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【 旅と温泉グルメ しゃぶれどもしゃぶれども(番外編) 】

14: 犬と散歩する②

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 犬が登場する小説と言えば、アンが思い出すのはディーン・R・クーンツの「ウォッチャーズ」だ。
 犬が主人公だなんて、いくら書き手がクーンツでも無理!って思っていた作品だったけれど、読んでみて全然OK、というか、ラブラドールレトリバーだったら、確かにそうだろうなって納得させられる描写部分が数多くあって、やっぱり「クーンツ、凄い」「ラブラドールレトリバー!可愛い!」って事になっている。
 というかラブラドールレトリバーに限らず、犬の表情で「意地悪」に相当するものを見たことがないなー。
 その点でも「ウォッチャーズ」の設定は的を射てる。

 朝の散歩途中、コンビニの駐車場に2羽の小鳥が舞い降りてピョンピョンとスキップしていく。
 尾翼が長くて、それは胴体と頭部の長さを足したほどある。
 前を行く一羽が、その尾翼を垂直に上げる、追いかける後の一羽の尾翼は水平。
 二羽とも焦げ茶が黒に近い体色で、胸部に真っ白で大きな一つ斑を抱えている。

 素人判断だけど、どうやら求愛行動のように見える。
 一緒に散歩してる実家のラブ(ラブラドール・レトリーバー)ちゃんは、それをみても全く反応をしめさない。
 先祖は鳥猟犬だというのに、散歩に忙しくて、それどころじゃないという感じ。

 そういえば人間で換算するとこのラブちゃん。
 飼い主である内のパパと同じで、相当なお年なのだが、それらしい精神上の変化はないようだ。
 アンが見てる分には、聞き分けがほんのちょっぴりよくなったのと、それとは矛盾しているけれど、「食い気」の我慢が効かなくなって浅ましくなったぐらいだろうか。

 昔は食べ物を目の目にしても「待て」と言ったらそうとう我慢強くじっとしていたのだけれど、今はお義理で数秒待っているだけだ。
 「ウォッチャーズ」に登場するラブラドール・レトリーバーと全然ちゃうやん(笑)
 一方、パパの方は若い頃の好き放題な人生を考えるとすっかり丸くなってしまっている。
 第一、昔は犬を飼えるような人ではなかったのだ。

 自然界は食物連鎖などで判るように、すべての物事が「循環」しているのだという。
 唯一、人間だけが「循環」の枠組みから離れ、「消費」を始めたのだとも、、。
 二匹の小鳥達は、コンビニの駐車場に止めてあった青い小型トラックの裏側にピョンピョンと跳ねていった。
 そしてラブちゃんは、人間が嗅げない、何かや、仲間の匂いを求めて、アンの先を歩いて行くのだった。




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