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▼【第二十九話】 閑話、月曜日の女子会。
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「ねえ、遥。さすがに昨日のは酷いんじゃない?」
私は遥を睨む。遥もわかっているのか私と目を合わせない。
「名前のこと? ごめんね」
何とぼけてやがる。こいつ。
「それもだけど…… あのさ、もしかして日曜日に急用ができたって、あいつに呼び出されたの?」
私がそう言うと遥が一瞬、ビクッと固まる。
「うん…… 週末はむこうも家庭があるから滅多に呼び出されないんだけどね……」
やっぱりそうか。田沼もなんか感づいている感じだったし……
天然もの国産茹蛸が泣いてるよ。まあ、タコ焼きにされるのも泣く気がするけど。
そんないいもの、そのまま刺身で食べてあげなよ。
「無視すればいいじゃない? 断ることはできるんでしょう?」
一応合意の上って話なのよね?
まあ、それ以前の問題だけど。
「うん…… でも、今は…… もし今、変な噂を広められちゃったら…… どうしょう、茜。私……」
「つまり、遥も本気なのね?」
あれ、遥のヤツ、田沼に知られるのを怖がってるのか?
それで断れない?
あら、遥のヤツ、本気で田沼のこと気に入ったのか。それは本当に予想外? でもないのかな? 水族館デートから割と乗り気だったよね? それとも一軒家パワーか?
そりゃ都内で駅近くて一戸建ては魅力よね。
「そうかも…… しれない。家に遊びに行って…… 私も夢見ちゃったのかもしれない…… あの家で二人で幸せに暮らせたら良いなって……」
三十路にもなって夢見る乙女かよ。
まあ、遥は元々はまじめではあるけど夢見るメンヘラだからなぁ。夢見ちゃったかー、どうすんのよこれ、私には手に負えないって。
「じゃあ、なんでって…… ああ、そうか、田沼さんにもう知られたくないって考えちゃったんだ」
それ余計泥沼化してない?
ほんとどうするのよ、これ? だれかー! 私を助けてー!
「うん…… もう知られたくない…… 知られたら軽蔑されちゃう…… どうしよう……」
軽蔑で済めばいいけど。
田沼みたいなタイプは逆上しそうだもんね。
やっぱり行き着く先は流血沙汰に…… って、本当に現実味帯びてきてない?
いやいや、本当に私には何もできないってさ。
無理だよ、こんなドロドロの底なし沼みたいなの。
「どうしようって言われても…… 隠し通すか打ち明けるか、その二択でしょう?」
他に案ある? 私なら…… 隠し通しちゃうけど。
「どっちも無理だよ……」
あぁ、泣き出しやがった、こいつ。大人にもなって泣くなよ。
泣くならはじめっから、あんな奴の言いなりにならなければよかったのに。
「じゃあ、隠し通しなよ。そっちのほうがまだ安全だと私は思うけど」
「無理だよ、そんなことしたら私本当に、今度こそ、本当に壊れちゃうよ……」
こいつ。精神年齢そうとう若返ってんな!
ダメだ、本格的にヘラってる。なにが壊れちゃうだよ。もう遥の倫理観はとうの昔に壊れちゃってただろうに!
「流石に私にも荷が重いよ?」
そうだよ。私こそ恋愛ほとんどしてこなかった干物女だよ?
こんな相談されても無理があるんだよ。私はどっちかというと、田沼よりの人間なのよ?
相談する相手を間違ってるって、気づいて? 遥!
まあ、遥にはその相談する相手が私しか選択肢ないんだけど。
「ねえ、どうしたらいい? 私、どうしたらいいの?」
知らないよ、私もそもそもそんなに恋愛経験ないんだってば! あってもこんな泥沼の状況じゃ誰も答えられないよ。もう恋愛の範疇じゃないのよ!
そんなこと聞かれても答えようがないんだってば。
「じゃあ、もう田沼さんの度量の深さに期待して打ち明けちゃえばいいんじゃない?」
「無理だよ、あの人多分、嫉妬深い……」
「だよねー、私もそう思う」
はい、詰んでます! 無理ー! 私にはむーりー! 無理でーす!!
「それにあの人一人なの、本当に何もないの。私がそばにいてあげたいの……」
ああ、ダメだこりゃ、本格的にメンヘラモードだ。
なにが他の男に呼び出されて、抱かれておいて、そばにいてあげたいの、だ!
私が田沼なら、間違いなく刺してるぞ。
「えぇ…… デート数回しただけで、そこまで入れこんじゃったの?」
本当に日曜日、何があったの……
そこは気になる。
「だって、私も好きになっちゃったんだもん…… 仕方ないじゃん…… 運命だもん」
「運命ってなに?」
ダメだ、ヘラりにヘラってやがる。三十路の女が、運命だもん、は流石にもうきついよ? 遥も気づいて!
「それは良いの! 私どうしたらいいの!!」
「遥、とにかく落ち着いて。まあ、恋は時間じゃないっていうしねぇ……」
しかし、遥がねぇ、一体田沼のヤツ、何をしたんだ?
なんか立場が逆転してない?
それとも私の想像より田沼はやり手だったのか?
ああ、あれか母性本能をくすぐられたって奴? だから一緒にいてあげたいってこと?
それなら、まあ、理解はできなくはないけど、遥って母性本能あったほうだっけ?
「ねえ、茜、どうしよう、どうしたらいいの?」
「ああ、もう! すぐ取り乱さないでよ! ヘラりやがって!」
「だってぇ……」
精神年齢、半部位になってんじゃないか? これ。
あーもうー酒飲んでないとやってらんない。
お酒の力に頼って、いいアイディアを絞り出さないと。
そして、お酒を煽って私が絞り出した答えも割と最低だった。
「じゃあ、もう既成事実作って、その上で打ち明けちゃえばいいじゃない! やった後、責任取ってって言えば責任取ってくれるよ、田沼なら」
あの責任感つよつよの田沼ならそれで嫌だとは言わないわよね。これで万事解決、一件落着!!
まあ、冗談だけど。
「え…… そ、そうかな? ちょっとずるい気がするけど…… もうそうするしかないないよね?」
え? なにコイツ、何名案って顔してんだよ。
「本気でそれ言ってるの?」
「だって、もう失いたくないの! たぶん私の最後のチャンスなの!!」
最後のチャンス? 遥が運命を感じちゃってるの?
本当になにがあったんだよ。どちらにしても私には無理だよ。
「なにを田沼に運命を感じちゃってるのよ。まあ、久しぶりの恋愛でのめりこんでるんでしょうけども」
「違うの、神様にお願いしたの! そしたら本当に叶ったの、タイミング的に絶対そうなの!」
「ああ、もう、だからヘラるなよ! もう!!」
ダメだ、会話にならない。何神様って? 運命? なに乙女みたいなこと言ってんだ、このビッチめ!
恋愛経験もそんなにないのに無理難題を相談されるほうにもなってよ!
私は遥を睨む。遥もわかっているのか私と目を合わせない。
「名前のこと? ごめんね」
何とぼけてやがる。こいつ。
「それもだけど…… あのさ、もしかして日曜日に急用ができたって、あいつに呼び出されたの?」
私がそう言うと遥が一瞬、ビクッと固まる。
「うん…… 週末はむこうも家庭があるから滅多に呼び出されないんだけどね……」
やっぱりそうか。田沼もなんか感づいている感じだったし……
天然もの国産茹蛸が泣いてるよ。まあ、タコ焼きにされるのも泣く気がするけど。
そんないいもの、そのまま刺身で食べてあげなよ。
「無視すればいいじゃない? 断ることはできるんでしょう?」
一応合意の上って話なのよね?
まあ、それ以前の問題だけど。
「うん…… でも、今は…… もし今、変な噂を広められちゃったら…… どうしょう、茜。私……」
「つまり、遥も本気なのね?」
あれ、遥のヤツ、田沼に知られるのを怖がってるのか?
それで断れない?
あら、遥のヤツ、本気で田沼のこと気に入ったのか。それは本当に予想外? でもないのかな? 水族館デートから割と乗り気だったよね? それとも一軒家パワーか?
そりゃ都内で駅近くて一戸建ては魅力よね。
「そうかも…… しれない。家に遊びに行って…… 私も夢見ちゃったのかもしれない…… あの家で二人で幸せに暮らせたら良いなって……」
三十路にもなって夢見る乙女かよ。
まあ、遥は元々はまじめではあるけど夢見るメンヘラだからなぁ。夢見ちゃったかー、どうすんのよこれ、私には手に負えないって。
「じゃあ、なんでって…… ああ、そうか、田沼さんにもう知られたくないって考えちゃったんだ」
それ余計泥沼化してない?
ほんとどうするのよ、これ? だれかー! 私を助けてー!
「うん…… もう知られたくない…… 知られたら軽蔑されちゃう…… どうしよう……」
軽蔑で済めばいいけど。
田沼みたいなタイプは逆上しそうだもんね。
やっぱり行き着く先は流血沙汰に…… って、本当に現実味帯びてきてない?
いやいや、本当に私には何もできないってさ。
無理だよ、こんなドロドロの底なし沼みたいなの。
「どうしようって言われても…… 隠し通すか打ち明けるか、その二択でしょう?」
他に案ある? 私なら…… 隠し通しちゃうけど。
「どっちも無理だよ……」
あぁ、泣き出しやがった、こいつ。大人にもなって泣くなよ。
泣くならはじめっから、あんな奴の言いなりにならなければよかったのに。
「じゃあ、隠し通しなよ。そっちのほうがまだ安全だと私は思うけど」
「無理だよ、そんなことしたら私本当に、今度こそ、本当に壊れちゃうよ……」
こいつ。精神年齢そうとう若返ってんな!
ダメだ、本格的にヘラってる。なにが壊れちゃうだよ。もう遥の倫理観はとうの昔に壊れちゃってただろうに!
「流石に私にも荷が重いよ?」
そうだよ。私こそ恋愛ほとんどしてこなかった干物女だよ?
こんな相談されても無理があるんだよ。私はどっちかというと、田沼よりの人間なのよ?
相談する相手を間違ってるって、気づいて? 遥!
まあ、遥にはその相談する相手が私しか選択肢ないんだけど。
「ねえ、どうしたらいい? 私、どうしたらいいの?」
知らないよ、私もそもそもそんなに恋愛経験ないんだってば! あってもこんな泥沼の状況じゃ誰も答えられないよ。もう恋愛の範疇じゃないのよ!
そんなこと聞かれても答えようがないんだってば。
「じゃあ、もう田沼さんの度量の深さに期待して打ち明けちゃえばいいんじゃない?」
「無理だよ、あの人多分、嫉妬深い……」
「だよねー、私もそう思う」
はい、詰んでます! 無理ー! 私にはむーりー! 無理でーす!!
「それにあの人一人なの、本当に何もないの。私がそばにいてあげたいの……」
ああ、ダメだこりゃ、本格的にメンヘラモードだ。
なにが他の男に呼び出されて、抱かれておいて、そばにいてあげたいの、だ!
私が田沼なら、間違いなく刺してるぞ。
「えぇ…… デート数回しただけで、そこまで入れこんじゃったの?」
本当に日曜日、何があったの……
そこは気になる。
「だって、私も好きになっちゃったんだもん…… 仕方ないじゃん…… 運命だもん」
「運命ってなに?」
ダメだ、ヘラりにヘラってやがる。三十路の女が、運命だもん、は流石にもうきついよ? 遥も気づいて!
「それは良いの! 私どうしたらいいの!!」
「遥、とにかく落ち着いて。まあ、恋は時間じゃないっていうしねぇ……」
しかし、遥がねぇ、一体田沼のヤツ、何をしたんだ?
なんか立場が逆転してない?
それとも私の想像より田沼はやり手だったのか?
ああ、あれか母性本能をくすぐられたって奴? だから一緒にいてあげたいってこと?
それなら、まあ、理解はできなくはないけど、遥って母性本能あったほうだっけ?
「ねえ、茜、どうしよう、どうしたらいいの?」
「ああ、もう! すぐ取り乱さないでよ! ヘラりやがって!」
「だってぇ……」
精神年齢、半部位になってんじゃないか? これ。
あーもうー酒飲んでないとやってらんない。
お酒の力に頼って、いいアイディアを絞り出さないと。
そして、お酒を煽って私が絞り出した答えも割と最低だった。
「じゃあ、もう既成事実作って、その上で打ち明けちゃえばいいじゃない! やった後、責任取ってって言えば責任取ってくれるよ、田沼なら」
あの責任感つよつよの田沼ならそれで嫌だとは言わないわよね。これで万事解決、一件落着!!
まあ、冗談だけど。
「え…… そ、そうかな? ちょっとずるい気がするけど…… もうそうするしかないないよね?」
え? なにコイツ、何名案って顔してんだよ。
「本気でそれ言ってるの?」
「だって、もう失いたくないの! たぶん私の最後のチャンスなの!!」
最後のチャンス? 遥が運命を感じちゃってるの?
本当になにがあったんだよ。どちらにしても私には無理だよ。
「なにを田沼に運命を感じちゃってるのよ。まあ、久しぶりの恋愛でのめりこんでるんでしょうけども」
「違うの、神様にお願いしたの! そしたら本当に叶ったの、タイミング的に絶対そうなの!」
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