狼騎士は人の王にひざまずく

えん

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鉱山の調査

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 厩舎にジークを戻すと、びしょ濡れのままなのを考慮して、また庭に面した回廊からこっそり中に入ることにした。
「陛下っ! その恰好はいったいどうされたのです!?」
 声だけで誰かはわかってしまったので、観念して振り向くと、侍従長のマジドが額を押さえて項垂れている。
「あー……、すまない、少し川に入ってしまってな。ネイを呼んでくれるか、着替えたい」
「すぐに。
お部屋でお待ちください。ジュノ殿も」
 声にわずかに怒気が含まれていることはジュノも察したのだろう。エルシャと目が合えばおどけたように首をすくめたので、可笑しくなってこっそり笑ってしまった。
「陛下」
「あ、ああ、なんだ?」
「ゴルシダ鉱山へ出していた調査部から報告がありました。
お召し変えが済まれましたら執務室へお戻りください」
「……。
わかった、すぐに戻る」
 ゴルシダ鉱山は、北方の国境付近にある鉱山だ。鉄鋼が多く産出されるので、先王はその鉄鋼から戦争に使う武器を作っていた。
 それだけではなく、調べてみると戦争をしていたり冷戦状態の国へも秘密裏に流出していたりしたことがわかっていた。戦争を長引かせるだけでなく、戦争を食い物にして誰かが儲けていたということになる。
 その密売ルートや、密売していた人間を突き止めるために、エルシャは何年も調査を継続していた。
 執務室に入ると、半年ほどかけてゴルシダ鉱山のあるイェドという町に調査に出向いていたルーファスが待っていた。
「第一調査部情報局所属ルーファス、ただいま戻りました。
陛下におかれましてはご機嫌麗しく」
「ああ、ご苦労だったな、ルーファス」
 エルシャよりは少し年上だろうか、二十代後半の鮮やかな赤髪の男がうやうやしく腰を折る。
 ルーファスはちらりとエルシャの後ろのジュノを見たが、なにも言わなかった。
「ルーファスは以前から私の右腕として様々なことを助けてもらっているんです。
現在は、ゴルシダ鉱山の鉄鋼の産出量と密売の調査のために王都とイェドを行ったり来たりさせています」
 ジュノにルーファスを紹介すると、ジュノも頷いて簡単に自己紹介をする。
「銀狼国の騎士団に所属するジュリアーノだ。
休戦協定が結ばれて、我が国の王命によりエルシャ陛下が危険な目に合わないようにと護衛をしている」
「これはこれは。
本来ならば我が王の御身については私共がお守りしなければならないところ、隣国の騎士様にまでご配慮頂いて申し訳ない」
 なぜだか空気がひりついて、普段温厚なルーファスの笑顔が怖かったが、エルシャにはその理由がわからなかった。
「ルーファスは、即位する前は私の近衛兵として護衛してくれていたんです。
腕は立つし、頭は切れるし、優秀な男です」
 エルシャがそう弁明すると、ルーファスは一層笑みを深くして嬉しそうにエルシャを見た。
「陛下にそのように言って頂けるとは、この身に余る光栄です。
私としては、すぐにでも“陛下の近衛兵”として復帰する所存でございます。
その美しい瞳で国を憂える、輝かしくも孤高の御身をどうぞ私めにお守りさせて下さい」
 ルーファスは跪いてエルシャの着替えたばかりの服の裾に口づけをした。
「相変らず大げさだな、ルーファスは」
 苦笑して、ようやく執務机に戻る。椅子に座って長い脚を組むと、ルーファスがますますエルシャの一挙手一投足を見つめ始めて視線がうるさい。
「今はジュノ殿が護衛してくれているから大丈夫だ。
ルーファスには重要な任務があるだろう?
わざわざほかの人間ではなくお前が報告に帰ってきたんだ、なにかわかったんじゃないのか?
報告を頼む」
「はっ。
しかし、」
 ちらりとジュノを見る。
 執務室は相変らず人払いをしてあるが、ジュノは他国の人間であるにも関わらず、常にエルシャの傍に居る。この城の従者たちはすでに見慣れた光景だったが、ルーファスにとってはこの国の機密情報を報告するのに、他国の獣人が居る前で良いのだろうか、という疑問が浮かぶのは当然だ。
「構わない。ジュノ殿は信用できる。
我が国の執政について助言を頂いたこともあるくらいだ」
 執務室で仕事をするエルシャをジュノはずっと傍で見てきている。
 雨の少ないサライの灌漑事業についてだとか、戦地になった町の復興予算についてだとか、ジュノは銀狼国の方法を教えてくれるなどなにかと助言してくれていた。最近ではエルシャが自分から相談するまでになっている。
「それに、ゴルシダ鉱山の鉄鋼に関しては、我々銀狼国も知る権利がある。
ゴルシダ山脈が銀狼国とサライ国との国境にあるため、その山脈から産出される鉄鋼を巡ってはエルシャ殿と我が国とで割合を取り決めている。
その産出量が誤魔化されていたとなれば、またもや争いの火種になりかねん。
我々銀狼国側としても、戦争をしたいわけではないのでな」
 ジュノの言い分にようやくルーファスも渋々納得した様子だった。
「それではご報告申し上げます」
 ゴルシダ鉱山はイェドという町にあるが、イェドのある北方領を統括しているのはランドール伯爵だ。北方領は辺境の地なので滅多に王都や王宮に伯爵が来ることはなかったから、エルシャも顔を合わせたのは数える程だ。
「鉄鋼は、確かに産出量が誤魔化されています。
働いている鉱夫や外の地域から来ている出稼ぎの人足たちの数から見ても、報告に上がっている産出量だけではないと思われます。鉱夫たちからの証言でも、おそらく報告の倍はあるのではないかと」
「そうか、やはりな。
裏で糸を引いているのはランドール伯爵か?」
「そこなのですが、陛下」
「?」
「実は、以前から妙な噂がありました。
ランドール伯爵の元に、身分の高い男が出入りしていると」
「身分の高い男?」
「頻繁にではないのですが、戦時中からだといいます。
侍女を買収し、探りを入れさせていたところ、先日闇夜にまぎれる姿をこの目で確かめました。
あれは、
……ラクダル殿下だったとお見受け致しました」
「! ……ラクダル……だと」
 先王には、エルシャを含め六人の子供がいた。
 ラクダルは先王の二人目の息子で、先王と一番気質が似ており、他国を出し抜き隷属する戦争を良しとし、謀略に長け、野心が強く、ともすれば第一王子よりも先王に気に入られ、次代の王とまで囁かれていたほどだった。
 しかし、王位に就いたのはエルシャだった。
理性的な兄姉たちは自ら進んで、反発していた兄たちは追放という形で、それぞれ地方領に移った。
 ラクダルは、自身が王位に就くものと思い込んでいた節があり、エルシャはそれを横取りしたのだと恨んでいるという噂も聞こえている。
「ラクダルが、何故、北方領に……?」
 なにか良くないことが起こっている。
 喉の奥がひりつくような、胃の奥からなにかが込み上げてくるような、そんな嫌な予感が離れない。
「わかった。
私も北方領イェドの町へ一緒に行こう」
「陛下!?」

 エルシャは独り、馬車に揺られていた。
本当は、ジュノにも一緒に馬車に乗るよう勧めたのだが、ルーファスが馬で護衛の任に就くと言ったため、なにを張り合ったのかジュノまでジークで馬車の外から護衛すると言い出したのだった。
 馬車の窓から外を眺める。
王都を出たばかりで、まだ町とも畑とも言えない舗装されていない田舎道が続いている。
 簡易な馬車とはいえ、やはり馬だけで駆けるのとは違い行程はどうしても遅くなる。
「こんなことなら、俺も馬で行けば良かった」
 昔はエルシャも馬でそこらを駆けまわっていたし、他国まで最短の行程を馬で強行したこともある。しかし、即位してからは、乗馬どころか遠乗りもする時間はないし、視察となれば一国の王が馬に乗るなどとんでもないと馬車に押し込まれた。
 ジュノとルーファスは外で風を受けながら馬を駆っているのかと思うと少し羨ましくなる。
 エルシャが華美にするのを好まない為、馬車はこじんまりと狭く簡素だ。ジュノも一緒に乗るには少し手狭だったかもしれない。
 それでも、ここにジュノが居れば、話をたくさんできたのに、とも思う。
「はあ、俺、またジュノ殿のこと考えてる……」
 そんな場合ではないのに、もしかするとこれから向かう町は兄のラクダルの息がかかっているかもしれないというのに、頭にはジュノのことばかりが浮かぶ。
 長い一日を終え、もうすぐ日が落ちようかという頃、窓のすぐ外に黒い馬の顔が現れた。
「お疲れですか、陛下」
 ジークを駆るジュノが馬車の速度に合わせて馬を寄せる。
「あ、いえ、大丈夫です」
「もうすぐ日没です。
森に入ったら野営の準備を致しましょう」
 イェドまでは馬車の速度に合わせて七日程度の行程だ。途中に村があればそこで宿泊施設を手配することもできるが、エルシャも入れて近衛兵たち全員合わせると六人だ。泊まる宿を探すにも手間だろう。
 エルシャは王と言えど、野宿には慣れているので、むしろ野営の方が気楽だと思っていた。
 いくらも経たないうちに、先に森の中を見回ってきた先発隊が帰って来て、水辺の近くの開けた場所があると言った。今日はそこで野営、つまり野宿することになるらしい。
 エルシャが馬車を降りようとすると、いつも通り横からジュノが手を差し出し、それを見たルーファスも反対側から手を差し出してきた。
「……あの、ジュノ殿、何度も申し上げていますが、私は子供ではありませんし、ドレスを着た淑女でもありません。
馬車から降りるくらい一人で降りられます。
ルーファス、お前も、持ち場に戻れ」
「なにを言う。王だって、馬車から降りるときは捕まるものが必要だ。落ちて怪我でもしたらどうする」
「そうですよ、陛下。
陛下は私たちの希望、光、命の水。
その陛下にもしものことがあったりしたら、私もその場でこの命を断ちます。
陛下の居ない世界は生きる希望がないのと同じなのですから」
「~~~っ!
二人とも恥ずかしい!
たかだか馬車を降りるくらいでなぜそんなに大仰なんだ!」
 エルシャは二人を無視して、さっさと馬車を降りた。
 ルーファスが近衛兵たちに明日からの行程の確認や、火を焚く準備、馬を休ませる指示を出している間に、隙を見てエルシャは辺りの散策に出かけた。
 馬車でずっと座りっぱなしは振動を受けて足は痺れるし、尻も感覚がなくなっている。少し歩いて足腰の感覚を取り戻したかった。
「陛下、散歩なら誘ってくれまいか」
「ジュノ殿!
 ジークに水を飲ませていたのでは……?」
「水辺に繋いできました。
あいつは水くらい勝手に飲みます」
「私だって散歩くらい一人でできますよ」
「まさか。
王が護衛も付けず一人で散歩などして、何者かに襲われでもしたらルーファスだけでなく、我々みな死罪です」
「……すみません、自覚が足りませんでした」
 しかし、正直に言うとこうしてジュノと二人きりで散歩ができるのは嬉しい。
 森は穏やかだが、日暮れ間近の木立は薄暗く、小さな陰からひたひたと闇が浸食してくるような不安を覚えていた。
 ジュノが隣に居るだけでそんな不安は消えてしまうから不思議だ。
 サライは年間を通して比較的高温で乾燥している国だが、その分、昼間と夜とで気温差が激しい。今もすでに気温が下がり始めているし、今夜も寒くなるだろう。
「ときにエルシャ殿」
「はい、なんでしょう」
「……、ルーファスとは、」
 珍しく、ジュノが言い淀んでいる。
「どういった関係だ?」
「関係……ですか?」
 想像もしていなかった質問だったので、内心驚いた。
 ルーファスは代々王家に仕えてくれている家の出身で、腕の立つ者は近衛隊長を歴代勤めあげてくれている。
 ルーファスとはまだ幼い頃に当時の近衛隊長に息子だと紹介された。その頃からすでにエルシャに心酔してくれていた。
「まだ戦時中だった三年ほど前の銀狼国に、一緒に潜入したことがありました。
そのとき、私とはぐれてしまって。
私はなんとか無事だったのですが、ルーファスには私を敵地で独りにしてしまったという悔恨がずっとあるようです。
ルーファスのあの大仰ぶりはその時からでしょうか。
私が即位する際も根回しや後押しなど、とても助けてくれて、即位できたのも彼の力があったからなのですが……」
 苦笑混じりに昔の話をする。
 エルシャにとっては血を分けた実の兄より余程信頼のおける兄のような存在だ。
 しかし、なぜルーファスのことを聞きたがるのだろう。ジュノが他人を気にしたのは初めてだ。
 ルーファスは仕事ぶりは優秀で、優しく穏やかな性格、しかも顔立ちも良い。城内や王都でも女性に言い寄られることも多いと聞く。
ジュノとルーファスは行動がどことなく似ているし、通ずるものがあるのだろうか。
 ジュノは、ルーファスのような男と気が合うのかもしれない。
 馬車の外、エルシャの居ないところで、ジュノとルーファスが並んで馬を駆り、古くからの友人のように楽しげに会話をしている光景を思い浮かべてしまった。
「ルーファスが、気になるのですか……?」
「それは……、まあ……。
エルシャ殿が手放しで褒めていたしな……」
「そっ、そうですが!
お、俺は、本当は、ジュノ殿のことだって……!」
 二人ともが歯切れも悪く言い淀んでいて、次の言葉が出てこない。お互いにどちらからともなく顔を見合わせて目線を合わせては二の句が次げないまま視線を逸らす。
 無言で散策を続けているとすぐに辺りが真っ暗になってしまい、野営地に戻ることにした。
小川のほとりに火をおこした野営地に戻るとルーファスが駆け寄ってきた。
「陛下! どこへ行かれていたのです!?
私はもう心配で心配で……!」
「ジュノ殿が付いてるんだから大丈夫だって言ったろ」
 ルーファスの慌てぶりは、ほかの近衛兵たちにまで失笑を買っている。
「ジュノ殿、陛下と二人きりでどこへ連れまわしてたんですか?」
 ルーファスがジュノをじろりと睨み上げる。
ジュノは気にする素振りもなく、食料の入っている袋と籐カゴからピタのサンドイッチとワインを取り出して、エルシャに持ってきた。
「毒は大丈夫そうです。
あそこに座って食べますか、陛下?」
「あ、ありがとう」
「ジュノ殿、勝手なことをなさらないで頂きたい!
陛下の食べ物は私が自ら厳選し、今朝作ったものです。
毒など入っているわけがない。
陛下の嫌いなきゅうりは入れず、お好きなケバブやひよこ豆のファラフェルをたっぷり挟み、ワインも陛下のお好きな銘をご用意致しております。
陛下、テントと敷物をご用意しております、どうぞこちらへ」
「ああ、ルーファス殿、陛下は馬車に揺られて足が痺れてらっしゃるのでこの岩に腰かけて頂きますよ。
私がマッサージをして差し上げますので、貴殿は気になさらず、ご自身の食事をとってくだされ」
 あまりの恥ずかしさにエルシャが顔を覆ってしまったのにも気付かず、ルーファスとジュノは止めない。
「ま、マッサージだと!?
陛下のおみ足に触れるなど、いくらジュノ殿でも承諾致しかねます!
マッサージは長年の陛下の側近であるこの私が致します」
「マッサージは誰がやっても同じでしょう。
ああ、そうだ、それでは先日川遊びにて陛下のおみ足どころか抱きかかえて川の中へお連れしたのはルーファス殿にとっては大変なことだったのかもしれんな」
「だ、抱きかかえ……!?
い、嫌がる陛下を無理やり……?
おのれ、ジュノ! そこへなおれ!」
 バン! と大きな音が辺り一帯に響き渡り、鳥の群れが慌てて羽ばたいていった。
 ジュノとルーファスが静かに音のする方へ顔を向けると、そこでは真っ赤な顔をしたエルシャが馬車の木製の扉を思い切り手のひらで打っていた。
「いい加減にしてください、二人とも……!
俺のことをみなの前でべらべらと……!
もういい、俺は馬車の中で一人で食べるので二人とも俺のことは気にせずゆっくり休んでくれ」
 そう言うとエルシャは、ジュノの手にしているピタパンのサンドイッチとワインだけを受け取り、馬車の中へ引きこもった。

 サンドイッチは早々に食べ終えてしまって、散々見た鉱山の資料を再びぱらぱらと捲っていたが、ランプもなく暗闇に包まれた馬車の中では資料もすぐに読めなくなった。
 仕方なく、一人でワインを空ける勢いで飲み進める。
 怒っているわけではない。
 二人とも、エルシャを思っての言動だとわかっている。
 だが威厳のある聡明な王を目標とし、そう在ろうと日々を積み重ねているエルシャにとって、二人の中の自分の姿はなんだか幼く思えて、ひどく恥ずかしかった。
 こうしていつまでも馬車で不貞腐れている態度をしているのも幼い子供のようだとも思うけれど。
 こつこつと馬車の扉が控えめにノックされる。
「……あー、こほん、ん、陛下。
私です、ジュリアーノですが……」
 小さな声でためらいがちにかけられる言葉は、いつもの堂々としたゆったりと低く甘い話し方ではない。叱られた子供が親の機嫌を伺うように、遠慮がちだ。
「……はい」
 静かに馬車の扉を開けると、ジュノが気まずそうな表情で立っていた。耳は心なしか左右に倒れ、後ろではしっぽが力なく垂れ下がっている。それが、しおらしくて可愛らしくて胸がきゅと掴まれたような気持ちになった。
「シチューができたので持ってきた。
あと、あたたかい毛布と、ランプを……」
 エルシャの機嫌を窺う様子が可愛かったので、思わずその腕を引いて馬車の中へ入れた。
「どうぞ、入って」
 馬車の中はやはりジュノには少々窮屈そうに見えたが、ランプの灯りに照らされた顔はエルシャに許されたとほっとしていた。
 毛布に肩から包まり、あたたかいシチューを食べる。ワインでごまかしていたが、やはり寒かったのだと思う。なんだかほっとしていた。
 向かい合って長椅子に座っていると膝同士が時折当たる。人族だと四、五人は乗れるはずだが、やはりジュノの体躯が大きいのだろう。
 ランプに照らされる真っ白な被毛も相変らず美しい。
「……ルーファスと、随分仲良くなられたのですね」
「仲、良く……?」
 ジュノは困惑しているが、エルシャから見ればジュノとルーファスは思ったことを言い合えて気の置けない間柄に見えた。
 シチューを食べ終えた皿を脇に置いて、ワインをまた飲む。グラスなど荷物になるものは持ってきてはいないから、軽い木製の杯だったが、一息に飲み干した。
「ん……?
ちょっと待て。
エルシャ殿、このワインの瓶、すでにほとんど空なんだが……」
「……そうですか」
「いや、そうですかではなく。
大丈夫か? 酒はあまり強かったようにお見受けしなかったが」
 白狼王との会食のときのことを言っているのだろうか。
 それならば、あのときエルシャは大仕事と大役の後で疲れと緊張でいっぱいだった。しかも、白狼王がものすごく飲むものだから、なにかと付き合って杯を空けてしまっていたのだ。
「俺は弱くないです!
俺が弱いんじゃなくて、周囲の人々に比べて鍛える機会がまだ少ないだけです!」
「お、おお、そうか……」
「私も馬でジュノ殿の隣を駆けたかったです」
 馬車の中で独り、ぼんやりと思っていたことを、つい口に出してしまった。
「……エルシャ殿が望むならいつでも遠乗りに付き合おう。
いつも言っているだろう、俺が居ればエルシャ殿を危険な目になど合わせない。
たとえ合ったとしても必ずお救い申し上げる。
だから、そなたはそなたらしく自由に、思った通りに、したいことをすればいい。
政でも遠乗りでも」
「あ……、」
 それこそが、エルシャが望んでいたことだった。
 たとえどんなに命を狙われても、エルシャは自分の思い描く民の幸せのために政治を執り行いたい。
ジュノが傍で守ってくれていれば、自分の命の危険という些事に振り回されることなく、政に集中できる。
 今回のような視察も、ジュノが付いてきてくれているから、エルシャはどこか落ち着いていて不安に思い悩むことがないのだ。
「ジュノ殿には感謝しています、いつも。
俺が自分で望みをかなえるという自由のために、俺を守ってくれるんですね」
「ああ、そうだ」
 ジュノと話すと泣きたくなる。
今すぐにでも抱きついて、その胸の豊かな飾り毛に顔を埋めて、甘くて落ち着く香りを肺にいっぱい吸い込みながら、子供のように泣きじゃくって、ジュノの大きな手で背を撫でてもらいたい。
 ジュノの胸の飾り毛がランプの光でオレンジに揺れている。
 ジュノはサライに居る間は銀狼国の騎士服ではなく、一般の兵士のような恰好をしている。胸元は大きく開いていて、袖回りも太くゆったりとして、ジュノでも着られるようにネイが直してくれたサライの服だ。
「あたたかそう……ですね」
「? なにがだ?」
 ジュノはエルシャを見守ることに徹したのか、杯を傾けるエルシャに何も言わず、窓枠に肘をついて見ている。
 膝がぶつかりそうな長い足に、袖から見えるたくましい腕に、胸元に誘うふかふかとした飾り毛に、包まれたらどんな気持ちになるのだろう。
「ジュノ、殿。
そちらに行っても、いいですか」
「ああ、いいぞ、狭いと思うが……」
 ジュノが長椅子の端に身体を寄せようとしてくれる。
 しかし、エルシャが座ったのは、ジュノの膝の上だった。
「……ん?」
 銀狼国で最強と謳われた百戦錬磨のジュノだったが、さすがになにが起こっているか一瞬わからなかった。
 エルシャは対面になるようにジュノの膝に足を開いてまたがり、ジュノの胸の飾り毛にぼふっと顔を埋めていた。
「あー……あったかい、いい匂い、落ち着く……」
「そ、そうか」
 困惑しながらもエルシャが落ちないように背中に手を添えて支えてくれている。
「やはり、酔っているな、エルシャ殿」
「酔ってません」
 ほんの少し、気分が良いだけだ。
 すう、と大きく息を吸って、ジュノの匂いを肺一杯に吸い込む。
「いつもいい匂いだなって思ってたんですけど、なにか着けてるんですか?」
「獣人は毛並を整える際に香油を使う。
匂いにも敏感なので、自分を表す香りにはこだわりがあるな」
 獣人たちはみな鼻が利くので、香水というものとは無縁だと思いきや、意外と香りの文化は発達していたりする。自分の香りというものを持っており、ある程度の年齢になったら自分の体臭と混ざりあうことで初めて完成する好みの香りを調合する文化がある。
たとえ全く同じ調合の香りを創った者がいたとしても、それぞれの体臭が違うから、実際に着けてみると同じ香りにはならない。
「じゃあ、これはジュノ殿の香り……?」
「そうなるな。
世界で一つの香りということになる」
 ジュノは自分の鼻先をエルシャの髪の中や耳の下、首筋にすりすりと擦りつけエルシャの匂いも嗅ぐ。
「エルシャ殿の匂いもいい匂いだ。
甘くて、熟れた果物のような匂いがするな」
「……好きな匂いですか?」
「……ああ。
好ましい香りだ。それに、美味そうで食べたくなる」
 心臓がとくとくと脈打つ。心臓に近いところまでジュノの鼻が降りてきて、ふんふんと匂いを嗅がれて、あたたかい息が服越しにも伝わってくる。
「ふあ、くすぐった、」
 肩や下腹部に力が入り、思わずジュノの頭を掻き抱き、胸を押し付けるような格好になってしまった。
「……は、体温が上がっていて、よけいに匂いが強くなっているな……。
まるで、早く食べてくれと言っているようですよ、陛下」
 耳元で囁くような声が、普段の何倍も低く甘い。
 背中を滑るジュノの大きな手があたたかくて、伝わる体温が気持ちいい。
 わずかに爪で触れる指先が、背骨に添って下へ降りていくと、エルシャの背中がしなる。
「んっ……、ジュノ、殿……」
「陛下、もしや、今までこういったご経験が」
「……ない」
 そう長くない人生全てで考えてきたのは、民の利益と、国の平和と繁栄。その為には、戦争の休戦と他国との和平。
 ずっと、自分のことなど二の次だった。それが、自分の歓びだった。
 だから、ジュノと出会って感じる一つ一つのことが初めてで戸惑ってしまう。
 ジュノの喉がぐるぐると鳴った。
 美味なご馳走を前にして堪える獣のように、獣性の片鱗をわずかに見せる。
 それだけでエルシャの背筋にぞくぞくとしたものが走った。
「……陛下、私が陛下にお教えしても?」
 こくこくと頷く。
 ジュノが大きな舌で鎖骨から喉を顎下まで舐め上げる。
 胸も、エルシャの薄い服の上から何度か舐め上げられると、濡れて肌に張り付いた。
「川でも、貴方の肌に濡れた布が纏いつく様は美しかった」
 薄い服の下では舌の生温かさと舐められる感触で、乳首がぷっくりと立ってしまっている。
 片方はジュノの大きな手で掴まれ、爪の先で弄られ、もう片方には口先に含まれ舌の上で転がされ時折犬歯が当たる。
 怖いのか、恥ずかしいのか、それとも気持ちがいいのかもわからない。
「くっ……ん、ぁ、……や、っあ、」
 小刻みに震える身体を持て余して、胸元にあるジュノの頭に縋りつく。
 目の前にある耳がぴくりと動くのが可愛くて、その先っぽを思わず口に食んだ。
 ジュノの手が服の下に入り込み、直接肌に柔らかな被毛が当たってくすぐったい。脇腹を撫でて、腹から上に上がって来るのと同時に服もたくし上げられている。
 いくら濡れて張り付いていたとはいえ、色形まではわからなかった乳首がジュノの目の前に晒される。
 芯の部分は小さく硬くなっていたが、その周りはふにふにと柔らかく、もともと白い肌の上でそこだけが充血して赤く染まっている様子は、ランプのわずかな灯りだけで見ても卑猥だった。
「持っていてください」
 自分の服をたくし上げた状態で持たされ、まるで自分からねだっているような錯覚を起こす。
 胸への愛撫が再開され、ジュノの大きく裂けた狼の口に乳首が含まれる。
 しかし、舌も手もあくまで優しく、エルシャに快感だけを教えようとする。
 手はエルシャの上半身を余すことなく撫でまわし、徐々に身体に力が入らなくなってくる。
 しなやかで薄く筋肉のついた滑らかな背中を撫でられ、無駄な肉のない脇腹を撫でられ、ひくひくと動く薄い腹を撫でられる。
「……触っても?」
 布越しに、下半身を掠められる。
 そこはとうに形を変えていて、大きくゆとりのあるズボンの上からでもそこだけ張っているのがわかった。
 さすがに、こんなところをジュノに触らせるわけにはいかない。
 ふわふわとした頭と身体でも、急激に羞恥と理性が戻って来る。
「あ、……だ、だめ、です」
「だめなのか?」
 ジュノが首筋に口を摺り寄せ耳元で囁く。
「陛下のここは、触って欲しそうだが?」
 わざと焦らすようにエルシャの先端を掠めるか掠めないかのぎりぎりのところを爪で引っかく。
「っん……!」
 たくし上げたままだった服で口を押さえる。
「だめ、です……!」
 服の下でくぐもった小さな抵抗を口にする。
「なぜ、だめなんだ?」
 ジュノが幼い子供に問うように優しく言い、耳を舐め上げる。
「ふぁ、あ、」
 じゅくり、という音が耳の中で響いて、たまらずジュノの首に強く抱きついた。そうすると、必然的に下半身もジュノに触れる。
「ひ、あ……っ!」
 意図しない刺激が下半身に広がりさらに敏感にさせる。
 ジュノの服は一般兵の服であり、王であるエルシャが着ている絹や柔らかな綿とは違う。固くて厚い布地だったが、それでもなにか大きくて硬いものに当たったことはわかった。
 ジュノの首筋に抱きついたまま、もともと酒でほとんど働いていなかった思考が停止する。
「……ジュノ、殿も、……?」
「……美しく艶やかなだけでなく、何も知らない可愛い陛下に触れているのだ。
勘弁なされよ」
 顔が熱くなる。顔だけでなく、首筋や露わになっている鎖骨や胸元までさっと朱を刷いたように染まる。
 それがまたジュノを駆り立てたらしく、エルシャの口をべろりと舐められた。
 ジュノがエルシャの後頭部に手を添え、引き寄せて口づけられる。
「ん、……ん、ふ……ぁ」
 静かな馬車の中にかすかな吐息が漏れる声と、濡れた音がより鮮明に聞こえる。
 ジュノの大きな舌が口の中から去って、唇をぺろりと舐められて、口から零れていた唾液も舐めとってくれた。
 ジュノの舌がなくなると口の中がとても寂しくて、それを慰めるように何度か軽く唇を合わせるだけのキスをしてくれる。
「……は、ジュノ、殿……」
 ジュノの肩に顔を埋める。すると、ジュノが首筋や耳も舐めてくれる。
 キスは好きだ。気持ちいい。
 やはり川の中でジュノにされたのが初めてだったが、あのときのとろけるような気持ち良さも高揚感も忘れられない。
 先ほど自分の胸を舐めていた大きな舌が口の中いっぱいに入って来て、それが腔内を舐めまわす度にまた背骨がぞくぞくとして、腰が重くなる。
 甘く感じる唾液を夢中で舐めとり、もっと欲しくて舌に吸い付き、飲み込む。
 舌の裏側、上顎、歯列の内側、優しくなぞられると再び頭も身体もとろとろと蜜のように溶けていく気がする。
「は、……陛下は口づけがお好きなようだ」
「ん、ふ、ぁ、んむ、すき、はぁ、きもちいい」
 ジュノの手が尻を優しく撫で、柔らかく揉む。
「あっ、……っん、ん」
 そのまま引き寄せられ、エルシャの下半身とジュノの大きく硬いものとが触れてしまった。
「! っん、ふ、っぁ、あ、ああ……」
 気持ちいい。腰が勝手に動いて、自分の下半身を押し付けてしまう。
 熱い。硬い。どうしよう。止まらない。
 ジュノが口を離す。
「?」
「口づけが気持ちいいんですね、陛下」
 こくりと頷く。
「ここを、触りながら口づけすると、もっと気持ち良くなる」
「あっ!」
 ジュノがエルシャの下半身に指を這わせた。
 もっと?
 今でも充分に気持ちがいいのに。
 今よりもさらに?
「俺の手が好きだろう?」
 ジュノが指の背で裏筋を下から上につっと撫で上げた。
「あっ、ん!」
「エルシャ」
 耳元で愛おしそうに懇願するように名前を呼ばれて、頷いた。
 ジュノはエルシャのズボンの紐を解き中を露わにすると、自分の前も寛げた。
 そしてエルシャのものと自分のものを同時に握りこむ。
「あっ、あん、や、これ、だめ……!」
 初めてジュノが少し強めにエルシャの身体に触れ、手を上下に扱くと下半身から溶けてしまいそうだった。
 くちくちと濡れた音が狭い馬車の中に響く。
 ジュノがわざと時々自分の腰を揺するので、上に乗っているエルシャの身体が跳ねる。
「んっ、んん、ぅんん!」
 大きな声が出てしまわないように声を噛み殺し、ジュノの首に必死でしがみつく。
「は、口づけ、して、ジュノ」
 ようやくジュノがキスを再開してくれ、下半身の強い快感と、キスの穏やかで優しい快感を同時に堪能する。
「ん、ん、は、ぁ、もう、もう離して、ジュノ、出そう、んっ!」
「どうぞ、陛下」
「あ、や、だめ……んんっ!」
 初めて他人に触られて、翻弄されるままに達してしまった。
 はあ、と大きく息をつくエルシャに、しかしまだ達していないジュノが自分のものを擦りつける。
「や、あ、んん、いった、ばっかり……ふぁ、んっ!」
「っ……!」
 ジュノの熱い精がエルシャのものにも伝い落ちて、エルシャの精と混ぜるようにジュノが柔らかく残滓を絞り出す。
 ジュノに乱れた服を直してもらってからも、何度も何度もキスをしてもらい、落ち着いた頃に、我に返った。
「っ……す、すみません!」
 エルシャは反射的に身を引いた。
 川でのことは、ジュノにとってはきっと深い意味なんてない。
 ジュノは女性に言い寄られることも多いだろうし、経験のないエルシャはよくわかっていなかったけれど、きっとそういう雰囲気になってしまったのだろう。
 ただ、それだけのことだった。
 ただ、一度きりの思い出だった。
 それなのに、心のどこかで「またしたい」「して欲しい」と思っていた、欲のような願いのような、奥底に隠し持っていたものが出てきた気がしてすごく恥ずかしかった。
 あさましい。欲が出た。きっとジュノに見透かされていたのだ。
 自分は王であるのに、酒を飲んで理性のたがが外れ我欲に走るとは、なんと無様で未熟なのだろう。これが「王」だなんて笑わせる。きっとジュノも呆れていることだろう。
 そう思うと恥ずかしくて仕方なかった。
 慌ててジュノの膝から降りようとしたが、ジュノにしっかりと腰を抱き止められてかなわなかった。
「す、すみません、俺、なにしてんだろう……!」
「エルシャ殿、落ち着け。
……エルシャ」
 低くひそめた声で呼ばれると、肌がぴりぴりとする。
「私がしたかったのです、エルシャ殿。
恥ずかしがることも、ご自分を責める必要もない。
貴方は私との間にあるまだ不確かなものを精一杯感じて下さっただけだ。
どうか、過ちにしないで欲しい、陛下」
 ジュノはじっとエルシャを見上げるように目を合わせたまま、エルシャの手のひらにキスをした。
 その青い瞳に見竦められて、身体が痺れたように動かない。息をすることも忘れて、気が付けば頷いていた。
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