転生皇子の新生活 高等部編

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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中等部4年編

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 あれからルーカスはエドワードとアレクサンダーに弓術を見てもらったり、ジェシカやアーサー達と過ごしたり、ウィリアム達とレイアと共に遊んだりした。


 今日も朝はアレクサンダーの剣術や体術の授業を受けた後、昼間にアルフィーの勉学の授業を受け空いた時間でレイア達と遊んで過ごした。


 夕食を済ませ湯浴みから上がると、ルーカスはベットに腰掛け息をつく。


 城に帰った日以降、リヴに会えていない。今は何をしているんだろう。顔だけでも見たい……。


 ルーカスはリヴァイを恋しく感じながら、時計に目をやった。
 今は亥の刻を少し過ぎた頃。恐らくリヴァイも丁度就寝の準備を終えた所だろう。


 会いに行ったら、迷惑かな? 少しだけ顔を見るだけなら、許してくれるかも……。


 そう思い立つと、ルーカスは黒のローブを羽織部屋を後にする。遅い時間の為、足音を立てないよう静かに、皇族の私室がある東棟の建物を歩いて行った。


 東棟を出ると、客室のある棟へ歩いて行き、いつもリヴァイが泊まっている部屋の前へ到着した。


 ……やはり帰ろう。突然来たら迷惑だろうから。


「何者だ!」


「っ!」


 ルーカスが踵を返そうとした時、部屋の中からリヴァイの声がした。その声に驚くと、突然中から扉が開かれリヴァイが出てきた。


「っ殿下……?」


「あ、、ごめんね、リヴ。夜遅くに……」


「い、いえ、どうかされましたか?」


 ルーカスの姿に、リヴァイは驚きを顕にしながらそう尋ねた。するとルーカスは少し口ごもりながら、答える。


「その、、寂しくて、リヴに、会いたくなったから……」


 その言葉を聞くと、リヴァイは少し目を見開いたあと、すぐ様ルーカスをぎゅっと抱き締めた。


「私に、会いに来てくださったのですか?」


「うん」


「……あ、どうぞ、お入りください」


 リヴァイが嬉しさを噛み締め、少しの沈黙が流れた後、はっとしルーカスを部屋へ招いた。


「ありがとう」


 ルーカスが部屋に入ると、リヴァイは直ぐに紅茶を入れ差し出した。


「気を遣わなくていいのに。リヴは明日も早いし、直ぐに帰るから」


「帰られるのですか……?」


「えっ、うん……」


 あ、しょんぼりしてる……。


「……一緒に寝てくれるのかい?」


「はい。……寝たいです」


 ルーカスのその問いかけに、落ち込んでいたリヴァイの表情は明るくなった。


 ふふ、可愛い。


「では、紅茶を飲み終えたらベッドに入ろうか」


 そうしてルーカスとリヴァイは談笑をしながら紅茶を飲み終えると、一緒にベッドの中に入り灯りを消した。


「……ねえ、リヴ。今日はしなくて良いの?」


 お互い向き合った状態で寝転ぶと、ルーカスが控えめにそう尋ねた。


「殿下はしたい、ですか?」


「……今日は、話すだけが良い」


「私もです。貴方と言葉を交わすだけで満ち足りた気持ちになります」


 ルーカスが少し不安そうに答えると、リヴァイは優しい表情をして伝えた。


「ですが、貴方に触れたいのも事実です。次回が有るのならば、その時は……」


「うん。君が許してくれるのならば、早い内にまた来させて。君と話すこの時間が過ぎて欲しくないのに、君と触れ合える次回が早く来れば良いとも思ってしまう」


「はい……。早く、私の元へ来て下さい」


「ふふふ、今も君のそばにいるよ」


 ルーカスはリヴァイの方へ近付き胸の辺りにすっぽりと収まった。それをリヴァイが少し驚いた様子で見た後、可笑しそうにしながらルーカスを腕の中へと仕舞った。


「そうだ。今度ヨハン達をお茶会に招待するんだ」


「聞きました。既に準備を進めておいでだと」


「うん。僕一人が主催するお茶会は初めてだから、すごく楽しみだよ」


 ヨハン達を招待したお茶会は以前にも何度か開いていた。しかしその時はソフィアと共同で、2人の側近達やクロエ達も招待した。
 その為ルーカスのみが主催するお茶会を開くのは今回が初めてなのだ。


「どうせならば招待客も多いほうが楽しいから、友人だけでなく他の側近達や後輩達も招待しようと思うんだ」


「アドルフ達やコリー達ですか?」


「そう。都合が合えばだけど。避暑に行っている子達もいるだろうからね。6の月4の日に開くのだけど、リヴはどうかな?」


「申し訳ございません。6の月に入ってから2週間ほど、お祖父様と領地へ視察に行く事に。まだ決定ではなかったので、殿下にはお話していなかったのです」


 リヴァイは長期休暇の間に、何度かムハンマド領に視察へ行っている。それは今年の夏の長期休暇も例外ではなかったようだ。

 ルーカスも予想していたのかやはりと言う表情をしている。


「そっか、被ってしまったね」


「……殿下、今回は視察と被ってしまいましたが、私も貴方のお茶会に、参加したいです。貴方と皇城の庭園で、ゆっくりとお茶を飲む時間が欲しいです」


「……そうだね。ならば、視察から帰った頃に、もう一度お茶会を開こうか。もちろん、招待するのはリヴァイ・ノア・ムハンマドただ1人だけ。2人でゆっくり話をしよう」


 そう言ってルーカスはにこりと微笑む。
 対してリヴァイは酷く驚いた。彼は次の長期休暇こそは参加したいのでぜひ招待して欲しいという意味でもそう言った。

 しかし受け取り手のルーカスからすれば、2人きりでお茶をしたいと言う意味にも取れただろう。


 リヴァイは予想外の嬉しい誘いに、ルーカスとの二人きりでのお茶会が酷く楽しみになったのだった。





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