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幕間
◆情事② 〜テニス部マオリとネイコの場合〜
しおりを挟む「麻織! 前をおねがい!」
「まかせて寧子!」
――私と寧子は最高のペアだ
女子ダブルスで右に出る者はいない。
寧子の強力なサービスエースに、麻織の鉄壁ボレー、今日も危なげなく勝利を収めた。
「やったね寧子」
「麻織、いつもありがとう」
コンビネーション抜群のハイタッチ――
プライベートでも仲のいい2人だったが、麻織には秘密があった。
「――おじゃましまーす」
保健室の怪物こと、明人先輩は今日も留守らしい。最近では授業に出席することが増え、彼女が出来たなんて噂だが、そもそも学校に来てないように思える。体調でも悪いのだろうか――
「はあぁ゛……」
誰もいない保健室のベッドに座り、麻織は深いため息をついた。1ヶ月ほど「ご無沙汰」で、股が疼いて若干の湿りを感じる。
麻織は、仕方なく目を瞑り、自身の右手をスカートの中、股の奥に伸ばした。
「んっ、くぅ……」
最初は都市伝説くらいに思っていた。友人とも「いるわけない」といつも笑い合っていた。だから、新人戦の大事な決勝の日も、冷やかし半分で保健室を訪れていた。
「んぅ…せん、ぱいっ……」
寧子は、シングルスでも全国レベルの実力を持つツワモノだ。ダブルスだって、たまたま仲良かったから麻織と組んでいるだけに違いない。
一方の麻織は、校内でも真ん中よりちょい上くらいの実力で寧子とは大きな隔たりがある。それなのに、寧子はダブルスを解消しようとしない。勝っても負けても、「次も頑張ろうね」と――麻織はそれが嬉しかった。
でも、嬉しいとは別に、麻織は極度のプレッシャーで押し潰されてしまいそうだった。寧子と組みたい子は他にもたくさんいる。
毎試合、手が震えるほど緊張して、それが試合を重ねるたびにヒドくなる。その緊張を、少しでも解せないかと保健室に立ち寄っただけだった。
「らめぇ、せんぱい…はげしぃよぉ……イっちゃうよぉ……」
明人先輩は、当たり前のようにベッドの上で寝ていた。ちょうど彼氏もいなかったし、麻織は意を決して先輩に話し掛けた。
以来、先輩との体だけの関係が始まった。
「んあっ、イク……っ」
保健室には、クチュクチュと淫靡な音が響き渡る。
当初の目的は果たせていたわけで、麻織は現状の関係に満足していたはずだった。
でも、長いこと離れてみて、時間が空いて納得した。
始めは、プレッシャーから逃げたくて、それだけが目的だったけれど、今は違う。
先輩には恋人として接して欲しかったし、今更だけど、先輩には私だけを相手にして欲しい。
――私は、先輩が好きだ……
「はぁ、はぁ……ふぅ……」
告白でもしようかな、ダメ元で――なんて考えていると、扉の外からカツカツと足音が聞こえる。
慌てて制服を整えつつ期待に胸を躍らせていると、ちょうど扉の前で話し声が聞こえた。
『――まってください。久しぶりなんですから、もっと広いとこでシマしょうよ?』
――え、今の声……
『それもそうだな』
間違いない、そんなはずはないと思っても、明人先輩と寧子の声で間違いなかった。
「な、んで……」
そっと扉を開けて、男女2人の後ろ姿も確認する。寧子が笑顔で明人先輩の腕を抱き締めていた。
麻織は、心臓の鼓動が早まるのを抑え、距離を保ちながら慎重に2人を追った。
***
「せんぱい」
明人先輩との久しぶりの再開で、寧子は心躍らせていた。高鳴る鼓動を抑え、なるべく平静を装って先輩に近寄っていく。
「どこに行ってたんですか?」
「ああ、ちょっとな」
先輩は多くは語ろうとしない。寧子も細かく追求するつもりはなかった。それでも――
「寂しかったんですよ? 私……」
「すまん」
思い切って先輩の胸に飛び込んでみる。先輩は優しく頭を撫でてくれて、寧子の胸の鼓動は、より一層に早くなる。
2人は、その足で保健室へと向かう。
「けが、平気ですか……?」
「ああ、支障はない」
「もう、ナニに支障がないんですか?」
テニス部のエースとして活躍する寧子は、日々周囲のプレッシャーに押し潰されそうになりながら部活に励んでいた。
ダブルスなんて以ての外で、麻織以外とは絶対に組みたくない。麻織だけは、寧子のプレーを当てにしなかった。あくまで対等に、パートナーとして試合に挑んでくれた。
麻織への信頼は絶大だった。なのに、「保健室に行くのを見た」なんて噂を聞いたときには、何故かショックだった。
寧子は、すぐに行動に移した。
麻織を寝取られた思いか、あるいは――
「――あ、そうだ」
先輩が保健室の扉に手をかけた瞬間に思い出した。
今日の部室の鍵当番は寧子だった。部室には休憩用の布団も置いてあるし、保健室のベッドよりは広々と使える。
「こっちです先輩」
先輩を引き連れて部室へと急ぐ。特に急ぐ理由はないが、寧子自身が待ちきれなかった。
「……先輩、覚えてます? 初めて会ったときのこと」
「あんま覚えてないな」
「実は、私もなんです」
部室の鍵をもう1度開け、先輩を引き連れて中へと入る。制汗スプレーやら香水やら、色々な匂いが充満していたが、その複雑な匂いでさえ昂ぶった気持ちを一層に盛り上げる。
「麻織のこと問いただしてたら、いつの間にか私まで抱かれてて、気づいたらトリコにされちゃってた」
「トリコになってるのは俺の方かもしれない」
「変な先輩……んっ」
寧子が布団を敷いていると、首元に先輩が吸い付いて刺激を加える。十分に昂ぶっていた寧子は、体をビクビクと震わせながら先輩を受け入れる。
「初対面の男に抱かれるのは変じゃないのか?」
「流れって、んっ…あるじゃないですかっ、んあっ……」
先輩は焦らすように全身に手を回す。寧子は全身で先輩の温もりを感じ、先輩の肩越しにぼんやりと部室を眺める。
その視界に、何故か扉が開いているのが映った。
「――麻織っ?!」
寧子は、慌てて先輩から離れる。先輩も振り向いた扉の先で、麻織は涙目で寧子を睨んでいた。
「……ヒドイよ、寧子」
「ひどいって、どうして?」
恨まれる筋合いは無い。
むしろ、先に楽しんでいたのは麻織の方だ。
「もしかして先輩、麻織と付き合ってました?」
「何その質問、ムカつく」
「やっぱり付き合ってないんだ……じゃ、続きしましょ先輩」
「お、おい」
寧子は、わざと見せつけるように先輩の股間を擦る。流し目を麻織に向けると、麻織は下唇を噛んで怒りを露わにした。
「寧子はいいじゃん。勉強もテニスも順調で、他校にカレシだっているんだから、先輩にまで手を出すことないじゃん」
「だからって、麻織だけ行っていい理由が分からない! 麻織だって最近まで副部長と付き合ってたでしょ」
麻織こそ充実した毎日なはずだ。
麻織こそ譲るべきである。
「まて、2人ともカレシいたのか」
「寧子は分かってないよ! 試合のたびに、ラケットを持つ手が震えるの。でも、先輩だったら何もかも忘れさせてくれて、手の震えも収まるの! ちゃんと理由があるの!」
なるほど、麻織は麻織で複雑な思いを抱えていたのだ。「麻織は強い」なんて、寧子こそ勝手に期待していたのだ。
寧子は、先輩に嫉妬していたのではない。麻織に嫉妬していたのだ。
「麻織こそ分かってない! 麻織だけは分かってくれると思ってたのに、麻織は1人楽しんでた。そんなのズルい」
「ズルいって、そんな理由で……」
その後は、なんとなく沈黙の時間が続く。
お互いに言いたいことは数少なく、お互いに反論は持ち合わせていなかった。
先に口を開いたのは、麻織だった。
「……私たち、完全に依存症だね」
「だね」
寧子と麻織は、改めて明人先輩に近寄り、溶けそうな表情で寂しげな目を向ける。
「せんぱい、私たち……せんぱいが居なくても頑張れるよう、なるべく努力します」
「だから、もう少し……少なくとも今日は、いっぱい抱きしめてください」
「「ふたりとも――」」
***
「んあああ゛っ! せんぱいっ……!」
先輩の肉棒が、麻織の膣内を突き上げて、子宮の奥まで挿し込んでいく。
「先輩っ……膣内は舐めちゃ…んいやぁっ!」
寧子は、ちょうど麻織と向き合って先輩の顔に自身の股を被せる。先輩は長い舌を使い、全体を舐め回して、ときには突起物を責めたり、膣内までしゃぶり尽くしていく。
「やぁあんっ、先輩っ…そこは違うあなっ……ひゃんっ!」
先輩は、寧子のお尻の穴にまで舌を動かして、細い指も使って膣とお尻の穴を同時に責めていく。
「だめですぅ……そんな、同時なんて…すぐイっちゃ…あう゛っ!」
「あっ、あっ、私もダメ、イっちゃうっ…んあっ、イっちゃうよぉっ!」
上下に腰を振る麻織も、顔を真っ紅にしてイカかされそうだった。
寧子と麻織は、イキそうなのを必死に堪え、2人で手を握って顔を近づける。
「んああ゛っ! 麻織ぃっ……」
「あっ、あんっ、あん゛っ…ねい、こ……」
手を握ったまま、寧子と麻織は深くキスを交わす。舌を転がし合って、何度も唇を重ねる。
先輩も勢いづいてさらに腰と舌の動きを早くする。
「んっ、んくちゅ、んらめぇ…おかひく、んちゅ…なっひゃうぅ……んぱっ、んちゅ……ねいこぉ、わたひ…んちゅぷ……へんひなっらうよぉ……」
「んちゅ、まおりっ…んちゅぷ……わらひも、らめ……おひりのあなが…んちゅ、んぱっ……おかひくなっらうぅ…んっ、んちゅ……」
寧子の膣内からは、大量の潮が噴き出して先輩の顔をびしょびしょに濡らすが、それでも先輩は舌の動きを止めない。それどころか、腰をより大振りで突き上げていく。
「んああ゛っ! イグっ! せんぱいイっひゃうっ、んちゅ、イっひゃうっ…イグぅ……」
「先輩、わらひも…んっ、んちゅ……らめっ、らめらめらめっ……イクイクイク、イっちゃう、イっちゃうぅ……っ!」
寧子と麻織の膣内が、同時に締まりを強くする。締まりが強過ぎて、麻織の膣内から一度肉棒が抜けてしまう。
その膣内からは、栓が抜けたよう大量の潮が噴き出していった。
「んっ、あふぅ…先輩っ、せんぱ、いっ……」
寧子の膣内からも、尿に近い量の潮が噴き出して、寧子は足をガクガクと振るわせる。
先輩は一度起き上がり、今度は2人を四つん這いにさせてお尻を並べた。
「イクのが早いんじゃないか?」
「だってえぇ……」
「久しぶり、でしらからぁ……」
「そう、かっ――」
「ふひゃああっ!」
先に絶叫を上げたのは麻織だった。
先輩の大きな肉棒で後ろから突かれ、イったばかりの麻織の膣は激しく痙攣を起こして愛液を漏らす。
「やめえぇ、せんぱいっ、イったばっかっ……ひゃう゛っ!」
「麻織……んんああぁ゛っ!」
油断していた寧子の膣内には、先輩の細くて長い指が2本押し込まれる。
先輩の指は膣内で激しく動き回って、寧子をあっという間に絶頂へと誘っていく。
「あぅ、あぅっ……せんぱっ、んっ゛……だめっ、だめっ…わたしまたイっちゃ……んあ゛っ……」
「先輩っ…やさしく……んぅっ、んああ゛っ! やさしく、しないとっ…わたしもイっちゃ……んん゛っ!」
「麻織、出すぞ」
「んっ、きてっ…せんぱいのだひて、いっぱいだひてっ! んっ、ん゛っ、せんぱいっ、せんぱい゛っ!」
「くっ――」
麻織の膣内注ぎ込まれていき精液――その横で、寧子も果てて上半身を腕で支えられなくなっていた。
「はあ、はあ…まおり……」
先輩の精液が溢れ出るたびに、全身を痙攣させる麻織を、寧子は羨ましそうに見つめていた。
そんなとき、急に体が浮いて仰向けにさせられる。
「寧子はまだだぞ」
「先輩……ん゛っ!」
先輩は容赦なく肉棒を挿し込んで、寧子の子宮にまで押し付ける。先輩の肉棒が子宮に当たるたびに、絶頂に近い快感が寧子を襲う。
「先輩っ、ほんとにだめっ、んあっ、んあ゛っ……わたし、あぅ゛っ…おかしくっ、おかしくなっちゃいますっ……」
「寧子も膣内に出すぞ」
「はいっ、ください゛っ…んん゛っ、先輩のっ、んっ、いっぱい…くださいっ……」
横では、今度は麻織が先輩の指で絶頂に達している。麻織は快感に耐えながら、寧子と手を握り顔を近づける。
「ねいこぉ……」
「まおり……んっ、んくちゅ……」
再び麻織とキスを交わし、同時に先輩も腰の動きを早めていく。
「まおりっ…んっん゛っ……わらひ、もうっ……」
「ねいっ、こ…わらひ、もっ……」
「イクっ、んっ、んくちゅ…せんぱいっ、イク、イクっ、またイっちゃう! またイっちゃうっ……らめえ゛ぇっ!」
先輩は、麻織のときと同じだけの量の精液を、今度は寧子の膣内に注ぎ込んでいく。ゴポゴポと音を鳴らして精液が溢れ出て、その度に快感を感じて全身を震わせる。
「んあっ、すごい…先輩のいっぱい……」
寧子は、漏れ出して落ちる精液がもったいなくて、指ですくい上げて丁寧に舐め取っていく。その指に、ちょうど舌が重なるように麻織も精液を舐め取った。
「あ、待って……」
離れようとする先輩を、麻織は慌てて引き止める。そして、不意打ちを狙って先輩の唇にキスを交わす。
「んっ……せんぱい、好きだよ」
「あんっ、私も…んっ……」
寧子も慌てて起き上がって先輩にキスをする。
最後に麻織と同時に顔を寄せて3人でキスを交わした。
「まったく……」
「せんぱい今日はすごすぎ、これは月1だね」
「うん、抜け駆けはだめだよ麻織?」
「お互い様だからね」
先輩の精液にまみれ、2人は笑いあった。
一方の先輩は、まだまだ元気な肉棒をぶら下げたまま、ワイシャツを羽織り、後ろの扉に目を向けていた。
扉の奥――
何故か開いていた扉の先に立つ、新たな人影に目を向けていた。
応援ありがとうございます!
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