ゴックン、その口で食べるの? /Osaka発ドラァグドライブ、掛け違いの旅

Ann Noraaile

文字の大きさ
143 / 177
【 東南アジアの旅 】

08: 初めてのバリ旅行 ジャランジャランは明日から ②夜と朝、そして暴走族と凧揚げ

しおりを挟む
 そんなこんなでアン達を乗せたバスは1時間ぐらいでウブドへ到着。
 ところがこんな騒々しい道路に面しているくせに、一旦ホテルに入ると一気に全てが静かになるんだよね。
 これは空気も同じで、さっきまで気になってしょうがなかった排気ガスの臭いが、一切しなくなって凄く濃厚な酸素が吸えるわけ。

 ヴィラに入って周りの光景を確認して判ったんだけど、ウブドって人の手が入っているのは、道路とその周辺の建物だけで、建物の真横はもうジャングルなわけ。
 こりや空気が濃いわけだわ、、、。

 アンたちが泊まったホテルは非常によくできたリゾートで、オープンスペース指向な作りなのに虫もいなければトッケーもいない。
 (備品の中に日本の蚊取り線香があったのにはニヤリだったけど)
 唯一、トイレの臭いだけが田舎っぽいって感じでこれはご愛敬。

 しばらく相方とキャーキャーはしゃいでいたんだけど、天井の高さや、いかにもバリって感じの内装はとても贅沢な感じで、ここホント、女の子向きだと思う。
 これは後でショッピングをした時にも感じる事にもなるんだけど、巷の市場で「かわいいー」って日本語がかなり浸透してる所を見ると、ウブドも自ら観光地としてのコンセプトをしっかり掴んでるって感じなのかな。

 ベルボーイさんにチップを渡した時の笑顔がいい、まるで電球がパッと点いたみたい。
 タイよりずっと「微笑みの国」って感じ。
 ・・でもこれって、植民地政治に長い間さらされてきた人々が身につけた演技なのかな?とも思ったり。

 「リラクゼーション・バリ」がバリのキャッチフレーズ、、、キングサイズのベッドでアレをして、お相手の丸い肩越しに、ふと天井を見上げると、その空間はとても広くて、木が組んであって大きな扇風機がぐるぐるゆったり回っているわけ。
 そして静寂、、自然で基本的な無音というのは、とても安心するものなんだよね。

   ・・・・・・・・・

 未明から早朝にかけての、音のざわめきで目が覚める。
 鶏、種々の野鳥の鳴き声、これはもう五月蠅いぐらい。
 生命の坩堝の温度が上昇して、泡がぽつぽつと上がってきてるって感じ。

 なんだかフルーツがメインのように思える朝食をとって、ウブドの街に出発。
 朝市に間に合うように、ホテルの車でプリサレン王宮に送ってもらったのはいいけれど、ウブドでは日曜日に赤いお揃いのTシャツを着た巨大暴走族が出没するようで、アンたちは最悪にもそんな彼らに遭遇した。
 彼らのせいでたった三メートル足らずの道路を横断する事ができないでいるのだ。
 警官は、居るにはいるんだけど、どういうわけか静観の構え、、彼らの暴走行為を許しているようだ。

 アンは、ベトナムで公園ロータリーをオートバイに乗ってただぐるぐる回っている人々の事を思い出した。
 彼らも騒音をまき散らしながらの暴走行為を楽しんでたっけ。
 それに彼らを見ている一般市民も、ただボーっと眺めているだけで特別怒っている様子もない。 ちなみに相方が、昼食時にカフェの娘達に聞いた所によると、彼らは日曜日に出現する、とても「ラブリィな存在」なんだそうだ。
 (実は後日、意外な彼らの正体が明らかになる。でも、この日一日中、彼らの暴走のせいで観光客のアン達の気分が悪かったのは確かだ。)

 さてウブドの町の朝市、ガイドブックには「バリでは値切ってなんぼ」というような事が書いてある。
 もちろん値切るなんて行為は、大阪に住んでいる者にとって特別目新しい事ではない。
 挨拶代わり程度のことだ。
 最近、東京から持ち込まれた「ポイント制」のせいで、この古き良き習慣が完全にすたれつつあるけど、その血筋は脈々と大阪人に受け継がれているのだ(笑)。
 大阪では「二割引かせて当たり前、三割上出来、それ以上でも店に損なし」のような不文律がある。
 ここバリでは向こうの言い値の半分からスタートという事らしい。

「友達価格ね。かわいいー。お姉さん。」の単語が飛び交う中、電卓のキーを打ち合う激しい応酬があって、何千円の買い物に興奮する。
 それにすべすべ肌の地元の若い娘に抱きつかれるのはとても気持ちがいい。
 (、、ああ若い娘のオーラが、、わたしゃスペースバンパイアか。)

 基本的に相方もアンもショッピングが大好きだから、モンキーフォレストというお猿さん公園に抜けていくショッピング街をウキウキ気分で堪能しながら、谷に向かってどんどん下っていった。
 途中で、草がぼうぼうと生えたサッカー場に出くわして、そこで地元の子供達が凧上げ大会をしている風景に出くわす。
 バリでは乾期の間、大人も子どもも凧上げを楽しむんだって、ガイドブックに書いてあったんだけど、、うーん日本じゃちょっと考えられないワ。

 モンキーフォレストでは「まったり猿」達に出会う。
 アンは、小さい頃にデパートの屋上にあるペットショップのお猿さんに虐められた記憶があって、それが今でもトラウマになっている。
 でもここのお猿さん達は、ほんと穏やかで見てるだけで和めた。
 まあ、お猿さんだって、ずーーと囚われの身なのと、こんな楽園で暮らすのとでは、ストレスのかかり具合は、天と地ほどの違いがあるだろう
 相方の方は、休憩中手に持っていたミネラルウォターのボトルを取られそうになってたけど(笑)。




しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

処理中です...