
「あの御方って、キャムはそんな大層なヤツじゃないわよ?
学院ではね、子爵家のわたしがあまり馴れ馴れしくしない方がいいだろうと思って。
だけど、侯爵家には今でもよく遊びに行かせていただいているの。
そこでは昔と変わらず、兄妹みたいに親しくしているの」
帰国されてから領地でお仕事をされているお兄様とは、顔を合わす機会はなかなか無いけれど、キャメロンとは言葉通り相変わらず冗談を言い合って仲良くしてる。
彼は他のご令嬢達の前では、憧れの侯爵令息のポーズを崩さないけれど、わたしにしか見せない本当の顔は少年の頃のままだ。
そんな彼とは兄妹と言うより、姉弟かも。
誰もが遠巻きにして見つめるだけしか出来ない、名家のグローバー兄弟と親しいことをわたしはシンシアに自慢したかった。
わたしより4歳年上のオースティンお兄様と同い年のキャメロンのグローバー兄弟は、わたしの幼馴染みになる。
侯爵家と子爵家の爵位の違いはあったが、オースティンお兄様のお母様が亡くなって、後妻に入られたキャメロンのお母様がわたしの母と親友だったので、わたしと弟は格上のグローバー家に出入りを許されていた。
グローバー家の子供は兄弟だけしか居ないので、侯爵ご夫妻はわたしを娘のように可愛がってくださった。
弟のダレルは中等部に入った頃から、名門の侯爵家に対して気後れが出てきたようで、母に同伴して遊びに行かせて貰うことを遠慮するようになっていたけれど、わたしは成人しても幼い頃と変わらず、侯爵家を親戚の様に思っていた。
現にわたしの成人……デビュタントで国王陛下にお目通りの際には、侯爵夫人のセーラ様が付き添って、わたしの後ろ楯だと知らしめてくださった。
「可愛いアイリスが本当に娘になってくれたらいいのに」
セーラ様が優しく微笑みながら、わたしの髪を編んでくれる。
娘になってくれたら、と度々口にするセーラ様の頭の中には、キャメロンとわたしの結婚があったのだと思う。
いくら、わたしを娘のように思ってくださっていても。
さすがに子爵家の娘では、侯爵家の後継であるオースティンお兄様の妻にさせるわけにはいかないのだろう。
だけど、わたしはキャメロンよりもお兄様が好きだった。
今では子供の頃より距離は出来たけれど、たまにお話してくださる度に、お姿を見かける度に……胸が苦しくなる程に。
そんな気持ちを何年もグズグズ持ち続けて。
わたしは貴族学院で仲良くなったシンシア・カーライルに、苦しい胸の内を明かした。
「オースティン・グローバー様……サザーランド侯爵家の有名な方ね。
貴女の幼馴染みだとは知らなかった」
オースティンお兄様は飛び級で学院を卒業されてから、帝国の大学に留学し、去年こちらに戻ってこられた秀才だ。
その上、整ったお顔立ちなので、実物に会ったことはないけれどお名前だけ知っている人も多い。
伯爵家のシンシアでさえ簡単には近付けないお兄様と子爵家のわたしが幼馴染みだなんて、驚いただろう。
「Aクラスのキャメロン・グローバーのお兄様なの」
「では、あの御方も貴女の幼馴染みなのね。
普段、貴女達は親しそうにしていないでしょう」
「あの御方って、キャムはそんな大層なヤツじゃないわよ?
学院ではね、子爵家のわたしがあまり馴れ馴れしくしない方がいいだろうと思って。
だけど、侯爵家には今でもよく遊びに行かせていただいているの。
そこでは昔と変わらず、兄妹みたいに親しくしているの」
帰国されてから領地でお仕事をされているお兄様とは、顔を合わす機会はなかなか無いけれど、キャメロンとは言葉通り相変わらず冗談を言い合って仲良くしてる。
彼は他のご令嬢達の前では、憧れの侯爵令息のポーズを崩さないけれど、わたしにしか見せない本当の顔は少年の頃のままだ。
そんな彼とは兄妹と言うより、姉弟かも。
誰もが遠巻きにして見つめるだけしか出来ない、名家のグローバー兄弟と親しいことをわたしはシンシアに自慢したかった。
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