281 / 423
か
か
しおりを挟む
夏も終わり秋もあっという間に終わり、冬になりかけていた頃だ。
寝ようとすると、プーンと羽音がする。
蚊だ。
もう寒くなるという時期に蚊とは、と男は思う。
おそらく今年、最後の蚊だろう、なんて男は勝手に考える。
蚊を追い払うのにも使える扇風機ももうしまってしまっている。
布団をかぶって羽音を遮る。
そうして、寝てしまおうと男はそう考えていた。
けど、プーン、プーンと、蚊の羽音が布団越しにも聞こえてくる。
それでも男も眠い。
意識を失いかけるのだが、その度に羽音がそれを邪魔する。
そうしていると、意識はあるのに体の方は寝ているような、そんな感覚になる。
体を動かしたくても動かせない。
でも、意識はなんとかある。
そんな状態だ。
そんな状態の時に、蚊の羽音が間近で聞こえてくる。
男は布団の中に入られた、そう思って動こうとするが体は動かない。
どうにか男が体を動かそうとしている間にも、耳元でプーン、プーンと嫌な羽音を鳴らしている。
このまま寝てしまおうか、そんなことを男も思うのだが、蚊の羽音はそれも妨害する。
そうしていると、なんだか息苦しくなってくる。
布団をかぶっているせいか、わからないがなんだかとても息苦しい。
頭では起きなければ、そう思っているのに、今度は体が言うことを聞いてくれない。
男は強く体を動かそうとする。
そして、やっとの思いで体が動く。
ガバッと布団を払いのけ、深く荒く呼吸をする。
息苦しさから解放された瞬間だ。
耳元で、ナンダ、オキテタノカ、と片言の声がする。
男が驚いて、急いで部屋の電気をつける。
だが、部屋には誰もいない。
誰もいないのだ。
静まり返った部屋で男が茫然としていると、男の耳元をプーンと羽音を鳴らして蚊が飛んでいった。
寝ようとすると、プーンと羽音がする。
蚊だ。
もう寒くなるという時期に蚊とは、と男は思う。
おそらく今年、最後の蚊だろう、なんて男は勝手に考える。
蚊を追い払うのにも使える扇風機ももうしまってしまっている。
布団をかぶって羽音を遮る。
そうして、寝てしまおうと男はそう考えていた。
けど、プーン、プーンと、蚊の羽音が布団越しにも聞こえてくる。
それでも男も眠い。
意識を失いかけるのだが、その度に羽音がそれを邪魔する。
そうしていると、意識はあるのに体の方は寝ているような、そんな感覚になる。
体を動かしたくても動かせない。
でも、意識はなんとかある。
そんな状態だ。
そんな状態の時に、蚊の羽音が間近で聞こえてくる。
男は布団の中に入られた、そう思って動こうとするが体は動かない。
どうにか男が体を動かそうとしている間にも、耳元でプーン、プーンと嫌な羽音を鳴らしている。
このまま寝てしまおうか、そんなことを男も思うのだが、蚊の羽音はそれも妨害する。
そうしていると、なんだか息苦しくなってくる。
布団をかぶっているせいか、わからないがなんだかとても息苦しい。
頭では起きなければ、そう思っているのに、今度は体が言うことを聞いてくれない。
男は強く体を動かそうとする。
そして、やっとの思いで体が動く。
ガバッと布団を払いのけ、深く荒く呼吸をする。
息苦しさから解放された瞬間だ。
耳元で、ナンダ、オキテタノカ、と片言の声がする。
男が驚いて、急いで部屋の電気をつける。
だが、部屋には誰もいない。
誰もいないのだ。
静まり返った部屋で男が茫然としていると、男の耳元をプーンと羽音を鳴らして蚊が飛んでいった。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる