婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru

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第18話  悶絶の理由

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――甘い…この男、どこまでも甘い――

そう思ってしまうソシャリーは現在大きなバスタブで湯に浸っている。

「ほら、手。出せ」

パシャっ「はい」

「細いな~。さっきも思ったんだが王都ではちゃんと食べていたのか?」

――えぇ…お腹と二の腕を直視するのが怖いくらいに――

事後、妻の体を労り綺麗にするのは夫の務めだとウィザードはソシャリーの体を洗ってくれている。髪の毛を洗うのがものすごく気持ちいい。

「(わしゃわしゃ)気持ちいいか?」
「はい~。すごく気持ちいいです」
「それは良かった。さっきはごめんな。あんなに痛がると思わなくてさ」

――えぇ。今も異物を抱え込んでいる感じです――

しかし、こんなに献身的に尽くしてくれるものなのだろうか。
足の指の間も丁寧に洗ってくれて行為を抜きにするなら癖になってしまいそうな心地よさ。

「俺はさぁ、春と秋は親父と屋敷を空ける事も多いから一緒にいられる時間は出来るだけ一緒にいようと思ってるんだ」
「どこかにお出かけですの?」
「討伐だな。夏はこの暑さだろ?冬は寒すぎるから自然が守ってくれるが春と秋は敵も動きやすいんだ」
「そんなに敵が侵入してくるんですか?」
「まぁな。ここを落とせば王都を落としたも同じだからなぁ。しっかし…足も細いな。折れそうだ」

――いえ、サーカスの象と変わらないと兄は言ってました――

そんなに細くもないのにきっと女性をあまり見たことがないんだろうなと褒めちぎってくれるウィザードに申し訳なさも感じてしまう。

「よし、これでいい。湯殿から出たら髪も乾かしてやるからな」
「自分で出来ると思いますけど」

自信はない。

伯爵家の令嬢で一通りは自分で出来るが、ポリーにはいつも「しっかりと水気を取らないと!」と拭き上げをされてしまっていた。

「とっておきがあるんだよ。気持ちいいぞ?」
「とっておき?なんですの?」
「自然乾燥装置だ。ちょっと前に寄ってくれるか?」
「前に?こうですか?」

バスタブの中で膝をもう少し折り曲げるように体を前に寄せると、ウィザードが背中を抱きかかえるようにバスタブに入ってきた。

「体を後ろに倒せ」
「え?でも」
「俺に凭れ掛かればいい。溺れやしないって」

結婚の話を受けた時から覚悟はしていたが、ちょっとこんなのは聞いてないし学んでいない。

遠慮をしていると「ほれ!」後ろから二の腕を掴まれて体が後ろに倒れた。

「な?溺れないって。これから一緒にいる時は毎晩だな。ソシャリー」

――ほんとに事後で名前呼びなんだわ――

ならソシャリーも名前でウィザードを呼ばねばならないと思い呼んでみた。

「ウィザード様」
「待て」

――なんでここで待て?――

「名前で呼ばれると…不味い・・洗ったばかりなのに」

お尻のあたりに感じるトランスフォーム。
慌てて体を起こすと意図せずソシャリーの頭がウィザードの顎を直撃した。

ガツッ!!

「うごっ!!」
「ご、ごめんなさい!大丈夫?」

体を反転させた時、ソシャリーの手がウィザードの太ももにおかれた…までは良かったが、ズルっと滑り変化中の部位を体重をかけて押しつぶしてしまった。

「フフォォォーッ!!」
「だっ大丈夫?!」
「だ、だいじょ‥‥うぐぅっ…」

男性にしかわからないこの痛み。
下腹部が温度を失い痛み以外の全ての感覚が消えていく。

快適温度のバスタブの中、ウィザードは全身から冷や汗が噴き出す。

懸命に痛みを堪えていたが「すまない」小さく断りを入れると先にバスタブから出て壁に手を当ててぴょんぴょんと飛び跳ねはじめた。

――変化中に触れちゃいけなかった?――

1人バスタブに取り残されたソシャリーはウィザードの悶絶する原因が判らなかった。
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