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第03話 希望のない生活
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「最高のお零れね。有難く思いなさい」
「・・・・」
「またダンマリ?お前には口がないの?だけど、ちゃんと覚えておきなさい。こんな良縁に恵まれたのは私のおかげなの。感謝しなさいよ」
「はい」
「もっと大きな返事が良いんだけど、それがお前の淑女であることの限界だから我慢してあげるわ。あぁそうそう。お前の事はこの8年間、凄く可愛い異母妹だとルシファー殿下には手紙で教えておいてあげたわ。びっくりするほど可愛がってもらえる筈よ」
クックック。
喉を鳴らしてエミリアは腹を撫でながら洗濯中のマジョリカの元から去っていく。
わざわざやってきて嫌味だけの日もあれば、気の赴くままに棒で叩かれる事もあったが今日は嫌味だけ。その中身は「何を言ってるんだろう?」とマジョリカは意味が解らなかった。
その姿をマジョリカが目で追う事もない。早く洗濯を済ませてしまわないとこの後は薪割りもせねばならないし、裏の塀を掃除しておくことも命じられていたからである。
朝は陽が出る前、夜は月が真上に登った頃まで働かされて寝台もない部屋で薄汚れたシーツに包まって床で寝る。食べるものは使用人の賄いの残飯。
食べ物に苦労をしたとしても自由がある分、野良犬、野良猫の方がよっぽどいい暮らしをしていた。
母親は無理やり侯爵に手籠めにされ、その1回でマジョリカを身籠ってしまう事になった。
当時は先代がまだ存命中でこのまま放り出して憲兵にでも駆けこまれたら大変だとして行ったのが軟禁状態。身籠っていないことが確認できれば川に浮いていたかも知れないが、幸か不幸かマジョリカが腹に宿っていた。
先代侯爵は古い考えの人で、子供は多ければ多いほど家のための繋ぎに使えばいいという考え方。
そもそもで先代夫人はマジョリカの父の実母ではない。後妻だった。
思い通りにならない孫3人よりも現侯爵夫人の息がかからないマジョリカを良い手駒として使うつもりだっただけである。
しかしそんな先代夫妻はマジョリカが4歳になる前に天に召された。
マジョリカが「侯爵令嬢」として扱われたのはそこまでで、以降は給金の発生しない使用人扱いで育ってきた。
異母兄姉にぞんざいに扱われ、侯爵夫人には憂さ晴らしで折檻をされても実父である侯爵は見て見ぬふり。逃げた事もあったが逃げれば母親が鞭で打たれるし、子供の足で遠くまで逃げることは出来ない。
母親が12歳の時に儚くなってからマジョリカはただ飼い殺しの毎日を文句も言わず過ごす事だけだった。
食事がない、着替える服がないのも当たり前の毎日。
神に召される日までこの日常が続く。もう夢を見るのは無駄だと諦めた日々を過ごしていたがエミリアの嫌味の意味を知ることになった。
父親の侯爵に呼ばれたのである。
実の父親であっても「お父様」と呼ぶことは許されていない。なんなら靴もなく汚れた素足で絨毯の上を歩くことも許されてはいなかった。
扉の前で立ったままマジョリカは部屋に入ることを躊躇っていると声を掛けられた。
「何をしている。入りなさい」
言われるがままに入れば酷い香りがするからか、父親が顔を歪め執事に命じた。
「こいつを風呂に入れろ。それなりの服を着せて文字を覚えさせろ。向こうに到着するまでに太らせるだけ太らせるんだ」
「畏まりました」
キョトンとしていると溜息を吐いて侯爵が言った。
「マジョリカ。お前は3日後にウェストレスト王国に向かうんだ。そこで第3王子の妃として過ごすんだ。いいか?生きて国に帰って来ることは考えるな。家のために国のためにその命を捧げろ」
「あ、あの‥」
「なんだ」
「妃って‥無理ではないかと。それにまだ洗濯が途中でこのあと薪割りも…」
「貴様ごときが無理かどうかを決めつけるな。言われた事をすればいい。洗濯も薪割りも他にやらせる。貴様ごときが気を揉む必要はない」
「はい」
言いたいとこだけを言えば質問も許さない。それが父親の侯爵だった。
マジョリカは執事の「こちらへ」との案内に従う以外に術がなかった。
ずっとマジョリカを蔑んできた使用人たちはマジョリカの扱いに苦慮していた。
彼らもまた機嫌次第でマジョリカの事を木偶だと考えて突き飛ばしたり、脚を引っかけたり、食事とは言えない腐った食事を嫌がるマジョリカの口に押し込み、鼻と口を塞いで飲み込ませ吐くのを楽しんだりしていた。
なのに一転して今から世話をせねばならない上に、マジョリカの機嫌次第で職を失うかも知れないと震えていた。
「水は1人で浴びることが出来ますので」
「水ですか。湯ではなく?」
「お湯は…使う事を禁じられていたので」
「今までは、ですよね。もう違うのです。こんな身なりで隣国に向かう馬車に乗せる事は出来ませんので数日で慣れてください。大丈夫です。人間は今を基準として良い生活には直ぐに順応しますよ」
――今より下があるなら教えて欲しいくらいだけど?――
ビクビクと目も合わせない使用人たちに体を洗われ、先代が亡くなってからは袖を通すどころか遠目でエミリアやもう一人の姉、そして兄が自慢げに見せに来た上等な布地で縫製された衣類を着用すると心拍数が上がって落ち着かない。
着慣れていないので背徳感で逃げ出してしまいそうになる。
一変したのは衣類や食べ物、使用人の態度だけではなく生れて初めて講師が付けられた事。ただし出立までの3日だけ。
屋敷で行うのは3日だが、講師は馬車に同乗し一緒に隣国に向かう。
側付きとして残る訳ではなく、付け焼刃もいいところ。
教育が出来る時間もないので挨拶から始まって当たり障りない日常会話を馬車の中で教えるためだった。
「・・・・」
「またダンマリ?お前には口がないの?だけど、ちゃんと覚えておきなさい。こんな良縁に恵まれたのは私のおかげなの。感謝しなさいよ」
「はい」
「もっと大きな返事が良いんだけど、それがお前の淑女であることの限界だから我慢してあげるわ。あぁそうそう。お前の事はこの8年間、凄く可愛い異母妹だとルシファー殿下には手紙で教えておいてあげたわ。びっくりするほど可愛がってもらえる筈よ」
クックック。
喉を鳴らしてエミリアは腹を撫でながら洗濯中のマジョリカの元から去っていく。
わざわざやってきて嫌味だけの日もあれば、気の赴くままに棒で叩かれる事もあったが今日は嫌味だけ。その中身は「何を言ってるんだろう?」とマジョリカは意味が解らなかった。
その姿をマジョリカが目で追う事もない。早く洗濯を済ませてしまわないとこの後は薪割りもせねばならないし、裏の塀を掃除しておくことも命じられていたからである。
朝は陽が出る前、夜は月が真上に登った頃まで働かされて寝台もない部屋で薄汚れたシーツに包まって床で寝る。食べるものは使用人の賄いの残飯。
食べ物に苦労をしたとしても自由がある分、野良犬、野良猫の方がよっぽどいい暮らしをしていた。
母親は無理やり侯爵に手籠めにされ、その1回でマジョリカを身籠ってしまう事になった。
当時は先代がまだ存命中でこのまま放り出して憲兵にでも駆けこまれたら大変だとして行ったのが軟禁状態。身籠っていないことが確認できれば川に浮いていたかも知れないが、幸か不幸かマジョリカが腹に宿っていた。
先代侯爵は古い考えの人で、子供は多ければ多いほど家のための繋ぎに使えばいいという考え方。
そもそもで先代夫人はマジョリカの父の実母ではない。後妻だった。
思い通りにならない孫3人よりも現侯爵夫人の息がかからないマジョリカを良い手駒として使うつもりだっただけである。
しかしそんな先代夫妻はマジョリカが4歳になる前に天に召された。
マジョリカが「侯爵令嬢」として扱われたのはそこまでで、以降は給金の発生しない使用人扱いで育ってきた。
異母兄姉にぞんざいに扱われ、侯爵夫人には憂さ晴らしで折檻をされても実父である侯爵は見て見ぬふり。逃げた事もあったが逃げれば母親が鞭で打たれるし、子供の足で遠くまで逃げることは出来ない。
母親が12歳の時に儚くなってからマジョリカはただ飼い殺しの毎日を文句も言わず過ごす事だけだった。
食事がない、着替える服がないのも当たり前の毎日。
神に召される日までこの日常が続く。もう夢を見るのは無駄だと諦めた日々を過ごしていたがエミリアの嫌味の意味を知ることになった。
父親の侯爵に呼ばれたのである。
実の父親であっても「お父様」と呼ぶことは許されていない。なんなら靴もなく汚れた素足で絨毯の上を歩くことも許されてはいなかった。
扉の前で立ったままマジョリカは部屋に入ることを躊躇っていると声を掛けられた。
「何をしている。入りなさい」
言われるがままに入れば酷い香りがするからか、父親が顔を歪め執事に命じた。
「こいつを風呂に入れろ。それなりの服を着せて文字を覚えさせろ。向こうに到着するまでに太らせるだけ太らせるんだ」
「畏まりました」
キョトンとしていると溜息を吐いて侯爵が言った。
「マジョリカ。お前は3日後にウェストレスト王国に向かうんだ。そこで第3王子の妃として過ごすんだ。いいか?生きて国に帰って来ることは考えるな。家のために国のためにその命を捧げろ」
「あ、あの‥」
「なんだ」
「妃って‥無理ではないかと。それにまだ洗濯が途中でこのあと薪割りも…」
「貴様ごときが無理かどうかを決めつけるな。言われた事をすればいい。洗濯も薪割りも他にやらせる。貴様ごときが気を揉む必要はない」
「はい」
言いたいとこだけを言えば質問も許さない。それが父親の侯爵だった。
マジョリカは執事の「こちらへ」との案内に従う以外に術がなかった。
ずっとマジョリカを蔑んできた使用人たちはマジョリカの扱いに苦慮していた。
彼らもまた機嫌次第でマジョリカの事を木偶だと考えて突き飛ばしたり、脚を引っかけたり、食事とは言えない腐った食事を嫌がるマジョリカの口に押し込み、鼻と口を塞いで飲み込ませ吐くのを楽しんだりしていた。
なのに一転して今から世話をせねばならない上に、マジョリカの機嫌次第で職を失うかも知れないと震えていた。
「水は1人で浴びることが出来ますので」
「水ですか。湯ではなく?」
「お湯は…使う事を禁じられていたので」
「今までは、ですよね。もう違うのです。こんな身なりで隣国に向かう馬車に乗せる事は出来ませんので数日で慣れてください。大丈夫です。人間は今を基準として良い生活には直ぐに順応しますよ」
――今より下があるなら教えて欲しいくらいだけど?――
ビクビクと目も合わせない使用人たちに体を洗われ、先代が亡くなってからは袖を通すどころか遠目でエミリアやもう一人の姉、そして兄が自慢げに見せに来た上等な布地で縫製された衣類を着用すると心拍数が上がって落ち着かない。
着慣れていないので背徳感で逃げ出してしまいそうになる。
一変したのは衣類や食べ物、使用人の態度だけではなく生れて初めて講師が付けられた事。ただし出立までの3日だけ。
屋敷で行うのは3日だが、講師は馬車に同乗し一緒に隣国に向かう。
側付きとして残る訳ではなく、付け焼刃もいいところ。
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